結局、俺のモヤモヤが晴れないまま数日が経った。正直姫島先輩本人に聞くかどうか悩んでいる。しかし、自然に聞き出せそうなタイミングが見つからないし……………よし、もうこのことは一回忘れよう。いずれわかるかもしれないし、このままだと日常生活に支障をきたしかねない。
「よっ、ハジメ……最近のお前の顔酷いぞ」
俺、そんなやつれてるのか?
「そ、そう見えるか?気のせいだ、気のせい……」
「お、おう」
「ところで、悪魔の仕事とやらの調子はどうなんだ?」
「うまくいったり、いかなかったりの半々だな」
イッセーの話によると、悪魔とは契約を結び、相手の願いを叶える。その代償として、それ相応の代価をいただく。そういうシステムだそうだ。そうして、活躍が認められると、爵位をもらえるかもしれないらしく、イッセーも張り切っている。
それとは別の話になるが、イッセーも神器を持っていたらしい。それで堕天使に命を狙われたそうだ。
「俺、今日はバイト休みだし部室に寄ろうと思ってたから、行こうぜイッセー」
「お前、家帰った方がいいんじゃないか?別に強制参加じゃないんだろ?」
「だから、大丈夫だよ」
ちなみに、俺は人間であるし、バイトも入っているので、空いてる日に顔を出せばいいことになっている。………俺がいる意味ってあるのだろうか?
◼◼◼
「入ります」 「失礼します」
「今日は来れたのねハジメ」
「今日はフリーだったので、顔出しに来ました。ところで俺のすることってなんなんですか?」
「はぐれ悪魔の討伐に協力してもらうわ、もちろん他にもあるけど」
「はぐれ悪魔?」
なるほどね。……イッセーはまだ理解していないようだが。
「そうだったんですね、そういうことなら喜んで」
「お話は済みました?」
「「わっ!」」
いつの間にか俺達の背後に姫島先輩が立っていた。心臓に悪い。
「何かしら、朱乃?」
「部長、討伐の依頼が届きました」
言ってるそばから早速仕事か。
「場所はどこですか?」
「場所は町はずれにある廃屋です」
「じゃあ俺、今から向かいます」
「ちょっと待ちなさい。まだ全員揃ってないわ」
「しかし、一秒でも早く行った方が犠牲者の出る可能性は少なくなる!だから、俺は行きます」
「それでも、一人は危険よ!」
「なら、私がハジメ君の付き添いをします。二人なら問題ありませんよね?」
「朱乃………了解したわ。ただし、二人共無理はしないこと。いいわね?」
「「はい!」」
ブルースペイダーを旧校舎前に呼び出し、飛び乗った。
「姫島先輩、後ろに乗ってください!」
と言って、ヘルメットを差し出す。
「え?」
先輩はキョトンとしている。まぁ、バイクが自走してきたら、誰だってびっくりするか。
「急いでるんですから、早く!」
こうして、先輩と二人乗りをして、その廃屋へと向かったのだが……。
『こうなるって、考えられなかったんですか?バカなんですか?』
やや怒りっぽい口調で霧が言う。
(し、仕方ないだろ?その緊急なんだし)
先輩の胸が当たって、落ち着いていられなかった。
◼◼◼
「ここですね。はぐれ悪魔がいるのは。行きましょうか姫島先輩」
俺はバイクから降りて、廃屋に入ろうとする。
「ねぇ、ハジメ君?」
姫島先輩が突然話かけてきた。その表情はいつもとは違い、スッキリしない表情をしていた。
「なんです、姫島先輩?」
「私のことは『朱乃』と呼んで下さらない?」
「………は?」
「苗字で呼ばれるのは、あまり好きではありませんの」
俺の思考が一瞬止まりかけた。俺は悩んだ結果……。
「さすがに呼び捨てはちょっと気が引けるので、……これからは朱乃さんって呼ぶので、これでいいですか?」
「えぇ!構いませんわ」
すると表情が一変し、急にいつもの笑顔に戻った。俺はその仕草にドキッとしてしまった。
「は、早めに片付けちゃいましょう」
「あらあら、そうでしたわね、行きましょうか」
俺と朱乃さんは廃屋の中へと入って行った。
「なんだか、血生臭いですね」
屋内は俺でも感じ取れるくらいの殺気が満ちていた。
「これは珍しいエサがかかったな。片方は悪魔で、もう一方はただの人間だけど、イケメンのようね。嫌いじゃないわ!」
「はぐれ悪魔バイサー。あなたをなぶり殺しに来ましたわ、うふふふふ」
バイサーっていう名前なのか、ってか朱乃さんとんでもないこと口走ってませんか?
こいつの姿は形容しにくいほどの完全な化け物。上半身は女性だが、下半身は足が4本で、それぞれが太い。さらに尻尾まで生えている
「こざかしいぃぃぃぃぃ!二人まとめて喰ってあげるわぁぁぁ!」
「さて、早めに終わらせるか。変身!!」
〈TURN UP〉
「なっ?その姿は一体なんだ?」
「仮面ライダーだ。はぁぁぁ!」
ブレイラウザーを抜き、そのまま突進。そして、右腕を斬りつけると、いとも簡単に切断できてしまった
「案外柔いな」
『ふん。そもそも、こいつが雑魚なだけだ』
麟のドヤ顔してる様子が目に浮かぶよ。
俺は終始圧倒し続けた。途中、朱乃さんが……
「そろそろ、交代して下さらない?」
と言ってきたので、バトンタッチしたのだが、それはもう弱い者いじめの度合いを越えていた。それに「あはは、うふふ」と笑いながら、いろんな攻撃をしてくるのだから、さすがにあの化け物に同情した。
「………じゃあ、そろそろとどめをさしますので」
「あらあら、まだ足りない気もしますけど、お願いしますわ」
……朱乃さんその笑顔が怖いです。
〈キック〉〈サンダー〉〈マッハ〉
〈ライトニングソニック〉
「ウェェェェェェェイ!」
電撃を纏った飛び蹴りをくらわせると、異形のものは爆散した。
「それじゃあ、帰りますか?」
変身を解除しながら話す。
「私は部長に報告しなければいけないので、ここで失礼させてもらいますわ」
そう言って、どこかへ消えてしまった。
そういえば、朱乃さんは俺の変身にあまり驚いた様子を見せていなかった気が………。
やはり……いや、でも下手に聞いて怒らせたら……俺がどうなるか想像できない。これは自力で思い出すしかないか。
そんな考えを巡らせて帰路につくのだった。
そういえば、ロイヤルストレートフラッシュって魔王級の一撃ですかね?
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