彼方の空   作:ショ・シンシャ

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森の主、女の子に惚れる

とある森の中、モコモコの厚着をしている中学生くらいの少女がジョギングをしていた。

 

「あれ…なんか景色が違う……?」

 

少女は足を止めて周囲を見渡す。

先程まで均等に並ぶ街路樹を歩いていたはずなのに、ふと気がつくと周囲の木は好き放題な生え方のものになっており、それが何倍にも増えていた。

 

(……おかしいなぁ、こんな森近くにあったっけ?)

 

何度後ろを振り返ってもまともな道のない鬱蒼とした森が続いていて、どうやって来たのかすらも分からない。

 

(……とりあえず進んでいれば、いつかは抜けられるでしょ!)

 

少女こと藍井(アオイ) (ソラ)は極めて単純な考え方で森を進んでいく。

普通なら自殺行為にも程がある……が、彼女の生来の優れた肉体ならそんな事は無いかもしれない。

 


 

(なんか着いてきてる……)

 

数時間後……森を歩く空の後ろには猿と鹿の群れが着いて来ていて、ボスを慕うかのような目でこちらを見ていた。

彼らの本能は偶然会ったこの少女を見た瞬間、こう告げたのだ。

 

“こいつが我々を導くボスだ”と……

 

そんな事は露知らず、空は学校へ向かう為に森からの脱出を目指す。

結局、その日は手がかりも得られずに猿達と野宿する羽目になった。

 


 

 

曇り空の中、山へと続く道を1人の少女が歩いていた。

少女の名は更識 簪。彼女は絶望していた。

 

(…世界は私に何か恨みでもあるのかな……)

 

簪は暗い顔を隠すように俯きながら

彼女は優秀すぎる姉へ強烈なコンプレックスを抱いていた。

どうにかして姉に並べる物を探そうと、沢山の分野に手を出し、そして全てにおいて姉に勝てずにいた。

 

(世界初の男性操縦者が日本から出てきて、そっちに人が割かれて打鉄弐式の開発は永久凍結。私はお姉ちゃんの隣に並ぶ権利すら無いって事……?)

 

簪はますます自虐的になっていき、涙を浮かべ始める。

唯一あと一歩で並べるかもしれなかった専用機の自力制作も、男性操縦者というイレギュラーの存在で未完成の機体だけが残った。

 

「…………………………あはは、はははは……はははははは……はは、は……あ、あぁ、あぁぁぁ……!」

 

失った希望を取り戻そうと笑うが、涙と悲しみだけが溜まっていく。

曇り空は彼女を嘲笑うかのように雨を降らし、制服を濡らしていく。

 

「!」

 

突然何かが草木を掻き分ける音がした。

簪は体をビクリと震わせ、涙を引っ込めてしまう。

 

(まさか、最近噂になってる森の主……!?)

 

何かが四足歩行でこちらに近づいている。

地響きと思えてしまうような足音を聞いた彼女は、恐怖で腰を抜かしてしまう。

 

(あ、だ、誰か、助けて……!)

 

助けを求めようと声を出そうとするが、消え入るようなかすれ声しか出なかった。

そして、3mはある大きなヒグマ……と、150センチちょっとくらいの少女が茂みから出てきた。

 

「!??!!?!?」

 

今回ばかりは流石に恐怖より混乱が上回った。

簪はへたりこんだまま目をグルグルとさせて口をパクパクと開閉させる。

 

「ふぅー、やっと森から出、れ……!?」

 

「あわ、あわわわわ、わわ……」

 

簪の顔を見た瞬間顔を赤面させる空と、ヒグマに乗った空を見て混乱している簪。

雨が止み、晴れた空が場違いな祝福をするように2人へ日差しを浴びせていた……

あにまん掲示板は……

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