所長にチートオリ主サーヴァントを召喚させたかっただけ 作:がばがば小説マン
これが私のサーヴァントなのか、とオルガマリーアニムスフィアは若干、いやかなり深い溜め息を吐いた。
「本当に申し訳ないッッッ!!」
それは、あまりにも綺麗なジャパニーズ土下座。
日本式の最大級の謝意を表す体勢。
カルデアで爆破テロが起こる前に調べた限り日本人といえどよっっぽどの事が無い限りこのような体勢はしないらしい。というか何で土下座を知っているのか謎だ……そういえば焼き土下座とかいうさらに上のクラスの体勢があると聞いたことがあるが……今はそんな事どうでもいい。
「……はぁ、もういいわよ……それより、貴方が私のサーヴァントで間違いないのよね?」
右手の甲に浮かび上がった令呪を確認しながら、彼に確認する。
「YES!!……自害は止めて下さいお願いします」
貴方の行動次第ねと言いながら令呪をじっくり確認する。
令呪。サーヴァントに対して三回まで言うことを聞かせられる絶対命令権。
「ふふっ……」
思わず笑みが零れてしまう。今までマスター適正のマの字も無かった私にもようやく出来た。嬉しい……嬉しい嬉しい嬉しい!!マスターになったんだ!!私、マスターなんだ……!!
喜びが身体の奥底からふつふつと沸き上がる。
だが、ここでやらなければいけない大事な問題を忘れていた。
「……あっ!!そう言えば貴方の真名を聞いて無かったわね……」
うっかりだった。コイツがどんな英霊かも知らないで浮かれていた。恐ろしい失態だ。思わず手の甲に魔力を貯める。
「そういやそうだったな!!だから止めて!!ガンドは止めて!!」
どうやらコイツも忘れていたらしい。結構うっかりな英霊のようだ。
「ふー……うん、僕の真名はルセル。クラスはセイヴァーだ。よろぴく」
「成る程、るせ……は?ごめんなさい、もう一度言って?」
「ルセルだぞ。クラスはセイヴァー。」
「えっえっえ…………え?」
思わず出てきたビッグネームに、私は口をぽかんと開けて唖然とした。
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ルセル。魔術に関わる人間ならだれもが知っている。神代のそれもかなり初めの頃からその名は語り継がれていた。数えきれぬ程の杖や剣を持ち、その全てが一級以上の宝具だと言われる大英雄。
様々な時代の文献の中で『ルセルが怪物を打ち倒し世界を救ってくれた。』と記されており、しかも出てくる怪物は『黒き龍』だったり『邪神』だったりと人類が滅亡するにはあまりにも十分すぎる脅威であった為に彼が居なかったら世界はとうに滅亡していたとまで言われる。
「……おーい、大丈夫かぁ?マスター」
そんな彼の声で、私は脳内から現実へ呼びもどされた。
「はっ!!い、いえ……大丈夫……よ……」
「そうか?……まぁ、いきなりこんな所に飛ばされてマスターになって大変だろうしな……ま!周りに結界は張ってあるからゆっくり休めや」
「あ……ありがとう……ございます……」
改めて向かいに座っている彼を見る。
どうも、彼がそんな大英雄には見えない。言っては悪いが、唯の高校生位の年齢の男子にしか見えない。
「……僕がルセルだって信じられないって顔してんな」
彼が少し不服そうな声で言った。
しまった。顔に出ていたか。
「い、いや……そんなことは……」
英霊の機嫌を損ねた魔術師の末路なんて最早結果を見ずとも分かっている。だから、慌てて否定しようとした。
「まぁ、いきなり信じられる奴の方が少ないからな。むしろそんな奴はすぐ騙される。まぁ、この分ならマスターは大丈夫だな。」
と、彼は私に笑いかける。ちょっとだけ胸がドキリとした。
「あ、ありがとう……」
ってこれじゃだめじゃない!!本当にほんのちょっと褒められただけじゃないの!!しかもほぼ初対面じゃない!!私はそんなちょろくない!!
「……そろそろもう一人のマスターの所に合流しないか?」
……確かに、いつまでもこんな所に居たらこの特異点の探索も遅れて協会に報告が遅れてしまう。
「……そうね、行きましょう。」
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「ひっ!!」
「grrrrrrrrrrrrr……」
目の前に居るのは黒い霧に包まれたサーヴァント。
明らかに理性を失っている。恐らくバーサーカーだ。それも並みの英霊ではない。そこら辺の英霊とは格が違う。
そして明らかにこちらに敵意を向けており、今すぐにでも襲いかかってきそうだ。
「なんで、なんでサーヴァントがいるのよ!!」
なんで?なんで?サーヴァントはマスター無しでは現界出来ない筈なのに!!
思わず恐怖で地面にへたりこんでしまった矢先、大きな背中が私の視界を遮った。
「安心しろ、マスター。貴方には指一本触れさせない。」
そう言うや否や、彼は一本の杖を虚空から取り出した。
それは、かつて世界を焦土と変えようとせんとした魔王を打ち倒した時に使われた、万物を消滅させる魔法が刻まれた杖。
「左手にマヒャド……右手にメラゾーマ……」
「grrrrrrrrr!!!!!!!!」
奴が愚直に、真っ直ぐこっちに襲いかかってくる時、それはそれは起こった。
「行け」
『
彼の手から巨大な光の矢が放たれる。
そして奴は、何かを察したのか方向転換しようとするも、空しく光の矢に包まれた。
その光が収まった時には、もう、何もなかった。
ルセルが光の矢を放った場所から奴が居た場所までの距離の延長線上数キロメートルが完全に焦土と化した。
「……マスター、これでどうかな?信じてもらえた?」
「マスター……?」
「いや貴女が僕のマスターでしょ!?」
……そうだ、そうだった!!私がこの……『救世主』ルセルのマスターなんだ!!
あれほどの『魔法』を放つ彼が今従っている唯一の存在なんだ!!
「そ、そうよね……私が、貴方の……ルセルのマスターなのよね……!!!」
「おう」
嬉しい……嬉しい嬉しい嬉しい!!私はマスターになれたんだ!!ルセルの!!救世主の!!マスター!!私が!!あれほど最高峰の魔術師達が召喚しようとしてもうんともすんとも言わなかった最高のサーヴァントの!!マスター!!やった……やったやった!!!散々私をバカにしてきた奴らより私の方が凄いんだ!!!
「ねえ!!貴方、一生私のサーヴァントね!!これは命令よ!!オルガマリーアニムスフィアだけを貴方のマスターとしなさい!!」
誰が何と言おうと、コイツは私のサーヴァントなんだから……!!
「ファッ!?全然良いけど……?」
「っ!!言ったわね!?絶対の絶対よ!!」
「わ、分かった……」
これで……もうバカにされる事も嗤われる事もないの……!!!