所長にチートオリ主サーヴァントを召喚させたかっただけ 作:がばがば小説マン
「ルセル!!奴らを地面に還しなさい!!」
「おっけー!!粛清じゃぁぁぁ!!ypaaaaaaaaa!!!!!!!!」
どこからともなく\デェェェェン/という音が聞こえてきそうな掛け声と同時に、辺りの骸骨兵が『王の一閃·光爆』によって切り裂かれて塵へと化して行く。そしてそれをマシュと立香、通信越しのロマニ、沖田さん、そして所長とルセルが居ない間にマシュの宝具の解放を助けたキャスニキが呆然としながら見ていた。
「あー……なんだ、もしかしてこれ……俺、要らない?」
「沖田さんもなんだかそう思えてきました……」
「……ルセルさん……凄いです……!!!」
「うん……なんかこう……凄いね……!!!」
『いや凄いとかいうレベルじゃないよ!?何あれ!?聖剣!?いや、そりゃとんでもなく強いのはわかっていたよ!?『救世主』だもの!!でもまさか剣からビームを出せるなんて……しかもこれが宝具じゃないんだよね!?』
ロマニの声が通信越しなのにやかましい程聞こえてくる。普段のオルガマリーであったなら「やかましい!!」と言うのがお約束だが、今回ばかりは違った。
「そうよ!!だって私のルセルなんだもの!!強いのは当然よ!!そんじょそこらのサーヴァントとは比べモノにならないのよ!!なんてたって『私の』ルセルなんだから!!」
今の彼女は、端的に言えば調子に乗っていた。
自分が今まで抱えてきたコンプレックスがルセルという最高峰のサーヴァントを召喚し、認められた事で全てぶっ飛んでいたのだ。
『あんな笑顔の所長今まで見たことないぞ!?なんかもう今までの苦労とかストレスとか全部どっかにいっちゃったみたいだ!!』と、ロマニが叫ぶほど。
恐らく彼女の今の自己肯定感は、今まではマイナスに降りきれていた分だけプラスの方にぶっちぎっている事だろう。
……普通のサーヴァントは、自分が召喚に応じた事を勲章のような扱いや言い方をされていたら良い思いはしないし、何なら大事な場面で裏切る可能性だってあり、ロマニもそれを心配していたがルセルというサーヴァントは違った。
(マリーたん鬼かわええ!!このままどんどん甘やかしていこうぜぇ!!)
精神が一般人と変わらない彼は、英雄だからといって変なプライドを持たないので別にモノだと扱われようが気にしないし、むしろ可愛いおにゃのこの満面の笑みが見れるなら椅子にだってビート板にだって何だってなってやるとまで思っている。
ちなみにレ/フはぶち殺そう……とは考えていたものの裏切ったとは言えマリーは彼に依存していた事を考慮して彼女が気づかない所でぶち殺そうと考えた。
『あと少し進んだら少し休もうか!!そろそろ疲れて来た頃合いだろう?』
「まだまだ私は全然いけるよ!!」
「私もです!!」
「まだまだいけるわ!!」
「……グスッ……沖田さんも……カッコいいところ見せたいです……グスッ……」
「……まぁ、一旦休んだ方が良いぜ?マスターさんよ……何が起こるかわからねぇんだ、準備はしておくに越したことはねぇ」
『そうだね、ルセルさんは……』
「ypaaaaaaaaa!!!!!!!」
『……元気そうだね』
何故か赤色が頭の中に過るような声をあげながら敵性エネミーを粉砕していくルセルを見ながら、ロマニは彼の背中に安心感を感じたのだった。
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「あの……る、ルセル、さん」
マシュ·キリエライトがルセルに震える声で話しかける。端から見れば彼女が彼に恐怖しているように見えるだろう。しかしその目は、憧れと尊敬で彩られている。
「ん?なんだいマシュさん?」
彼が振り返って自分の方を見る。
心臓がドキリ、と高く跳ねた。
今、あの救世主『ルセル』が、名前を覚えて私を見てくれた。この、サーヴァントにもなりきれない中途半端な私に!!
彼女がルセルと出会った事にここまで感動しているのは、デミ·サーヴァント計画にあった。その計画の最たる目的が、救世主『ルセル』の受肉しての召喚であった為だ。
その為、被験者は少しでもルセルの召喚の確率を上げる為にルセル関連の書物や歴史を徹底的に脳に叩き込まれる事を強制された。その中で、彼女はルセルにメチャクチャ重いイメージを持ってしまった。
因みに彼本人は殆ど書物を残さなかった為、あるのは周囲からの視点の書物だけなので、彼女のルセルの知識は色々間違っている所もある。……まぁそんな事は今は関係無いのだが。
「あの……あのっ!!ど、どうしたら、そ、その……ルセルさんみたいに強く、なれるのでしょう……か」
「……へ?」
「わ、私、その……サーヴァントとして漸く宝具が使えるようになったばっかりで、色んな人に助けられてばっかりで……ルセルさんみたいに一人でも強大な相手を倒せるような力が欲しいんです……!!一人でも先輩を守れるような力が……」
言いたい事を言い終えて、改めてルセルの顔を見る。その顔は、予想に反して凄く哀しそうな目をしていた。自分が何か失礼な事を言ってしまっただろうか。
「あ、あのっ!!何か失礼な事を言ってしまったでしょうか……」
「あー、いや、違うんだ……ちょっと、ね……昔を思い出しちゃって……」
「……?それはどういうーー」
「うん、なんでもないよ。そうだね、後で君に特訓をつけてあげよう。僕から学べる事はとても少ないと思うけど……」
「ホントですか!?ありがとうございます!!よろしくお願いします!!」
「……うん。こちらこそよろしく」
ルセルさんに特訓をつけてもらえるーー!!!
今まで書物や資料を見てきた中でもルセルが特訓をつけるなんて事は見たことがない。だ、だから……私がルセルさんの『初めて』なんだーー!!!
「うん?なんかすごく誤解を招きかねないような何かがあったようなーー」
ルセルさんが何かを言いかけた瞬間、背中越しに声が聞こえた。
「おーいマシュ~!!」
先輩の声だ。どうやら私を呼んでいるらしい。行かなければ。
「あ、先輩!!すいませんルセルさん、先輩が呼んでいるので……」
「おう、いってら~」
手を振ってくれる彼に手を振り返しながら、私はマスターの下へ向かった。
「………一番大切なモノを守れない『救世主』みたいな奴にはなっちゃ駄目だからな、マシュ。」
その呟きは、自らのマスターの元に行ったマシュには聞こえなかった。
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「ちょっとルセル!!マシュと何話してたの!?」
所長が頬を膨らませながらこちらに歩いて来た。
どうやらかなりご立腹のようだ。
「貴方は私のサーヴァントなんだから常に私と一緒に居なさいよ!!離れちゃうと不安になっちゃうじゃないの!!」
(えぇ……依存早くね?)
なんだかものすごい速さで依存されてるような気がするルセル。いくら所長とは言えこの早さは予想外だった。しかし彼は生きている間もサーヴァントになってからも世界の危機を救ってばっかりだったので女性の扱い方を知らなかった。
「ご、ごめんなマスター。マシュちゃんが強くなりたいって言うから後で特訓をつけてあげようかって話で……」
「ちゃんと私に話を通してから話をしなさい!!」
完全に流れに押されているルセル。なんだか浮気を許さない妻のような感じがする。まだ出会って間もないのに。何とかしなければ。そう考えたルセルは……
「わ、分かった。僕のマスターは貴女一人だからね。貴女の命令に従うよ。お詫びに何かできる事があれば『何でも』言ってくれ……」
やっぱり甘やかす事にした。
突き放すとかマジで無理。可愛い。
「……何でも?今何でもって言ったわね?言ったわよね!?」
『何でも』その言葉にめっちゃ反応する所長。可愛い。
「ああ……本当に何でもだ」
「……え、えっと……なんでも……ど、どうしよう……ま、待ってなさい!!今決めてくるから!!」
すぐに決められない所長。可愛い。
「ああ、待ってるよマスター」
「な、なんでも……どうしようかしら……」
……可愛い。
転生してから、与えられたチートの代償と言わんばかりに多くのモノを失ってきた。
……もう失うのは懲り懲りだ。
絶対に守り抜いて見せるよ、所長。
『救世主』の名にかけて。
ルセル君は『世界しか守れなかった救世主』として書いていたりします。
良いですよねチート貰ったのに一番守りたかった大切な人や家族だけ救えなくて絶望するけどそれでも良心から淡々と世界を救っていって周りから救世主なんて重い呼ばれ方されて途中で耐えられなくなりそうになって前世のネットのネタで無理やり自分を誤魔化している系男子高校生。(中学生でも可)
作者はそういうのも書きたくて小説書き始めました。