所長にチートオリ主サーヴァントを召喚させたかっただけ 作:がばがば小説マン
「ねえねえドクター、聖杯がある洞窟まであとどのくらいなの?」
藤丸立香が通信越しにロマニに尋ねた。今まで休みを挟みつつも結構歩かされてきているお陰で、顔に疲れが見える。
『えっとね……もうすぐだ。残り一キロもないよ。頑張ってくれ、立香ちゃん。』
その疲れを読み取ったのか、ロマニが励ますように距離を報告した。
「……そこに、アーサー王が居るのですね……」
マシュ·キリエライトが持っている盾を固く握りしめる。
アーサー·ペンドラゴン。ブリテン最後の王。聖剣エクスカリバーの所有者。間違いなく最高峰のサーヴァント。
確かに、周りにはルセルさんや沖田さん、青いキャスターさんが居るけど、もしかしたら、自分が足手纏いになって負けてしまうかも知れない……
そうマシュが考えていると、いつの間にか目の前で立香が顔を覗き込んでいた。
「せ、先輩……?どうしたんですか……?」
そうマシュが問いかけると、立香はちょっと考えてから
「いやー、なんだかマシュが不安そうな顔してるからさ!!どうしたのかな、って」
と、笑顔で言った。
いつの間にか不安が顔に出ていた自分を恥じる。
でも、立香は怖くないのだろうか。
相手はあのアーサー·ペンドラゴン。もしかしたら、死んでしまうかも知れないのに。
「あの……先輩は怖くはないんですか……?」
「何が?」
「その……これからアーサー王と戦って……もしかしたら……」
その先の言葉を紡ごうとした矢先、立香に口を指で口を塞がれた。
「マシュ。」
「な、なんれひょうか……」
「確かに、私も怖いよ。もしかしたら死んじゃうかも知れないのに怖くない訳ないじゃん。」
「……」
「……でもね、私はマシュが宝具を初めて展開した姿を見て、凄くカッコいいなって思って、それ以上に安心できたんだ。マシュが居れば大丈夫だって。」
「……!!」
「周りの人達はなんだか凄い人ばかりだけどさ、マシュだって負けてない!!むしろ周りの英雄さん達にマシュは凄いんだって、見せつけるつもりだよ?どやぁっ!!て」
「ふふっ……なんですかそれ……」
「だからね、マシュ……私はマシュの事を自慢に思ってるし、信じているから。」
「先輩……」
「改めて、これからよろしくね!!マシュ!!」
「はい!!先輩!!」
立香の言葉に激励されてマシュの顔から不安の色が消えた。この時の状況を、後にルセルはこう語っている。
『危うく尊死しかけた
これまでで三度目の死を迎える所だった』
と。因みにその時ボーッとして所長の話を無視してしまったので所長にガンド三発喰らったという。
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「……あの……る、ルセル……?」
ガンド三発から十分程経った辺りで、背後からの声に振り返った。
そこには、袖をギュッと握りしめて赤面している愛しの所長がいた。何だこの可愛い生き物。
「どうしたのかな、マスター?」
動揺せず、平静に、クールに聞き返しつつ、可愛い姿を目に焼き付け、さらに周囲の警戒も怠らない。全部やらなくちゃあいけないのが辛い所だな。覚悟はいいか?僕は出来てる。
「さっき、何でも、何でもしてくれるって言ってたじゃない……?」
おっ^^決まったのカナー?ルセル君、なんでもしちゃうヨォ?
「そうだな!!……決まったのか?」
そう言うと、所長が少し目を伏せて俯きながら頷いた。心なしか、さっきより頬が赤く染まっているように見える。天使はここにいた。
「……お姫様抱っこ」
「……うん?」
「さっきみたいにお姫様抱っこして……」
「……!!」
「……ダメ……?」
う、上目遣い!!あ"っ無理ッダメッマジ可愛いッ死ぬッ
「勿論、それがマスターの望みなら」
そう言った瞬間、所長の顔がまるで花開くように笑顔になっていったのを、一生忘れはしないだろう。
「……!!!あ、あと、マスターじゃなくて!!ま、マリーって呼んで欲しいの!!良いでしょ!?」
や、やめろぉ!!!これ以上僕を殺すなぁ!!僕の心がピョンピョン跳ねまくってるぅ!!
「分かった!!じゃ、マリー、今から抱っこするぞ?」
「うん!!」
マリーの身体を持ち上げる。その華奢な身体は、英霊の力が強いのもあるけどそれにしたって軽かった。この華奢な身体で、どれだけのモノを背負ってきたのだろう。どれだけ苦しんできたのだろう。多分元はと言えば全部魔術協会のせいだろうから人理修復が終わったら魔術協会を襲撃してみるのもいいかも知れない。大丈夫、話し合い(物理)するだけだから……
「……えっと……その……重く、ない?」
横からマリーが少し頬を赤くしながら不安そうに聞いてきた。この人はどこまで可愛いんだ。
「重くないぞ。むしろ少し軽い位だ。」
「そ、そう……なら良かった……」
マリーのホッとする顔に笑いかけながら体勢を立て直して歩こうとしたーーー
ーーーその瞬間。
ーーー殺気。
ーーー死の予感。
『それ』は、確実にマリーを狙っていてーーー
「……
ーーーオーロラが『それ』を弾き飛ばす。
「ほう、アイツの狙撃を何も見ずに防ぐか……流石の救世主様というところか?さてさて、お嬢ちゃん達……どうやら信奉者様のお出ましのようだぜ?」
キャスニキが臨戦態勢を取りながら立香やマシュに呼び掛ける。
「信奉者になったつもりは無いのだがね……厄介払い位の仕事はするさ」
やってきたのは、黒い霧に覆われたサーヴァント。手には二本の剣を持っている。
『て、敵性反応確認!!これは……サーヴァントだ!!気をつけて立香ちゃん!!』
そういやここらへんでバトルだったな……っていうか遅い、遅すぎる!!
「ロマニィ!!!遅いわぼけぇ!!こちとらマリー狙撃されかけたんだよバカ!!」
『なっ!?ご、ごめんよ……ルセル君がいるから少し油断していたんだ……』
「何やってるのよ!?」
「ドクター……」
「ロマニさん……?」
マリーと立香とマシュがジト目でロマニの方を見ている。当たり前だよなぁ!?(憤怒)
『うっ……ほ、本当にごめんよ……』
若干、いや結構ロマニに対する信頼が下がったところで、これまで特に目立った場面が無かった沖田さんが目にも留まらぬ速さで黒いサーヴァントの方へ飛び出していった。
「ここばかりは!!絶対!!譲れませんよぉ!!!これまで全然目立てなくて沖田さん泣きかけたんですからぁ!!!マスター!良いですよね!?」
「えっ!?う、うん!!やっちゃって!!沖田さん!!」
ん!?ちょっと待て!!不味いですよ沖田さん!!そいつはーーーー
「くっ!!ひ、卑怯ですよ!!飛び道具だなんて!!剣を使うならちゃんと近くに寄って戦いなさい!!」
「沖田さん!!そいつ、剣使ってるけどアーチャーだぞ!!!セイバーはアーサー王だ!!」
「えっ!?あっ……そういえばそうでしたぁぁぁ!?!?」
あれ?沖田さんってこんなアホだったっけ……
因みにルセル君の名前の由来は根源の細胞です。まぁガン細胞ですけど。
また妄想がまとまったら投稿します。