パソコンに触れる時間がなかなか無いんで…
あ、ネオスの戦闘時の声は一夏と同じという想定です。
ドレンゲランの暴れぶりはとどまるところを知らなかった。残された最後のハートラナーの必死の攻撃はまるで成果を上げず、救援に現れた重武装の赤い戦闘機の集中砲火も寄せ付けない。
気がつけば、そこにいたのは弾、シャルロット、ラウラ、それに2人の子供の計5人だけだった。そして彼らが茫然としている間に、ドレンゲランの巨体が接近していた。戦闘機部隊は撃っていなかった。怪獣の足元に民間人がいることに気付いたのだろうが、この状況ではどうしようもない。
「…!おい、逃げなきゃ…」
「でも、でも一夏が!」
弾が子供をかついでその場を離れようとするが、シャルロットは動こうとしなかった。
「死んだかどうかまだわからないよ!助けなきゃ…」
「シャルロット…いいかげん認めろ、一夏はもう…!」
ラウラが絞り出すように言い、シャルロットの腕を引いた。
しかし、その間にドレンゲランは目前まで迫っていた。この巨獣が5人の存在に気付いているのか分からないが、どちらにせよこのままでは彼らの命は無い。
すると、突然シャルロットが叫んだ。
「…ラウラ、僕が引きつけてる間にISで3人を逃がして!」
「そんな…無茶だ!止めろ!」
ラウラが制止しようとした時には、シャルロットは既にISを展開してドレンゲランの目の前へと飛翔していた。
「皆から離れろ!」
手にした2丁のアサルトライフルでドレンゲランの顔に弾丸を叩き込む。効果は勿論なかったが、怪獣はシャルロットの方を向き、あぎとを開いた。
ドレンゲランの口の中が一瞬赤く光り、超高温の炎が迸る。シャルロットはすんでの所でかわしたが、高熱の余波だけでもリヴァイヴを吹き飛ばし、制御不能に陥らせるには十分だった。
「シャルロットぉ!」
弾らを抱えてその場から離れていたラウラが、その光景を目にして思わず叫ぶ。助けに行きたいのは山々だったが、3人を巻き込んでしまう訳にはいかないし、どのみち今からでは到底間に合う距離ではない。
シャルロットはビルの谷間に墜落していた。直撃を免れたおかげで命は助かったが、リヴァイヴは
シャルロットの脳裏を、死の文字がよぎった。
「ひっ…」
脚から力が抜け、シャルロットは地面にへたりこんだ。死への恐怖と、他の4人は無事であるようにという必死の願いが頭の中でごちゃ混ぜになった。
死を覚悟したシャルロットが目を閉じたのと、瓦礫の山を吹き飛ばして一つの赤い光が迸ったのは全く同じ時だった。一つの輝く球体となった光はドレンゲランの胴を直撃し、怪獣の巨体は後ろにあったビルをなぎ倒して横転した。
「…え…?」
おそるおそる眼を開けると、眼前に光が降り立った。光は少しずつ形を変えていき…輝きが収まった時、一つの姿を形作っていた。
人間とほぼ同じシルエットを持つ、全高60m近くの巨体。銀色の体の至る所に走る赤い文様。顔の中央から背中にかけてトサカの様な器官を備え、額では緑の発光器官が輝いている。
ザム星人や怪獣と同じくらいの大きさと威容を誇りながらも、どこか心強さを感じさせる存在感を持った巨人。その名を、ウルトラマンネオスという。
後ろの地面にいるシャルロットに向け、ネオスが肩越しに頷いた。シャルロットはそれを見ると、よろよろと立ちあがってその場を離れていった。
彼女が十分離れたのを確認すると、ネオスは前を見据えた。その視線の先では、起き上ったドレンゲランが怒りの咆哮を発していた。それを見たネオスは怪獣に向けて構えをとった。腰を落とし、左の拳を握って肩の高さで引きつつ右手で作った手刀を前方へ突き出した、独特の構えである。
「…シャアッ!」
独特の掛け声とともに、ネオスがドレンゲランに向けて駆けていく。まっすぐ放たれた火炎をジャンプしてかわし、空中で体を捻るとその頭部に強烈な飛び蹴りを見舞った。
長い首が大きくのけぞった隙にネオスは着地し、岩石で覆われた胴に連撃を見舞っていく。優勢に攻め続けるネオスと、次々と打ちこまれる攻撃に苦悶の叫びをあげるドレンゲランを、人々はモニター越しに見守っていた。
巨人は勝てるのか?この岩の化け物が倒されたらまたもっと強い奴が現れるのではないだろうか?それ以前にこの巨人は味方なのだろうか?そんな思いが人々の表情にありありとあらわれていた。
そんな中、ドレンゲランがふいに振るった尻尾がネオスの首に巻き付いた。
「アァッ…ウァッ!」
もがくネオスの体を、ドレンゲランは軽々と持ち上げた。ネオスはこのまま絞殺されるのだろうか?
いや、そうではない。ネオスの右手に突如として凄まじいエネルギーが迸り、またたく間に光の刃を形成する。そして、ネオスが振るった
それを見たネオスは突如右拳を握ると左胸に当て、横に伸ばす。そして同じく拳を握った左腕を肩の前で地面と垂直に構えると右腕と十字型に交差させ、両腕をX字型に組み替えた。
「ヘアァッ!」
すると、交点から上のVの字の部分から凄まじいエネルギーの奔流が迸り出た。オレンジ色に輝く光は非常に美しかったが、それは触れるものすべてを粉々に吹き飛ばす事の出来る巨大なエネルギーそのものだ。そのV字の光―マグニウム光線は、ドレンゲランの体表に刻まれた特別巨大な亀裂を正確にとらえ、頑丈な身体の内部に破壊のエネルギーを浸透させていく。光線が途絶えた時、ドレンゲランは唸りながら悶え…内部から爆裂して木破微塵に吹き飛んだ。
ネオスは組んでいた両手を下ろし、怪獣の骸―そう呼ぶには小さ過ぎたが―を見つめた。そして空を仰ぎ見ると、地面を蹴り、両手を前方につき出した姿勢で空の彼方に消えていった。
人々は唖然としていた。突如現れた怪獣を、これまた突如現れた謎の巨人が倒したのだ。
やがて、彼らは自らが救われた事をだんだんと認識していった。
「「「…うおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
群衆はモニターの前で歓声を上げていた。
シャルロットらも、ようやく人々の逃げた先にたどりつき、そして災厄が終わった事を認識した。子供達も親の姿を見つけてそこへ走っていき、皆が解き放たれていた
「よかった…」
「うん、僕達助かったんだよ…でも…一夏は…」
その言葉を聞き、3人の表情が一様に沈む。
そのときだった。
「…おーい!」
後方から聞こえる慣れ親しんだ声。3人が振り向くと、そこにいたのは織斑一夏だった。彼らに向かって声を発し、手を振りながら駆けてくる。
「なっ…」
「一夏…!?」
「き、貴様、どうやって助かったのだ!?」
3人の下に走り寄った一夏は、晴れやかな表情で言った。
「せっかく怪獣いなくなったのに、なに浮かない顔してるんだ?」
「いっ、いいから私の質問に答えろ!どうやって助かったのだ!?」
困惑したラウラの問いに、一夏はさらっと答えた。
「あの巨人が助けてくれたんだよ。あいつは…味方だ。」
そう言いながら、一夏は懐に収めたエストレーラーの感覚を確かに感じていた。