Spider-Archive   作:ネギャー

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前回、タイトルが七話になっていましたが九話でした。


第十話 みんなのヒーロー、スパイダーマン!

 

 

 ブルズアイ達と出会った後、僕は彼らについて軽く調べた。

 彼が所属しているのは『便利屋68』という非公認の部活らしく、元々は四人のゲヘナ生で組織されたという。

 良い噂を聞くことが少ないゲヘナの生徒、その中でも問題児とされている子が集まっているのだが、これでも『温泉開発部』や『美食研究会』に比べればマシな方らしい…。

 

 今日はアビドスで定例会議があるらしく、セリカの顔を見るために僕も行くことになった。

 時計を見ればちょうどいい時間。僕はいつもの鞄にスパイダーマンのスーツを入れた。

 いつブルズアイ達が現れるか分からないからね…念には念をってやつ。

 

 

「オラオラァ!お礼参りに来てやったぞ連邦生徒会!!」

 

 僕がオフィスを出ようとした時、外から怒気の混ざった叫び声が聞こえてきた。

 窓から外を覗けば、以前シャーレ奪還の際にユウカ達と戦った不良グループが数十人屯していた。

 これでは外に出られない…。

 

『先生!遂にスパイダーマンの出番ですか!?』

 

「うーん…ホントならヴァルキューレの子達を待った方がいいんだろうけど、今日は予定があるし…。」

 

 少し悩んだ後ヴァルキューレに通報して、誰も来ないであろう男性用トイレで赤と青のノーマルスーツを着た。

 全身を覆うスーツの感触が懐かしい…ちゃんとマスクを着けてっと。

 

「アロナ、ヴァルキューレの子達が来そうだったら教えて。」

 

『分かりました!気を付けてくださいね、スパイダーマン!』

 

 耳に着けた無線機でアロナと会話し、ちゃんと動作することを確認する。僕が密かに作っていた物だ。

 

「よし…それじゃあ行こう!」

 

 トイレの窓を開き、僕はそこから飛び出した!

 

「Foooooooooooooo!!!!!!」

 

「な、なんだ!?」

 

 全身に風を受けながら、僕はビルにウェブをくっ付けてスイングする。そのまま上を見上げて呆気に取られていた不良のうち数人の銃をウェブで絡め取り、遠くへ投げ飛ばす。

 

「撃て!撃ち落とせ!!」

 

 幸い戦車とかは無いらしい、この間の暴動で全部壊れちゃったのかな?

 スパイダーセンスのおかげで一発も当たることなく地面に着地し、たじろぐ不良達に軽く手を振った。

 

「やぁ、みんな。僕はスパイダーマン、スパイディって呼んでも…。」

 

「う、撃て!!」

 

 僕が話しかけても、構わず彼女たちは銃を撃ち続ける。

 

「ちょっとちょっと、自己紹介くらいさせてよ!それとも僕とは仲良くしたくない?あぁ残念!」

 

 迫る数多の銃弾を避けつつ、隙を見て不良達の銃を奪っていく。

 銃を奪われた不良たちは為す術なく逃げ出そうとするけど、僕はそれを見逃さずにウェブで地面に固定した。

 

「ちっ…化け物かコイツ!」

 

「そのセリフ聞くの二十回目…ほら、ちゃんと見てよ。人の形してるでしょ?」

 

 僕を化け物って呼んだこの子前までスイングし、ジリジリと歩み寄る。

 

「く、来るな!!」

 

「僕ってどこでも嫌われてるよね…スーツの色変えた方がいいかな?ピンク色とか。」

 

 結局、その子もマトモに話を聞かずウェブで壁に固定した。

 残った不良の数は数人、だがこちらを撃とうとせず震えたままだった。

 

「別に食べようとしてるわけじゃないんだよ?ただみんなにはちょっとお仕置が必要かなって。」

 

「…た、助けて……。」

 

「……分かったってば…見逃すよ、今日だけだからね?また次やったら今度こそ捕まえ…。」

 

「さ…『災厄の狐』が…私たちを睨んで……。」

 

 違う、彼女達の震えは僕に対する恐怖心じゃない。

 なんで今頃気付いたんだ?彼女達が怖がるほどの存在感が、僕の『背後』にあったというのに…。

 

「ふふふ…お助け致しますわ。」

 

「…!待ってワカ……。」

 

 僕が止める頃には、既に残っていた不良達が地面に這いつくばっていた。

 そう、僕の背後にいた子…七囚人の一人であるワカモの仕業だ。

 

「これでひとつ貸し…ですわね、お返し期待しておりますよ…あなた様。」

 

「あ〜…ピザくらいなら奢るけど……。」

 

 いつの間にかワカモは僕の前から姿を消し、ウェブに巻かれたり地面に倒れる不良達の中、僕は一人で突っ立っていた。

 

 彼女は僕の正体を知っている、シャーレ奪還の時に偶然彼女と出会ってしまったんだ…僕がスパイダーマンのマスクを外した瞬間にね。

 でも彼女は僕の正体を周囲に明かさない…と思う、何となくだけど。

 

 程なくしてヴァルキューレの生徒たちが到着し、僕はその子たちにも挨拶しようと思ったんだけど…。

 

「…手を上げろ。」

 

「だよね、知ってた。一応、ここにいる不良たちは僕が捕まえたって言っとくよ。」

 

 いっつもこう、警察が来ると手を上げろーって。まぁ慣れたけど。

 金髪で…狐?猫?の耳が生えた子に銃を向けられ、僕は大人しく手を上げた。

 

「……そうらしいな、だが貴様の正体が分からない限りこのまま賞賛する訳にはいかない…私たちと来てもらおうか。」

 

「へ〜、じゃあ自己紹介!僕はスパイダーマンね、君の名前は?」

 

「…カンナだ、それじゃあ来てもらうぞスパイダーマン。」

 

「OKカンナ、教えてくれてありがとう!じゃあまた会おうね!」

 

 手を上げたままビルにウェブを飛ばし、驚くカンナの顔を見る。そして撃たれる前にスイングをして現場から離れた。

 

 

 このまま着替えて戻っても、声でカンナ達にバレそうだしそのまま荷物を背負ってアビドスまでスイングして行った。あぁ、ちゃんと鞄とシッテムの箱は回収したよ?

 ボイスチェンジャーでも作ろっかな。





今日はちょっと短めです。
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