不定期投稿になります!!申し訳ございません!!(激遅宣言)
世の中には想定外な事がよく起こる。今僕の目の前で起こっていることもそのひとつなのだろう。
「全員床に伏せて。」
「み、みなさん銃を下ろして大人しくしててください〜…!」
銃を片手に銀行へ押し入る覆面少女達。
抵抗しようとする人たちを脅すように銃を乱射する。
そんな阿鼻叫喚な状況を眺め、ハッとした時にはもう遅い。
「
…どうしてこんなことに!?
遡ること三十分。
僕達は目的のものを探すために、ブラックマーケット内を散策していた。ヒフミの案内もあって、特に苦労することなく歩き回れたのだが…。
「…見つからないね〜。」
いくら探し回っても、僕たちが探しているものはひとつも見当たらなかった。全く、悪党は隠れるのが上手だね。
「あら、あんな所にたい焼き屋さんが!」
何かをみつけ、指さしたノノミにつられて視線を動かす。
『たいやき』と書かれた屋台がそこに在り、甘い良い匂いが漂っていた。
「ホントだー、こんなところに屋台があるなんてね。」
「…タイヤキ?」
たいやき、僕はそれを知らなかった。鯛を焼いたものか、それにしては甘い匂いだ。
恐らく、日本の食べ物なのだろう。お好み焼きやたこ焼きなら食べたことあるんだけど…。
「先生…もしかしてたい焼き知らないの?」
たいやきという言葉に首を傾げた僕に驚き、恐る恐る聞いてくるセリカ。
「う、うん…スイーツか何かかな?」
「嘘でしょ…その歳でたい焼き知らない人とか居るんだ…。」
少し引き気味なセリカ、どうやらこの世界の人達はたいやきとやらを日常的に食べているらしい。
ほかの面々も驚いているようで、ノノミはひとつ手を叩いて提案した。
「でしたら、今食べてみませんか?」
「きっと美味しいですよ☆私がご馳走しますから、みんなで食べましょう?」
「いや悪いよ…僕が出すから、ちょっと休憩しようか。」
どうやらノノミがみんなの分をご馳走してくれるらしい、けれど大人の僕が奢られるのは少し情けない。
疲れてきた事だし、一旦休憩しようか。
「でしたら、クリームとあんこを二人で買いましょうか。」
「ほら行きましょう、先生!」
「あ、あぁ…みんなちょっと待っててね。」
ノノミに手を引かれ、共に屋台へ向かう。たいやきには2種類あるようだ。
たい焼き屋の店主に注文して、紙袋に入ったたいやきを二つ貰う。
支払う時に気付いたけど、ノノミはクレジットカードを持っていた。この年齢で持てるものなんだな…と少し感心したね。
「お待たせ、たいやきだよ。」
袋いっぱいに詰められたたいやきを見て、みんなの目が輝いた。
一人一つずつ手に取り、口いっぱいに頬張る様子を眺め、僕も1口食べた。
「…!これ美味しいね!」
「でしょ?その歳になるまで知らなかったなんて…もしかしたら他に食べてないものとかあるんじゃない?良かったら今度一緒に……。」
『み、みなさん!武装した集団がそちらに接近しています!一旦身を隠してくださいっ!!』
セリカの言葉を遮り、ホログラムとして現れたアヤネが警告する。
僕らはアヤネの指示通り、近くの廃ビルの屋上に隠れた。
近くの大通りを進む武装集団、それを見たヒフミは大きく口を開いた。
「あっ…あれはマーケットガードです!」
「…マーケットガード?」
聞き慣れない言葉だ、ヒフミは頷いて続ける。
「はい、先程話した治安機関の中でも最上位の組織です…!」
なるほど、よくよく見れば高そうな装備に身を包んでいる。僕のスパイダーマンキャンディと交換してくれないかな?
「あれは…現金輸送車?を護送していますね。」
ホシノ以外の全員が屋上から顔を出して大通りを見下ろす。
こんなところで現金輸送車を走らせるなんて、襲ってくださいと言ってるようなものじゃ…って、これは悪役のセリフか。
「一体どこに…って、あそこは…。」
現金輸送車を目で追うと、近くにある大きな建物の前で停車した。その建物を見たヒフミはまたもや驚いた様子だ。
「何か知っているの?」
「あそこはブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。」
「…聞いた話によると、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうで、『闇銀行』と呼ばれています。」
「や、闇銀行…ブラックマーケットらしい物騒なところだね。」
犯罪の15%、か。キヴォトスの治安を考えれば、中々の量が流れているはず…ちょっと気になってきたな。
「横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる…そんな悪循環が続いているのです。」
「銀行もグルで犯罪に関わっているのか…やっぱりロクな所じゃないね。」
僕の経験上、こういうものには背後に大きな組織がついているものだ。あらかた、その組織の資金援助に役立っているんだろう…。
それにしても、ヒフミのような一般生徒が知っているくらい此処の危険度は知れ渡っている筈なのに…連邦生徒会やヴァルキューレが手を出せない理由があるのかな?
ブラックマーケットは広いけど、別に一つの組織ってわけじゃない。個々が独立しているはずだから、隅から叩いていけば…って、それが出来てたら苦労してないか。
「…!ちょっとパーカー先生、あれって…。」
「どうしたのセリカ…って、まさかあの子たち……。」
闇銀行から出てきたのは、頭にヘルメットを被った女子高生。ヘルメット団の一員だ。まさか再就職先を見つけていたとは…。
現金輸送車から降りてきたロボの男と何やら会話を交わし、男が書類にサインしたあと、輸送車は銀行の中へ消えていった。
「見てください……あの人……。」
ノノミが動揺した声で呟き、アビドスの面々が男を凝視する。
すると、全員ハッとした表情で目を見開いた。
「な、なんで!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員……?」
セリカの声に耳を傾け、「よっこらしょ」と立ち上がったホシノは僕の隣に来て男を見ると「あれ、ホントだ。」と呟いた。
「…あの車、カイザーローンのものだ。」
『今日の午前中に、利息を支払った時のあの車と同じようですが…。』
『なぜそれがブラックマーケットに…!?』
「か、カイザーローンですか!?」
またもやヒフミが驚きの声を上げる。
「ヒフミちゃん、カイザーローンのこと知ってるの?」
「えぇ…カイザーローンと言えば…かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です…。」
カイザーコーポレーション、街中でよく見るあの広告の企業…かな?色んな事業に手を出しているみたいだけど、まさか銀行も運営してたなんて…オズコープでもここまでしてなかった気がするよ。
「有名…?何かマズイところなの?」
困惑するシロコに、ヒフミは付け加えて話す。
「あ、いえ…カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいません…しかし合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振舞っている多角化企業で…。」
大企業には裏がある…まさか生物兵器の実験だとかスーパーソルジャー計画とか……やってないよね?
ああ神様、どうか生徒たちに危害が加わりませんように…。
「カイザーは私たちトリニティの区域にもかなり進出しているのですが、生徒たちへの悪影響を考慮し、『ティーパーティー』でも目を光らせています。」
「『ティーパーティー』…って、トリニティの生徒会だっけ。」
トリニティにはまだ行ったことがない、けど生徒会の話は聞く。
ゲヘナやミレニアムなんかのトップ組織の話もよく耳にする…具体的なメンバーとかはよく知らないけど。
「ところで皆さんの借金とはもしかして…アビドスはカイザーローンから融資を…?」
「借りたのは私たちじゃないんですけどね…。」
ノノミが目を伏せ、セリカやシロコも重たげな表情を浮かべる。
「話すと長くなるんだよねー。アヤネちゃん、さっき入ってった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」
「少々お待ちください……」
一旦ホログラムが消え、アヤネの返事を待つ。
『……ダメですね、すべてのデータをオフラインで管理しているようです。全然ヒットしません。』
ふむ、随分と徹底しているね…まぁ、ここに来るってことはやましいことをするんだろうし当然か。
「そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり…。」
「私たちが支払った現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた…?」
ギリッと奥歯を噛み締めたセリカが口を開く。
「じゃあ何?私たちはブラックマーケットに、犯罪資金を提供してたってこと!?」
全員が黙り、まだ確定していないとはいえ、その可能性を感じて何も言えなかった。
『ま、まだそうハッキリとは……証拠も足りませんし。
あの輸送車の動線を把握するまでは……。』
「…あ!さっきサインしていた集金確認の書類……。それを見れば証拠になりませんか?」
「おお、そりゃナイスアイデアだねー、ヒフミちゃん。」
「さすが。」
ヒフミの提案に、一同は頷いた。あの書類が手に入れば証拠に足りうる。
「あはは…でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし…無理ですね。」
「ブラックマーケットでも最も強固なセキュリティを誇る銀行の中となると…。それにあれだけの数のマーケットガードが目を光らせていますし…。」
あはは、と苦笑いしながら頭に手を添えるヒフミ。
そんな時はスパイダーマンにお任せ!って言いたいところだけど、来れるとしたら夜なんだよね…その時には書類はもう銀行の奥の頑丈な金庫の中にあったりして…。ショッカーみたいな銀行強盗にはなりたくないなぁ。
うーん、と頭を悩ませる面々。
しかし、シロコは違った。
「うん。」
「他に方法はないよ。」
…え?何か案があるの?
「…ホシノ先輩、ここは例の方法しか。」
キリッとした顔でホシノを見るシロコ、ホシノは仕方ないかぁと言った顔で頷き。
「なるほど、あれかー。あれなのかぁー。」
「えぇっ?」
ヒフミと僕はピンきていないようだ…どうやらアビドスのみんなが何か決めていたらしい。
「…あ!そうですね、あの方法なら!」
「何?どういうこと?…まさか、あれ?まさか、私が思ってるあの方法じゃないよね?」
「ちょ…ちょっと、どういうこと?あの方法って…何?」
「私も全然話が見えないんですけど……。」
「…残された方法はたった一つ__。」
シロコはカバンから…「2」と書かれた青の目出し帽を取り出し…被った。
「銀行を襲う。」
「「…え?」」
ヒフミと僕の声が重なった。
次回!銀行強盗!!
番外編も執筆中なのでお楽しみに!