Spider-Archive   作:ネギャー

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 今回は話の展開少なめです。


第十九話 参上!覆面水着団!!

 

 

 建物の隅にある通気口から這い出て、天井を蜘蛛のように這い回る。

 これぞ僕のアイデンティティ〜…。

 

「便利屋達も気になるけど、今は書類を探さなきゃ…。」

 

 音を立てず、それでいてスピーディーに天井を這う紙袋男。傍から見ればホラー映画のワンシーンのようだ。お願いどうかこっちを見ないで…!

 

「全く…これだけ人が少ないと返って暇だな。どうせなら強盗の一つや二つ起これば退屈しないってのに…。」

 

 真下を歩く重装備のマーケットガードが、欠伸をしながら伸びをする…スパイダーセンスが反応した!

 

 ふとした拍子に真上を見上げようとしたマーケットガードの視線を誘導すべく、近くにあったゴミ箱にウェブを飛ばして音を立てた。この手法は潜入する時によく使う、必須テクニックと言ってもいいね。

 

「うわっ…なんだぁ?…チッ、蜘蛛の巣まみれじゃねぇか汚ぇなぁ。ちゃんと掃除しろってんだ。」

 

 どうやらマーケットガードはゴミ箱に注意を引いてくれたようだ。悪いけど、そのゴミ箱はちゃんと戻しておいてね。

 そうして時々ウェブを飛ばしては視線を逸らし、隅っこから窓口の真上まで辿り着く。結構高さのある天井のお陰で、真下にいる便利屋のアルとブルズアイには気付かれていないようだった。会話を聴けば、どうやら融資を受けに来たらしい…学生なのに大変だね。デイリービューグルで働いていた頃を思い出すよ。

 

 さて、お目当ての書類を探しに…。

 

 …スパイダーセンスが反応した!?

 

 ドガァァアアアン!!

 

「な…に?」

 

「オイなんだ!何の爆発音だ!電気も消えて…パソコンの電源も落ちたじゃないか!!」

 

 騒ぐマーケットガードや銀行員の言う通り、爆発音の後に電気が消え、辺りは真っ暗。ブルズアイたちの仕業かとそちらに目を向けてみたけど、どうやら彼らも驚いている。ということは……。

 

 

「全員床に伏せて。」

 

「み、みなさん銃を下ろして大人しくしててください〜…!」

 

 派手な銃撃音と共に聞き慣れた声が耳に入る。消えていた明かりが点けば、そこには硝煙とともに例の覆面を着けたアビドスの皆が…。

 

What the fuc…(なんてこっ…)!?』

 

 ババババババッ!

 

 僕、そして真下に居たブルズアイは同じタイミングで頭を抱え、叫ぶ。言葉の最後の方は銃声にかき消されたけど…今のでブルズアイに存在がバレてしまった。奴はこちらを見上げて、少し唖然とした顔をするが……直後にニヤリと悪役特有の気味悪い笑顔を浮かべた。あぁ最悪。

 

「よぉ、お前まさか……。」

 

「あー、どうも初めまして!そしてさようなら!」

 

 お得意のジョークを言う間もなく、僕はその場から飛び降りてみんなの元へ向かった。色々と聞かなきゃいけないことがあるしね。

 人前でウェブは使えないから、走って彼女達の目の前へ行く。途中で咳払いをして、中身がピーター・パーカーだと分からないように声をちょっと低く…そして口調もちょっと変えて…。

 

「ほらほら!大人しくしないと痛い目に……。」

 

「ヴ、ヴゥン…左から失礼!」

 

「えっ、うわっ、なになに!?」

 

「うわぁ、ストップストップ!」

 

 セリカの横からヌッと現れ、軽く手を振るが一瞬で銃口を向けられ何発が撃たれてしまった。スパイダーセンスのおかげで避けられはしたけど、僕の真後ろに居たヘルメットを被った少女に当たってしまった。ヘルメット少女は倒れちゃったけど…まぁキヴォトスの子なら大丈夫だよね!

 

「あ、その人が先生の『知り合い』だよ〜。ね。」

 

「そ、そうだ。僕がピーター・パーカーの知り合い…。」

 

 …しまった、なんて名乗るのか考えていなかった。迫り来るマーケットガードやらヘルメット少女やらを撃退する彼女達の視線がコチラに向いている。

 ええっと、今の僕のスタイルは……紙袋以外普通…そうだ、紙袋!

 

「僕は…ボンバスティックバッグマンだ!」

 

 ドンッ!と自分の胸を叩きながら名前を宣言。しかし皆の反応はイマイチだった。「なんなんだコイツ」と言いたげな視線は僕の紙袋を突き刺す。

 多分、ファンタスティック・フォーの衣装があれば少しはマシに見えたんだろうなぁ。

 

「…そう、長いからバッグマンで良い?」

 

「あぁ、うん…良いよ。」

 

 少し冷めたような目でこちらを見るホシノ、あまりお気に召さなかったようだ。どうせなら紙袋に④とでも書いておけば良かったかな。

 

「……アロナ、A.U.T.Oを起動して。皆のサポートをおねがい。」

 

『かしこまりました!自動戦闘指揮機能、A.U.T.O起動します!』

 

 耳につけていた無線機からアロナに連絡、ようやく出番が来たねA.U.T.Oくん!

 じゃあもう一度説明しよう!A.U.T.Oとは、ミレニアムのヴェリタスが作ってくれた合成音声自動戦闘指揮AIである!それっぽい言葉を並べてみたけど、まぁ劣化版ジャービスみたいな感じかな。アイアンマンになるつもりは無いし、とりあえず今はこれで十分…なはず。

 

『みんな、今日も一緒に頑張ろう!』

 

「わっ、先生?もう安全な場所に避難されましたか?」

 

『目の前に敵が来ているよ!シロコ、ドローンを使って!』

 

「う、うん…分かった。」

 

「電波が悪いのでしょうか…まぁ、指揮は届いていますしこのまま戦いましょうか。」

 

 A.U.T.Oの音声は僕に聴こえてるけど…うぅん、やっぱりちょっと違和感が残るな。でも音声自体にAI感は無いし、さすがヴェリタスの技術力だね。とりあえず指揮は出来ているようだし、次は…。

 

「…ホシノ。」

 

「分かってるよー、なんで指示もないのに来たのか、でしょ?」

 

 マーケットガードを蹴り飛ばしたり、ヘルメット少女を撃ち倒したりしながら皆には聴こえないようにホシノに話しかける。僕一人で書類を取ってくるまで、待機してもらうつもりだったんだけど…。

 

「おじさん、せんせ…バッグマン1人じゃ心配でさー。もし何かあったら色々とマズイじゃん?それに、皆も行きたがってからね。」

「みんなには、先生は安全な場所に居るからってちゃんと伝えてあるからさ。」

 

「……もしかして、僕って信用ない?」

 

「…そんなことないよー。」

 

 真後ろにいたマーケットガードを蹴り飛ばして、ホシノを見つめる。彼女もこちらを見返すが、なんとも言えない空気が流れた。

 僕に何かあったら。考えたこともなかったけど、確かにアビドスで僕が仕事を続けられないような何かが起こったとしたら、ほんの少しだとしても責任は彼女達に向けられるかもしれない。

 

「大いなる力には大いなる責任が伴う、か。」

 

「良い言葉だね、それじゃあバッグマンには大いなる責任を果たしてもらおうかなー。」

 

 シャーレの先生、それはスパイダーマンの力よりもっと大きな力だ。それと同じように大きな責任も背負わなければならない、あんまり軽い気持ちじゃ先生は務まらなさそうだ。

 

「OK、とりあえず…僕は書類を取ってくるよ。」

 

「わかった、指揮はこの無線機に流れてるヤツに従って良いかな。ちょっと元気が良すぎるけど。」

 

「あー…それは自動指揮用のAIで、まだ調整中なんだよね…でも少しはマシだと思うから、とりあえずその音声に従っといて!」

「…ゴホン、皆!僕は今から書類を取ってくる!それまでここを頼んだ!」

 

 キャップの声真似をしながら、皆に指示を送って走り出す。アベンジャーズのリーダーになったみたいで、少し楽しいような…。

 

 

 バッグマンが走り去った後、相変わらず強盗団のメンバーは指示に従って敵を撃ち倒していた。

 

「ホシノ先輩、あの…ボンバスティックバッグマン?と仲が良さそうだっけど…。」

 

「まぁね〜、先生との共通の知人ってヤツかな?でも正体とかは知らないから、気になるなら直接聞いてみたらー。」

 

 銃撃戦の中、そんな会話がセリカとホシノの間に流れ、セリカが何かを考える暇もなく戦場は一層激化していった。

 

 

「さぁてと…お目当てのものは……。」

 

 天井を這って銀行の受付から奥へと侵入し、並べられたデスクの引き出しを開けては書類を探る。こんな時、一瞬で情報を整理する機能がマスクに着いていたらな…と考える。新しいスーツにそういう機能つけてみようかな。

 

「アビドス高等学校…これか!」

 

 その瞬間、スパイダーセンスが強く反応し、持っていた書類を折り畳んでポケットに隠しながら背後に一回転して『飛んできた』万年筆を避けた。飛び道具と言えば…。

 

「なぁ、なんでそんなトンチキな格好してんだ?」

 

「…なんのことかな、僕は正義のヒーロー。ボンバスティックバッグマンだけど?」

 

「正義のヒーローが銀行強盗なんかしてンじゃねぇよ。」

 

 スキンヘッドに額の『的』の刺青、いつもの変なコスチュームは着ていないけど、間違いなくヤツだ。百発百中の殺し屋、ブルズアイ。今日は珍しくマトモなこと言ってるね。

 

 





 何度目かのピーターVSブルズアイ!
 A.U.T.Oは、戦闘画面のauto機能を想像していただければなぁと。
 
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