Spider-Archive   作:ネギャー

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ほぼ1年ぶりの投稿です。
皆様お元気ですか、私はマーベルライバルズに明け暮れています。ちまちま投稿していくので暖かい目で見守っていただけると幸いです。


第二十四話 新装備

 

 

 扉を吹き飛ばすほどの衝撃、そして目の前に広がる爆炎。後ろの壁に叩き付けられ、痛みは少ないが耳鳴りが止まない。しかし、あれほどの炎に巻き込まれたはずなのに、火傷は一切負わなかった。

 

『大丈夫ですか先生!怪我はありませんか!?』

 

「ありがとうアロナ……ふぅ、スパイダーマンの時もシッテムの箱持ち歩こうかな。」

 

 白いシャツに付いた汚れを手で払う。後でクリーニングに出さないと。バッグにしまっていたシッテムの箱を取り出して、爆発から守ってくれたアロナにお礼を伝える。傷一つない僕の姿を確認すると、アロナは胸を張って『えっへん!』と自慢げに鼻を鳴らした。

 

「……あ、みんな大丈夫!?凄い爆発だったけど…。」

 

 部室内のスプリンクラーと消化ロボが作動し直ぐに火は消えたけど、ウタハたちの姿が見えない。部室に入って辺りを見渡せば、隅っこで炭まみれになりながら倒れている三人組を見つけた。

 

「や、やあ先生……ショックウェブの電圧を調整していたら少々やりすぎてしまって…。」

 

「調子に乗って『行けるところまで行こう!』って上げ続けたら、電気を供給してたバッテリーが爆発して……。」

 

「それに連鎖して他に置いてあった発明品も次々に爆散してしまいました……。」

 

 発想や行動力は素晴らしいけど、それで怪我しちゃ元も子もない。まぁ、発明は100回の失敗から1回の成功が生まれるものだけどね。

 

「怪我は無さそうだね……良かった。」

 

 いやはや、彼女達の耐久力にはいつも驚かされる。超人並みの力を持つ子もいるし……もしかしてみんなミュータントだったり?

 とりあえず、アームの付いたロボットと一緒に黒焦げになった発明品を撤去して部室の外へと持ち運ぶ。スプリンクラーは未だついたままで、部室内は水浸しになっていた。

 

「次で最後かな。」

 

 部屋の奥に置いてあった、灰を被っている大きな機械。それを持ち上げた瞬間、スパイダーセンスが僅かに反応した。

 

「これは……ねぇウタハ、これって何?」

 

「あぁ、それかい?最近依頼された『グライダー』だよ、なかなか気前の良い支払いでビックリしたけど……それ相応の仕事で久々に疲れたね。」

 

 グライダー……そう、僕が持ち上げたソレは見覚えのあるグライダーだった。人ひとりが乗れるくらいの大きさで、ウタハによると爆発物が内蔵してあるらしい。損傷はなく、灰をかぶっただけなところを見るとさすがはエンジニア部と言ったところか。

 

 ……嫌な予感が当たらないといいけど。

 

 とりあえず発明品やらは外に持ち出し、ユウカにモモトークで爆破の件を伝えるとスプリンクラーはすぐに止まり、代わりに僕への心配とエンジニア部への怒りが込められたメッセージが送られてきた。

 『後で行きます』、とメッセージ越しに圧を感じるが止められるすべは無いだろう。エンジニア部のみんなと一緒に謝るしかない。

 

「君たちの身体が丈夫なのは知っているけど……やっぱり危険を伴う実験はやめた方がいいね。」

 

「そんな!せっかく楽しい実験ができそうだったのに……。」

 

「まぁまぁ、僕が一緒に居る時は幾らでも実験していいからさ。退屈だろうけど、僕が居ない間はウェブの強度とか装甲を重点的に調べて欲しいかな。」

 

 僕の頼みは渋々受け入れられ、外に運び出した機材を再び元に戻してショックウェブ等の実験を始めた。ウェブ系統は早めに完成させれば普段使いできるし、スーツより先にこっちを完成させたい。それに、新型スーツはかなり時間がかかりそうだからね。

 

 

 

 そうして、各々作業に取り掛かり、ウェブシューターはみんなに任せて僕はスーツの制作に着手した。制作予定なのは新しい汎用スーツとアーマースーツ、いつもの赤青スーツがいつまで使えるか分からないし、ブルズアイや他のヴィランを相手にするならスーツをアップデートしなきゃならない。トニーから貰ったアイアンスパイダースーツが超快適ってこともあったけど、やっぱり今のクラシックなスーツじゃ心許ない。

 ……あれ、他にもっと良いスーツがあったのになんでこんな古いスーツを持ってるんだろう……。

 

「うーん。」

 

「先生、ウェブシューターに内蔵できる弾数を増やしたいんだけど……。」

 

「……おぉ、シューターの改良か。確かにウェブが増えるなら内容量も増やさないとね。」

 

「何か考え事?デザインとか手伝おうか?」

 

「いや、大したことないよ……ねぇ、この図解ヒビキが作ったの?凄いね!……うん、これならシューターの大きさもそのままだし、カートリッジの付け替えも簡単だ。」

 

 やはり彼女にはデザインの才能がある。ウェブシューターが邪魔になりすぎず、それでいて一度に装填できるウェブの数を増やせるこの構造は初めて見るものだ。やっぱり子供の発想は柔軟で面白いなぁ……まぁ僕も、トニーやストレンジから見ればまだまだ子供なんだろうけど。

 

「ショックウェブの電圧を少し変えてみました!ウェブシューターの限界を超えた威力から、ちょっと痺れる程度の威力まで自由に調整可能です!」

 

「限界を超える……ふむふむ、いいね面白そう!この電圧じゃあ一発で壊れちゃうけど、一度限りの大技ってロマンあるよね!」

 

 使う場面は相当限られるだろうけど……でも、最高火力が大きく引き延ばせるなら搭載させるに越したことはない。

 

「あと、Bluetoothを搭載して新しいスーツの覆面部分にあるディスプレイに残弾数を表示させて……」

 

「うんうん、いいね!」

 

「もしもの時のために自爆機能を搭載しましょう!」

 

「うーん、それはちょっと考えさせて欲しいかな!」

 

 ニコニコ笑顔で語り合う僕とコトリ、サラッと自爆機能を付けられそうになったけど、了承するには少し勇気がいるから時間を貰おう。

 

「……先生、もしかして『まだ完成してない』……なんて思ってないだろうね?」

 

「……ウタハ?それってもしかして……。」

 

 ふっ、と口角を吊り上げ腕時計型の『新型ウェブシューター』を差し出すウタハ。装飾は従来通りシンプルだが、シューターに液晶画面が搭載されてスマートウォッチに偽装できたりウェブの残弾を確認できるようになっていた。

 

「今までの質問は最終確認さ、そしてこれはその全てを詰め込んだ試作機……先生が気に入ればこのまま使用しても構わないよ!」

 

「もう完成していたのか!凄いクールだね……コレ、スパイダーマンに渡す前に僕が試してもいいかな?」

 

「もちろん、それじゃあ実験しに行こうか。」

 

 

 

 作業場の隣にある広い空間。発明品の残骸であろう鉄の塊が至る所に置いてあり、よく試し撃ちに使っているそうな。

 シッテムの箱を近くのデスクに置き、両手首にシューターを取り付けて一度眺める。締め付け具合も見た目もバッチリ!

 

「よし、それじゃあ録画を始めて。画面はワイドに、的と僕が見えるように……そうそう、そこでいいよ。」

 

 サムズアップをするウタハ達に録画してもらいながら、まずは通常のウェブを的に放つ。

 

THWIP!

 

「お見事、真ん中に命中したね。」

 

「精度も威力も完璧、後はウェブの素材に水をちょっと加えたらもう少し粘り強くなるかなぁ……あと自爆機能は後で外しとくね。」

 

 何度かウェブを飛ばし、具合を確認したところで更なる改良点をウタハ達に伝える。

 

「なるほど。上手い具合に調合したと思ったけど、まだまだ改良すべき点が残っているようだね。」

 

「いやいや、ぼ……スパイダーマンが初めて作ったウェブより何倍も素晴らしいよ。」

 

 ウェブシューターを操作し、ショックウェブにウェブボム、インパクトウェブとトラップウェブ……などなど、数種類のウェブを試し打ちしてみた。どれも使い勝手がよく、切り替えやウェブの射出などもシームレスに行える。多機能すぎて使い始めた頃は持て余すかもしれないけど、慣れたらきっと素晴らしい武器になるだろう。

 

 僕がウェブシューターに夢中になっている間、ヒビキ達は早速ウェブの新しい調合を始めたようで、遠くで何かが小さく破裂して飛び散るような音と彼女達の悲鳴を聴きながら、頑張って試行錯誤していた昔の自分を思い出す。

 

「爆発するのはウェブの濃度が高いからだ、カートリッジに対する容量をもう少し減らした方がいいかもね。」

 

 射撃場から部室に戻りながら、先程の音から爆発した理由を考察し改善点を口にする……が、その瞬間にスパイダーセンスが反応した。それと同時に部室の扉が開き、ウタハがウェブまみれになった手を拭きながら扉に向かう。

 

「やぁ、エンジニア部に何か用かな?」

 

 俯いたまま部室に入るボロボロの黄色いフードを被ったいかにも怪しい人物。スパイダーセンスも鳴っていることだから絶対に良くないことが起きるのが分かる……。

 

「ウタハ、僕が対応してもいいかな?……どうしたの、もしかして迷子?」

 

 フードを被った人物が顔を上げ、僕を見た瞬間……思わず固まってしまった。横で見ていたウタハも僕の顔が青く染っていたとこに気付いただろう。

 

「先生……?」

 

 ウタハが小さく声をかけてくるが、反応する程冷静ではなかった。

 

『依頼していたブツ、貰いに来たぜぇえ……。』

 

 ドス黒い声が相手のマスクから……『茶色いゴブリンのマスク』から流れてくる。

 ソイツは間違いなく、何度も不幸をばら撒いたあの忌々しいゴブリンだった。

 

 

 

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