Spider-Archive   作:ネギャー

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カイザーPMC理事、最初見た時に「キングピンやんけ…」ってなりました。



第七話 便利屋68&・・・・・

 

 

「はぁ…はぁ……。」

 

 暗い夜道を走り続ける。仲間はみんな『アイツら』に倒された。

愛用のヘルメットすら投げ捨てて、私は無我夢中で逃げる。

 

「なんで…こんな事に……。」

 

 最初に倒れたのは私たちのリーダーだった。赤いヘルメットを被っていつも私たちを先導してくれた…そんなリーダーがスナイパーライフルで狙撃されて…。

最初は状況を理解出来ずに立ち止まっていたけど、背後で鳴り響いた爆発音を聞いて本能的に足が動いた。きっと仲間たちも一緒に逃げていたはず。

 …でも、耳が張り裂けそうな銃声や叫び声と共に仲間の足音は全て消えてしまった。

 私だけでも逃げなくちゃ。

 

「よお、お嬢ちゃん。こんな夜中に出歩いちゃ『悪魔』に出会っちまうぜ…?」

 

 目の前に現れたスキンヘッドの男、額には『的』のような刺青が刻まれていた。

髭が生えている口元は不気味に笑い、見てるだけで恐怖を与えてくる。

 

「…アナタも『アイツら』の仲間なの!?」

 

 震えた声で言葉を返す。手にはハンドガンを握っているが、この状況では正確に狙えない。

 

「アイツら…あぁ、便利屋か。まぁ仲間っちゃ仲間…か?」

「そんな事は大した問題じゃない、俺ぁ一人で『スパイダーマン』を殺れるからな…。」

 

 スパイダー…マン?まさかこの男、先生を狙っているの?

だったら、ここで逃げるわけにはいかない、先生のために立ち向かわなくちゃ。

 

「…やらせないわ。」

 

「…お前ら、スパイダーマンにやられたんじゃないのかよ。」

「それともアレか?復讐は自分たちで…ってか?」

「……悪いが、『雇い主』はお前たちを見限ったんだ。」

 

「なっ…それじゃあ『雇い主』は……キングピンは、私たちを裏切って…。」

 

 その刹那、男が取り出した『トランプ』のカードは私の片足を傷付け、思わず膝まづいてしまった。

 後頭部には銃口を押し付けられる感覚があり…この時私は完全に敗北した。

 

「『雇い主』の名前を口にするなよ?」

「安心しろ、お前らの仕事は『俺たち』が引き受けた。」

 

「…そう、私たち『便利屋68』がね。」

 

 スナイパーライフルの派手な射撃音と共に、私の意識は闇へと沈んだ。

 

 

 

 

 

 

「…で、コイツらは予定通りブラックマーケットの警備に充てる…と。」

 

 額に独特な『的』の刺青を入れた男、ブルズアイは気を失った少女達を縄で縛っていた。

 瓦礫の上に座る少女、ムツキは笑顔でジッとブルズアイを見つめる。

 

「…暇なら手伝ってくれてもいいんだぜ、浅黄。」

 

「浅黄、じゃなくて『ムツキちゃん』って呼んでくれたら手伝うよ?『ブルちゃん』♪」

 

「オイ、その呼び方はやめな…まだそんな仲じゃないだろ?」

 

 ムツキのあだ名に怒ると思いきや、困ったように眉を顰めるブルズアイ。そんな二人のやり取りを見て、アルは少し心配していた。

 

 先程の戦闘を見ていた限り、この男は銃を使わずに傷を負わせることができる。血の着いたトランプを拾い、じーっと眺めてそのタネを明かそうとする…が、トランプが()()()()()ことを除けば、特に特筆した点はなかった。

 どれだけ硬くとも、特殊な技術が無ければキヴォトスの人間にダメージを与えることは出来ないはず。

そもそも、ただのトランプで傷を負わせる技術とは…?

 考えれば考えるほど分からなくなってきたアルは、ブルズアイに直接聞ける訳もなく、いそいそと帰る準備をしていた。

 

「…おい、陸八魔。」

 

「ひゃっ…な、何か用かしら?」

 

「……俺はコイツらを『雇い主』のところに連れて行く、お前らはもう帰っていいぞ。」

 

「そ、そう?ならお言葉に甘えさせてもらうわ…。」

 

 アルの対応を見てため息を吐くカヨコ、ブルズアイを爆発させてアルを安心させようとするハルカとそれを止めるムツキ。

 ブルズアイ自身も、何となく『やりにくさ』を感じていた。

 

「…じゃあな、セクシーな大人になりたけりゃ早めに寝るこった。」

 

「ブルちゃんばいばーい!」

 

 ひとつの縄で纏められた数十人のヘルメット団を引き摺りながら、キングピンの居る『フィスクタワー』へ向かう。

 その背中を見送り、便利屋の面々は事務所へ帰った。

 

 

 

「アルちゃん怖がりすぎ〜、話してみたら結構いい人だったよ?」

 

「べっ…別に怖がってないわよ!ただちょっとビックリしただけで…。」

 

 事務所に帰ったあとも、アルは頭を悩ませていた。

 今までとは違う『他人との協力』、それも相手は怖い大人…足を引っ張るどころか戦力として数えられるほど優秀だったが、その得体の知れなさから上手く扱う事が出来ない。

 この際、仲が良さそうなムツキに頼んで…いや!私は真のアウトローになるのよ!こんな事でビビってちゃダメだわ!!

 

 

 深呼吸をしてから、スマホを取り出しブルズアイに電話をかける。

 

「…あ、もしもし?」

 

『…陸八魔か?今からホテルに帰るんだが、何か用事でも?』

 

「あ…えっと、大した予定では無いんだけど……。」

 

『……?』

 

「…い、一緒に頑張りましょうね!ブルズアイさん!」

 

『……。』

 

 

(や、やっちゃったーーーーー!?)

 

 

『…おう、期待してるぜ。便利屋。』

 

 そこで電話は切れ、アルは途方に暮れた顔でスマホに耳を当て続ける。

ソファに座ってその様子を見てたムツキは、楽しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

 俺のボス…ウィルソン・フィスクことキングピンは、ヘルメット団を引き渡す際に俺と話す時間を設けた。

 

「…君の実績は素晴らしい、それに私の右腕とも呼べる存在だ。」

 

「お褒めに預かり光栄です。」

 

 俺はわざとらしく両手を広げながら頭を下げる。

キングピンは其れを気にすることなく話を続けた。

 

「…だが、この世界でやって行くには君の存在は少し厄介なんだ。」

「私のように表の職業は無く、かと言ってキヴォトスの人間はそう簡単に始末できない…だから殺し屋としては雇いにくい。」

 

「…それで、俺は邪魔だから始末するって?」

 

「結論を急がせるな、君には世話になったし失うのは心苦しい。」

「…だから、一時的に君を『便利屋』の一員として就職させることにした。」

 

「…便利屋だって?あのガキ共と一緒に仕事をしろと?」

 

「…君の気持ちはよく分かる、だがこれは一時的なものだ。」

「私が確固たる地位を築ければ、君を迎えに行く。約束しよう。」

 

 キングピンは真っ直ぐ俺を見つめる。だが俺は知っている、コイツは平気で嘘をつく。そうやってマフィアのボスまで上り詰めたんだ。

…まぁ、だからといって俺に拒否権は無いのだろう。断ったら本当に始末されるかもしれない。

 

「…分かったよ、ブルズアイは便利屋の元で働く…でいいんだよな。」

 

「あぁ、無理を言ってすまないな…必ず迎えに行く。」

 

 キングピンと俺は固い握手をした。それが保証になるとは微塵も思っていない。

 俺はそのままフィスクタワーを後にし、ホテルに戻る途中で例の陸八魔から電話がかかってきたのを確認した。

 少し悩んだが、次の上司になる相手ということで電話に出た。

 

 

………。

 

 

 大した内容じゃなかったが、アイツにとっては重要な事なのだろう。

案外、アイツらの元で働くのも悪くないかもしれない…。

俺はタバコをふかしながらバイクに跨り、誰も居ない夜の街を駆けて行った。

 





便利屋68&ブルズアイ…どうしてこうなった?

あと、サブタイトルをつけることにしましま。
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