だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
インスマスの調査でノアを助けたクトラは持ち帰った資料をオルドーに渡した。その資料の中身に関してはマッカーシーすら知らされず、一部の資料はブラッディを通じて財団に送られ、以後、インスマスやその街に関連する調査はKCIAと財団が中心になって行われることとなった。
その対応に納得のいかなかったマッカーシーだが、財団の意向にも背けなかったため、静観を貫くしかなかった。
その後、クトラはKCIAと特務隊との連絡係も兼ねるようになり、マッカーシーの前にちょこちょこ顔を出すようになった。そんな中、ノアはクトラに駆け寄った。
「あの…」
「何だ?」
「この前は助けていただいてありがとうございます。私…ガルバトロナスがありながら、あなたに助けられるようなことになって申し訳ありません。」
「何故、謝る? 俺は任務の上でやっただけのことで礼を言う必要はない。それにお前に非があったとしてもそれはただの経験不足だ。気に病むことはない…」
「でもっ!」
「元帥に呼ばれているので、この話は終わりだ。」
素っ気ない態度で一蹴され、彼女はやるせない気持ちになった。今まで守られてばっかの生活から抜け出し、今度は自分を守ってくれたラルドやヘレナを守れるように特務隊に入隊し、更にはガルバトロナスという最強の機体を手にしたにも関わらず、また誰かに助けられ、守れられるということになってしまい、今度はクトラ以上の実績を上げるよう考えるようになった。
そんなノアを心配そうに見ていたのはラルドであった。
「ようっ! ラルド、こんなところで何してるんだ?」
「いや、ちょっと…」
「さては、ノアに惚れてきになってるんじゃないか!」
「そんなわけないだろ! ただ、ちょっと心配で…クトラに助けられてから、また無理してるみたいだし…」
「確かに、軍に入隊してからこしこんところ、無茶な行動するようになったな。」
「マイロはどうしてここに?」
「ブラッディさんが神聖鉄騎隊を創設して、整備の仕事が向こうで出来ないから、ブラッディさんの勧めでこっちに異動されたんだよ。
それに、コロニーから帰還してからのヘレナも議会に呼ばれることがほとんどな上にカイルって名付けた子の問題もあるし…」
「そういえば、最近ほとんど議会にいるけど、僕たちがコロニーにいた間に何かあったの?」
「それが…」
マイロがその問いに答えられなかったのは、ラルドとヘレナが地球に帰還してから、インスマスの調査が終わってからの連合国内での情勢にあった。
財団会長はヘレナの実母エリザベスと実弟カイルがテロとあるデーモンビーストによって殺された経験があり、時期財団会長として養子として迎え入れ、寵愛するナイルを同じような目に会わせたくないため、財団護衛を担う私設軍隊としての近衛兵を設立することを議会に求めた。
前議長モーゲンソウの時は財団を後ろ楯にして私腹を肥やす財団支持派が多数を占め、腐敗政治を起こすこともあったが、ヘレナが議長になってから、マクマリー副議長により議席を減らす等の改革をして、財団支持派の議員は大幅数を減らした。
そのため、会長の要請に対しても、財団が私設軍隊を持てば、クーデターを起こす可能性があり、アークや各地で活動しているテロリストを更に刺激することを危惧して可決されることは無かった。
これに業を煮やした会長は議会の決定を無視し、KCIAに近衛兵設立進めることを財団総会に求め、財団総会はこれを承認し、それに応じたKCIAは神聖鉄騎隊と名付けた財団の近衛兵を設立した。
この近衛兵は一般兵は全てセネイトガーディアンが占め、専用のASはアークからの技術提供により、先端をドリル状にして貫通力を持つことによって威力を増したアブレッサーミサイルによるミサイルランチャーとバズーカ砲、ライフル型のレールガンであるドーバーレールガン等、火力に振った連合国軍の新たな主力機ダレイオスとKCIAのブラッディリーパーをベースに、ブラッディリーパーのような手の甲からも小型ミサイルを発射し、頭部の角から偏向バリアを発生させることも可能な神聖鉄騎隊専用機ネブカドネザルを開発させる等、議会を蔑ろにした財団による専横が強まっていた。
しかし、ロックフェルド財団はホテップ社を後ろ楯にし、ASの開発を初め、連合国の建国及び超大国化に大いに貢献した存在のため、糾弾することは出来ず、沈黙を保たざるを得ず、今や、財団総会が実質的な議会という有り様でもあった。
だが、似たようなことはコロニーも同じであった。アークは不可侵条約とヘレナとの約束通り、連合国に技術提供をし、その技術で連合国軍はダレイオスを開発したが、連合国がコロニーの技術を利用して地球を完全に掌握した後、自分たちコロニー市民を地球に帰還せず、コロニーに釘付けにするのを企んでいるとスパルタカス党は市民を扇動し、その技術提供を行うアーク打倒のため、デモを拡大していった。
「フゥー…」
「如何なされました? 大統領。」
「人間というのは実に割り切りが悪い生き物だ。」
「それはどういうことにございますか?」
「人間は数万年の進化を経て、あらゆる外敵や自然の脅威から守るべく文明を築き、地球上に君臨するようになった。
だが、天敵を無くし、文明を発展しすぎた人類はそのシステムの中でしか生きられなくなり、自らの繁殖を抑えられず、人口を増加し、それが戦争の火種となって地球環境を圧迫していった。
いずれ、地球は人類の住めない星となり、地球の崩壊を進めてしまう。そうならないために人類を自然から、地球から切り離し、自ら作ったシステムの中でのみ生きるべき…このコロニーの建造も元はと言えば、それが目的だった。
だが、スパルタカスや地球に残るバカ共はそれを理解せず、未だに地球に固執している。
環境保護団体もそうだ! 1000年前からも地球は人類の故郷だと言うが、その故郷の崩壊を招いているのは人類そのものだ! 何故、それがわからん‼
地球のためを思うなら、自然は自然に委ね、人類は一切手を出さず、地球を捨てる覚悟を持たねばならん!
仮に地連合国が地球を統一したところで、また人口増加の問題に悩まされ、新たなテロや戦争を引き起こすことは目に見えている。こんな無駄な技術提供をするくらいなら、月面都市開発や移住用のコロニーの建造を進めていく方が重要だ!」
「仰る通りです。それに人類を切り離すことは何も悪いことではございません。
人類を自然から切り離すということは、それは人類が自ら築いたシステムを更に向上し、やがて人類の発展と進化に繋がるからです!」
「そうだ! 800年前の悪魔の審判のお陰で、我がオデッセイに住まう人類は地球以上の技術力を有し、千年前から存在していたAIを更に発展し、ノストラダムスのような未来を指し示す予言者にまで進化していったのだ。」
「悪魔の審判から数世紀の間、各政府は太陽系惑星の移住計画を進めましたが、予言者としてのAIはその計画は失敗すると予言し、案の定、予言通りに失敗し、我々はAIの予言に従って、月面都市の開発を進めたのです。」
「しかし、300年前の政府が地球帰還計画を立てたようにスパルタカスのように地球の帰還を望む者も少なくない。
再び悪魔の審判のようなことが起これば、地球の者共を新たに建造するコロニーに移住させ、スパルタカスを黙らすことが出来るのだが、今の地球にいるデーモンビーストでは…」
「でしたら、我々が新たにデーモンビーストを地球に送りましょう!」
「何!⁉ 貴様、何を言っている‼」
「言葉通りです。我々がデーモンビーストを送り、地球を蝕む人間共をコロニーに移住させるのです!」
「しかし、そんなことを、我々が…それに戦争状態ならともかく、不可侵条約を結んでいるこの状態で…」
「大統領! 条約等、所詮休戦に近いような一時的な決まりごとに過ぎません! それに連合国では財団の権力は更に増大していると聞きます。
もし、連合国が先に条約を破れば、大統領はどう責任を取ればよろしいですか⁉」
「うう…む…」
「そうやって迷えば迷うほど、自分を不利にしてしまうだけです! 早急なご決断を!」
大統領補佐のコルプに押され、遂にブレックは決断をし、その計画は直ぐに実行に移された。
コルプの息のかかったソルジャーポリスによるガーディアントルーパーがコルプによって用意された巨大な結晶体をガーディアントルーパーで移動可能な小惑星を掘削し、その穴に入れ込み、遠隔操作による時限爆破装置を取り付け、隕石と見せ掛けて地球に落下させるというものだった。
そして、地球への支援物資を積んだ宇宙船がコロニーから出ると、その船に向かって小惑星をぶつけ、自爆装置を作動して爆破、そこから解放された結晶体は地球向けて落下していった。
評議会ビルの議長室にて、ヘレナは財団の権力が増大している影響もあって休む間もなく議会に赴く等、度重なる仕事の疲労を受けていた。
また同時に死んだ実弟の面影を感じ、同じ名を付けたカイルを財団が運営している孤児院で世話をすべきか否かの選択肢に迷っていた。そんな時、彼女の元に秘書が現れ、
「議長、ブラッディ特務少佐がナイル時期財団会長と共にお会いしたいそうですが…」
「おじ様が…」
「はいっ! ただ、財団会長のご養子もご一緒で評議会に赴くことが出来ないので、KCIA支部の方でお会いしたいとのことです。」
「でも、まだ決定されていない事項もあるから、私が議会に離れるわけには…」
「その件ですが、最近、議長はお疲れで議会に出ることすらままならない状態だと聞くので、マクマリー副議長とブリュースター中将、テイラー大将に任せて、その休息も兼ねて来てくださいとも仰ってます。
ブリュースター中将とテイラー大将はほとんどの議員の方々とも親交があり、副議長に重荷を背負わせることもありませんし、議会もすんなり進みますから、御安心ください!」
「それなら、良いんですが…何故、KCIA支部に?」
「それは会ってから説明するとのことで、とにかくお会いなさった方が…」
「わかりました! 早速向かいます。」
場所に疑問を持ちながらもKCIA支部に向かったヘレナはそこで待っていたブラッディとナイルに会った。
「すまないな。本来なら、財団本部にある宮殿でも良かったんだが、生憎、会長が最近用心深くてな…
中でも特に警備が厳重なところにせよと命じられたため、宮殿も大分物々しくなって、特にマシなところと言ったら、ここしかなくてな。
まあ、ここは本部と比べて私と親しい者がいるし、神聖鉄騎隊の設立もここだったからということで選んだのだ。」
「それはそうと、何故急に私をここに?」
「実はナイルがどうしても、君に会いたいと言って会長にも何度も直訴して、会長もすっかり参って私に頼んでこうなったということだ。」
「お姉さま、突然ご無理を言ってすみません。ですが、いくら義弟といってお姉さまに1度も会わない弟は兄弟としてあるべきものではありません。せめて1度だけでもと思って…」
「良いのよ。あなたに会わなかった私が悪いのだから…」
「実弟が亡くなられたことは既に聞いております。僕がその代わりになれるとは思いませんが、この僕を養子としてなに不自由ない生活を与えてくれた父上のご期待に添ってお姉さまに好かれるような弟になりたいと思っています。
そして、お姉さまが重荷を背負っているのなら、僕が代わりになれるよう頑張ります!」
「そんな…そこまで…」
「会長はすっかりの可愛がりのようでな。いずれ、ヘレナの時期議長としても考えておられるようだ。」
「えっ⁉」
「カイルを財団会長を兼ねて議長にするつもりだったが、それが叶わなくなって仕方なくモーゲンソウをその後釜にしたが、やはり自分の息子を議長にしたいようで、余りに寵愛して財団の幹部のほとんどが将来を期待してな。 過保護もここまで来ると参ってしまうな…」
「そんな…お父様はこの子にも同じ試練を…」
「それと君が弟と同じ名を付けて拾った少年だが、私に預けてくれるか? 会長に知られたら、流石にただでは済まないが、私なら隠せるし、それにナイルの遊び相手にもちょうどいいと思うが…」
「ホントにいいんですか?」
「構わんよ! 君のためでもある。」
「わかりました! カイル、来て!」
ヘレナに呼ばれたカイルはブラッディとナイルの前に現れたが、何も話さず、距離を置いていた。そんな彼の元にナイルが立ち上がり、
「始めまして! 僕、ナイル・イリウスです。よろしく。」
ナイルが握手しようとしたその時、カイルは怯え、ヘレナの背中に隠れて怯える野獣のように唸り声を上げていた。
「どうやら、慣れるまでまだ、しばらく掛かりそうだ。」
そんな時、緊急警報が発令した。
「何事なの⁉」
「旧ロサンゼルス付近に正体不明の物体が落下したそうです。幸い市民にそれほど、被害は出てなく、KCIAの調査隊が直ぐに向かったそうです。」
「わかったわ!」
「おいおい、議会にはテイラー大将とブリュースター中将がいるんじゃないか⁉」
「それでも、この事態に議長を不在にするわけにはいかないわ!」
そう言ったヘレナは直ぐ様、議会に向かった。
旧ロサンゼルス付近に落下した正体不明の物体はコルプが送った巨大結晶体であった。到着したKCIAの調査隊がこの結晶体を念入りに調査し、あることが発覚した。
「この結晶体から生体反応が確認されます。我々はこれを本部に伝えますので、至急警戒を強めてください!」
「わかりました!」
その時、突然、結晶体が赤く発光すると同時に大爆発を起こし、調査していたアルケーダら統制連合艦隊とブラッディリーパーらKCIAの部隊が全滅した。
煙が晴れると、そこには96mもあり、コーカサスオオカブトのような3本角が生えたデーモンビーストが現れた。近くで待機していたダレイオス隊は一斉砲撃を仕掛けたが、そのデーモンビーストは掠り傷すら付かず、3本角から電流が走ると、そこから強力な雷を放ち、ダレイオス隊を一気に全滅してしまった。
その様子を議会や各地のTV中継で流れていたが、
「いっ…イヤアァ~‼」
そのデーモンビーストの姿を見たヘレナは突然、何かトラウマを思い出しかのように取り乱した。その様子に議会は騒然とし、マクマリーは直ぐ様、側近の者にヘレナを自室に移動させ、その場を仕切り、特務隊と統制連合艦隊に出撃命令を下した。ヘレナの突然の行動に戸惑うラルドはマイロに尋ねた。
「マイロ、ヘレナ一体どうしたんだ?」
「前にヘレナの弟のカイルがデーモンビーストに殺されたというのは聞いているよな? 実はあのデーモンビーストがそれなんだ。」
「何だって⁉」
マイロの話によると、ヘレナの実弟カイル・ロックフェルドは財団会長の意向により、時期財団会長にする上に時期評議会議長にさせる目的があり、議会に財団出身の議員が多数存在するようになったのはカイルを議会に選抜させるためであり、英才教育を施したのもそのためだった。
そして議長として連合国の頂点に君臨するということを知らしめるためにヘレナと共に各地の巡行を行った。
しかし、そんな折り、突然、巨大な角を持った未確認のデーモンビーストが現れ、その襲撃を受け、警護兵は蹴散らされ、巨大な爪で襲い掛かったところをカイルはヘレナを庇ってその串刺しにされ、それを見たヘレナは発狂するような悲鳴を上げ、それ以来、その出来事がトラウマになってしまったのだ。
「じゃあ、今現れたアイツがヘレナの弟を殺した張本人なのか?」
「最も、証言だけでハッキリとした姿が確認出来なかったけど、ヘレナがあの状態なら、少なくともソイツと同族の可能性は高い。」
「そうか…あれ? ノアは?」
既にその事を耳にしたノアは黙ってはいなかった。何者かもわからない自分を引き取ってくれたヘレナためにそのトラウマを断ち切ろうと直ぐ様出撃し、その上、ガルバトロナスという強力な機体を得ているため、自信も強かった。
旧ロサンゼルスに特務隊と統制連合艦隊と共に到着したノアのガルバトロナスはデーモンビーストの前に立ちはだかり、手の甲のミサイルを撃ち続けながら近付いた。だが、デーモンビーストの身体はかなり強固なのか、それを一切受け付けなかった。
通用しないと見たノアは格闘戦を選び、両腕のブレードを展開して斬りかかり、拳や蹴りの一撃も加えたが、コーカサス型のデーモンビーストは傷一つ付かないどころか、一歩も後退しなかった。
「そんな…これでも通用しないの…?」
コーカサス型のデーモンビーストは今度はこちらの番だと言わんばかりに3本角から火花を走らせ、電気を蓄えるとそこから放電し、強烈な一撃をガルバトロナスは諸に食らい、ノアは気絶し、ガルバトロナスは機能停止に陥った。
後から到着した特務隊と統制連合艦隊によるダレイオスが一斉砲撃を仕掛けるが、コーカサス型のデーモンビーストは全くの無傷だった。
「どうなってるんだ⁉ これで平気なデーモンビーストなんているはずがねぇ!」
「とにかく火力を集中しろ! そうすりゃ、その内奴も耐えられん‼」
弾切れになるまで砲撃を続けたが、尚も応える様子は無く、コーカサス型のデーモンビーストは再び3本角に電気を蓄える、ガルバトロナスを機能停止させたのより更に強力な電流を放ち、ダレイオス隊を一気に全滅した。セラヴィムとロバストハンターも攻撃をしようにも、コーカサス型のデーモンビーストは直ぐにも電気をチャージし、いつでも電撃を放てる状態にあるため、容易に近付くことは出来なかった。
「特務大佐! これ以上コイツとやり合うのは危険です! 一旦撤退を…」
「しかし、ここは市街地だ。ここで食い止めなければ市民の安全は…特務大尉、ブラッディ特務少佐に神聖鉄騎隊を出撃させることは不可能か⁉」
「それが…」
オクタヴィスが言うには、財団会長は実子カイルを殺したのと似たデーモンビーストが現れたとはいえ、あれがカイルを殺したのと同一個体とは断言できず、殺した個体またはその同族が潜んでいる可能性があり、神聖鉄騎隊に財団本部の警護を命じたため、援軍に加われない状態であり、またオルドーも統制連合艦隊のほとんどの部隊が首都から離れているため、首都を丸腰にするわけにはいかないので、セメタリーファングに首都の警護の任務を与えたため、こちらもその場から動くことは出来なかったのである。
「クソッ! これでは…」
「特務大佐!」
声を上げたのはデナムだった。
「私に考えがあります! 電気を主力とするなら、私のタイタロスで十分出来るでしょう!」
「しかし、タイタロス1機では、あのデーモンビーストには…」
「ですから、特務大佐と特務大尉のミカエル、残りのアルケーダ隊を私にください!」
それを聞いたマッカーシーはデナムのやろうとしていることを大体察した。
「それは構わんが、そんなことしたら、お前が…」
「構いません! 軍人は市民の盾となるべきもの。1人の犠牲で数万の市民を守れるなら、安いものです。」
「デナム大尉…」
「ハイライト特務少尉! 準備が整ったら、私とタイタロスをデーモンビーストにぶつけろ‼」
「了解した…」
承知したヤマトの乗るロバストハンターは重いアックスを振り落とした。
「よし、セラヴィムとダレイオス隊は引き続き砲撃を続け、敵の注意を引き付けろ!」
セラヴィムとダレイオス隊は指示に従って砲撃を続け、その間にタイタロスはワイヤーブレードで2機のミカエルと隊列を組んだアルケーダ隊に絡み付き、それらから電流をため、タイタロス1機に集中させた。
全て吸い付くされたミカエルとアルケーダ隊は機能停止状態となって次々と倒れ込み、タイタロスは自爆装置のように今にも大爆発を起こしような状態だった。
「タイタロス…お前にはもう少し働いて欲しかったが、仕方あるまい…ハイライト特務少尉! 行くぞ‼」
「いつでも!」
タイタロスは展開したワイヤーブレードでコーカサス型のデーモンビーストの3本角に巻き付き、それに近付きながら走っていき、ロバストハンターもそれに付いていき、武器を捨てるとタイタロスを一気に持ち上げ、頭部目掛けて投げ飛ばし、更にコーカサス型のデーモンビーストの膝から順に登っていった。その行動にマッカーシーは驚きを隠せなかった。
「あの重量級の機体にあれだけの動きをするなんて人間業じゃない…」
投げ飛ばされたタイタロスは全ての電流を集中したライトニングホーンをデーモンビーストの3本角にぶつけ、更にロバストハンターはデーモンビーストの開いた口にメガアンカーを放ち、頭部丸ごと大爆発を起こし、ロバストハンターはその衝撃で吹き飛ばされるが、直ぐ様、体勢を直し、着地し、掴んだ掌にはデナムが乗っていてコーカサス型のデーモンビーストは完全に絶命した。その姿に市民は大いに拍手喝采した。
頭部を失ったデーモンビーストの死体は報告を受け、到着したKCIAの研究部隊が回収し、首都に送った。
特務隊と統制連合艦隊は引き続き留まり、市民の安全を確認し、脅威が去ったのもつかの間、デーモンビーストが眠っていた結晶体の落下地点が突然、地鳴りを起こし、地面が陥没していった。
そして陥没した地面から巨大な3本指の腕が地面を掴み、そこから円盤のような頭部と巨大な尻尾のような胴体をしたデーモンビーストが現れた。ダレイオス隊が砲撃の構えを取り、それを見た新たなデーモンビーストは機械音声か雑音のような鳴き声を上げた。
その鳴き声を聞いたラルドの脳裏に再び記憶のビジョンが蘇り、そのビジョンにいつもと同じ巨大な怪獣が都市を破壊していったが、そのビジョンには自分視点の別の巨大生物がその巨大怪獣と取っ組み合い、相手の怪獣がビームのような熱戦を放ち、ラルド視点の巨大生物は強力な衝撃波を放って迎撃した。
そのビジョンを見たラルドは人格を乗っ取られたのか、全てを悟ったようにメイスを振り回して真っ先にそのデーモンビーストに襲い掛かってきた。
デーモンビーストに向かうセラヴィムに対し、デーモンビーストは口の中の触手を出し、そこからビーム状の熱戦を吐き、セラヴィムは瞬時に避けたが、直撃を受けたダレイオス隊は溶解していくように一瞬で爆発四散した。
デーモンビーストに近付いたセラヴィムは振りかざしたメイスで頭部を突き刺そうとし、デーモンビーストは3本指の腕で防ごうとセラヴィムを掴もうとしたところを放ったミサイルでそれを阻止した。
しかし、デーモンビーストは煙を煙幕として利用し、既に口の触手をセラヴィムのコクピットにまで近付け、熱戦を放った。
至近距離であったため、セラヴィムは避けられず、爆発四散し、セラヴィムは跡形もなく消え去った。
To be continued
次回予告
セラヴィム撃破が更に追い討ちとなってPTSD状態が加速したヘレナに代わってマクマリー副議長とテイラー、ブリュースターが議会を仕切ってデーモンビースト討伐に注ぐが、最初の一体に呼応するように世界各地で同一個体が次々と出現した。更にKCIAの調査隊からそのデーモンビーストの正体が判明された。
次回 「悪魔の侵略」 新たな悪魔は少年の記憶を呼び覚ます