怪獣創世記 アークオデッセイ   作:オーガスト・アベラス

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 西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。
 だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
 やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
 悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…


Episode25「首都壊滅」

 

世界各地に現れる円盤のような姿をしたデーモンビーストが首都メトロポリスにも次々と現れ、市民から軍上層部、議会、KCIA、財団全てが騒然となっていた。そのため、財団会長も財団総会も神聖鉄騎隊を出撃させ、正規軍と共にその侵略に対抗して共同戦線を組むようになった。KCIAもこれに対し、対策を練っていた。

 

 

 「マードック、状況はどうなっている?」 

 

 

 「神聖鉄騎隊と我がセメタリーファングが正規軍と加わった連合軍が食い止めています。しかし、流石はネブカドネザル…似たようなバリアーを張れるだけあって中々の戦績を上げています。」

 

 

 「しかし、それでも状況は最悪のようだな…」

 

 

 「何しろ、バリアーを張ったデーモンビーストが首都を完全に封鎖し、各総督の援軍が足止めを食らって身動き取れない有り様ですからね…」

 

 

 

 「つまり、今まで現れたのは首都攻略の陽動部隊ということか…」

 

 

 「行動を見ても、明らかにこれは計画的です。」

 

 

 「あのコーカサス型のデーモンビーストが現れてからが全ての発端だ。恐らくアレも含めてそうするよう仕向けた連中がいる可能性が非常に高いが、今はこの状況打破が先決だ。

 

 財団総会の決定のように最悪の事態を想定して手を打った方が良いだろう。必要なものは全て回収し、本部から離脱するよう、全ての者に伝えたか?」

 

 

 「はいっ、手筈通りに…」

 

 

 「となると、後は議会と軍部の決定か…出来れば、早めにして欲しいのだが…」

 

 

 

 

 この事態に対し、財団総会ではあることが決定し、その決定事項を議会に要請し、そのことをブラッディがテイラー大将ら軍上層部にも伝えた。

 

 

 「何ですと⁉ メトロポリスを脱出すると‼」

 

 

 「残念ながら、そういう決定となり、直ぐ様、財団の幹部が議会にもそうするよう、伝えました。」

 

 

 「ヌヌヌ…いくら、連合国の建国に携わったとはいえ、議会を蔑ろにするにも程がある。」

 

 

 「しかし、首都は完全に封鎖された上に各総督も世界各地に現れたのと同一個体の制圧に手間取り、満足に援軍を送れない状態になっています。」

 

 

 「しかし、首都を捨てるということはそれは即ち、本国を捨てるということだ。」

 

 

 

 「ですが、ここで全滅すれば、それこそ、連合国が完全に滅亡してしまいます。

 

 例え、祖国を捨てる行為に見えても、一度何処かへ脱出して、そこを仮の首都として再起を図るのも祖国のためになり、それで復興した例も歴史上幾つか存在します。」

 

 

 「そうは言っても、何処へ逃げよと言うのです⁉ それでも世界各地にも、同じ個体に襲撃されているんですよ!」

 

 

 「それは心配いりません。 ウー北京総督は中国大陸には幾つか仮の首都となるべき場所があり、例のデーモンビーストの侵略も幾つか食い止めています。北京に逃げ延びれば、後は何とかなります。」

 

 

 「いや、心配なのはそこではない。そもそもここからどうやって脱出しろと言うのだ⁉ 市民に加え、軍、議会、財団の幹部まで誘導出来る場所があるのか?」

 

 

 「テイラー大将。1ヵ所だけあります。ジオフロントです。」

 

 

 「地下都市を使うのか。確かに彼処なら何人かは避難できるが…しかし、彼処の市民は反財団の者が多い。それを受け入れるとは思えん。」

 

 

 「確かに、ジオフロントの市民を圧迫しかねない事態になり、私もこのような策は考えたくありませんが、しかし、今は連合国の存亡に関わる大事な時期に財団派や反財団派に関わっている場合ではありません。市民には私から伝えます。」

 

 

 「しかし、中将。それまでの経緯を今から考えては遅過ぎる…」

 

 

 「その心配はありません。デナム大尉がこの事態に想定して、既に準備は整ってあります。後は議会と議長の承認さえあれば…」

 

 

 「その必要はありません。」

 

 

 現れたのはヘレナだった。

 

 

 「議長⁉ 大丈夫なのですか?」

 

 

 「何とかね…議会は財団総会の決定通り、1度首都を脱出し、再起を図るのが最善の策としてほとんどの議員が賛成し、その決定に従いました。」

 

 

 「そうですか…議会もそのような決定に…」

 

 

 「大将! 財団の決定に従うのは癪ではありますが、今はそれしかありません。」

 

 

 「やむを得ん。では、各々は指示に従って市民の誘導を進めろ! 出来るだけ敵の侵攻は食い止めろ。」

 

 

 

 「はっ!」

 

 

 テイラー大将の命令によって統制連合艦隊はデーモンビーストの侵攻を阻止しながら、メトロポリス市民をジオフロント内へと誘導していった。

 

 しかし、デーモンビーストはそれを読んでいたのか、または気付いたのか定かではないが、ある個体がバリアーを拡張して複数のダレイオスをそのバリアー内に捕らえ、それらを触手で拘束し、残った触手でコクピットを突き破ってパイロットを吸血し始め、他の個体も同様なことを始め、最初に実行した1体は自身と同じ行動をした個体を次々と捕食し始め、ノアのガルバトロナスと交戦したのと同様の進化を遂げ、ネブカドネザルのバリアーをものともせず、蹴散らしていき、市民の恐怖は更に掻き立て、財団本部にも狙いを定めた。

 それに危機感を感じた財団総会の幹部たちは会長と時期財団会長であるナイルを先に逃がすべく、神聖鉄騎隊を動かし、直ぐ様、ジオフロントに避難させる手筈を整え、そのことは神聖鉄騎隊隊長であるブラッディを通じ、軍上層部にも伝わった。

 

 

 「何だと⁉ 財団が会長たちを先にジオフロントに避難させただと‼ 議会に何も言わずにか⁉」

 

 

 「財団にとっては、会長とそのご子息が連合国の国家元首も同然と思っていますから…」

 

 

 「クソッ! 財団め。専横を極めるにも程があるぞ!」

 

 

 「それに状況は更に悪くなっています。ジオフロント市民は殆どが反財団派です。 財団上層部が先に避難したとなれば、それを受け入れるはずがない。下手すれば、ジオフロント内で暴動が起き、地上にいる我々が足止めを喰らう恐れがあります。」

 

 

 「ならば、方法があります! 私がジオフロントに行って、市民を説得させます。」

 

 

 「しかし、議長が行ったといっても、市民が納得出来るかどうか…」

 

 

 「テイラー大将、今は迷っている場合ではありません!」

 

 

 「やむを得ん! ブリュースター中将は特務隊と共に議長と議員を連れ、ジオフロントに向かえ!」

 

 

 「大将は?」

 

 

 「私は残存部隊を率いて、ここでしんがりとして食い止める。」

 

 

 「わかりました。」

 

 

 

 テイラー大将の指示に従って、ヘレナはブリュースター中将及びグリスのいる護衛部隊と共にジオフロント内に入っていったが、既にジオフロント内では市民たちは財団幹部を先に避難し、議員や軍上層部等は見捨てると思ってそれを阻止するためのデモを行い、神聖鉄騎隊は足止めを食らっていた。

 神聖鉄騎隊は銃口を向け、道を開けるよう、市民を脅迫するが、市民たちは撃てるものなら撃ってみろと得意気に言い放って抵抗を続け、尚も停滞したが、地上にデーモンビーストが都市を蹂躙していく様子の地響きがジオフロント中にも響き渡り、更に恐怖心を煽り、業を煮やした鉄騎隊の兵士の数名が発砲し、遂に市民の怒りは爆発し、銃と機体を奪おうとするまでに発展した。

 それでもヘレナは説得を試みるが、余りに乱雑してそれどころではなく、終いにはヘレナの義弟で時期財団会長であるナイルが市民に捕らえられ、それに激怒した会長は本格的な攻撃命令を出し、鉄騎隊はそれに従って機体を動かし、一斉に銃撃または機体で蟻を踏み潰すかのように踏み殺したり、這い上がってきた市民に対してはそれを掴んで握り潰し、本来ならデーモンビーストに対して使用する武装もお構いなしに使用する等の虐殺を行うようになり、ジオフロント内は一気に血の海となった。

 だが、それでも市民たちは尚も抵抗を続け、自分の身が危ういと感じると、何かのボタンを取り出し、そのスイッチを押すと、辺りが巨大な閃光に包まれてそれに飲み込まれ、それは残存部隊を率いて必死に食い止めるテイラー大将とデーモンビーストがいる地上にも及び、巨大な地盤沈下をお越し、首都は一斉に崩壊した。

 

 

 

 

 

 

 ヤマトがロバストハンターごと喰われたショックにより、ノアは放心状態に陥り、同時にガルバトロナスの動きも停止し、デーモンビーストはそれをチャンスと思って襲い掛かろうとしたが、突然、ガルバトロナスの目が発光し、再起動すると、変形を始め、巨大な怪獣型のマシンへと変貌を遂げていった。

 予想外のことに流石のデーモンビーストもしばらく動きを止めたが、向こうから動く様子が無いと見て、再び襲い掛かるが、ガルバトロナスはデーモンビーストを両手で掴み、それを阻止するが、その力は進化したデーモンビーストをも遥かに凌ぎ、抗えるものではなかった。

 ガルバトロナスはデーモンビーストをそのまま放り投げ、デーモンビーストが体勢を立て直そうとした隙に口内から黄色の閃光が走り、その光がデーモンビーストの身体を貫き、一気に爆発四散した。

 デーモンビーストの粉砕後、ガルバトロナスは元の形態に変形し、同時にノアの意識が戻った。辺りを見渡すとデーモンビーストの身体の肉片があちこちに広がり、ノアは状況を掴めなかったが、倒されたことだけは理解した。その肉片からロバストハンターの残骸を捜すが、残骸はおろか、ヤマトの死体すら確認出来なかった。

 ヤマトが生存していることに希望を見出だせなかったノアはヘレナの身も危ういと感じ、直ぐ様、首都に戻っていった。数時間かけてようやく首都に到着したが、そこにはかつてのメトロポリスの面影はなく、瓦礫がいくつもあるだけの状態で、ノアの感情は更に混乱と絶望が重なり、平常心を失い、背後から足音がし、それに銃口を向けると、それは機体が損傷したルシファロイドに搭乗したクトラであった。

 

 To be continued




 次回予告

 巨大な爆発によってメトロポリスと共に崩壊したジオフロントの中で瓦礫から目を覚ましたグリスは取り残されたヘレナとカイルを見付ける。
 首都崩壊で自分を責めるヘレナにそれまで話せなかったカイルが突然、亡き弟と同じ言動をし、2人を何処かへ案内し、そこにあるのは…


 次回 「取り残された者たち」 生き残った者たちは何を求めて歩く?

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