だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
崩壊したジオフロント内で、手足を負傷しながらも瓦礫の中から現れる人物があった。それはグリスだった。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ! 生き残ったのは俺だけか? それにしても、さっきのは何だったんだ? 物凄い光と共に爆発がしたが、あれもデーモンビーストによる攻撃か?
しかし、地下にはいなかったから、何かしらの爆弾…といっても、あんな爆弾があるなんて情報はなかったし…前に調べた文献ではそれに似たような奴があったが、確か、核… いや、それどころじゃない! とにかく俺以外の生き残りを探さないと!」
辺りを見回す中、瓦礫の中から声がし、直ぐ様、瓦礫を退かして救出しようとしたが、負傷も相まって1人では退かせられなかった。その時、もう1人がそれを手伝い、その人物はカイルだった。
実はカイルはヘレナにより、事前に孤児院の子供たちと共に予め、ジオフロント内に避難させていたため、ここにいることは不思議ではなかったが、その身体に特に負傷した様子がなかったため、少し違和感を感じていたが、今はそれどころではないため、救出に専念し、瓦礫を退かすと、埋もれていたのはヘレナだった。
頭は強く打っているようだが、息はあり、意識も辛うじてあり、グリスはヘレナを尾生って安全な場所に移動し、周りの適当なところから、使えるものを集めてある程度の応急処置と食糧を確保した。
その間に他の生存者を探したが、生存者らしき姿は見当たらなかった。そうこうしている内にヘレナが目を覚ました。
「大丈夫か?」
「は、はいっ。名前は存じませんが、ありがとうございます。」
「はっ…?」
その様子から、頭を強く打ったのと今までの出来事が重なり、ヘレナは記憶喪失に陥っていた。それに対し、グリスは一度対応に困ったが、ここで下手に本当のことを話したところで、余計に混乱すると思い、同郷のよしみで助けただけと話し、取り敢えず、自分とカイルの名を教えた。
元々社交的な性格故、記憶喪失になっても、ヘレナはすんなり受け入れ、特にカイルに対しては丸で他人とは思えないぐらいに接していた。とはいえ、記憶喪失といっても、議長が生存している事実に変わりなく、北京やその他無事な総督府に行って事情を説明すればなんとかなるだろうとグリスは腹を括っていたが、1つ問題が発生した。未だ不明の爆発によってジオフロントがメトロポリスと共に崩れ去った影響で、総督府に通じる脱出用の通路が全て塞がれていて、瓦礫を退けようにも自分1人の力でどうにかなるわけでもなく、使える機体も無ければ、手伝ってくれる戦闘員もいない有り様で、食糧と水の確保、利用できる材料をかき集めながらこの状況を打破する術を考えたが、何も思い付かず、数日経った。
3人は住居に使えそうな場所で暮らし、そこで休息を取っていた。しかし、就寝中に何処からか触手が現れ、その触手がヘレナを見付け、彼女を捕らえようとしたその時、カイルがその触手に噛み付き、取り払うように触手は暴れだした。
その騒ぎでヘレナは目を覚ましたが、突然のことに恐怖で足が震えてその場から動けなかったが、グリスが抱えて避難した。 瓦礫の中から現れたのは世界各地を襲撃したデーモンビーストの進化前の個体だった。
デーモンビーストは尚もカイルを振り払おうとするが、何度暴れても離れる様子が無かったため、やむを得ず、狙いをカイルに定め、その背中に触手を突き刺し、吸血を始めるが、カイルの身体から流れ出たのは赤い血ではなく、青白い色をした血であり、吸血したデーモンビーストは苦しみだし、更に暴れだした。
グリスはその隙にジオフロントからの脱出を図るが、総督府に通じる通路が防がれていたため、どうしようもなかったが、カイルが背中に突き刺さった触手を自力で引き剥がし、無傷で着地すると、爆発前に財団会長がいた箇所に駆け寄り、瓦礫を退かすと隠し通路が現れ、カイルは2人をそこに誘導した。
「こんなところに隠し通路? 総督府に通じる通路の他にまだ通路があるなんて情報が無かったが、まさか、財団会長や他の生存者はここに入って逃げたのか⁉」
グリスは暫くその隠し通路に疑問を持ったが、考える余裕はなく、すかさず、その通路を通って逃げていき、デーモンビーストはカイルから抜き取った青白い血を触手から吐き出し、苦しみから解放されたが、3人を見失い、ジオフロント内を彷徨った。
月面都市ムーンシティ、アーク大統領ブレックは非常時と称してジグラットは副大統領に任せ、コルプと共にそこで地球の様子を調べていた。
「それは本当か⁉ コルプ。」
「はいっ! メトロポリスは壊滅状態に陥り、死者は数知れずとなっています。」
「では、財団は全滅か?」
「あの状況では、まず助かりはしません。」
「ホテップ本社はどうなっている?」
「襲撃を受けてはいますが、幸い、あの個体はメトロポリス程重要な拠点と認識しておらず、まだ持ちこたえている模様です。
この状況で、我等が支援すれば、ホテップ社は我等に付き、残った連合国をまとめることが出来ます。」
「そうなれば、この私が地球圏統一の偉業を成し遂げられる。これでコロニーの悲願は達成される。
実に長かった…人類に宇宙圏に進出するという壮大な計画。だが、未だ地球に拘り、地球環境が劣悪な状態にも関わらず、寄生虫のように蔓延る連中のせいで、数世紀もの間、凍結状態にあった。
しかし、この惨劇により、再び地球圏の者共に恐怖を植え付けて我等の配下にし、ホテップ社を味方に付けることによって、人類の宇宙圏開拓の労働者を増やすことが出来、更なる発展を遂げることが出来る。
そうなったら、先ずはこの月面を更に開拓し、ムーンシティを広げ、次に太陽系惑星の開拓と第2、第3のコロニー建造を推し進める。」
「閣下の偉業は後世に語り継がれます。」
「よし、直ぐにガーディアントルーパー隊をロンドンに向けて出撃しろ!」
「閣下! 未確認飛行物体が多数こちらに接近しています!」
「隕石か⁉」
「いえ、生体反応があります。」
映像が出されると、それは双頭の鷲のような姿をした巨大生物で、ガーディアントルーパーが出撃しようとするも、巨大生物の方が遥かに速く、出撃する間もなく、破壊され、同時にムーンシティの仮の大統領官邸も破壊され、ブレックはそれに巻き込まれ、死亡した。
ブレックがムーンシティにいる間、副大統領がジグラットを預けているが、相変わらず、デモは続いていた。
「やれやれ、大統領は何故、ムーンシティに行って私にここを預けたのだ? スパルタカス党の勢力は日に日に増しているというのに…」
その時、突然、銃声が鳴り響くと共に、武装化した市民が副大統領のいる個室に潜入した。
「貴様ら…これは何の真似だ⁉」
「革命により、アーク政府は崩壊した。我々はあなたに辞職を要求します。」
「クーデターか…だが、市民の武装は800年前の初代アーク大統領から制定された憲法に違反し、貴様らは国家反逆罪だ!」
「そんな過去の異物のような憲法は意味をなさない。何故なら、これはクーデターではなく革命ですから。」
武装化した市民の背後から現れたのはスパルタカス党総帥ブラッドだった。
「実は、現大統領ブレックは現在、地球圏を脅かしているデーモンビーストをけしかけるために生物兵器を利用したことが各調査で明らかになり、地球圏の虐殺を計画したとして、世間に公表し、コロニーにあるホテップ支社及び、ポリスアーミー、市民が全て我々に属し、ムーンシティに立て籠るブレックを処刑しました。
そして、残ったあなたの辞任と時期大統領をスパルタカス党総帥になることを市民投票で通りました。つまり、あなた方の時代は終わったのです。大人しく降伏を受け入れ、副大統領の辞任を認めてください。」
「誰が認めるか‼ そんなイチャモン、貴様らが政権を取りたいだけの口実だろ! 第一、議会の承認もなしに勝手に市民投票を行う等、蔑ろにするにも程がある。 断固としても、今すぐにでも議会に向かって貴様らを国家反逆罪で裁いてやる!」
ドンッ!
問答無用だと言わんばかりに武装化した市民はお構いなしに発砲し、副大統領は射殺された。
「連邦議会の制圧も済んでいるな?」
「はい、抜かり無く。」
「ようやく、我が党の悲願は達成されたか。」
To be continued
次回予告
デーモンビーストを振り切り、隠し通路を通ったグリスたちが辿り着いた場所はある巨大な文明の痕跡と思われる遺跡に辿り着いた。財団やその他の生存者を探す中、カイルは2人を誘導し、ある場所に着くとそれまで口が効けないカイルが突然話し出し、ある場所を教えた。それはアトランティスだった。
次回 「アトランティスの遺産」 伝説の文明を目の当たりにした少年少女はある事実に直面する