だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
ブレックがムーンシティに移動してから、コロニーに動きがあった。スパルタカス党はムーンシティにガーディアントルーパー隊が護衛として駐留していることを口実にブレックがガーディアントルーパー隊を私設軍隊として、市民を抑圧し、ムーンシティを首都にしようとしていると市民を扇動し、スパルタカス党支持の市民は暴動を起こし、ポリスアーミーの本部を襲撃、武器を奪って武装化することによってクーデターを起こした。
クーデターに成功したスパルタカス党は射殺した副大統領以下アーク政府の関係者も全て地球人類虐殺を図ったとして処刑し、総帥であるブラッドは市民の前で演説を行い、アーク政府を解体し、地球圏で苦しめられている同士たちを取り込んだ統一政府として、アーク政府を解体し、スパルタカス人類革命政府の樹立とその国家元首として自ら初代大総統に就任することを宣言し、その様子はコロニー中で全国中継された。
そのため、その中継をコロニーを訪れたラルドを助けた自警団暁のケイドとJもその様子を見ていた。
「地球に続いて、どうやらこちらも動きが出たようだ。そうなると連中も益々派手にやりまくるだろうな…」
「だとすれば、こちらも対策を急がねばならない。スサノとデナムを直ぐに日本に引き戻して奴を目覚めねば、更に増長を許すことになる…」
「まあ、こっちもこっちで上は揉めあってるし、アトランティス関係で連中と対立している勢力を引き込むのも難しいし…」
「だが、何としても、やらなければならない。奴等の野望を阻止するためにも、5年前の怨みを晴らすためにも…」
「あんたが復讐を晴らしたいのはわかる。だが、目的は忘れちゃもらっては困る。」
「それぐらいはわかっている。それで感情的になったり、自分を見失うほど愚かではない。」
「自分の本当の名前を捨てたのはその覚悟の表れって奴か…」
「そう思ってくれて構わない。」
「わかったよ。あんたのベルセスの調整は終わったから、これからの指揮も頼むよ! ゲリング。」
「むしろ、頼むのはこちらだ。」
ジグラットを大総統府へ改修したブラッドはポリスアーミーを解体して私設軍隊として宇宙革命軍を設立し、ムーンシティを軍事基地に改造した。
「コルプよ。お前の諜報のおかげで、わが党は政権を握れた。改めて礼を言う。」
「ありがたいお言葉です。大総統閣下。」
「さて、コロニーを掌握したとなると、次に我々が手を打つべきは地球圏だ。ホテップ社が我等の味方なら、地球圏にある本社も助ける必要がある。
どうだ? この際、宇宙革命軍とムーンシティを破壊した我々の生物兵器を地球圏に送って旗揚げにするのは?」
「大総統、余り事を急ぎすぎるのは考えものです。ホテップ社が後ろ楯になり、市民の支持を得たとはいえ、我等はクーデター政権に過ぎません。
恐らくコロニー内でも我が党に反抗する者もいるでしょう。先ずは不穏分子を片付け、コロニー内の足元を固めるべきです。」
「かといって、ホテップ本社がデーモンビーストに壊滅されては我が政権の維持は困難になるだろう。」
「いえ、ここまでも全てホテップ社のシナリオ通りです。ましてや、1000年以上前から世界経済を牛耳り、ロックフェルド財団を通じて連合国を支配してきた企業です。
私設軍隊ぐらいは持っているでしょうし、それに我が党がクーデターに成功するまでここまで援助したのもホテップ社です。こちらより強力な生物兵器も有していますから、何も心配はございません。
それより、我が党が地球圏に残した兵器を指定されたポイントに爆破させることは党創設者マルクス・ウォッカの遺言の計画にあります。それを直ぐ様実行すべきです。」
「では、我等はしばらくここで様子見か…」
「はいっ、指定されたポイントを爆破した後、ホテップ社は財団会長と時期財団会長を迎え入れ、新たに国家を創り、我が党の政権を国際的に認めてくれるでしょう。」
「会長とその養子は消息不明と聞いたが…」
「それも問題ありません。それも計算の内に入っております。」
「不味、ポイント1はバミューダトライアングルと呼ばれる海域、ポイント2は南太平洋の南緯48度52分、西経123度23分に位置するポイントネモと呼ばれる海域、そしてポイント3はエジプトの何処かだったな。」
「はいっ、その指定ポイントに我が党の兵器を爆破させれば、全て計画通りです。」
「では、直ぐにでも発射準備を…」
「大総統、計画は入念に行うものです。時期を見なければ計画は崩れてしまいます。ここは一旦様子を見てから発射させてください。」
「では、お前はそのタイミングを出せるか?」
「地球圏にいる我が同胞が出してくれるから、何も心配はいりません。」
「よし、では、その支持に従おう。」
ジオフロントの隠し通路を通ったグリスたちは、円盤型のデーモンビーストが血眼になって捜している思って、出来るだけ距離を離れるよう進み続けた。そんな中、カイルは道を知っているように常に先頭を歩き続けた、
ジオフロントが崩れた原因の爆発の影響で所々不安定になっていたが、それでも十分通れ、通路内には銃弾の跡と金属類をぶつけたような跡もあり、ここを通じて何処かの部隊が脱出していたのは確かであり、僅かな希望が見えた。
しかし、しばらく通ると道は封鎖されていて、出口らしきものは見当たらなかったが、カイルは応じることなく冷静に壁を叩き、空洞になっているところを見付けると、その壁を破壊し、そのまま通っていき、カイルの行動に奇妙さを持ちながらも、今は付いていった方が先決とみて、付いていった。
新たな通路を通ると足元は動く歩道になっていて、足を休ませるのに適していた。しかし、この歩道は周りも含め、最近のものではなければ、数千年近く経っているもののようであったが、つい最近出来たように問題なく稼働していて、それにも奇妙を感じた。
しばらくして出口に出ると、そこはジオフロントのような地底都市に見えたが、遥かに古く遺跡のようなもので万年近くの代物であったが、数百mもある超高層ビル群のような巨大建造物も幾つか存在し、今の時代より高度な文明のようであった。
「何だ、ここは…? 総督府なのか…」
「ここは全ての人類が生まれ育った最初の地、僕たち一族の計画が始まるキッカケとなった最初の場所…」
突然、障害か何かで口が効けないと思われていたカイルが流暢に話し出し、ある場所に向かって歩き出して、何かの装置を起動した。
カイルが作動させた遺跡のホログラムが映したのは、地球の生命誕生と遺跡の文明の起源の記録映像だった。
生命がまだ誕生していない原始の地球にある有機生命体の宇宙船が降り立ち、そこから幾つかの顔と触手を持った種族が自らの細胞を使って、この星に生命を生み出した。
やがて、生命は恐竜時代まで進化し、繁栄を辿り、創造主たる彼等はそれを見守っていた。しかし、そんな時、巨大な隕石がこの星に衝突し、その隕石から巨大なタコの触手と悪魔のような翼を持った、それは丸で邪神とも言うべき禍々しい姿の怪物が現れ、恐竜とその星に住む生物を根絶やしにするよう、滅ぼしていった。
創造主はその邪神のような侵略者に立ち向かうものの、邪神に敵わず、彼等も次々と打ち倒されていった。謎の侵略者によって滅ぼされるかと思われたその時、マグマのような赤い隕石が天空から現れ、そこから13体の巨人が現れ、激しい死闘の末、邪神に打ち勝ち、その邪神を太平洋の海に封じ込めた。
脅威が去ったことにより、13体の巨人は創造主に力を与え、恐竜を初め、滅びた地球の生命を新たに創り直した。やがて、創造主は13体の巨人から与えられた力を基に恐竜に代わる生物として人類を生み出した。
原初の人類は創造主と13体の巨人を崇め、彼等の力によって文明を築き、13体の巨人は邪神を封印したが、その戦いと地球に到達するまでの間、宇宙を放浪していた影響で、本来の姿を保てなくなり、創造主によって生み出された人類の中から選りすぐった13人と命を共有し、太平洋に大陸を創り出し、その地をムーと呼み、人類をそこに移住させて、国家を築いた。
やがて、人類は自らの手で文明を築き、自身たちの力がなくとも、自立出来ると見た創造主は大西洋にも同じ大陸を築き、13体の巨人と命を共有している者や創造主に付く者以外の人間をそこに移住させ、アトランティスと名付けた。
そして、アトランティスは更に文明を発展させ、その技術力はムーをも越える勢いとなった。だが、そうした文明の急速な発展は人類を益々増長させることになり、それまで神として崇めていた創造主と13体の巨人は不要とし、人類がアトランティスがそれに成り代わる存在になろうと考える者が続出し、ムーに反乱を起こす企てを立て、その指導者としてある人物を迎え入れた。13体の巨人と命を共有している者の1人で他の12体から過激的な思想として追放された者だった。
13体の巨人は選抜した人間と命を共有することによって人間的な思考と人格を形成することになり、その内の1人は人類はやがて、我々に反乱を起こすと預言し、そうなる前に人類を我々の力の源に創り替え、この星を完全に我々の星にするという思想を持つようになり、これを危険視した12体の巨人は兄弟である彼を追放し、流刑にされたが、そんな彼をアトランティスは反乱の狼煙として受け入れ、彼はアトランティスを率いれ、ムーに攻め行った。
ムー、アトランティスによる大陸同士の戦争はムーが優勢であったが、アトランティスを率いる巨人はムーに封印された邪神を自らの眷属として解き放ち、やがて、創造主を滅ぼし、12体の巨人の内5体が倒される程になり、残った巨人は禁断の術を使ってアトランティスを率いる巨人を別の次元へと飛ばし、邪神を更に分離し、ムーとアトランティスそれぞれに封印させ、2つの大陸を海に沈めることで終結した。
7体の巨人は創造主の力を受け継ぎ、残った人類と共にアフリカ大陸に渡り、ピラミッドを築き、新たな文明と国家を形成した。
しかし、巨人のリーダー格は戦争の経験から、人類が再び自分たちに矛を向ける可能性を示唆し、残った人類も殲滅し、新たな生命を創ることを提案したが、6体の巨人はそれを受け入れず、人類は我々から離れ、自立すべきだとし、この星から出ることを提案し、やがて巨大な船に姿を変えたピラミッドに6体の巨人が乗り、地球から去っていったが、リーダー格の巨人は人類を信用せず、再びかつての戦争のようなことが起きるなら、自らの手で粛清することを選び、受け継いだ創造主の力から巨大な翼を持った巨人の姿をした眷属を生み出し、それらを通して人類を監視するための役割を与え、船に変えたピラミッドに乗せ、月に到達させ、自らは別のピラミッドの中に眠り、地中深くに封印した。
遺跡が映したホログラムはここまでで終わり、カイルは奥の部屋にある巨大な石碑を見詰めた。
「僕たちはの一族は彼等の粛清を止め、この星を浄化するためにアーク計画を立てた。
だが、一族をたぶらかす者と邪神を生み出した邪悪な存在が歴史を動かし、それに翻弄されていった。 それらを崇拝する者らが現れ、父なるダゴン、母なるハイドラ、星帝、そして無貌の神と呼んだ。
そして、この遺跡に眠るその内の1体、母なるハイドラを僕がこの手で討つ!」
「おいっ、さっきから何言ってるんだ⁉ お前!」
その時、下から何かがドリルで地中を掘り進んでいってる音が聞こえ、
「不味い!」
何かを察したカイルはグリスとヘレナを抱えると、遺跡がジオフロントが崩れた時と同じような爆発が起き、遺跡が崩れ落ちた。グリスとヘレナはカイルの常人を遥かに凌駕する身体能力によって爆発を逃れられやすい箇所に逃げ込められたため、辛うじて助かった。
「今の爆発は…あの時の…」
「また、僕たちを邪魔する輩の仕業か…」
カイルのその表情は激情したものだったが、それより驚愕な姿をグリスは目に焼き付けた。カイルの背中は円盤型のデーモンビーストに吸血されたのと同じ青白い血を流して負傷していたが、その血は丸で生きているかのようにミミズのように動いて傷口から身体の中へ引っ込めようとしていた。
だが、更なることが目の前に起きた。崩れ落ちた遺跡から、幾つもの巨大な蛸の触手が現れ、その本体として女性を思わせるような細い体格と海竜と魚を合わせたような姿の巨大生物が現れ、咆哮を上げると、地中の中に掘り進んでいった。
「半身の元へは行かさんぞ…」
それを逃がすまいとカイルはその後を追い、突然のことに戸惑いながらも、グリスとヘレナも付いていった。やがて、それに呼応するように地上では暗雲が立ち込め、その雲から悪魔のような翼を持った大蛇が無数に飛び立っていった。
To be continued
次回予告
カイルが母なるハイドラと言う巨大生物がアトランティスの遺跡から目覚めると同時に、世界を暗雲が包み、邪悪な空から悪魔の翼を持った大蛇が円盤型のデーモンビーストを喰らい、蹂躙し始めた。
新たな脅威が現れる中、翼を持った巨人が現れ、その大蛇を蹴散らしていった。果たしてその正体とは…
次回 「動乱」 世界を邪悪な闇が包む中、混沌が走る