だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
アトランティスの遺跡から、邪神の分身体ハイドラが現れ、それに呼応するように世界の空を暗雲が包み込み、その空から悪魔のような翼を持ち、リヴァイアサンに似た大蛇が無数に飛び立ち、あらゆる地域に現れていった。
地球圏連合国の各総督府は円盤型のデーモンビーストの侵略に尚も抵抗を続けたが、首都の精鋭が敗れた状態で、総督府の軍でどうにかなるわけではなく、首都と同じように攻略されるのは時間の問題であった。
そんな絶望の中、漆黒の闇のような暗雲から現れた大蛇が現れ、円盤型のデーモンビーストに襲い掛かった。バリアーを張っているにも関わらず、大蛇の牙はバリアーごとデーモンビーストを噛み砕き、次々と捕食していき、暗雲の中へ戻っていった。
突如現れたその大蛇に得たいの知れない恐怖を持ちながらも、総督府の部隊には円盤型のデーモンビーストによる絶望を打ち砕く救世主とも信じるようになった者たちさえいた。
円盤型のデーモンビーストを殲滅するように捕食した大蛇が暗雲の中へ消えた後、今度は別の存在が現れた。
それは巨大な翼を持ち、血管のように身体が赤く、外骨格のような姿をした巨人だった。
モスクワ総督府では、円盤型のデーモンビーストは総督府にまで迫る程となり、首都同様に壊滅するのは時間の問題となった。
だが、そこにも暗雲と共に大蛇が現れ、円盤型のデーモンビーストを巻き付いたり、翼で覆ったりして次々と1体残らず捕食していった。
「おいっ! アレは味方なのか…?」
大蛇がデーモンビーストを全て食らいつくし、再び空へ飛び立とうとしたその時、空を切り裂くように翼を持った巨人のような姿の怪獣が現れ、大蛇はなりふり構わず、襲い掛かったが、不気味な姿の巨人は巨大な口を開くと強力な衝撃波を放ち、その威力は核に近いもので、数体の大蛇を一気にバラバラに両断し、衝撃波から逃れた個体には両手を鎌のような姿に変形し、大蛇の首を斬り裂いていった。
「おいっ! アッチもどうなんだ⁉ 味方なのか…」
「馬鹿言え! こっちの大蛇は悪魔共を倒してくれたんだ。だったら、その大蛇倒した奴は敵だ! 撃て、撃て~!」
モスクワ総督府の部隊は円盤型のデーモンビーストを喰らい尽くした大蛇を味方と信じ、逆に大蛇を倒した不気味な巨人を敵として砲撃した。
巨人はしばらく考え込んだのか、砲撃されても沈黙を保ったが、反撃に移り、衝撃波で部隊を一瞬の内に壊滅し、暗雲にも衝撃波を放って、雲を払い、日の光が差し込み、その光に向かって飛びさった。
北京総督府、ここは他の総督府と比べ、軍の力が強く、堅固であったため、足止めに成功し、こちらも例外ではなく、空を包んだ暗雲から現れた大蛇が全滅させたこともあって死守することに成功した。ウー総督は全ての総督府を統括し、連合国の復興に努め、各総督府と通信を試みた。
流石に議長及び財団会長が不在故に動揺する者はほとんどであったが、あくまで消息不明であって死亡は確認されていないと言葉巧みに丸め込んで彼等を引き込むことに成功した。その後、状況の説明を聞く中、モスクワ総督府から奇妙な情報を聞き、側近のタオやその他生き残りの上層部にも旨を伝えた。
「気候変動から考えて不自然に現れた暗雲とその大蛇の他に翼を持った巨人らしき巨大生物が現れたという情報があり、モスクワ部隊を全滅させたと聞いた。
大蛇の方は我々に攻撃しなかったため、最悪無視してもいいが、巨人の方は総督府の部隊を全滅したとある。となると、この対処をどう取るか…」
「ならば、情報を集める必要があります。ホテップ本社も比較的被害は最小で済みましたし、調査隊を派遣するよう願い出て、その一件はマードックに任せます。それなら、総督府の統括は何とかなります。」
「そうだな…それにしても、首都からこちらへ脱出出来た者に君がいたのが幸いだったな。そうでなければ、各総督共を説き伏せることが出来なかったぞ。オルドー元帥。」
「万が一のためにKCIA本部に設置した非常用の脱出口があったのが、幸いでした。」
「まあ、議長はともかく財団会長まで不在なのはちと厄介だぞ。ホテップ社も表向きは政治には不干渉なため、目立った行動は取れん。」
「会長の御養子が無事なら、議長がいなくとも、連合国復興の象徴として擁立することは出来ます。」
「しかし、報告では、会長と一緒にいたと聞いたぞ…」
「会長は実の娘以上に我が子として寵愛してました。万が一の保険として影武者を使って予め本物を既に脱出していた可能性も十分考えられます。」
「わかった。では、それまでは何とかしよう。それとデーモンビーストに攻撃された地域も再制圧しないとな。」
地球に世界終末のごとき不穏な状況が走る中、コロニーではスパルタカスがコロニーでの支配を完全なものにするべく動いていた。
コルプが指摘していた通り、市民の支持を得ているが、それでも1/3はブスパルタカスの政権を認めず、国民選挙によって大統領を選抜し、アーク政府を作り替えるべきと主張し、デモを行った。
しかし、大総統となったブラッドは戒厳令をしいて宇宙革命軍で徹底的な弾圧を行い、後退せぬ者には構わず射殺すべしとの命令まで下し、更にテレビ局等も掌握したため、そういった弾圧政策は隠蔽する等の工作も行った。最もそれは火に油を注ぐようなもので、反対者は更に続出するようになった。
「コルプよ、意外と手こずっているようだな。」
「はいっ、ブレックのありとあらゆる情報を漁って世間に公表したにも関わらず、未だに我が政権を認めない連中も割りといます。」
「これだけの手を打っておきながら、連中全てを根絶やしに出来ないとは裏で引いている黒幕がいるということか…」
「その件のことですが、どうも気になることがありまして…」
「何だ?」
「以前、あの小娘の議長がコロニーを訪れた際にホテップ社が派遣したラート、ドラン、エルファの3人に命じて行った遺跡の強奪と同時に計画されていた歴史資料館の爆破工作の時に工作員から、ポリスガーディアンと異なるタイプのロボットが誰か抱えたという目撃情報があり、しかも、その抱えられた者が小娘議長と同行していたガキとの報告もありました。」
「何だと⁉」
「気になって例の3人に調査を命じたところ、わが党の支持者もいるスラム街の廃れたビルを出入りしていて、しかも、我が政権の反対者の何人かも出入りしていたとの情報が確認されました。」
「それは本当か⁉」
「間違いありません。オマケにそのビルから電波妨害があったそうです。」
「とすれば、そこを潰せば、完全に弾圧出来るというわけだ。よし、直ちに革命軍を派遣し、徹底的に破壊しろ!」
「一応、何人か捕らえて尋問しては如何でしょう? ホテップ社と協力して、徹底的に潰したあの島国の生き残りがそこにいる可能性もあります。」
「ならば、一切の指揮はお前に任せる。徹底的に破壊した後、生き残りは直ぐに捕らえろ!」
「はっ!」
コロニー内にあるスラム街、かつてコロニーを訪れたラルドが資料館爆破の際に助けた自警団暁の本拠地がある場所であったが、アーク政府が未来予知と人間の反応速度とより地位を向上するよう、使用する人間に対し、勧めるAIまで開発し、それによってAIを持つものと持たざるものによって貧富の差が生まれ、スパルタカス党が台頭する原因にもなった。
自警団暁のケイドはAIは人間以上の存在として進化させる存在ではなく、人間の手が及ばない範囲の仕事と手助けをさせ、孤独な人間に寄り添う存在として性能を上げるよりより人間的にするべきだという活動を表向きとして、スパルタカスの反抗勢力の中心的人物でもあった。 しかし、それと同時にある目的を遂行するための影の組織のメンバーでもあった。
「司令、ベルセスの調整済みました。これでいつでも行けます。」
「すまぬな、ところで、スサノとデナムの安否は?」
「本部から連絡は来ていないが、あの2人のことだ。上手く生き延びて日本に行ってることだろう。ましてや、この状況なら、尚更だ。」
「そろそろ、敵も表から姿を現すことになる。何としてもあの時の仇と奴等の野望を阻止せねば…」
ゲリングの手は手袋をしていたが、その仕草は怒りを込めていた。
「司令、余り無茶はするな。」
「わかっている。」
「マスター! マスター‼ 大変です!」
「Jか、騒々しい。何事だ?」
「スパルタカス党の軍隊がスラム街に現れ、このビルに集結しているそうです。」
「何⁉」
ケイドが慌てて外に設置している監視カメラの映像を見ると、宇宙革命軍が完全に取り囲んでいた。
「思ったより、ここでは妨害電波も入れているというのに…」
「どうやら、あの時、ラルドを助けた際に連中の一味に感ずかれたそうです。」
「一瞬の油断があったか。だが、ここが知れた以上、このまま支部をここに置くわけにはいかない。司令、目立つ行動になりますが、アレを使います。
それで、敵に隙を与えますので、司令はその間に逃げてください。」
「それはいいのだが、ここで目立った行動を取れば、スパルタカスは手を緩めず逃がさぬだろう。お前たちは大丈夫なのか?」
「コイツはあのカトンボにつぶれるほどのタマじゃありません。それに、このコロニーは俺の庭です。何処へでも隠れられます。」
自警団暁のビルを取り囲んだ宇宙革命軍に指揮を取ったコルプが命じた。
「突入後、徹底的に破壊しろ! 生き残りがいたら、殺さず捕らえろ。」
コルプが攻撃開始の合図をしたその時、突然、ビルの壁が崩れ落ち、中から全身は金色で、鼻が巨大な砲塔になっていて、手は回転ノコギリ、目は監視カメラの形状をした巨大ロボットが現れた。革命軍の兵士は一瞬呆気に取られていたが、構わず砲撃し始めたが、巨大ロボットは直撃してもものともしない上に無傷で済み、鼻からプラズマレーザー砲を放ち、更に近付いていく機体には回転ノコギリで斬り刻み、肩と腰に装備されているミサイルポッドで次々と撃破していった。
革命軍は怯まず、尚も攻撃を続行したが、巨大ロボットは足の裏のジェット噴射で飛行し、コロニーの壁を回転ノコギリとミサイルでこじ開けようとした。
「いかん! 奴は宇宙に逃げるつもりだ。絶対に外に出すな‼」
コルプが命令を下すが、時既に巨大ロボットはコロニーの壁を破壊し、宇宙に飛び立ち、革命軍は宇宙に放り出されてしまい、巨大ロボットは腹を開け、ベルセスを出撃させた。
「司令、今のうちです!」
「しかし、コロニーに穴を開けて大丈夫なのか?」
「万が一のために、俺たちに同調してくれる市民の助けを借りて、彼処にいる人々は既に安全圏に逃げ込んでます。
それに彼処は元々建造前から、脱出船の出口として設置したが、使われず、不毛の地としてスラム街になった場所。彼処が破壊された程度でコロニーに大したダメージはありません。後は俺が引き受けますので、早く地球に!」
「わかった、無事でいろ。」
「誰に言っている?」
巨大ロボットはベルセスの邪魔を阻止するためにコロニーから出撃した革命軍の機体を撃破したが、反対側からムーンシティを襲った双頭の鷲の姿をした巨大生物の大群が現れ、巨大ロボットを取り囲んだ。
暗雲は地球上を覆い尽くし、特に太平洋上、ポイントネモと呼ばれる海域はより強く黒く覆っていた。大蛇の大群はその上空中心を飛び回り、やがて、その海域から、アトランティスに似た遺跡が浮上した。
To be continued
次回予告
アトランティスの遺跡で目覚めたハイドラを追うカイルに付いていったグリスとヘレナは巨大な蜂の巣のような場所に到達した。
カイルはアーク計画の最初の地と呼び、何かを始めようとしたが、バルガとは別の不気味な姿のクモ型の巨大生物が現れ、同時に意外な人物も現れ、その人物から財団と連合国の真実が語られた。
次回 「ロックフェルド家の真実」国家の誕生、それは裏切りと謀略の歴史