だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
ホテップ社、ロンドンに本社を置き、パラディウス家を本家とし、代々CEOを継ぐ国際企業。世界経済を牛耳り、各企業を支配下に置き、米中ソをも屈服させる程の力を持ち、現在でも、ロックフェルド財団と地球圏連合国、スパルタカス党の双方でも手駒に置いている。
そのトップたるパラディウス家は大英帝国時代の大富豪家とされているが、企業内ですら、顔を見せず、その家系の人物を見た者は誰一人いないとされ、いつ頃から続いていたのか、起源は不明とされる。一説ではローマ帝国時代の家系がイギリスに、古代エジプトからイギリスに移住してきた家系とも、パラディウス家という姓が偽姓とも…
ヘレナがブリュースター中将率いる護衛部隊と共にジオフロントに向かう前、ブラッディはヘレナにもしものことがあった場合、ナイルを連合国復興の象徴として擁立するべく、その護衛とホテップ本社に送らせることをマッカーシーとオクタヴィスに頼んだ。
2人はヘレナの護衛もするつもりだったため、承諾しづらかったが、現財団会長の寵愛を得ているとはいえ、財団専横を許すような人物ではなく、時期議長候補は1人でも多く残すべくと主張して2人はそれを呑み、ナイルを乗機のミカエルを乗せ、テイラー大将率いる部隊がトライフォルドと交戦している隙に2機だけで密かに首都を飛び立ち、ロンドンに向けて出撃した。だが、これがヘレナを始末するためのブラッディの策略だということは2人は知る由も無かった。
マッカーシーとオクタヴィスがそれぞれ搭乗するミカエルは暗雲の中、飛行し、ロンドンのホテップ本社に辿り着き、地下に続くゲートに入っていった。
中にはセネイトガーディアンが警護に辺り、人間の警備員は1人も見当たらなかった。ナイルと共にミカエルから降りると、マッド・ブリンガーが3人の付き添いと共に待っていた。
「良く来てくれました。ナイルも良くご無事で…」
「ところで、僕はどうなるの? 御姉様は生きてるの?」
「ご安心ください! それにあなたの義姉も生きているとブラッディ特務少佐から報告がありました。何もご心配はいりません。 エルファ、ラート、ドラン! ナイル様をお連れしろ。」
「わかりました。」
「CEO代理、あの3人は?」
「私の代理でもある部下です。 ここでは役割の多い者もいますからね。」
「警備員が1人もいないのも、それですか?」
「ええ、それとあなた方にも会いたい人がおられます。」
「誰です?」
「こちらへ…」
そこに現れたのはクトラとノアだった。
「ブラッディ少尉にアベラス特務二等兵! 君たちも無事だったのか⁉」
「はいっ、デーモンビーストと戦って意識を失っている間にクトラに助けてもらって…」
「流石はブラッディ少尉。しかし、何故、2人がここに?」
「実はパラディウス様がお二人に会いたいと、こちらへお呼びしました。」
「CEOが⁉」
「デーモンビーストによって壊滅寸前となった連合国復興にはお二人は必要な人物として高く評価されてます。」
「そこまでとは驚いたな…」
「ちょうどお二人はパラディウス様の元に行かれるのですが、特務大佐、特務大尉殿もいかがでしょうか?」
「我々もですか…」
「はいっ、せっかくですので…」
「わかりました。そうさせてもらいます。」
ブリンガーの案内で部屋を歩く4人、横をver2のセネイトガーディアンが警備兵として並ぶだだっ広い通路をしばらく歩いた後、巨大な自動ドアが開くとそこに周囲を不気味な仮面を被ったタキシードの者が何人か佇み、玉座のような椅子だけがあるだけの広い空間で、その椅子にタキシードの者とは異なる仮面を付け、威厳のあるマントや手袋を着用し、身長190cm以上はあるかと思われる人物が座っていた。
「パラディウス様、お連れしました!」
「クトラ、ノア、よく来てくれた。特にクトラ、お前はよく生き残り、ノアを無事に連れてきた。その働き、感謝いたすぞ。」
「勿体ない御言葉…」
「その働きに敬意を称し、君には私とナイルの親衛隊の隊長となってもらう。これからも、私の期待に応えてくれ。」
「感謝いたします。」
「それと、ノア。君のことはクトラから聞いていた。私の見立てでは、君は新たな国家を築き上げるのに必要な人物と思っている。」
「それは嬉しいことですが、ヘレナはどうなるのですか? 彼女は助かるのでしょうか…」
「安心したまえ! 彼女の安全は私が保障する。これからの働きに期待しているよ。」
「ありがとうございます!」
その様子にオクタヴィスはパラディウスに質問わ投げ掛けた。
「あなたは本当にパラディウスCEOなのでしょうか?」
「どういう意味だ?」
「その仮面は…その仮面は一体何なんでしょう? 傷や病気を隠すためならともかく、わざわざ姿を見せるなら、顔を見せないのは失礼ではありませんか?」
「では、お前たちはどうなのだ?」
「はっ?」
「私呼んだのはクトラとノアの2人のみ…それを呼んでもない付き添いの者がこの私にとやかく言う程言える立場か?」
それを聞いたオクタヴィスは反論出来なかった。
「パラディウスCEO、私の部下の非礼をお許しください。」
「まあ、いい。こちらには用がないが、お前たちに会いたい者がいるので、ソイツにこの場を任せる。」
パラディウスが仮面のタキシードの男に指示を出し、ある男を連れ出すと現れたのはモーゲンソウだった。
「モーゲンソウ前議長⁉」
「君たちも生き残ってくれたとは嬉しく思う。だが、同時に悲しい情報と真実を君たちに教えなければならない…」
モーゲンソウがマッカーシーとオクタヴィスに渡した資料と話では連合国を壊滅させた円盤型デーモンビーストの正体が悪魔の審判で人類を滅ぼした存在であり、財団の真実のことであった。
「あの円盤型のデーモンビーストが悪魔の審判で人類を滅ぼしたデーモンビーストで、それを生み出したのが財団で、今回の襲撃はアーク政府と結託したものだと⁉」
「私が財団派を装ったのも、その動向を探るため…スパルタカス党がコロニーでクーデターを起こしたのもその計画を阻止するためだったのだ。」
「あなたは確か、テイラー大将とも親しかった。財団を支持するようになったのも、元はと言えば、そのためでしたか…」
「そうです! しかも、財団は表向きはホテップ社を後ろ楯にしていたため、その情報を完全に隠蔽していた。しかし、パラディウスCEOは以前から疑問に感じ、私を使い、スパルタカス党を結成してようやく真実に近付いたのです。」
「それでその首謀者たる会長は?」
「死亡は確認されていますが、ただ…」
それに割ってくるように仮面のタキシードの男がモーゲンソウに何かを話した。
「どうやら、その残党がこちらに来たようだな…」
モーゲンソウが映像を流すと、それに映っていたのは変貌したカイルだった。
「アレはあの時の」
「そうです。トライフォルドが現れる前に出現したあのコーカサス型のデーモンビーストと同種に当たるグラーザスと呼ばれる財団の生物兵器です! 最もあの時とは別個体のようですな…」
「では、私がオクタヴィス特務大尉と共に出撃します!」
「止めなさい。アレは他のグラーザスとは異なる非常に強力な個体です。例え、ガルバトロナスでも相手にならないでしょう。」
「では、一体何を…?」
「なあに問題はありません。そのためにこちらもそれに対抗するための生物兵器を持っています。毒は毒を持って制すですよ。ブリンガー殿、例のものを出してあの害虫を返り討ちにしてやってください。」
「わかりました。」
その後、ホテップ本社から現れたのは月面に現れたのと同じ蜂とミノカサゴのデーモンビーストだった。
「アレは?」
「ホテップ社が開発した生物兵器ラタドルスです。こういう時のために用意していたため、今まで公に出せませんでしたので、アレ一体だけではありませんが、とにかくご覧ください。」
出撃した蜂とラタドルスは以前同様、口と爪から毒針を放ち、蜂の巣にしようとしたが、グラーザスの身体はそれらを全て弾き返した。
グラーザスの耐久力を見たラタドルスは再度毒針を発射し、身体の柔らかい箇所を狙って攻撃を続けたが、グラーザスはそれを読んで防護し、防いだ。
「フム、流石に財団の生物兵器にラタドルス一体ではキツいか…オルドロスとブラッドスも出せ!」
モーゲンソウが指示を出し、2体の生物兵器も出撃した。オルドロスは月面にも現れたシャチとマンモスの怪獣で、ブラッドスはトンボのような羽と右腕に営利で巨大な鎌を持った爬虫類型の怪獣であった。
ラタドルスが毒針を発射し続ける間にオルドロスがマンモス型の巨大な牙で襲い掛かり、すかさずグラーザスもヘルクレス型の巨大な角で刺突を狙ってぶつかり合い、両者一歩とも引けを取らなかったが、その隙にブラッドスが巨大な鎌でグラーザスの角を折り、グラーザスはその苦痛で悲鳴を上げた。
それを逃さず、3体は一斉に襲い掛かるが、ある衝撃波が3体に直撃し、それを阻止され、現れたのは幾度とも現れる巨人型怪獣だった。巨人型怪獣は1体だけにも関わらず、その3体に挑み、ラタドルスの毒針を翼による羽ばたきで払い、オルドロスの牙も両手で受け止めた。その隙にブラッドスが巨大な鎌でその背後を狙うも、腕をナイフ状の武器に変形して受け止め、それを阻止した。
「あのデーモンビースト…」
「新手か? だが、何が来ようが、我等の生物兵器に敵うものか! 直ぐに叩き潰せ!」
3対1の状況でも巨人型怪獣は善戦するが、オルドロスが再び突進攻撃を仕掛け、すかさず、ブラッドスが鎌で巨人型怪獣の身体を掴み、ラタドルスが毒針で蜂の巣にした。
毒針の影響で動きが鈍くなり、3体が止めを刺そうとしたその時、音波のような雄叫びを上げると、3体はその音波が苦手なのか、攻撃の手が鈍くなり、周囲もそれに苦しんだ。
しかし、クトラは苦しむどころか、何かを感じ、何処かへ向かい、それに気付いたノアも付いていった。音波が鳴り響く中、本社にいるガルバトロナスが突然、無人のまま起動し、セネイトガーディアンを蹴散らして暴れまわり、外に出ようとした。
異変に気付いたクトラがガルバトロナスにしがみつき、コクピットに乗り込もうとした。ガルバトロナスは振り払うように動いたが、それでも離れず、やむを得ず、そのまま壁を強引にこじ開けた。付いていったノアはクトラを助けようとしたが、間に合わず、ガルバトロナスは外に出て、3体を攻撃し、解放された巨人型怪獣はガルバトロナスを連れて何処かへ飛び去っていき、3体はそのまま追撃しようとしたが、そのどさくさに紛れてグラーザスが光学迷彩のような透明化能力を使って本社に侵入し、ナイルを連れ去って巨人型怪獣とは別の方向へ飛び去っていった。
To be continued
次回予告
巨大な暗雲が包むポイントネモから巨大な大陸が浮上した。それはアトランティスをも凌駕する遺跡を持った大陸だった。ガルバトロナスを連れた巨人型怪獣はある行動を開始した。その目的とは…
そして、グラーザスに拉致されたナイル奪還のため、ホテップ社もスパルタカスに協力を要請し、ブラッディに命じた。
次回「浮上する伝説の大陸」神話や聖書で語り継がれる大陸が現れる時、世界の全てが動き出す。