怪獣創世記 アークオデッセイ   作:オーガスト・アベラス

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 西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。
 だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
 やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
 悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…


Episode34「光の戦士を継ぐ少年」

 浮上したムー大陸、そこで尚もダゴン、ハイドラと交戦するガルバトロナスとアロガ、交戦中に装甲が剥がれ、中から別の身体のようなものが一部露出されると、パワーアップしたようにダゴンに連続攻撃を仕掛け、押していったが、遺跡内に散らばる人骨の化石が次々、魚人に変わり、その群れがガルバトロナスに群がっていき、更にダゴンが背中から無数の触手を生やし、ガルバトロナスの手足を拘束すると、残りの2本の触手でコクピットを貫き、液体金属状となって固まったクトラの身体に突き刺すとそのまま吸血していった。やがて、クトラの身体はミイラ化し、白骨化していったが、現れたのは人骨ではなく、人工ダイヤモンドで構成されたような金属のフレームだった。

 そのフレームの目が緑色に発光すると、周りの液体金属状を自身のフレームに取り込んで起き上がり、コクピットから脱すると何かしら共鳴音のようなものを鳴らし、それに呼応するようにダゴンと魚人の群れも叫び声を上げ、上空から、何かが飛んでいき、大陸に降り立った。それは5年前にゲイリー率いる派遣部隊を壊滅させたピラトという名の人型怪獣であった。

 クトラの肉体から現れたフレームはピラトの元に駆け寄り、常人を遥かに凌駕する機動力で、胸部によじ登ると、液体金属状になってその中に取り込まれ、その後、ピラトは拘束されたガルバトロナスに右腕の鉤爪で突き刺そうとしたが、ハイドラと交戦したアロガそれを阻止するためにハイドラを蹴飛ばし、強力な衝撃波を放ち、ピラトは咄嗟に翼でガードしたが、魚人の群れとダゴンの触手は衝撃波によって砕け散った。

 ピラトは直ぐ様、反撃に回り、右腕の鉤爪でアロガに突き刺すと頭部から何かが飛び出し、ガルバトロナスのコクピットに入り込んだ。アロガは生気を失ったように倒れ、溶解していくように消滅していった。

 アロガの身体から飛び出したものがコクピットに入り込んだ後、ガルバトロナスの全ての装甲が剥がれ落ち、本来の姿が露出した。それは眩い程の紫と銀色の金属状の身体に横に伸びた肩の突起、胸部には赤いコアを有した巨人であった。

 姿を現した巨人は両手を広げると、念力で遺跡と魚人を宙に浮かせ、手が炎に包まれると、宙に浮いた魚人たちが炎に包まれ、消滅していった。すかさず、ピラトとハイドラが襲い掛かるが、金属の巨人は宙に浮かせた遺跡を盾にして防いだ。

 ピラトは尚も攻撃を続けたが、巨人は右手をキャノン砲のような形状に変形し、遺跡を破壊すると、再び念力でそれらの瓦礫を集め、巨大な盾に変化させ、再び防いだ。

 その間に巨人は今度は杖のようなものを右手から生成し、その杖を投げつけてダゴンを串刺しにした。ダゴンは苦しみ、止めとして言わんばかりに更にもう1本生成しようとするが、盾を破壊したピラトが杖を破壊して、それを防ぎ、ハイドラが触手で突き刺されている杖を取り出してダゴンを取り込み、遺跡の地下へと潜っていった。それを見た巨人は追撃をせず、瞬間移動で遺跡から姿を消した。

 巨人が姿を消した後、ピラトは攻撃を止めると、頭部からあるものが液体金属状となって飛び出し、ピラトは活動を停止した。飛び出した液体金属状から姿を現したのはクトラであり、今度は肉体が元の状態になっていて、ハイドラがダゴンを取り込んで掘り進んだ跡の様子を見ていた。

 同時にVTOLが可能な輸送船が大陸に遺跡跡に着陸し、護衛と共にブラッディが現れ、クトラの元に駆け寄った。

 

 「ダゴンは?」

 

 「何とか死守しました。後はその進化を待つだけです。」

  

 「しかし、ヴォルヴァトスを仕留め損ねるとは…」

 

 「それも、あなたの指示では?」

 

 「皮肉で言ってるのか? まあ、良い。ここでくばたるわけにはいかんし、それに奴の目的はわかっている。そうだ! 奴が月に向かって深淵の邪神の復活とハスターが来るまでにあの装置を起動させるなら、そろそろ、ノアにも真実を教えてやらなくてはな…」

 

 「ヴォルヴァトスはどうするつもりです?」

 

 「あっちはスパルタカスに監視をやらせる。我々は残りの邪魔者も排除せねば…」

 

 「例のオロチの片割れがまだ生きているのか?」

 

 「どうやら、我々が想像している以上のバケモノだ。お前にとっては5年前の雪辱を晴らす良い機会だ。まあ…その前に始末しなければならない奴がいるのでな…財団の置き土産が…

 最も、そっちは改良したルシファロイドを与えたノアにやらせる。お前にはやるべきことがあるからな…」

 

 「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間移動した巨人が到達した場所は月の裏側にあるムーンシティで、今ではそこはスパルタカスの前線基地でもあった。巨人の存在に気付いたムーンシティのスパルタカス軍はガーディアントルーパーを出動させ、迎え撃ったが、巨人は右手から生成した杖を地面に刺し、月の岩を次々と念力で浮かせ、それらが炎に包まれると隕石のようになってガーディアントルーパーとムーンシティに襲い掛かった。

 神のごとき、自然の力を自在に操るような能力に為す術なく、ガーディアントルーパーは一気に撃破され、ムーンシティも壊滅的な被害を被った。更に巨人はムーンシティに向けて手を伸ばすと、念力でムーンシティから何かを掘り起こした。

 それはヘレナがブレックと共にムーンシティを訪れた際に目撃し、ラタドルス、オルドロス、ブラッドスの襲撃で強奪された古代の宇宙船だった。宇宙船を奪い返した巨人は念力を使用すると、宇宙船はムーンシティの瓦礫を集め、その場所を占領するように変形を始め、ピラミッド型の巨大な塔に変貌していった。

 更に塔の頂上が砲塔のようになり、その矛先が地球のムー大陸に向けた。それでも、ムーンシティに尚も残るガーディアントルーパーと双頭の鷲型怪獣が襲い掛かるが、巨人はムーンシティそのものを念力で浮かせ、そこから、あるものを取りだし、右手を握ると、基地全てが押し潰され、完全に破壊すると、しばらくそこで待機したまま、動かなくなったが、ピラトの身体から液体金属状のものが取り出し、そこからクトラが現れたように、液体金属状のものを取り出し、そこから現れたのは、トライフォルドの一撃でセラヴィムもろとも爆散したラルドだった。そして、巨人はテレパシーを通じてラルドにあるビジョンを見せた。

 

 

 そのビジョンは宇宙が誕生する紀元前138億年、それは全てを覆い尽くす闇そのものといえる巨大な存在が眠っていで、ビジョンではアザトスと呼んでいた。やがて、その巨大な闇が目を覚ますことによって、ビックバンが起き、宇宙が誕生した。

 その闇は再び眠りにつくが、細胞分裂をするように幾つもの宇宙が生まれ、同時に闇自身から、ウボサスーラと呼ばれるアメーバ状の巨大な存在に似たようなものを生み出し、その種を各宇宙に散らばらせ、更にアザトスはウボサスーラが生み出した生命と幾つもの生まれた宇宙の監視者としての役割を持つ分身として、顔のない異形な存在も生み出した。

 ウボサスーラは次々と生命を宇宙中にばら撒き、生み出していったが、アザトスはそれらの生命を生み出すための管理を行うとして、無意識に自身の分身であるヨグソトーアを生み出した。

 このアザトスの分身は宇宙に生命の種を蒔いた創造主たるウボサスーラと違い、明確な意思を持ち、やがて、ウボサスーラが無尽蔵に生命を生み出し続け、顔のない異形な姿の監視者は不要と判断した他の生命を消滅させる等のことが起こり、これを見たヨグソトーアはウボサスーラから、自身に従う別の種を分離させ、更に彼らに自らの一部を与え、13体の巨人を生み出して自身に支えさせた。この13体の巨人は後にアトランティスの住人から光の戦士と呼ばれる星の戦士族であり、13体の巨人は支える主であるヨグソトーアをヤハウェルと呼び、ヨグソトーアがウボサスーラから分離させた存在にはショグラスと呼び、全宇宙の生命の管理と調和を担うようになった。

 しかし、異形の監視者はそれに対抗するように、宇宙の外側とも言える次元に身を潜め、ウボサスーラが生み出すのとは別の生命を生み出す分身を2体生み出し、そこで、別の生命を生み出し続けて勢力を伸ばした。

 それに危機を持ったヨグソトーアは星の戦士族のリーダー格であるノーデンスにその制圧を命じ、異形の監視者とその分身たちを次元ごと封印することに成功するも、異形の監視者は自らの一部と分身が生み出した生命をショグラスが拠点として降り立った原始の地球に降り立ち、その生命は深淵の邪神となり、それ以降はグリスとヘレナがアトランティスの遺産で見たビジョンの通り、恐竜絶滅とムー、アトランティスの大陸間戦争に繋がった。

 だが、これまでのことは全て深淵の邪神と共に地球に降り立った異形の監視者の分身が起こしたもので、大陸間戦争が終結し、残った人類と共にアフリカ大陸に渡り、ピラミッドを築き、新たな文明と国家を形成した星の戦士族だが、ムーに戦争を起こし、深淵の邪神を目覚めさせたアトランティス人の派閥による生き残りが人間体を持った異形の監視者を崇拝して、組織を作り、深淵の邪神の力の一部を使って、アトランティス人の亡骸を深淵の使者と呼ばれる魚人に変え、再び牙を向いた。

 この反乱も同様に鎮圧されたが、残党は異形の監視者を何処かに隠し、暗黒のファラオ団を名乗って、異形の監視者と深淵の邪神復活を渇望して、残り全ての人員も深淵の使者へと変貌して、イギリスに渡る者、もしくは、異形の監視者の力の一部を使って、別の次元へと渡る力を習得し、漆黒の海と呼ばれる空間で息を潜めながら暗躍した。

 こうしたいきさつから、大陸間戦争によって、命を落としたノーデンスに代わって星の戦士族のリーダー格となったヴォルヴァトスは人類が暗黒のファラオ団の手に落ち、再び自分たちに矛を向ける可能性を示唆し、残った人類も殲滅し、新たな生命を創ることを提案したが、6体の同族はそれを受け入れず、人類は我々から離れ、自立すべきだとし、この星から出ることを提案し、やがて巨大な船に姿を変えたピラミッドに6体の星の戦士族が乗り、地球から去っていったが、ヴォルヴァトスは自らの手で粛清することを選び、受け継いだ創造主の力から、自身の身体の一部を与えた分身として、巨大な翼を持った巨人の姿をした眷属怪獣即ち、アロガを生み出し、それらを通して人類を監視するための役割を与え、船に変えたピラミッドに乗せ、月に到達させ、自らは別のピラミッドの中に眠り、地中深くに封印した。

 ここまでも、アトランティスの遺跡でのビジョンと同じであったが、このビジョンには続きがあった。ヴォルヴァトスが眠ったピラミッドの側から漆黒のピラミッドが現れ、そこから顔のない禍々しい姿のスフィンクスが襲い掛かり、ヴォルヴァトスはそれと交戦するが、完全に回復しきっていない状態で苦戦を強いられ、やむを得ず、ピラミッドを宇宙に飛ばし、その爆風によって巨人は南に、アロガはそれとは反対側に飛ばされることになった。

 やがて、2000年の月日が経ち、北極で仮死状態となったアロガを当時のロックフェルド家が発見し、遺伝子操作によって生み出された人間のクローンに小型軽量化させて、肉体を与えられ、彼等に保護された。その肉体こそがラルド・オルスターと呼ばれる少年の肉体だった。

 そして同時にラルドの失われた記憶も繋がるようになった。ラルドがデーモンビーストと対峙する際、度々見た記憶のビジョンはデーモンビースト第0号として、悪魔の審判を引き起こしたトライフォルドを殲滅するために、ロックフェルド家の意向によってアロガとして目覚め、進化したトライフォルドと対峙した時のものだった。

 しかし、その際に力を使い果たしてしまい、その巨大な姿を維持できなくなり、再び再生し、器としての肉体としてのラルドに戻ったが、同時に記憶を失い、デーモンビーストたちがラルドを恐れたり、狙ったのはその時のトライフォルドの記憶の一部を受け継いでいたからだったのだ。記憶を思い出したラルドの前にヴォルヴァトスはある指令を出して、自身の力でラルドを瞬間移動させた。

 そして、その様子を監視ロボットの映像を通して、コロニーに移動したオルドー元帥が見ていた。

 

 「遂に、あの少年が記憶を取り戻したか…だが、全てではない。何故なら、我々はお前たちの計画と行動に少し手を加えただけだ。となると、次の要はあの少女か…」

 

 To be continued




 次回予告

 グラーザスが去った後、尚も彷徨うグリスとヘレナの前にマイロと改良したルシファロイドⅢに搭乗したノアに救われるも、ナイルを捕らえたグラーザスが現れ、交戦に入った。その時、ヘレナが取る行動は…?

 次回「苦渋の決断」少女が選んだ道は自らが掲げる理想か、生き残る道か
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