仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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四話目
高まる不満とアイドルライブ


誘拐事件の翌日、デッドマンズベースではアギレラがギフの棺の前で悲しそうにしていた。

 

「ギフ様可哀想……こんな棺の中に閉じ込められて……ごめんね」

 

「アギレラ様、スマイルですよ」

 

フリオがアギレラを宥める中、アギレラは怒ったようにフリオへと詰め寄っていく。

 

「ちょっと、ギフ様の復活には生け贄となる人間が一人と五体のギフテクスが必要なのよ?フリオ、わかってる?」

 

憤るアギレラにオルテカがアギレラを納得させるための説明を行う。

 

「誰もが私やフリオのような幹部となるのに相応しい存在……ギフテクスになれるわけではありません。バイスタンプで生み出される悪魔には個人差があります」

 

「デッドマンが生み出せれば上出来。普通の人間じゃあギフジュニアが関の山なんですよ」

 

そう、二人の説明通り誰も彼もがフェーズ3に、ギフテクスになれる訳では無い。デッドマンを生み出す人間自体がそもそも貴重なのだ。そして、デッドマンと上級契約を結べばフェーズ2となり、ギフテクスへと至る資格を得るのは以前説明した通りだ。

 

「でも、この子にその覚悟はあるの?上級契約したら二度と人間には戻れなくなるのに……」

 

「………」

 

同時刻、空に浮かぶフェニックスベースにて大二は狩崎の元を訪れていた。そこでは狩崎が体を鍛えるトレーニングをしており、大二はそんな狩崎の部屋に入る。

 

「失礼します」

 

「君、ベルトを使いたいんだって?」

 

「はい、デッドマンズから世界を救いたいんです!」

 

大二のやる気のある発言に狩崎は少し考える仕草を見せてからその答えを話した。

 

「じゃあまずは君自身のアップデート……つまりは成長が必要だ」

 

「……え?」

 

「前に総司令官とも話したが、今の君はまだベルトを与える段階に無い。それをまずは自覚する事だね」

 

それを聞いて大二は不安に駆られると同時に心の奥底から何かが湧き出る感覚に襲われる。しかし、大二自身、それが何かまでは分からずにその場は終わる事になった。

 

その頃、彩夏の所属するアイドルグループは彩夏達五人のメンバーが来たるライブに向けて練習を進めている。そんな時、メンバーが集められるとある事が発表された。

 

「今日を持ってセンター交代だ。桶谷、君がセンターで踊るように」

 

「……え?私が……センター」

 

「そうだ」

 

センターとはアイドルのメンバーの真ん中で踊る一番目立つポジションだ。それを彩夏は新人にして勝ち取ったのである。ただ、それに文句を言う者も当然いる訳で……。

 

「ちょっと待ってください!どうしてですか!何で私がセンターを降りないといけないんですか!私は今までこのグループのセンターとして……」

 

そう言う彼女の名は野田明。彼女はこれまで彩夏の所属するアイドルグループのセンターを務めていた人物である。

 

「これは決定事項だ。異論は認めない」

 

「そんな……」

 

野田が悔しそうにする中、彩夏は嬉しさでいっぱいだった。自分の努力が認められたのだと、そして親にも自分は有能だと見せられると。

 

しかし、この決定に不満を持つ野田は彩夏への怒りの気持ちが湧き上がるのだった。

 

それから数日後、幸せ湯ではさくらが喜んだ様子で学校から帰ってくると二枚のチケットを手にしている。

 

「一輝兄聞いて!彩夏ちゃんが初めてセンターを務めるライブのチケットが手に入ったよ!」

 

「え!?彩夏が……センター!?」

 

さくらからの知らせを聞いて驚く一輝。その知らせを初めて聞いたと言うのもあるが、まさか彩夏が新人でセンターを務めるようになるとは思わなかったからである。

 

「凄いな、早速見に行かないと!」

 

「一輝兄の初恋の人だもんね!」

 

「ち、違うって!」

 

一輝が恥ずかしそうに顔を赤くしながらさくらへと文句を言う。するとバイスがのんびりと一輝に話しかけた。

 

「アイドルライブぅ?」

 

「あ、言っておくけどお前は出さないからな?」

 

「えぇ!?なんで?俺っちだって実体で見てみたいんだよ!」

 

一輝とバイスが話しているとさくらは首を傾げる。それもそのはず。バイスの姿はさくらには見えていないのだから。外から見れば一輝が独り言を話しているようにしか見えない。

 

「一輝兄、誰と話してるの?」

 

「え?あ、ごめん!何でも無い……」

 

「ここ最近そればっかりだよね?本当に大丈夫?」

 

「大丈夫だって、ほらライブの時間に間に合わなくなるぞ」

 

「はぁ……」

 

それから二人は会場に向かうと始まる前に何とか間に合った。するとそこで彩夏と出会う。

 

「彩夏ちゃん!」

 

「控え室にいなくて良いのか?」

 

「うん、マネージャーさんがあと少しだけなら良いって」

 

それを聞いて一輝は手にしていた差し入れの手作りお菓子を彩夏へと渡す。

 

「はいこれ!今日初めてのセンターでのライブだからお祝いに」

 

「良いの?」

 

「おう!愛情たっぷりのお菓子だ!」

 

「ありがとう、一輝君」

 

彩夏は笑って受け取ると控え室の方へと歩いていく。その様子を影から睨みつける者がいた。しかし、一輝達は会話に夢中でそれに気づくことは無い。

 

そして、とうとうライブの時間になると会場はサイリウムを持った客達でいっぱいになり、一輝とさくらは後ろの方でその様子を見守っていた。

 

彩夏がセンターを務める初ライブは大盛り上がりで進んでいく。このまま何事も無くライブは進んでいく……かに思えた。その瞬間、会場内に物凄い音が鳴り響くと突如としてデッドマンが乱入してきたのだ。

 

《ジャッカル!》

 

「グァアアア!」

 

その姿はオオカミに似た哺乳類のジャッカルをモチーフとしており、差し詰めジャッカルデッドマンと言った所だ。そしてそれと同時に観客達が悲鳴と共に逃げようとすると今度は非常口を含む出入り口全てにギフジュニアが配置され、逃げ場が無くなってしまっていた。

 

「コイツら……何のつもりで……」

 

しかし、ジャッカルデッドマンもギフジュニアも市民を襲う気は全く無いのか威嚇はしても攻撃はして来ない。するとステージから声が上がった。

 

「彩夏あなた!そのポケットに入ってる物は何!?」

 

そう叫んだのは野田だ。野田は彩夏を指差すとその先にあったのはジャッカルのプロトバイスタンプである。

 

「……え?」

 

「あなた、デッドマンズの味方だったの!?」

 

そうやって叫ぶ野田に観客達は動揺。何より、一輝とさくらも驚きを隠せなかった。

 

「違う!これは何かの間違いで……」

 

当然身に覚えのない彩夏は違うと叫ぶ。しかし、証拠を握ってしまってる以上は彩夏が圧倒的に不利な状況と化していた。しかも観客達も彩夏は敵だとばかりに罵詈雑言の嵐を浴びせてくる。

 

「俺達を騙したのか!」

 

「もうお前なんか推さねーよ!」

 

「ライブをメチャクチャにした罰だ、出ていけ!」

 

彩夏は今にも泣き出しそうになっており、そんな彩夏とは対象的に野田は薄らと笑みを浮かべていた。それを見た一輝は違和感を感じる。しかし、今それを言ったところで証拠不十分。どうする事もできない。

 

「私じゃ……ない。私じゃないよ!皆信じて!」

 

「誰がお前なんかを信じるか!出ていけ!」

 

彩夏は相次ぐ罵詈雑言の嵐に耐えかねて嗚咽を漏らすとバイスタンプを落として逃げようとする。しかし、宿主が逃げるのをジャッカルデッドマンが許すわけがない。

 

彩夏はジャッカルデッドマンが指示を出したギフジュニア達の手で捕まるとそのまま晒し者にされてしまう。

 

「ふふっ、良い気味……私をコケにした罰よ」

 

観客には見えないようにして彩夏を馬鹿にする野田。一輝はひとまずこの場面を切り抜けるためにスタンプを出す。

 

「バイス、ひとまず会場から皆を避難させるぞ!」

 

《レックス!》

 

「おうよ!」

 

《Come on!レ・レ・レ・レックス!》

 

「変身!」

 

《バディアップ!》

 

《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》

 

二人はリバイとバイスへと変身する。その瞬間、大人しくなっていたギフジュニアがリバイとバイス目掛けて襲いかかった。

 

「はあっ!」

 

リバイはオーインバスターを、バイスはガンデフォンを手にすると向かってくるギフジュニアとの戦闘を開始。

 

「はあっ!」

 

「てやっ!」

 

ただ、場所が狭い上に観客達がまだ逃げてないので慎重に被害を拡大させないように戦う必要があった。

 

「バイス、わかってるな?犠牲者を出したら……」

 

「わかってるよ!被害を最小限に……だろ?」

 

二人はそれぞれギフジュニアを少しずつ倒す中、リバイとバイスにギフジュニアが向かった事で空いた出口から一斉に逃げ出す観客達。そして、二人があらかたギフジュニアを倒した直後、ジャッカルデッドマンが飛びかかってきた。

 

「「はあっ!」」

 

そこに合わせて二人がキックを決めるとジャッカルデッドマンを吹き飛ばす。ジャッカルデッドマンは正面戦闘は不利と考えるとすかさず超スピードでの移動を開始。その速度はフェーズ1にも関わらず、前に戦ったウルフデッドマンとほぼ同じぐらいの速度を備えていた。

 

「コイツ、速い!」

 

「攻撃が当たらねーよ」

 

二人が何とかジャッカルデッドマンの動きに対応しようとするが、ウルフデッドマンが荒々しいという意味でのスピードのある相手ならこちらは純粋にスピードに特化したタイプのデッドマンと言える。

 

「だったらスピードを少しでも弱める!」

 

《イーグル!》

 

リバイはスタンプを変えるとそのまますかさずゲノムチェンジを発動。

 

《Come on! イ・イ・イ・イーグル!バディアップ!》

 

《荒ぶる!高ぶる!空駆け巡る!イーグル!(イーグル!)お前の羽を数えろ!》

 

二人はイーグルゲノムとなると室内に竜巻を発生させ、ジャッカルデッドマンの動きを制限。スピードが落ちた所に二人同時のパンチを叩き込んだ。そのままジャッカルデッドマンは吹っ飛ばされると壁を突き抜けて外に出てしまう。

 

「あ!しまった!」

 

ジャッカルデッドマンは狭い屋内から広い屋外に出てしまった事でそのスピードを存分に活かせるようになってしまった。

 

「こっちもリミックスで……」

 

リバイがスピードを上げるためにリミックスしようとするが、その前にジャッカルデッドマンが咆哮を上げると黄色い竜巻を放出。二人はそれを緑と紫の竜巻で相殺するが、ジャッカルデッドマンは姿を消してしまっていた。

 

「どこだ!?」

 

「またこのパターンかよ!」

 

バイスが地団駄を踏む中、リバイは変身解除。一輝の姿に戻ると先程まで囚われていた彩夏を探すが、連れ去られたのか逃げる事ができたのかいなかった。

 

「彩夏……そんな訳ないよな?」

 

一輝は彩夏がこの事件を起こしたとは到底思えなかった。あんなにライブを楽しみにしていた彼女がこんな真似をするはずが無い。そう考えた所でさくらが走ってきた。

 

「一輝兄!これ見て!」

 

そう言ってスマホを差し出すとその画面には“小悪魔ランデブー”の新センター、桶谷彩夏がデッドマン関連の事件を起こし、指名手配になったというニュースが速報として流れており、一輝は相当動揺してしまう。

 

「そんな……何かの間違いじゃ……」

 

「一輝兄……」

 

その場には重苦しい雰囲気が流れた。果たして、彩夏は本当に事件を起こしたのか。それを知る者はこの場にはいない。




また次回もお楽しみに。
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