仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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真犯人と上級契約

彩夏が指名手配となる少し前、彼女はギフジュニア達の手によってとある建物の中に連れ去られていた。

 

「野田さん……これは一体……どうして」

 

「あなたが悪いのよ?あんたみたいな新人が私を差し置いて目立つから」

 

「………」

 

先程のデッドマンを生み出した犯人、それは野田明だった。彼女はグループのセンターの座を奪い取った彩夏を憎んだ。

 

「……私はね、あんたが入ったその時からあんたが憎かったのよ」

 

「……え?」

 

野田からのカミングアウトに彩夏は驚くばかりだ。まさか自分が厄介者だと思われているとは考えていなかったからである。

 

「頑張れば報われる、頑張れば家族に認められる……そんな事ばかり考えるあなたが……私は憎い。アンタなんかにセンターは永遠に取らせないつもりだったのに……そのためにアンタを事件に巻き込んで経歴を汚そうとしたのに」

 

どうやら、先日の不審者による誘拐事件も野田が仕組んだ物のようだ。野田が影からデッドマンを操って誘拐事件を後押ししていたらしい。

 

「嘘……野田さん、私が何を……」

 

「何もしてないわ。ただあんたが一方的に憎いだけ。理由はそれだけあれば十分よ」

 

「ッ……」

 

「さて、これから私はあなたがデッドマンズ事件の犯人として仕立て上げるわ。それを私が止めるように仕向ければ私は英雄。あなたは犯人。経歴は天と地ほどの差になるわねぇ」

 

そういう野田の目は狂気に狂っており、彩夏は怖くなった。しかし、今の自分ではどうする事もできず、ただ捕えられているのみだ。

 

それから野田が警察に通報。自分が捕まっているという虚偽の報告をして彩夏が悪者だという扱いを世間に植え付けさせる。そして、その報道はあっという間に全国に広がり、フェニックスも彩夏を犯人として指名手配する事になった。

 

その頃、スカイベースでは大二、光、ヒロミの三人が若林の前に来ており意見を言っていた。

 

「総司令官!これは一体どういう事ですか!」

 

「どういう事……とは?」

 

「彩夏が犯人だなんて何かの間違いです!」

 

大二も彩夏とは会った事がある。それに彼女は先日のデッドマン事件の被害者だ。

 

「自作自演だった可能性も無いとは言えないだろ」

 

「何だと!?彩夏の人柄を見た事もない人が決めつけないでくれ!」

 

「お前は情に縛られてるんだよ。実際証拠映像も挙がってる。彼女がバイスタンプを持っていた以上、捕まえるのは当然だ」

 

そこに異議を唱えるのは光だ。光は大二へとそう冷たく言い放つ。そしてそれをヒロミが制した。

 

「二人共熱くなりすぎだ。感情に囚われて周りが見えていない」

 

ヒロミからの注告に二人は一度矛を収めるが、それでも一触即発な状況に変わりは無い。

 

「……門田の言う通り、お前達はまだまだ感情に囚われて動きすぎだ。五十嵐、お前は彼女が犯人ではないと言った。だがそれはあくまで客観的な一つの意見に過ぎない」

 

「だからと言って犯人という保証は……」

 

「ならば犯人では無い証拠を見せろ。我々だけでなく世間の人々が納得する証拠をな」

 

「ッ……」

 

今現在、事件はこの世界に広まってしまっておりその事を隠すのは不可能。大二一人の意見で世論をひっくり返すのは無理である。こうなるとより正確な証拠が必要になってくる。世論を変えようと思うならそれだけの証拠が無ければ人々は納得しないのだ。

 

「わかったらお前達に出来る事をしろ今出来るのはそれだけだ」

 

「………」

 

大二は納得できないのか拳を握り締め、ヒロミはそれを見て危険だと感じた。するとそこに報告が入り、彩夏と野田がいる建物が特定されたとの事だ。しかし、建物内にデッドマンがいるためフェニックスは建物を包囲するのみに留まる。

 

同時刻、一輝はさくらと共に家に戻るがニュースが変わることは無く、世間は彩夏を犯人として仕立て上げてしまっていた。ネットでも既に彼女へのアンチが湧き上がっており、彼女のTwitterも炎上。

 

「……彩夏ちゃん、あんなにライブを楽しんでたのに」

 

「俺は彩夏が犯人だなんてどうしても納得できない。それにあの時……彩夏の後ろにいた人が笑みを浮かべていて……」

 

一輝はそう言う。さくらも同じ意見なのだがなかなかそれを言い出す事はできなかった。何しろ、周りの人たちは彩夏が犯人だと信じてしまっている。このままではどうにもならないだろう。

 

「ママに相談してみる?」

 

「……そうだな」

 

それから二人は病院にいる幸実の元に足を運ぶとそこには大二も揃っていた。

 

「大二……」

 

「こんなのおかしいだろ……彩夏が犯人扱いだなんて」

 

大二も彩夏が犯人だとは信じられない様子だ。そして幸実は二人が来た理由も同じだと察すると話を始めた。

 

「今は何を言っても世間は信じてくれないわ」

 

「だからと言って……」

 

「でもね、皆は信じる気持ちを捨てないであげて。彼女にとって今は全てが敵だとしても、あなた達が側に寄り添ってあげれば良い。人間は誰しも一人ではどうする事もできないんだから」

 

その言葉に三人は目を見開く。それから三人が病院を出るとそれぞれにできる事を話し合う事にした。

 

「明日、俺は彩夏を助けに行くよ」

 

「……兄ちゃん、これを」

 

そう言って大二が渡したのはプテラのバイスタンプ。狩崎が調整を完了したのだろう。それからさくらが一輝へと言いたい事があるようだった。

 

「あのね、一輝兄。この前私が捕まった時に言えなかった事があるの。だから一輝兄から伝えてほしい」

 

それからさくらが伝える事を話すとそれと同時に大二もさくらがやって欲しい事を理解。フェニックスに戻って掛け合う事になる。

 

「バイス、頼みがある」

 

「ふへへ、俺っちに頼み……え!?一輝、マジで!?」

 

「……ああ、お前にしか出来ない事だ」

 

それから一晩が明け、彩夏と野田、ジャッカルデッドマンがいる建物の内部では野田が勝ち誇ったかのように話していた。

 

「今日はあんたの人生が終わる日よ」

 

「………」

 

彩夏は完全に憔悴しきっており、目から生気が失われていた。実は一晩中ネットに書き込まれているアンチコメントを強制的に読まされていたため、彼女の心はズタボロになっていたのだ。

 

「もうあなたの周りは敵だらけ。親にも愛想を尽かされて助けも来ない。あんたはもう終わりね」

 

野田は笑いながら手にバイスタンプを持っており、それを一度手にした鞄の中に隠した。万が一フェニックスが乗り込んできても彩夏がやった事にすればまず間違いなく自分に罪が来る事は無いと考えている。

 

その時、フェニックスの隊員が突入。そこには大二の姿があった。

 

「そこまでだ!」

 

大二達が銃を構える中、ジャッカルデッドマンは動かずに隊員を威嚇するのみだ。

 

「桶谷彩夏、バイスタンプの不法所持及び事件を起こした犯人として……お前を確保する」

 

「……違う……私じゃ……」

 

そこまで言った所で野田は隠しておいたジャッカルのバイスタンプを使い、ジャッカルデッドマンに指示を出す。するとジャッカルデッドマンは野田へと飛び掛かった。

 

「危ない!」

 

大二がそう言う中、野田は心の中でほくそ笑んだ。これで自分が重傷を負えば彩夏が犯人となり捕まえられる。そうすれば目的は達成されて晴れて彼女はアイドルとして戻る事になると考えた。

 

「うぉおお!」

 

そこに後から入ってきた一輝が野田を突き飛ばして押し倒すとジャッカルデッドマンの攻撃は空を切り、さらに野田の鞄からジャッカルのバイスタンプが飛び出した。

 

「しまっ!?」

 

慌てて野田がバイスタンプを拾うものの、もう手遅れだ。フェニックス隊員の銃口はこちらを向いていたのだから。

 

「……かかったな。本当の真犯人、野田明」

 

「はぁ?何を持ってしてそんな事が言えるの?私はあの子にこうするように命令されたの。だから私は無罪よ」

 

「……この期に及んでしらを切るつもりか……。ならこれはどう説明する?」

 

そう言ってガンデフォンを取り出すとそこには彩夏を嘲笑う野田の映像がしっかりと映っていた。しかも証拠となり得る音声に加えてバイスタンプが自分の物だという事をハッキリと告げる所も映像として残っている。

 

「馬鹿な……どうして!?」

 

「実はちょっとした細工をさせてもらった」

 

一輝がそう言って指を指すとそこには小型のカメラを取り付けたドローンが置いてあり、そこから悪魔の目が宿った。

 

「なっ!?」

 

「一輝の頼みで一部始終……全部録画させてもらいましたぁ!」

 

カラクリはこうだ。野田達にバレないよう野田達のいない階の窓からバイスが憑依したドローンが侵入。それから野田達に見つからないように彩夏が囚われた部屋に入ると定位置に付き、そこで全てを録画。そのデータを予め接続しておいたガンデフォンに転送し、フェニックスのメンバーと共有。そして一度敢えて野田に騙されたフリをして野田の油断を誘い、見事に証拠を掴んだのだ。

 

「お前の悪事は全て筒抜けだ。野田明、バイスタンプ不法所持及び以前の誘拐事件の真犯人として……身柄を拘束する!」

 

大二がそう言う中、野田は怒り狂う。何故こうなってしまうのか彼女には意味がわからなかった。

 

「どうして……どうしてよ!なんであんな親にも好かれないあんな子の肩を持つの?アイツは私からセンターの座を横取りしたのよ!?しかも親に認められたいっていうくだらない気持ちで……」

 

「くだらなくなんかない!」

 

「ッ……」

 

「家族に認められたい気持ちがくだらない訳がない!彩夏は家族の絆を失って尚、それを取り戻そうとして必死に頑張ってきたんだ。それをくだらないなんて言うな!」

 

野田が喚く中、一輝がそれを制するとフェニックスの隊員に守られながら一人の女性が入ってきた。

 

「……ママ」

 

彼女は縁を切ったはずの彩夏の母親だった。彩夏は何故ここに親が来たのか困惑する。

 

「……どうして?私はママとは縁を切って……」

 

「彩夏、私達が彩夏がアイドルになるって聞いて猛反対したのを覚えてる?」

 

「……うん」

 

「私達は皆あなたの事が心配だったのよ。一人で無理して頑張ろうとしてるんじゃないのかって」

 

「……え」

 

彩夏は自分の親は自分の事なんて眼中に無いと考えていた。しかし、事実はその逆。心配しているからこそ彩夏のやる事に反対したのだ。

 

「……彩夏が初めてセンターを務めたライブ。実は私も見に行っていたの。そうしたら彩夏は凄く輝いていて……だからもう彩夏は一人でも大丈夫。そう思えたわ」

 

「ママ……」

 

そう言って涙を浮かべる彩夏。それを見て一輝はさくらからの頼みである言葉を言おうとしたが、大体の事は彼女の母親が言ったために言わずにおいた。

 

「ふざ……けるなよ。私を放置して……親子の時間を過ごさないで!!」

 

野田は完全にキレるとジャッカルのスタンプを押す。するとジャッカルデッドマンの前に赤く染まった契約書が出てきた。

 

《ジャッカル!》

 

そしてそのままスタンプを契約書に押印。その瞬間、赤い紙が飛び散るとジャッカルデッドマンが白い契約書として分解。契約書は赤く染まると野田の体に固着していく。

 

「そんな……」

 

その様子を遠くから見ていたアギレラはご機嫌そうにニコリと笑う。

 

「ふふっ、上級契約……したみたいね」

 

野田はデッドマンと融合し、フェーズ2へと進化を遂げるのであった。




また次回もお楽しみに。
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