仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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三十一話目
失われた記憶 リバイスの声優体験


ウィークエンドの拠点の最奥部。ギフの棺があった部屋。そこには棺の代わりに玉座のような物が置かれており、そこには一体の怪人が座っていた。

 

その姿はどこかギフジュニアに似た顔立ちに身体は黄金のローブで覆われた魔術師のようだ。また、黒いギフスタンプによく似た造形の上半身で胸に大きな突起も持っている。そのため、全体的に悪魔らしさのある禍々しい姿であった。

 

すると怪人の前に赤石、アギレラ、フリオ、オルテカ、ヒロミそして朱美が揃うとひざまづく。

 

「ギフ様。完全なる復活、おめでとうございます」

 

「私はギフ様の許嫁としてギフ様のために尽くす事を誓います」

 

どうやらこの怪人こそが五体のフェーズ3以上のデッドマンの力を吸収した最強の悪魔。ギフらしい。

 

「………アギレラよ。そなた達の事は棺から見ていた……。そなたを我が妃として迎え入れる」

 

ギフは人間の言葉を話すとアギレラを妃とする事を決定。それから赤石の方向を向く。

 

「……赤石よ。……お前の使命はわかっているな?」

 

「はっ……我々ウィークエンド、そしてデッドマンズの名の下に……必ずや人類をギフ様の僕として服従させて見せましょう」

 

ギフは小さく頷くと目を光らせる。その瞬間、朱美を除く全員に禍々しい光が宿るとデッドマンになれる四人に更なる力が与えられた。

 

「まずは我らに服従する同志を増やせ。そして邪魔となる存在は殲滅せよ」

 

「はっ!」

 

「ギフ様の仰せのままに」

 

「……」

 

一同がギフに従う中、朱美は一人ギフの存在を見て思考を巡らせる事になる。

 

それから時が経った。ブラックサタン関連の事件が収束し、落ち着いた頃。ここはとあるパーティの会場である。この集まりは北瀬高校の卒業生の集まる同窓会であった。そして、その中に一輝の姿もある。

 

「よっ!久しぶり!」

 

「おう一輝、元気にしてるか?」

 

「そりゃあ勿論!」

 

「ま、今のお前は仮面ライダーとして頑張ってるもんな!」

 

一輝は仲の良い友達が多かった。元々人柄も良いのに加えて誰にでもお節介を焼く面倒見の良さもあったために学年内でも割と評判は良かったのである。

 

「ふへへ、一輝もその友達も楽しんでますねー!それに、とても美味しそうなご飯……」

 

しかし、バイスは今は絶対に外に出られないので食べたくとも食べられない。つまり、完全な地獄の拷問タイムなのである。

 

「今度また俺のうちの風呂に入っていけよ!」

 

「ああ!」

 

「「イェーイ!」」

 

そんな風に一輝達が仲間との時間を楽しんでいると入り口の方からざわめきが上がった。

 

「え!?あの人って……」

 

「マジ!?サプライズじゃん!」

 

バイスもその騒ぎを聞いてその方を向くと驚愕と共に声を上げた。そこにいた人間とは……

 

「ん?なんかさっきから向こうが騒がし……って、ええ!?」

 

「お邪魔しますばる」

 

その人間とは北瀬高校のOBであり一輝達にとっては先輩に辺り、更には今現在大物声優として活躍中のスーパースター……木崎昴であった。

 

「木崎さんが来るなんて……」

 

「すっげぇ……俺、あの人のファンなんだよ」

 

「素敵……」

 

木崎はこの同窓会のサプライズゲストとして呼ばれたらしく、早速一輝の同級生達と仲良く話す事になる。

 

「あ、あの!木崎さん。あのキャラの声をお願いします!」

 

「おう!お前の物は俺の物!俺の物も俺の物だ!」

 

「流石本物ですね!」

 

「一輝!俺っちあの人にサイン貰っても良いか?」

 

「ダメだって。あ、それなら俺が代わりに貰ってくるか?」

 

「マジ!?やったぁ!あの人の声と言いあの人の容姿と言い……憧れるんだよねー!」

 

バイスと一輝が話していると一輝の元に木崎がやってきてから一輝へと声をかけた。

 

「よっ。五十嵐一輝だろ?」

 

「えっ!?どうして俺の事を……」

 

「ちまたで噂の仮面ライダー……だからだな」

 

「うっひょーっ!ねぇ一輝!俺っち達認知されてるよ!」

 

バイスが興奮する中でそこにまた一人青年が現れる。それは一輝の同級生で友人である池山浩二……通称、ジーコだ。

 

「おお!ジーコ!」

 

「ここでその名前はやめてくださいよ、木崎先輩」

 

「良いじゃねーか。同窓会なんだからよ!」

 

「あ、そういえば木崎先輩とジーコって同じ声優事務所の先輩後輩でもあったんでしたよね」

 

「おう。ジーコはここ最近力を付けてきてな。少しずつ頭角も表してる所よ!」

 

木崎がジーコを褒める中、ジーコはどこか一輝に妬みの感情を抱いたような様子である。

 

「……そういえばジーコももうすぐ木崎さんの主演のアニメの中に出るんだよな?」

 

「ま、まぁ端役の中の一人だけど……」

 

それから一輝が上機嫌にジーコとの思い出を語る中、ジーコは一人ある事を一輝へと聞くことにした。

 

「……そういえば一輝。お前、サッカーはどうしたんだ?」

 

「……え?」

 

ジーコにそう言われると一輝は硬直する。そして、ジーコは追い打ちをかけるように更に一輝へと言葉を投げかけた。

 

「お前、俺との約束は覚えてるよな?」

 

そう言ったジーコ。しかし、一輝はすぐにそれが思い出せないのか疑問符を脳裏に浮かべてしまう。

 

「約束?」

 

それを聞いてジーコの中で何かが切れるような気がした。そして、ジーコが突如として一輝へと掴みかかる。

 

「ッ!?一輝、お前……あれだけ俺に言っておいて……自分の夢を忘れた?挙げ句の果てに仮面ライダーなんてやって……。ふざけるな!」

 

ジーコの怒号が響いたその時。周りの空気は一瞬にして凍りつく。そして、一輝は困ったような顔を浮かべた。

 

「な、何だよジーコ。急に……」

 

「……てっきりお前も俺と同じで夢に向かって頑張ってると思ってたよ……お前には失望した。結局……お前の覚悟はその程度だって事か」

 

それからジーコは出て行ってしまう。そんな中、残された一輝は呆然とした顔つきであり木崎はそんな一輝を見て少し考えると一輝へとある提案をする事にした。

 

「……一輝」

 

「は、はい」

 

「お前、一度声優にチャレンジしてみないか?」

 

「え……」

 

それから数日後。声優のアフレコ現場では木崎とジーコがスタジオで撮影をする中、一輝はアニメ撮影とは別で声優の仕事体験をさせてもらえる事になった。

 

「木崎さん、今日はこんな貴重な体験……ありがとうございます!」

 

「いやいや、良いって事よ。とは言っても確かに周りには迷惑をかけている。だからそんなに長くはできないが楽しんでやってくれ」

 

「はい!」

 

一輝が嬉しそうにする中、バイスは一輝以上に興奮した状態で声を上げていた。

 

「はっはーっ!ここがアニメの収録の現場かぁ。なかなか面白そうじゃんね!」

 

バイスがかなりハイテンションになると霊体で声も姿も他人からは見られないのを良い事に好き放題する。

 

「犯人は……お前だぁあっ!」

 

「うるさいぞバイス!」

 

流石の一輝もバイスがうるさいので注意するが当然それは周りの人に聞こえているので一輝が逆に注意を受ける始末だ。

 

「すみません……」

 

「ふへへ。俺っちの独壇場ってわけ!」

 

するとジーコの番となり、台詞を話していく。その様子を見て一輝は目を見開いていた。ジーコがここまで演技が上手くなっているとは思っていなかったからだ。

 

「ジーコ……あれから相当努力したんだな」

 

しかし、一輝はやはり思い出せない。ジーコと交わした約束も高校時代にジーコ相手に何を言ったのかも。その間も収録はつつがなく進んでいく。そして、アニメの収録が終わると次は一輝の番だ。一輝は周りと比べると初心者なのでやはりレベルは落ちてしまうが精一杯やり遂げる事になる。

 

「一輝……俺に言ったあの言葉。お前は覚えてないなんてな」

 

ジーコはスタジオの外にて小声でそう言うと出ていく。そんな中、スタッフの中にフリオとオルテカが紛れて歩いていた。

 

「さて、フリオ。あの者達の中の悪意はなかなか見込みがありますね」

 

「ああ。取り敢えずこれを使って……あれ?」

 

するとフリオは体中を探るが先程まであったはずのプロトバイスタンプが無いことに気がつく。

 

「フリオ?」

 

「不味い……スタンプを落とした」

 

「はぁ……取り敢えず、仕事をこなしつつ探しましょう」

 

二人はスタッフになっているためにサボるわけにはいかないとひとまずは仕事に戻る事になる。

 

そして、場面は再び収録現場へ。そこではラジオ番組を撮っている所であった。

 

「さて、次はちまたで噂の仮面ライダーに来ていただきました!」

 

「おお。街で暴れるデッドマンズと日々戦う戦士で有名ですね」

 

「それでは早速呼びましょう。仮面ライダーリバイさん、仮面ライダーバイスさん!」

 

そして、仮面ライダーに変身した状態の一輝とバイスは早速トークを始める事になるのだが……。

 

「へーい!俺っちバイスだよー!んで、こっちが」

 

「仮面ライダーリバイです」

 

「ふへへ。俺っちこうしてラジオに出るの初めてでワクワクしてるんだよね」

 

「バイス、あんまり暴れるなよ?」

 

リバイがバイスの行動に釘を刺そうとするがバイスはまるで聞く耳を持たないのか好き放題し始めてしまう。

 

「はっはーっ!それじゃあお便りを読んでいくよ!」

 

バイスは完全に調子に乗ったのかハイテンションのままトークを続けていく。こうなるともう歯止めが効かない。流石に暴れるなんて事はしなかったが、リバイよりもバイスが目立ち続ける始末だ。

 

しかも仮面ライダーの話題が終わったにも関わらずバイスが話し続けるので仕方なく一輝は変身解除。それにより何とか事なきを得た。

 

「本当にすみませんでした。この馬鹿悪魔にはよく言って聞かせますので」

 

一輝はひとまず収録後にパーソナリティの田村健一と谷川浩史の二人に謝罪。二人は快く許してくれたが一輝はバイスが好き放題したせいでかなり疲れていた。ちなみに、パーソナリティの二人からサインも書いてもらっており、バイスは更に興奮した様子である。

 

「もうバイス……少しは遠慮しろよ」

 

「だってよぉ、折角のラジオ出演だぜ?こういうのは目立った方が良いだろ」

 

「そんな事言ってもな。相手の心証とか色々あるだろ。少しは手加減ってものを……」

 

二人が言い合っているとそこにジーコがやってくる。そして、ジーコは一輝へと声をかけた。

 

「一輝」

 

「ジーコ……」

 

「木崎先輩は?」

 

「まだ収録中だと思うけど」

 

「そっか」

 

ジーコの一輝への対応はどこか素っ気ない。このままでは険悪な空気になると考えた一輝はジーコへと聞く事にした。

 

「なぁ、ジーコ。俺、お前に何かしたのか?どうしても思い出せなくて……」

 

「……お前さ、あれだけ俺の気持ちを変えるような事を言ったくせにそれ全部忘れたのかよ……。ほんと、どうかしてる。俺は……お前のおかげでここまで来れたのに」

 

「え……」

 

一輝はジーコに詳しく話を聞こうとしたその時。突如として叫び声が聞こえるとその方向から下半身が獣型。上半身には白いモフモフの毛皮にカーブした2本の角が目立つデッドマン……シープデッドマンが姿を現した。

 

「おお!これは俺っちの出番!キタぁ!」

 

「バイス、行くぞ!」

 

「ふへへ。活躍してやるもんね!」

 

《レックス!》

 

《Come on!レ・レ・レ・レックス!》

 

「変身!」

 

《バディアップ!》

 

《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》

 

二人がリバイスへと変身するとそのままデッドマンと交戦を開始。その様子を一人の影がコッソリと見守るのであった。




また次回もお楽しみに。
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