仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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一輝の過去 向き合う覚悟

それぞれの戦いが進行する中、未だに夢の中にいる一輝とバイスはジーコと出会っていた。理由はシープデッドマンの対象の夢を操作する能力である。

 

「ジーコ、教えて欲しい……俺の高校時代に何があったんだ」

 

「……はぁ。その感じだと本当に覚えてないみたいだな。一輝」

 

すると二人の立っていた場所がグラウンドから教室へと変わった。そこに映ったのはクラスの中心で目立っていた一輝と一人静かにとある本を読んでいたジーコである。

 

「これは……」

 

「お前は人が良かったのが原因でクラスメイト達からは割とチヤホヤされていた。まぁ、この部分はお前も覚えていたみたいだけど……」

 

するとある日、一輝はジーコの元に行くとジーコへと話しかけた。それは一輝とジーコが初めて会話した瞬間である。

 

『よっ、池山浩二君だよね?』

 

『そうだけど……確か五十嵐一輝君で良いのかな。俺に何の用?』

 

『いつも教室の端で本ばかり読んでるから気になってさ。何を読んでるの?』

 

一輝からの質問にジーコは少し嫌そうな顔をしつつも答える事にした。彼が読んでいたのは声優に関する本である。

 

『これって……』

 

『俺は声優に興味があってさ。アニメとかもよく見ているんだ』

 

ジーコは高校の当時から声優に興味があったのだ。しかし声優という職業自体難易度が高い上に一輝はそもそも声優に興味が無い可能性が高く、ジーコはあまり話そうとは思えなかった。だが……。

 

『凄いな浩二!将来に向けての明確な夢があってさ』

 

『そ、そうか……?』

 

『じゃあ俺は浩二、お前の夢を応援するよ』

 

だが、一輝はそんなジーコの夢を応援するとまで言い出した。その言葉にジーコは初めてクラスメイトから応援されるという嬉しさに気がつけたのだ。

 

『あ、そうだ。浩二の事、これからジーコって呼んで良いか?』

 

『え?何で……』

 

『俺は浩二の友達になりたい。そして、友達だからジーコってあだ名で呼ぶ。良いだろ?』

 

『好きにしてくれ』

 

こうして、短いやり取りではあったが二人は友達になった。それ以降、ジーコは少しずつ声優になるためのトレーニングを地道に重ねていく。また、ジーコも一輝の事を少しずつ知る事になった。

 

『よっ、ジーコ』

 

『おう、一輝。今日はサッカーの練習は良いのか?』

 

『あー、今日はオフなんだ』

 

一輝はサッカー部として活動する合間にジーコともよく話すようになり、二人の関係は徐々に深まっていく。そして、そのうちジーコは一輝の練習の見学にも顔を出すようになるまで仲良くなったのだ。そんなある日の事である。

 

『ジーコ!』

 

『……おう』

 

突如として暗い顔つきになったジーコを見た一輝はそんな彼を心配して駆け寄った。

 

『どうしたんだよ?そんな暗い顔をして……』

 

『俺、立派な声優になれるのかな……』

 

『え?』

 

ジーコはここ最近隙間時間を使っては声優になるためのトレーニングをしてはいたものの、なかなか成果が出せずに悩んでいた。しかも、親にこの事を相談した所、猛反対を受けてしまったらしく。そもそも声優自体、難易度が高いのは前述した通りだが、プロを目指すとなると相当の努力と覚悟が必要となってしまう。ジーコにはそれができる自信が未だに持てていなかった。

 

『俺のやってる事って趣味の範囲で終わらせるべきなのかな』

 

『………』

 

一輝はここでどう声をかけるべきなのか悩む。ジーコの夢は正直な所応援したい。だが、彼には彼なりの悩みを持っている。それを自分が諭したせいで悪化させないか。一輝は少し不安だった。だが、それでも友達が悩んでいるのを見た彼のお節介な心はそれを許さない。

 

『……できるよ。ジーコなら』

 

『どうして?俺なんて周りに埋もれるだけだよ』

 

 

『そんな事無い!……ジーコは声優に興味を持っていると教えてくれたあの日からずっと声優になるために頑張ってきたんだろ!その努力の日々が、その気持ちが嘘だとは言わせないぞ』

 

ジーコはそれを聞いて思い出す。自分が頑張ってきたという努力の積み重ねを。そして、声優に賭ける気持ちの大きさも。

 

『一輝……』

 

『俺はジーコ。お前の声がテレビから聞こえてくるその日を待っている。ジーコならきっと立派な声優になれるよ。だから……そのくらいで諦めるな!』

 

ジーコはそれを聞いても尚少し悩んでいるのを見た一輝はある事をジーコへと提案する。

 

『俺はさ、プロのサッカー選手を目指しているんだ』

 

それは一輝が初めてジーコへと伝えた事だった。そして、それを目指しているという言葉が嘘では無いとジーコは一輝の練習に取り組む真剣さで思い出す。

 

『一輝……』

 

『俺はプロサッカー選手、ジーコはプロの声優。二人揃って夢を叶えよう。俺達が高校を卒業して、それぞれの歩んでいく道の先でさ!』

 

一輝からの提案を聞いたジーコは吹き出すと笑い始める。しかし、その言葉はジーコの中にあった迷いの感情を吹き飛ばすのには十分過ぎる程であった。

 

『ありがとう一輝……でも、約束だぞ?』

 

『ああ。俺達二人の約束だ。絶対に叶えようぜ』

 

『おう!』

 

こうして、二人は高校を卒業してからそれぞれの夢に向かって飛び出した……はずだった。だが、一輝はプロサッカー選手では無く仮面ライダーとして世界を守るための戦いをしている。ジーコからしてみれば約束を破られた形になってしまっていたのだ。

 

そして、その記憶の映像が流れ終わるとバイスを含めた三人はまたグラウンドに揃っていた。すると一輝の目には涙が浮かんでいる。それは、あれだけジーコの気持ちを煽ったのに自分は夢を忘れて別の方へと行ってしまった罪悪感であった。

 

「ごめんよ……ジーコ。俺は、俺は……ジーコにあれだけ言ったのに結局約束を破ってしまった。俺がジーコの立場だったらきっと怒る。だから俺を怒ってくれ、ジーコ」

 

一輝はジーコへと頭を下げると謝罪した。しかし、ジーコの顔は怒りに染まるわけでもなく冷静なままである。

 

「一輝、お前に何があったのかは知らない。でも、俺はお前を責めるつもりは無いよ」

 

「……え?」

 

一輝はジーコからの意外な言葉に驚いた。ジーコは確実に怒っていると思っていたからだ。

 

「……一輝は確かに俺との約束は破った。けど、その分世界を守るっていう大きな事に取り組んでいる。俺はそんな一輝が誇らしいよ」

 

ジーコからの言葉に一輝はそれでも罪悪感を感じてしまう。あれだけ偉そうに言っておきながら自分は夢を追わなかった。そんな自分が許せずにいるのだ。

 

「俺との約束を破った事を後悔しているのなら……また全部終わってからサッカーをやり直せば良い」

 

「でも、もうプロには……」

 

「ならなくて良いよ。一輝はそれだけの事を頑張っている。それに、プロを目指す夢は俺が一輝の分まで背負うから」

 

それを聞いて一輝はジーコの元に向かうと彼と抱き合う。そして、二人はようやく和解するとバイスが口を開いた。

 

「良いもんだな……友情ってやつは……って、あ。一輝!」

 

「どうした?バイス」

 

「こうしちゃいられないだろ!まだデッドマンは残っているんだぜ」

 

「そうだった!ジーコ」

 

「わかってるよ。……頑張れ、一輝」

 

二人は拳を突き合わせるとそのままお互いの姿がフェードアウトしていく。デッドマンの力で合わさっていた夢が分離してしまったからだ。そして一輝は現実世界で目を覚ます。

 

「一輝さん!」

 

そこにいたのは光だった。大二ことライブがカブトデッドマンとの交戦を開始してから再び病室に戻ってきたわけである。

 

「光、デッドマンは?」

 

「今、さくらさんが交戦中です」

 

「わかった。すぐに行く!」

 

一輝が行こうとした時、光が一輝を呼び止める。伝え忘れた事を伝えるためだ。

 

「待ってください。……デッドマンの生みの親は木崎昴さんでした。今彼はデッドマンに連れ去られています。恐らく向かったのはさくらさんの所でしょう」

 

「じゃあ木崎さんも取り返さないとだな」

 

「行くぞバイス!」

 

「あいよ!」

 

一輝は病院を出るとバイスを呼び出してからすかさずプテラバイスタンプを押印。そのままバイスがエアバイクとなると一輝を乗せて空へと飛び上がるのであった。

 

同時刻。ジーコの方も目を覚ますとそこには手紙が置いてある。それは木崎昴からの言葉だった。

 

「これは……」

 

ジーコは起き上がると共に木崎からの手紙を開くと内容を読み始める。

 

“ジーコへ。この手紙を読んだということは夢から覚めたみたいだな。俺はジーコを眠らせたデッドマンを生み出した親。一輝君との仲直りは済んだか?まぁ、ジーコならきっと仲直りも済ませたんだろう。俺はデッドマンを生み出したためにフェニックスに連行される。収録の方は俺の代役として出て欲しい。上の方にも何とかお願いしてある”

 

「木崎……さん」

 

“いきなり主役をやれと言っても準備も全く足りないだろう。だからこれだけ言っておく。……楽しんで演技してくれ。俺から言えるのはそれだけだ。頼んだぞ、未来の大物声優”

 

ジーコはそれを見て木崎から自分は託されたのだと理解すると共に時間を見る。今から行けば何とか予定時刻には間に合う状態だった。そのため、ジーコはすぐに準備を済ませると収録のためのスタジオへと飛び出していく。

 

同時刻、シープデッドマンやギフテリアンと交戦するジャンヌは一気に勝負を決めるべく必殺技を発動させていた。

 

「サクッと倒すよ!」

 

《ホワイトレオ!スタンピングスマッシュ!》

 

ジャンヌが火炎放射器の先端に火炎玉を生成するとそれを回し蹴りでシープデッドマンへとシュートし、決めようとする。その瞬間、ウルフデッドマンとダイオウイカデッドマンが割って入るとそれを粉砕。そしてフリオとオルテカの姿に戻る。

 

「フリオ、オルテカ……」

 

「折角宿主を連れてきたんだ。ここで倒されたら困るんでね」

 

「さぁ、我々の役に立ってもらおうか」

 

《シープ!》

 

それからスタンプを契約書に押印すると上級契約を発動。木崎の姿が取り込まれ始めた。

 

「ぐあああっ!」

 

そして、その姿がフェーズ2へとパワーアップ。下半身はいつも通りに上半身がモコモコの毛皮の厚みが減り、防御力は下がったように見えたものの、その分腹筋が筋肉質になっている。つまり、パワーが単純に上がったということだろう。頭にはヘッドホンのようなもの付け、更に体には台本のような物が薄らと見える。更に頭のツノはヘッドホンから生えており、顔は人間の顔を模している。これにより、シープデッドマンフェーズ2が誕生したのだった。

 

「フェーズ2……」

 

「さぁ、暴れなさい。シープデッドマン」

 

「があっ!」

 

シープデッドマンは自我を保てていないのか闇雲に暴れ始める。すると叫び声を上げるとそれがエネルギーの弾丸として射出。ジャンヌはそれを躱すが近づくのが難しくなってしまう。

 

「フェーズ2を倒すならライダーキックだけどあれじゃあ近づけない……」

 

ジャンヌが困り果てたその時。空から急行してきた一輝が降り立つ。そして、デッドマンと向き合うのであった。




また次回もお楽しみに。
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