赤石が変身したギフデモスはその姿を一度赤石へと戻すとリバイス及びライブへと自らの歩んできた過去を話し始めた。
「君達も知っての通り、私は数千年前に中南米にあるとある文明の王として君臨していた。その文明はそれなりに力もあり、同盟国もいた。そのおかげもあってか私の作った国とその同盟国は巨大な富を築いた」
赤石がいたのは中南米。つまり、ギフスタンプが発掘された場所である。
「当時王だった私は更なる国の進化を求めてギフスタンプを作らせた。勿論当時は科学なんてものは無かったからそれこそ様々な能力者の手を借りた」
幸いにも赤石の国には霊能力者や呪術師、更には仙人等もいたため、様々な手を尽くしてそのスタンプを作り上げた。
「だが、それでも何も起きることは無くそれはただのスタンプでしか無かった」
しかし、ここで転機が訪れる。そのスタンプを置いて人々に祈りを捧げさせていたその時。人々の体からおびただしい何かの魂が飛び出した。そして、その魂がスタンプに宿るとそれは今のギフスタンプの形へと変化する。
「そして私はそのスタンプを自らに押した。するとどうだ?その大量の魂が自らの魂と融合。そしてそれが飛び出すとギフ様が降臨されたのだ」
人々はギフの降臨に驚くと共にそのあまりの異形さに恐れ仰く事に。しかし、それでも赤石はギフの前に立つと彼の言葉を理解。そして人々に向けて宣言した。
「見ろ!このお方は神が遣わした悪魔にして我々の国の守り神である。その名はギフ様だ!」
これがギフの誕生だった。それからギフは赤石の築いた国の人々の悪魔を次々と吸収。力を更に増幅させていく。しかし、その強さは当時の人々からすれば次元が違った。敵対する国は蹂躙され、下手にギフを刺激すれば国が一夜にして滅ぶ事もあったのだ。
「我々はギフ様と歩む事で更なる発展を遂げたのだ。だが、そのギフ様のあまりの強大さにギフ様は自らを止める者を作るように命じた。万が一、自らが暴走した時にそれを止められるように」
それを聞いたリバイス達はその存在に心当たりがあるのか声を上げる。
「まさか、それが……」
「そう。お前らが喉から手が出るほど欲しているリリスという悪魔だ」
だが、リリスのスタンプが制作されたタイミングでギフは自らそのスタンプの力で封印される道を選んだ。そして、リリスも人々の祈りと悪魔の吸収という過程を経てスタンプとして完成。ただ、悪魔としての力はギフよりは下だったからかスタンプが完成したのみに留まった。
「ギフ様はあまり自らが原因で人類を縛る真似をしたくなかった。人類の発展をこの目で見届けたかったのだ。そして、その行き着く先が何なのかという事を知るためにギフ様はリリスのスタンプを使って力を封印。お前達が最初に見た棺の姿になった」
「ッ……」
「そして私と同盟国の王の二人はギフ様より人類の未来を託されて不死身の体を得た。それ以降、私とその同盟国の王は数千年という時を生きているわけになる」
それを聞いてリバイスは赤石へと質問をする事にした。それはリリスについてである。
「……赤石。もしかしてリリスが誰の悪魔に降臨したか知ってるのか?」
「ああ。だが、君達の方がそいつに関してはよく知ってると思うぞ?」
「何!?」
「あーっ!もしかして!」
バイスが何かを思い出したのかある事実に辿り着く。そして、それに釣られるようにリバイスやライブも気がついた。
「まさか!?」
「やっと気がついたようだな。君達の母親、五十嵐幸実の悪魔。あれこそがリリスだ」
それを聞いてリバイスは混乱する。そもそもギフに対抗する存在であるリリスの依代を何故わざわざ教えたのか。その理由がわからなかった。
「赤石、どうしてその事を教えたんだ!お前の心の中にしまっておけば俺達が気づくのはもう少し遅くなっただろ!」
「別に遅かれ早かれ知るぐらいならこちらから教えてあげたんだよ」
「母さんはどうしてそんな悪魔を……」
「答えは簡単だ。ノアでギフの遺伝子を持った人間、白波純平の暴走を止めるために人間の悪魔をリリスの依代とする実験をやっていた。そして、彼女は選ばれたんだ。だから白波純平と出会う事ができ、お前達は生まれたんだよ」
それを聞いてリバイスは拳を握りしめる。結局、両親は二人揃って利用されていたのだ。ノアの実験のための道具として。
「だったらお前らは母さんにリリスを降臨させた事を後悔するぞ!」
「ああ。これなら俺達は……」
「君達は何か勘違いをしている。リリスは確かにギフ様を抑える切り札になるだろう。だが、今のリリスにギフ様を抑えられるような力は無い!」
リリスがギフを抑えられない。その言葉にライブは困惑するとそれを否定するように叫ぶ。
「そんなはず無い!現にギフを封印しただろ!」
「ふん。それはリリスが封印できるようになるまでギフ様が自ら力を落としただけだ。何しろギフ様は封印されていたとはいえ長い時間を過ごした。その間に多くの力が蓄えられている。対してリリスは僅か25年前に五十嵐幸実の悪魔として降臨したばかり!その力はギフ様と比べるまでもない」
つまり、今のリリスでは実質的にギフを止めることはできないという事だ。ある程度抵抗はできても最終的に実力がギフの足元にさえ及ばないリリスでギフを封じるのは無理だという事になる。
「だとしても何か、何かリリスの力と組み合わせればギフに届くかも」
「愚かだな。もう君達にギフ様を止める術などない」
赤石がそう宣言すると不敵な笑みを浮かべる。それはまるでリバイス達を嘲笑うかのようだった。
「まだだ。俺達の力だって少しずつは強くなっている。いつかはギフにだって届くはずだ!」
「無理だね!」
ライブが必死にそう言い聞かせて自分を奮い立たせようとするが、まるで無意味とばかりに赤石は残酷に言い放つ。
「お前らにギフ様を超える術は無い」
「黙れー!」
ライブが一人突撃する中、赤石はまたギフデモスへと変わる。そして、指を鳴らすと事態を傍観していた朱美のギフデモスがリバイスへと攻撃を仕掛けて注意を引いた。
「この程度で冷静さを失うとはまだまだ青いな」
赤石のギフデモスが手を翳すと赤黒い竜巻が発生。そのままライブを飲み込むと一瞬で吹き飛ばす。
「うわあっ!?」
「さて、良い加減君達に付き合うのも飽きた。終わりにしてあげよう」
赤石のギフデモスが迫る中、ライブはカゲロウへと呼びかける。今は交代して戦うときだと判断した。
「カゲロウ……交代だ」
しかし、大二の中にいるはずのカゲロウは無反応。まるでライブからの呼びかけに答える気が無かった。
「カゲロウ?おい、カゲロウ!」
「……どうやら悪魔にも愛想を尽かされたか?」
「うるさい!」
ライブが無茶して飛び出すがそんな精神状態でギフデモスに勝てるはずがない。簡単にあしらわれると強力なエネルギーを腹へと命中させられると吹き飛ばされて変身解除してしまった。
「うわああっ!」
大二が地面を転がるのを見たリバイスはこのままやっても勝てないと判断。バイスに呼びかける。
「バイス、撤退するぞ」
「おう!」
《イーグル!》
《バディアップ!》
《荒ぶる!高ぶる!空駆け巡る!イーグル!(イーグル!)お前の羽を数えろ!》
《リミックス!バディアップ!》
《必殺!ミラクル!グルグル!イーグル!》
リバイスはイーグルゲノムへと変わるとすかさずリミックス。リバイスイーグルとして風を纏いながら突撃。大二を回収して撤退する。去り際に緑の羽型のエネルギー弾を放つ事で煙幕を張ることも欠かさなかった。
「があっ!」
朱美のギフデモスが逃がさないとばかりにエネルギーの斬撃を放とうとする。しかし、赤石のギフデモスがそれを制した。
「追わなくていい。彼等はじっくり味わう。この底なしの絶望を」
同時刻。デッドマンズの三幹部と戦っていたジャンヌ、オーバーデモンズの方もデッドマンズ側が撤退した事で局面が終わる事に。そのため、二人はスカイベースへと移動するとそこには一輝達が揃っていた。
「一輝兄、大ちゃん……」
「話は伺いました。まさか幸実さんの悪魔がリリスだなんて」
「……赤石の言ったことはあながち間違いではないかもしれない。ギフの力は強大だ。リリスの今の力ではギフを封印なんてできないかもしれない」
狩崎の出した残酷な結論に大二は悔しそうにする。すると一輝が口を開く。
「そういえば、リリスの真の力って何なのでしょうか」
「確かに。リリスの力なら勝てるかもって言ってた時からずっとその力が何かわからなかったよね」
二人の言葉を聞いて狩崎が説明をする事になる。そのため、彼は真澄から貰ったUSBからわかった事を言う。
「リリスの能力は浄化だ」
「……浄化?」
「ああ。ギフはそもそも大量の悪魔が生贄として集まって生まれた存在。その力を封印した際、リリスはギフの中にある負のエネルギーを浄化。正のエネルギーに転換して自らの糧にしていた。
「え?じゃあさ、一回ギフの力をリリスは取り込んでいるって事だよね?それだけ力もあるんじゃないの?」
さくらの問いかけに対して狩崎は難しそうな顔つきをしつつ答えを返す。
「恐らく、力があっても数千年前に生まれたギフと違ってリリスは降臨したばかり。その力ではまだ浄化した後のエネルギーを上手く扱えてないのだろう」
「そんな……」
すると大二が頭を悩ませると部屋から出て行ってしまう。それを見た一輝は声をかけようとした。
「大二!大丈……」
「今は放っておいてくれ……。カゲロウも出てこないし、何がどうなってるのかわからない。心を整理させてくれ」
それはいつもは冷静なはずの大二が動揺で心が乱れている証拠だ。そして、今の状況を打開する策はフェニックス側にはない。
「一輝、空手ガール。後で一度君達のマミーを呼ぶことはできるかい?リリスについてもう少しデータが欲しい」
「わかりました。聞いてみます」
「私、トレーニングルームを借りるよ。少しでも強くなってギフ達なんてサクッと倒すから」
「僕も行きます。相手がいた方が強くなれますし」
それからさくらや光も出ていく事に。それを見届けた一輝も行こうとすると狩崎が呼び止めた。
「一輝。君達の持ってるローリングバイスタンプを貸したまえ」
「え?これをですか?」
「それを改良してデメリットを無くす。具体的には使っても一輝とバイスの強制融合をしないようにする。そうしないとずっとその形態にはなれないからね」
「わかりました」
狩崎は一輝からスタンプを受け取ると改良を開始。こうして彼らはやるべき事をそれぞれ進めていく。来るべきギフとの決戦に備えて。
バイスタンプラリー
三十九話目……キングクラブバイスタンプ
また次回もお楽しみに。