仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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四十話目
出てこないカゲロウ 兄弟の対話


赤石から真実を告げられてから数日が経過した。その間、大二は何度かカゲロウとの会話を試みるが彼からは何の反応も無い。確かにカゲロウは大二の中にいるにはいるのだが、まるで大二との会話を拒絶しているかのようだった。

 

「カゲロウ……どうして応えてくれないんだ!」

 

大二はフェニックスのお手洗いにある洗面所の鏡の前に立つと声を荒げる。普段ならばここで大二と話すために姿を現すカゲロウが全く出てこない。

 

「クソッ……どうしてだよ……カゲロウ」

 

それから大二が外に出ると狩崎の元へと向かう。そして狩崎のいる部屋に入ると彼へと話しかけた。

 

「狩崎さん。俺に、ライブにもう一個強化を付けることはできないんですか?」

 

「……ワッツ?」

 

「ホーリーライブだけじゃ、今のままじゃダメなんです」

 

大二は焦っていた。今のままの自分ではここから先、戦い抜くことは厳しいという事実を何となくわかっていたからだろう。しかし、そんな大二の思いとは裏腹に狩崎の考えは違っていた。

 

「……無理だね」

 

それを言われると大二は目を見開く。そして、狩崎はその理由を説明し始めた。

 

「理由は二つ。一つ目は君達二人はライブとエビル、二つの戦士のバランスを取れて初めて戦士として成立する。前にもあっただろう?片側だけを強くした所でそれを制御するためのもう片方の力が無いと無理だ。だからライブだけ強化するのは危険極まりない」

 

それは前にイーヴィルエビルとしてエビルが進化した際にカゲロウが強くなりすぎて大二が制御できなくなった事態を鑑みれば当然の言葉である。そして、理由はもう一つ。

 

「何より、今の君達はとてもじゃないけどバディとして機能しているような状態じゃない。知ってるよ。カゲロウが君と意見を違えて引っ込んでいるのは」

 

そして狩崎が指摘した大二にとっての目下最大の問題。それが大二の相棒であるカゲロウとの仲が未だに戻らないという点である。

 

「でも、だからと言ってこのままで良いんですか?兄ちゃんもさくらも悪魔と一つになって進化できたのに俺だけこんな……」

 

大二がそれを言うと狩崎は半ば呆れた様子になった。そして、大二へとある事を言う。

 

「大二。今の君じゃパワーアップはどっちにしても無理だ。そうやって他人の進化を見て羨むような奴になんて限界を超えるのは不可能」

 

「ッ……そんな事は」

 

「あるね。あと、カゲロウが何で引っ込んだかもちゃんと考えないと君は一生進化できないと思った方が良いよ。あ、そうそう。ローリングバイスタンプの調整が終わったから一輝に渡しておいて」

 

狩崎から冷たくそう言われると大二は悔しそうに拳を握りしめる。その様子を若林が影から見ており、大二が去ってから入ってきた。

 

「厳しく言ったな。狩崎」

 

「あのくらいは言っておかないとね。それに、総司令官も同じ事を言うつもりだったでしょ?」

 

「ああ。五十嵐大二……。もっと落ち着いて冷静にならなければ成長の鍵にすら気づかないぞ」

 

若林がそう言う中、大二がスカイベースの中を歩いているとそこで幸実と出会う。

 

「ッ!?母さん!?」

 

「大二!」

 

「とうしてここに……」

 

「狩崎さん達に呼ばれてね。リリスの事についてもっと知りたいって。私も悪魔の存在にはつい最近知ったんだけどね」

 

それを聞いて大二は疑問を抱く。ノアで実験道具になっていた幸実が悪魔を知らない理由とは何なのか。そしてそれは彼女の口から伝えられた。

 

「私、ノアに連れてこられる前からパパさんと出会う直前までの記憶が完全に抜けてるの。多分、記憶を消去されてるだけだと思うけど……」

 

幸実はアッサリとそういうが、実際はかなり苦しい思いをしただろう。幸実のその体にはリリスの魂が宿っている。リリスは元々大人しい悪魔であるためにそこまで幸実には干渉しなかったし、彼女の行動を妨げるような事も無い。それでも幸実は悪夢のような実験のために平和な日常から掛け離れた場所にまで連れ出されたのだ。本人からすればたまったものでは無いだろう。

 

「母さんは怖く無いの?こんな急に強力な悪魔が眠っているって言われて」

 

「ふふっ。確かに怖い気持ちもちゃんとあるわ。でもね、それがわかった以上はこの中にいるリリスって悪魔も私の家族みたいな物だから。ちゃんと受け止めるつもりよ」

 

すると幸実の言葉にリリスが応えたのか彼女の前に霊体として出てくるとリリスは穏やかな様子で幸実の事を見ていた。

 

「母さんが全く怖がってない。父さんの悪魔、ベイルと比べて凄く穏やかそうな悪魔なんだな……」

 

大二がそう言う中、翻って自分はどうかと考える。カゲロウとは喧嘩して仲が拗れてしまい、まともな会話すらできない。今の状況では進化するのは難しいだろう。

 

「俺は、どうしたら……」

 

すると幸実の悪魔、リリスが目を光らせると大二の持つホーリーウィングバイスタンプとカゲロウの中にあるイーヴィルウィングバイスタンプへと何かの光を粒子として大二や中にいるカゲロウに見えないように飛ばした。

 

「リリス?どうしたの?」

 

幸実がリリスの行動に気がついてそう聞くが、特にリリスは応えることなく消えてしまう。そのため、結局何も聞き出す事ができなかった。

 

「母さん。リリスの事、お願い」

 

「うん。任せてちょうだい!」

 

幸実が胸を張る中、彼女は護衛に連れられてスカイベースから幸せ湯へと帰宅する事になる。そんな中、大二は一輝と出会った。

 

「兄ちゃん……」

 

それから大二は一輝にカゲロウと喧嘩してしまったという事を話すとバイスがガンデフォン越しに喋りかけてくる。

 

「だったらよ、俺っちがカゲロウに聞いてこようか?ラブコフの時みたいによ」

 

確かにバイスであればカゲロウがどう思っているのか聞く事だけなら可能だろう。しかし……。

 

「……いや、バイス。今はカゲロウに話しかけに行くのはやめてくれ。これは俺とカゲロウの問題だ」

 

大二は自分で解決すると拒否。バイスはそれを汲んで何も言わない事にした。

 

「大二、カゲロウはカゲロウなりに何か考えがあるんだと思う。だから、アイツを信じてあげてくれ」

 

「ああ。……でも、こうして思うとカゲロウも変わったよな」

 

大二が思ったのは初めてカゲロウが自分の前に姿を現したときだった。その時、カゲロウは宿主である自分を乗っ取ることを画策。結果的に失敗に終わったものの、それから彼は変わった。自分の優しさを取り込んだ事で非情だった彼の性格は軟化。一輝達とも馴染むようになったのだ。

 

「最初は大二の事を乗っ取ることばかり考えてたもんな。アイツは」

 

「それでも、今はもう大二の事をちゃんと考えるようになった。カゲロウの心境が大きく変わった証拠だよ」

 

それを聞いて大二は頷く。そして、カゲロウが変わったという事は大二にも変化があった。カゲロウの持っていた非常さを取り込んだ大二もまた、成長する事に。そして、大二は何かに気がついた。

 

「ッ……そうか、俺達は……」

 

そして、カゲロウへと何かを言おうとしたとき。ガンデフォンが鳴り響くと二人の元に連絡が入る。

 

『一輝、大二、デッドマンズが出てきた。今回は量産型のヘルギフテリアンと朱美君が変化したギフデモスだ』

 

「ッ……すぐに向かいます」

 

「大二、話は後だ。行くぞ」

 

それから大二はローリングバイスタンプを一輝に返してから二人揃って現場へと向かう。

 

その少し前、アララトの本部では赤石が今回の襲撃についてデッドマンズ幹部と話し合っていた。

 

「長官、今回はどうやって攻めるつもりで?」

 

「五十嵐大二を徹底的に叩き潰す。彼は朱美君を救おうと焦り、躍起になっている。それによって生じる隙を突き、敵の連携を崩す」

 

「なるほど、確かにそれなら楽に崩せそうですね」

 

「ああ。だったら差し向けるのはあの女は確定として、あとはどうします?」

 

「別に誰でも良いじゃん。どちらかといえばライブが作った隙を使って四人纏めて始末するのも良いと思うけど?」

 

アギレラの言葉に赤石はそれも一つの手段としてはありだと思っていたために思考する。

 

「アギレラ様、でしたら我々も一気に畳み掛けるべきかと」

 

「えー?うーん、じゃあ赤石。アンタが出れば解決じゃない?」

 

どうやらアギレラは今回あまりやる気では無いらしい。そのため赤石は仕方ないとばかりにヘルギフテリアンを先行して向かわせて自らが後から向かう手を使う事にした。

 

「そういえば、ベイルは?」

 

「アイツは今調整中だ。なんでも、彼の体の消耗がどんどん激しくなってるからね」

 

それを聞いて納得する一同。ベイルはプロトバイスタンプをエネルギー源として供給する事でどうにか力を維持している状況下だ。そのため、定期的にエネルギー補給をしなければならない。しかもここ最近はその頻度も多くなっている。

 

「さて、話はここまでにしてそろそろ向かうとしようか」

 

赤石はそう言うと部屋を出ていく事になる。その後、アギレラ達は彼のいない所で話していた。

 

「ねーえ、そろそろ長官も失敗しすぎじゃない?」

 

「まぁ、ここ最近は向こうも手強くなってますし」

 

「でもそれを言い訳にするの?」

 

「ここは我慢しましょう、アギレラ様。ギフ様もいずれ痺れを切らします。その時が赤石に詰め寄る機会かと」

 

アギレラ達はひとまず赤石についての話も終わりにし、それぞれの持ち場へと戻っていく事になるのだった。

 

場面は変わり、街中では赤石の予定通りヘルギフテリアンと朱美のギフデモスが顔を揃えていた。そこに一輝と大二が到着する。

 

「さくらと光は?」

 

『あの二人もこちらに向かっている。ひとまずは二人でどうにかしたまえ』

 

そして、二人がベルトを装着するとそれぞれスタンプを取り出して変身する。

 

《サンダーゲイル!》

 

《ホーリーウィング!》

 

《Confirmed!》

 

《Come on!サンダーゲイル GO! Come on!サンダーゲイル GO!》

 

《Wing to fly! Wing to fly!》

 

《ウィングアップ!》

 

「「変身!」」

 

《ホーリーアップ!》

 

《一心同体!居心地どうだい?超ヤバいっす!豪雷と嵐でニュースタイル!仮面ライダー!リバイス!》

 

《Wind!Wing!Winning!ホーリー!ホーリー!ホーリー!ホーリー!ホーリーライブ!》

 

二人が変身するとリバイスはヘルギフテリアンと、ライブはギフデモスとマッチアップするのであった。




また次回もお楽しみに。
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