異次元での戦い 善意の戦士
朱美を救い出してから数日。束の間の平穏な日常を一輝達が過ごしていた。一輝はこの日、幸せ湯が定休日だったために家で過ごしている。
「あーあ。平和な日常って奴も良いけど何だかスリルが無いなぁ」
そう言うのは暇を持て余したバイスだ。それを聞いた一輝はバイスへと文句を言う。
「そんな事言うなよ。平和こそが一番なんだ。それに、いつまたデッドマンズやウィークエンドが仕掛けるかわからない。気を抜いたらダメだ」
一輝の言葉にバイスは納得するものの、どうにも煮え切らない様子だった。
「正論だってわかっててもやっぱり俺っちの心は収まらないなぁ……」
するとそんな時だった。突如として一輝の目の前にバチバチと何かの音が鳴ると漆黒のゲートが開き始める。
「な、何だこれ!?」
「何これ、展開急すぎない!?」
そのまま一輝はその中へと吸い込まれていく。そのままバイスも一輝に引き摺られるように吸われていき、その場には何も残らなかった。
「くうっ……」
一輝が目覚めるとそこは荒廃した街が広がる空間だった。まるで何者かが作り出した異次元空間である。
「何だよここ……」
するとそこに一人の青年が歩いてくる。その姿はマゼンタのシャツに黒いコートを羽織り、紺色のズボンを履いた男だった。
「よく来たな。仮面ライダーリバイ……いや、五十嵐一輝」
「誰だ!?」
「門矢ツカサ。世界の破壊者だ」
「破壊者だと!?」
その男は一輝へと向かって笑みを浮かべると彼の元に歩いてくる。そして、こう告げた。
「お前らの世界は破滅への道を歩み出した。このままではお前らは本気になったギフに負けて世界を滅ぼされる」
「……え?」
「おい!それってどういう事だよ!」
「今のお前らじゃギフに勝てないって事だ。だから俺が世界を破壊してお前らの話を終わらせる」
「そんなの、世界の救済でも何でも無いだろ!」
「ああ。そうだ。確かお前らは世界が自由な平和じゃないと意味がないって言ってたな……ギフに支配された世界では自由も平和も無い。そんな世界で生きたいと思うか?」
「………」
ツカサの言葉に一輝は黙り込んでしまう。そんな中、バイスが声を上げる。
「それでよ、お前がここに俺っち達を呼ぶのと何の関係があるってんだ?」
「……お前らを破壊すればこの世界が平和になるからだ。お前らリバイスという仮面ライダーが消えればリバイスの歴史は終わる……つまり、世界に自由な平和が戻るって事だ」
ツカサがそう言うが、それでも一輝は自由な平和のために家族を見捨てる事はできなかった。
「……断る。確かに俺達がいなくなれば世界に自由な平和が訪れるかもしれない。それでも、俺は家族を置いていなくなるなんてできない!」
「ふへへ。一輝ならそう言うって思ったぜ!」
「……そうか。なら仕方ない。実力を行使させてもらう」
するとツカサは漆黒のベルトを取り出すと装着。それからベルトを両側から引っ張って展開。カードを取り出す。
「変身!」
《カメンライド!ディケイド!》
ツカサがバックルを両側から押し込んで閉じると自身の周囲にライダーズクレストが出現。それがライダーの姿となるとツカサへと重なっていき仮面ライダーへと変身。その姿は漆黒のボディ、胸部には金色のラインが入っており、頭部はカードが何枚も突き刺さったようなデザインで複眼は青。仮面ライダーダークディケイドへと変身したのだった。
「仮面ライダー……」
「ああ。言っただろう。俺は破壊者。お前らの歴史を……破壊する」
「そうはさせない!バイス!」
「おうよ!」
《レックス!》
《Come on!レ・レ・レ・レックス!》
「変身!」
《バディアップ!》
《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
二人はレックスゲノムへと変身するとダークディケイドとの戦闘を開始。ダークディケイドは手にライドブッカーと呼ばれる武器をソードモードでリバイとバイスに応戦するとまるでリバイ、バイスの動きを見切ったかのような動きで圧倒する。
「コイツ、俺達の動きがどうして……」
「ふん。お前らの戦い方はわかっている。その上で俺はお前らを潰しに来たんだ」
「だったら、これだ!」
《メガロドン!》
《バディアップ!》
《潜るドンドン!ヨーイドン!ドボン!メガ・ロ・ド・ンー!通りすがりのハ・ハ・ハ・ハンター!》
リバイとバイスはメガロドンゲノムとなると水を纏わせた斬撃と鮫の歯を模した弾丸で対抗する。
「ほう。なかなか粋な計らいをしてくれるな。だったら」
するとダークディケイドがカードを取り出す。そこには別のライダーの顔が描かれていた。ダークディケイドはカードをバックルに入れて再び姿を変える。
《カメンライド!リュウガ!》
すると周囲から鏡に映ったような姿がダークディケイドに重なり、仮面ライダーリュウガへと変わる。
「なっ!?お前も姿を変えられるのかよ!」
「当然だ。俺の力を使えば全てのライダーに変身できる」
リュウガは漆黒のドラグセイバーを手にするとそのままリバイとバイスに再度優位に立つ。そのままカードを読み込ませた。それと同時にリバイもスタンプを倒して三人が同時に跳び上がる。
《ファイナルアタックライド!リュ・リュ・リュ・リュウガ!》
《メガロドン!スタンピングフィニッシュ!》
三人のライダーキックがぶつかると爆発し、三人とも元のレックスゲノムとダークディケイドとなった。
「しぶといな。なら、そろそろこっちも……」
するとそんな時、空気が一瞬凍りつくような感覚となる。何者かがこの空間に入ってきたのだ、
「何!?ここにはコイツらしか入れていない。なのに何故だ?」
すると現れたのは白髪の男だった。そして、彼はベルトを装着すると何かのキーを取り出す。
「……私の名前は善井正義。世界を破壊する悪意を感じた。よって正義の鉄槌を執行する」
男は淡々とそう言うと手にしたキーを起動。するとキーが展開して男は掛け声を言う。
《ゼイン!》
「変身」
男がキーをベルトに差し込むと音声と共に変身のプロセスが開始。
《ゼインライズ!》
その瞬間、都心の光景が映った青い光球とファンタジー世界の光景が映った赤色の光球が出現し、男と同化して高速道路のタイムラプス映像が背後で流れ変身が完了する。
《ジャスティス!ジャッジメント!セイギ!ゼイン!"Salvation of humankind."》
その姿は白と銀をメインカラーとし、差し色の金と水色をあしらった高貴さを感じられる。それはマントをはためかせる聖騎士や救世主に似た外見となっていた。頭部のデザインは笑顔に近いモノが見え隠れしている。特に金色のラインに着目すると笑顔を浮かべているように見える形状であった。その名も仮面ライダーゼインである。
「な、なんか凄そうな奴が来たんですけど!?」
「……邪魔者は排除する」
《カメンライド!G4!》
するとダークディケイドの姿が機械の装甲へと置き換わり、仮面ライダーG4となる。
「喰らえ!」
《アタックライド!ギガント!》
G4が巨大なミサイルを発射するとそれがゼインに向かって飛んでいく。しかし……
《カブト・ハイパーフォーム!》
ゼインが取り出したのは仮面ライダーカブトの最強形態、ハイパーフォームのカードである。それをゼインはベルト中央部に装填すると左側にあるレバーを引く。その瞬間、カードがバラバラになって裁断されてしまった。
《執行!》
「カードがバラバラに……」
「うっそーん。あんなのアリかよ!」
更にゼインがキーを押し込む。その瞬間、音声と共に能力が発動する。
《ジャスティスオーダー!》
「ハイパークロックアップ」
《ハイパークロックアップ!》
次の瞬間にはゼインの姿が消えるとG4の背後に立っていた。そして、不発となったミサイルが着弾して爆発する。
「馬鹿な……」
「終わりです」
《ALL ZECTOR COMBINE!》
ダークディケイドが振り向く瞬間、ゼインがガンモードにしたパーフェクトゼクターのトリガーを引く。
《マキシマムハイパーサイクロン!》
「「危なっ!?」」
その一撃はG4を貫くとそのまま吹き飛ばし、直線上にいたリバイとバイスを危うく巻き込みかけるが、二人はギリギリで回避に成功。そのままG4は爆散すると辛うじてダークディケイドの姿に戻った。
「危ねぇなぁ!お前!周り見てやれよ!」
「……?私は悪を倒しただけに過ぎません。そのためならどうなろうと知った事でもありません」
「おい、そんなのが正義の味方かよ。ふざけんな!」
「バイス、落ち着けって」
「……まさかここまでやるとはなぁ……」
するとダークディケイドが立ち上がるとダメージをそこまで負ってない様子だった。
「どういう事ですか?あなたにはしっかりと攻撃が直撃したはず」
「ふん。ゲンムのゾンビの能力をギリギリで使えてね。やられはしたが耐え切る事はできた」
「なるほど。ならば今度は確実に消してあげましょう」
「待て。ゼインだったっけ?どうしてそこまで相手を殺そうとするんだ」
「私の正義の邪魔をする者を排除しようとしているだけです」
リバイはそれを聞いて息を呑む。つまりゼインは自分の前に立ちはだかる悪とみなせるものを全部排除するつもりのようなのだ。
「お前はもし相手に改心の余地があって交渉次第して解決できる奴だとしても始末するのか?」
「改心?そんなものは甘い考えですね。あなた達はそんな相手に出会った事はあるんですか?」
「ある。むしろ、俺の家族の中には最初敵対していたけど、関わる中で改心した奴もいた」
「家族……」
「ゼイン。お前は家族や親しい人の中に敵対者がいて、それが自分の前に立ちはだかったら迷わずに倒すのか?」
「………」
「俺達はそんな相手にこそ話し合うべきだと思う。勿論、世界の破壊者とか言うアイツとは戦うしかないとは思ってる。それでもゼイン。お前のように全部が全部敵としてみなすのは俺の考えとしてはいただけない」
するとダークディケイドはライドブッカーを片手に斬りかかってくると、リバイとバイスは迎え撃った。
「俺っち達だって戦わないといけない相手がいる事ぐらいわかってんだ。それでも、ゼインみたいに必ずしも全てに対して敵対する姿勢を取らなくても良いんじゃないのかと思ってるぜ」
するとゼインは少しの思考の後に答えを見つけるとそれをリバイ達へと話す。
「……面白いですね。でしたら、まずはコイツを倒しましょう。ただし、あなたのやり方を見せてもらいます。ラーニングできる事があるかもしれませんしね」
「おう。俺達のやり方、見せてやるさ。バイス!」
「おうよ、相棒!」
「「一緒に行くぜ!」」
それから二人はハイタッチを交わしてからダークディケイドとの戦闘を再開する事になるのであった。
また次回もお楽しみに。