スカイベースで犯人を誘き出すための作戦が決定したその日の夜、幸せ湯にフェニックスの作戦にリバイとバイスを協力させるために大二、ヒロミ、光の三人がやってきていた。
「フェニックス分隊長、門田ヒロミです」
「いつも息子達がお世話になっています」
「それで、どうして家に来たんですか?」
「……明日の正午、この廃墟を使いフェニックスの隊員が不良達となって工藤を誘き寄せます」
「そこで一輝さんには出現したデッドマンの相手をお願いしたいんです」
「なるほど……。守りに入るんじゃなくて攻めに転じる一手を打つわけですね」
一輝が話に納得すると大二の後ろから狩崎が近づこうとする。その瞬間、大二は狩崎へとガンデフォンを一瞬にして向けた。
「おっと、ジョークだよ」
「大二、止めろ」
「……」
ヒロミにそう言われた大二はガンデフォンを下ろす。そこにさくらがやってくると幸せ湯に来た客が全員帰った事を伝え、ロビーで話す事になった。
「それと、仕方ないから調整完了したジャッカルバイスタンプ。これを君達に渡すよ」
「ありがとうございます」
「そういえば大二、さっきから神経を尖らせすぎじゃ……」
「……兄ちゃんが抜きすぎなんだよ」
「大二、お前なんか変だぞ?態度も何だかおかしいし……」
一輝のその言葉にさくらも違和感を覚えるが、元太はそんな二人の違和感を拭うように言葉を発する。
「いや、たまに見せる反抗期なだけだろ」
「いや、大二はもう反抗期も終わって……」
「はぁ、兄弟揃って喧嘩腰……作戦には支障を出すなよ」
「わかってるよ」
光が大二にそう言うと大二も若干不機嫌そうにそう返す。それから幸せ湯の銭湯に浸かる狩崎はその中から一人洗面台の上で鏡を見つめる大二をニヤリと笑いながら見つめるのであった。
翌日、フェニックスの仕掛けた作戦のためにまずは廃墟内に不良に扮したフェニックス隊員が無法地帯のような状況を作り出す。そして、廃墟の周囲には銃を構えたフェニックスの隊員が配置され、銃を構えていた。
『こちら五十嵐、異常はありません』
「こっちもだ」
廃墟への入り口は二箇所のみ。片側を大二達の隊が、もう片側をヒロミ、光の隊が配備される。そして、大二達のいる側の方から工藤が一人廃墟へと立ち入っていった。
『バイスタンプの所持者……入りました』
「良し……こちらもタイミングを合わせて突入する。中と外から挟み込むぞ」
同時刻、廃墟内では一輝が物陰に潜み、様子を伺う中、工藤が不良に扮したフェニックスの隊員達の前に出てくる。
「どうやらこんな所にも世の中を騒がせる連中が潜んでいるみたいだなぁ」
それを受けてまずはただの不良の溜まり場として見せるためにフェニックスの隊員は不良に似せた話し方で対応しようとする。……その瞬間。
「っと、芝居はここまでで良いでしょう。オルテカ様、お願いします」
工藤がそう言うと突如としてギフジュニアの群れとオルテカことダイオウイカデッドマンが登場した。
「どうやらわざわざこんなわかりやすい処刑場を作ってくれるとは……有難いですねぇ」
「ッ!?バレてる!?」
フェニックスの隊員に動揺が走る中、それと同時にメガロドンデッドマンも出てきてフェニックスの隊員は逆に囲まれる形となってしまう。
「さぁ、いるのでしょう?五十嵐一輝。早く出てきなさい」
オルテカの言葉に一輝が物陰から出ると腰にベルトをセットし、スタンプを取り出した。
《レックス!》
「ふへへ、早速俺っち達の出番ですね!」
バイスがそう言ってから一輝はスタンプをオーインジェクターに押印。そのままポーズを取る。
《Come on!レ・レ・レ・レックス!》
「変身!」
《バディアップ!》
《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
一輝達が仮面ライダーとなると二人はそれぞれギフジュニアとメガロドンデッドマンを相手しに行く。
まずは先制攻撃としてメガロドンデッドマンが口から歯のエネルギー弾を連射。それに対して二人はそれぞれリバイがメガロドンデッドマンに、バイスがギフジュニアをそれぞれ受け持つとリバイはオーインバスターのアックスモードで近接戦を仕掛ける。
「があっ!」
メガロドンデッドマンは地面の中に潜るとサメのようにヒレを地面から出しながらリバイの周りの地面を泳ぐように移動する。
「厄介だな。だったら!」
リバイはオーインバスターをガンモードに切り替えるとメガロドンデッドマンの動きに合わせて射撃。メガロドンデッドマンを地面から引き摺り出す。
「喰らえ!」
バイスの方は口から火炎放射を出してギフジュニアを薙ぎ払っていく。更に近づいてきたギフジュニアはバイスが尻尾を伸ばして吹き飛ばす。
「こんな雑魚じゃあ俺っちには勝てないぜ?」
「ならば私はどうですか?」
そう言ってダイオウイカデッドマンも攻撃に参戦。このままギフジュニアに任せても勝てないと踏んだからだ。バイスはダイオウイカデッドマンからの触手攻撃に苦戦を強いられる。フェニックスの隊員もバイスを援護するように銃を撃つがまるで通用しない。
「はあっ!」
更にダイオウイカデッドマンが前日も使ったエネルギーの爆弾を放ち、二人をそれの爆発に巻き込ませる。
「「うわぁああ!」」
「この程度ですか?やはりあなた方では私には勝てませんよ」
更にメガロドンデッドマンも口から水流波を放つとリバイを吹き飛ばす。
「このデッドマン、前よりも強くなってないか?」
実際問題強くなっているのだからリバイとしては困っている。しかも、このタイミングで突入するはずの大二、ヒロミ、光達が全く来ない。これではフェニックスと連携する事も不可能だ。
「早くスタンプを渡してもらいましょう」
「こんな程度でボロボロなんて正義のヒーローが聞いて呆れるな」
工藤はそう吐き捨てると悠々と外に出て行こうとする。リバイはそれを追いかけようとするが、二体のデッドマンがそれを許してくれない。
「クソッ、この状況をどうすれば……」
「あ、狩ちゃんからもらったアレ、使ってみようぜ」
「それが良さそうだな」
そう言うとリバイはジャッカルのバイスタンプを取り出すと上部のスイッチを押す。
《ジャッカル!》
その瞬間、バイスが吸い込まれるとそのタイミングを狙ってダイオウイカデッドマンが触手を伸ばす。
「隙あり!」
「うおっ!?危ねっ!」
リバイは何とかそれを躱し、スタンプを押印する。すると霊体のバイスが黄色い液体で満たされたスタンプを持って出てきた。
《Come on! ジャ・ジャ・ジャ・ジャッカル!》
《バディアップ!》
《テクニカル!リズミカル!クリティカル!ジャッカル!ノンストップでクリアしてやるぜ!》
バイスからスタンプが下ろされてリバイはその姿を変化。それからバイスも後ろのトーク画面に押印されたジャッカルの印に重なるとその姿を人型……ではなくスケボーに変化した。
「うっひょー!俺っち板になったの?板になっちゃったの!?」
リバイの姿は以前解説した通りだが、バイスの方は狩崎の調整によって狩崎のマイブーム、スケボーの板の姿へと変わる事になる。
上面にはジャッカルの被り物をしたバイスの顔が描かれており、下面にはしっかりと人型の描かれているのだ。とはいえ、バイスが人型以外の姿に変わるのはプテラゲノムに続く二例目である。
「なかなか面白い姿ですね、お手なみ拝見と行きましょう」
ダイオウイカデッドマンが触手を伸ばして二人を捕まえようとする。そのタイミングでリバイはバイスに乗るとリミックスを発動。
《リミックス!バディアップ!》
《必殺!軽々!乗っかる!ジャッカル!》
リミックスを発動したリバイとバイス。しかしその姿はただバイスの上にリバイが乗っかるだけという割と単純な変化に留まっている。
「はあっ!」
しかしその変化は絶大でレックスゲノムのままでは躱すことが難しかった触手を高い機動力で全て回避。しかもバイスが板なので攻撃に被弾する回数も劇的に減る。
「ねぇ、強く踏み込まないで!」
「しょうがないだろ。しっかり前に集中しろ」
「えぇ!?じゃあ顔はやめて!」
バイスはそう言うが、リバイはしっかりとバイスの顔を踏み込んで操作。バイスは嫌がるがこればかりは仕方ないのである。
「狩ちゃんの意地悪」
狩崎としては速くてカッコいいゲノムを要求されたのでバイスも気に入るようなデザインにはしたのだが、何しろバイスは板なのでリバイにどれだけ踏まれようが抵抗すらできない。
それからリバイは見事なスケボーの捌きでダイオウイカデッドマンを翻弄。彼の注意を散漫にした。
「バイス、行くぜ!」
リバイがバイスと共に跳び上がるとダイオウイカデッドマンは当然のよう触手を伸ばす。しかし、リバイはバイスを踏み台にすると飛び上がり、ジャッカルゲノムの機動力で一気に接近しつつ蹴りを叩き込む。
「チッ……この私を侮るな!」
ダイオウイカデッドマンがエネルギー爆弾をばら撒くとそれが爆発していくが、リバイはそれをしっかりと回避。バイスも自分で何とかタイヤを回転して走行し、攻撃を躱す。
「がっ!」
そこにメガロドンデッドマンが両手にエネルギーを込めると水の刃が飛んでいく。
「かかったな!」
その刃を自分に引き付けていき、リバイがそれを躱す。すると水の刃は近くにいたダイオウイカデッドマンに命中。その拍子でメガロドンのプロトバイスタンプが落ちる。
「くっ……少し調子に乗りすぎたか」
「このスタンプは返してもらうぞ」
そう言ってリバイがメガロドンのスタンプを手にする。更にリバイはバイスに乗ると更にスピードを上げてメガロドンデッドマンに体当たりからの回し蹴りでとうとう追い詰めた。
「昨日のお返し行ってみよう!」
メガロドンデッドマンは逃げようとして地面に潜ろうとした直後。リバイはそれを逃すことはなくバイスに乗ったまま走ると蹴りで地面ごと抉るように蹴り上げてメガロドンデッドマンを空中へと吹き飛ばす。
「湧いてきたぜ!」
《ジャッカル!》
リバイが跳び上がるとライダーキックの体勢に入り、バイスもそれを見てスケボーとなった自身を飛ばすとリバイの足にくっつく。
《スタンピングフィニッシュ!》
そしてリバイの右足にはキックのエネルギーを纏まっていき、バイスもそのキックに被さったままスケボーで押し潰すように技を繰り出す。
「「はぁあああ!!」」
メガロドンデッドマンは対抗しようと水流波を出すものの、水流波は押し返されてしまい、ライダーキックが見事命中。そのままデッドマンを貫いた。
「はい行くよ!3!2!1!」
その後、爆発と共にメガロドンデッドマンは撃破され、リバイとバイスはレックスゲノムへと戻る。
「後はお前だけだ」
リバイの言葉にダイオウイカデッドマンは困ったような顔つきになるものの、それはすぐに消えて笑みを浮かべた。
「……ふふっ、後ろを見てみなよ」
リバイがそう言われて後ろを向くとそこには先程までいなかったはずの謎の戦士が現れてリバイを斬り裂く。
その影は蝙蝠が翼を閉じたような頭部にターコイズのカラーをしたインクがぶちまけられたような複眼。更に胸や肩にある黒い装甲、胸にはジッパーも付いていた。更にアンダースーツは黒を基調としてターコイズのラインも入り、足には銀の装甲がある。手にはスタンプが装填されたブレードを持っており腰のバックルには二つの顔が背を向けて隣り合うような絵が描かれていた。
「このっ!」
バイスがその戦士を殴るが全く効いておらずカウンターとして蹴りを叩きつける。そして、戦士がブレードでバイスを上に吹き飛ばしバイスは天井を突き破るほどに飛ばされた。
「バイス!!」
「後は任せますよ……」
そしてダイオウイカデッドマンはこの混乱に乗じて撤退。そして残された謎の戦士はゆっくりとリバイを標的として定めるのであった。
バイスタンプラリー
五話目……ジャッカルバイスタンプ
また次回もお楽しみに。