アララト本部に集まった赤石、アギレラ、フリオ、オルテカの四人。そして、赤石はギフからの言葉を伝えた。
「ほら見なさい。自業自得よ、赤石」
「しかし、こうなるともう我々で総攻撃をかけるしか無さそうだな」
「もうすぐベイルが五十嵐元太との決着を付ける。仕掛けるならばそのタイミングしかあるまい」
それはつまり、敢えてベイルとの決闘に割り込むことで一輝達を強制的に釣り出す狙いがある。
「オルテカも良いな?」
「ええ。構いませんよ」
オルテカとしてはもし仮に策が成功したら自分達が支配する世界に近づき、失敗しても原因は赤石にあるためギフの信頼を裏切る事にはならないため楽な気持ちでいた。するとそこにベイルが出てくると文句を言う。
「おい。貴様等、純平にトドメを刺すのは俺の悲願。もし俺と純平の勝負に手を出したら……」
「わかっている。君の邪魔をするつもりはない。思う存分決着を付ければ良かろう」
赤石はベイルへとそう言うと場面は変わり、幸せ湯へ。そこでは一輝、大二、さくら、幸実が揃っており、更に外に出ていた元太が戻る。
「パパ……」
「父ちゃん」
「皆……」
「話、聞いたわよ」
幸実の言葉に元太はその事を笑って誤魔化そうとする。少しでもその場を元気付けるために。
「大丈夫だ。俺は絶対に……」
しかし、三兄妹の顔つきからはまだ不安が抜けきれていないのがわかる。
「って、どう誤魔化してもダメだよな」
「俺は過去に決着を付けなければならない。二十五年に渡る因縁にはちゃんと終止符を打たないとダメなんだ」
元太のその言葉からはいつものふざけた様子では無く真剣その物の気持ちが伝わってきた。
「でも、それで父さんが死ぬなんて事になったら……」
「家族はどうすれば……」
するとそんな暗い雰囲気を吹き飛ばすように幸実が声を上げて三人を元気付ける。
「何言ってるの皆!……こうなった以上、パパさんを信じましょう」
「そりゃあ信じてるけど」
「パパさんは絶対に帰ってくる。私達を置いて一人で行くなんて事にはならないわ。それに、私達にできるのはその決着を見守る事だけ。だから、後は私達がパパさんの気持ちを尊重するだけよ」
幸実にここまで言われては三人は信じるしかないと悟る。自分達の父親を。
「それに、パパさんはここに来てから三回も変身してるのよ」
「「「……三回?」」」
「あなた達三人が生まれた時よ。パパさんはその度に強くなっていく。もうパパさんは一人なんかじゃないから」
「幸実……」
元太が幸実にそう言われてありがたいという気持ちでいっぱいになる中、一輝も声を上げる。
「よーし!大二、さくら。俺達も父ちゃんを信じよう。そして、ちゃんと見届けよう」
「そうだな」
「うん!」
するとそこに狩崎か入ってくると一つのスーツケースを手にしていた。
「家族水入らずの時間にソーリー。調整が完了したから持ってきたよ」
「……随分と早かったな」
「元々ベイルドライバーは強化する予定だったからね。これはベイルドライバー改め、デストリームドライバーだ」
そのベルトはベイルドライバーをベースにしつつその両側に青いカバーが装着されている。その見た目は近未来感を出しており、ベイルドライバーとはまた違った印象を与えた。ベルトの両側のパーツをよく見ると二十五という数字にも見えるため、二十五年間の因縁に決着を付けるために相応しいベルトデザインとなっている。隣にはカブトバイスタンプ……では無く、青をベースにヘラクレスオオカブトの意匠の入ったバイスタンプ。ヘラクレスバイスタンプがある。
「流石博士の息子だ」
「私も過去に決着を付けないといけない身だからね」
その日の夜、一輝、大二、さくらが寝静まったあと。元太と幸実の二人が座って話をしていた。
「……ごめんな、ママさん」
「どうして謝るの?」
「俺と一緒になったせいで普通の生活を送らせてやれなかった」
元太はそう言うものの、幸実は何も後悔をしていなかった。そして、彼女はこう返す。
「私は何も気にしてないわ。それに普通の人生ってある?」
「……え?」
「百人いたら百通りの人生がある。他人と比べなければどの人生もドラマチックなものよ」
「幸実」
「それに、私は幸せな人生を送れているわ」
すると幸実は元太へと後ろから抱きつくと小さく呟く。それは幸実の心の叫びだった。
「私はいつまでもあなたを信じて見守るつもり。だから必ず戻ってきて」
「……ああ。約束する」
元太はそれに力強く応えるとその日の夜を過ごす事になる。そして、翌日。運命の日となる。
元太とベイルが選んだのは誰もいない鉱山のような場所だった。そして、元太の所には狩崎が、ベイルの所には真澄がいる。
「ダディ……どうしてここに」
「過去に決着を付ける必要があるのは私もだよ」
真澄は赤石に無茶を言って了解を貰った。そのためにこの場所にいる。そして、それを見守れる位置に一輝、大二、さくらがいる。光はデッドマンズの襲撃に備えて予備戦力として待機中だ。
「……待たせたな。ベイル」
「ああ。確かに待ちくたびれた。純平」
二人は二十五年の時を経て再び揃った。そして、運命を分ける一戦が始まろうとしたその時。
「やっぱり来てたね」
高所から見下ろす五十嵐三兄妹の元に赤石を筆頭にアギレラ、フリオ、オルテカの三人が現れる。
「……お前ら」
「デッドマンズがどうして」
「何故?決まってるだろ」
「あなた達にはここで消えてもらいます」
決闘の邪魔をするつもりは無いが、五十嵐三兄妹を潰すために揃ったと言った感じだろうか。
「貴様等にはここで纏めて消えてもらう」
《ウルフ!》
《ダイオウイカ!》
《クイーンビー!》
三人がスタンプを使ってデッドマンへと変身する中、赤石も体にエネルギーを高めていき、ギフデモスへと変わる。
「兄ちゃん、さくら」
「ああ、父ちゃんに絶対に近づけさせてはだめだ」
「止めるよ!」
《サンダーゲイル!》
《パーフェクトウィング!》
《キングコブラ!》
《Confirmed!》
「「「変身!」」」
《FlyHigh!パーフェクトアップ!》
《ハイパーリベラルアップ!》
《仮面ライダーリバイス!》
《仮面ライダーエビリティライブ!アイムパーフェクト!》
《仮面ライダー!インビンシブル!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!ジャンヌ!》
三人がそれぞれリバイス、エビリティライブ、インビンシブルジャンヌへと変身するとリバイスがギフデモス。ライブがダイオウイカデッドマン、ウルフデッドマン。ジャンヌがクイーンビーデッドマンを相手にする。
「邪魔をするな!」
「我々の邪魔をしてるのは貴様等の方だ!人類が生き残るにはギフ様の支配下となる以外に無い。貴様等は何も知らないんだ!ギフ様がどれほど恐ろしいのかを!」
「へん!そんなの戦った事すらねーんだ!俺達が知るかよ!、」
「それに、お前らがやろうとしているのは自由のないただの支配だ!そんなのに俺達は負けない!」
リバイスが拳を叩きつける中、ダイオウイカデッドマンとウルフデッドマンもライブ相手に連携攻撃を仕掛ける。ダイオウイカデッドマンの触手による手数の攻めとウルフデッドマンの機動力による攻めを前にライブは捌くので手一杯になりつつあった。
「おいおい。大二、苦しそうだなぁ」
「うるさい!俺だって負けるつもりは……無い!」
だが、ライブも前と比べて強くなった。ライブガンの翼部分で二人纏めて切り裂いてから飛び上がると空中からの射撃で二人を怯ませて、すかさず接近しての斬撃で追撃した。
「やりますねぇ」
「そう来ないと面白くない」
そして、クイーンビーデッドマンと相対するジャンヌも激しく殴り合った。
「アンタ、ギフと結婚したからってそんなに偉くなったつもり?」
「そうよ。私の願いはギフ様の願い。あなた達はギフ様に頭を下げるべきよ!」
「お断りね!」
二人が距離を取るとクイーンビーデッドマンが大量の働き蜂を射出。それに対してジャンヌは背中に付いた5本の刃によって生成した防御フィールドで防ぐ。
「はあっ!」
更にそれぞれの戦いが激化する中、元太とベイルはその間も会話を交えていた。
「良いのか?お前の大事な家族を放っておいて」
「心配無いさ。あの子達は俺なんかよりよっぽど強い」
「ふん。虫唾が走るな。純平、貴様の全てを壊してやる」
《ブラックアウト!》
《クリムゾンアップ!》
《クリムゾンベイル!》
ベイルの姿が赤黒い霧と共にクリムゾンベイルへと変わる中、元太も覚悟を決めた様子でベルトを取り出す。
「それは……」
「俺だって前の俺じゃない。何故なら、俺はもう一人じゃないからだ」
《デストリームドライバー!》
「……行くぞ、ベイル!」
《ヘラクレス!》
元太がスタンプのスイッチを押して起動するとベルトの朱肉部分に押印。
《Contract!》
すると元太の前にホログラムが出現。待機音も相まって近未来感を演出する。そして、元太は構えるとスタンプをベルトの前で両手で掴む。
「変身!」
そのまま切腹をするかのようにベルトの液晶部へと押印。その瞬間、背中に六枚の昆虫の翼が生える。
《Spirit up!》
そして翼が仕舞われるとその体が青く固い鎧に覆われると人間体を維持した状態で蛹のような姿に変化。尚、頭部と胸部にはヘラクレスのようなツノの造形もある。その後、背中から六本の脚のような物が突き出ると外側を包む鎧を打ち砕いて破壊。中から仮面ライダーとしての姿が露わになる。最後に脚のパーツがそれぞれ所定の位置に落ち着いて変身完了した。
《Slash!Sting!Spiral!Strong!仮面ライダーデストリーム!》
その姿は白いアンダースーツに両腕、両脚には青い装甲。胸部には前に突き出す突起のようなパーツがあり、背中からは先程変身の時に装甲を砕いた脚が六本生えている。全体的に青や白が目立つカラーリングだが、差し色として赤も存在。複眼も赤で頭部には青いヘラクレスのツノのような物もある。見方次第ではヘラクレスオオカブトが体に乗っかっているようにも見える鎧は変身音、演出、ベルトのデザイン同様に近未来を模していた。それはまるで過去の姿を捨て去り、未来を向く今の元太を体現したかのようである。
そしてそれが、それこそが、元太の変身した仮面ライダー……仮面ライダーデストリームだ。
「「はあっ!」」
そして、お互いが戦闘態勢に入ったため、二人は走り出すと拳をぶつけ合い叫ぶ。
「ベイル!」
「純平!」
二人の戦いはそれぞれの二十五年をぶつける物であり、それから激しさを極めていくことになるのであった。
また次回もお楽しみに。