大二の異変 窃盗団とデッドマン
工藤の事件が解決してから数日。ヒロミはここ最近の大二の様子がおかしい事を気にしていた。
(回想)
ある日の朝、ヒロミがトイレに入るとその洗面台の前で黒い服を着た状態で大二が倒れている。
「おい五十嵐!大丈夫か!」
「……え……はっ!!」
大二が起き上がるとキョトンとしたような顔つきで辺りを見渡した後、自分が着ている服装を見て驚きの声を上げた。
「あれ?何で俺こんな格好をして……というか、何でこの場所に……」
「最近弛んでいるんじゃないのか?それに、夜遊びは任務に支障が……」
「すみません!失礼します!」
大二はヒロミから責められて大慌てでその場から逃げ出すように走っていく。ヒロミはこの大二の変化に困惑を隠せなかった。
(現在)
「アイツの反応。これはまるで記憶そのものが丸々飛んでいるようだった。誰かと入れ替わっていたように……」
ヒロミが大二の事を不安視する中、光がヒロミの元にやってくると話しかける。
「ヒロミさん、どうしました?」
「あ、あぁ。最近大二の様子がおかしくてな。お前は何か知らないか?」
「……そういえば最近偶に連絡事項を言いに行こうとしてアイツの部屋に行っても誰もいない状態で……」
それを聞いてヒロミはやはり大二に何かが起きているのだという事を考える。しかし、何かが起きている保証は無いのであまり強くは言えないが。
その頃司令室では一輝が部屋の中に招かれており、新たなデッドマンズ関連事件が起きているという事が示唆された。
「……今回の事件はここ数日横行している連続窃盗事件だ。デッドマンズの目撃情報も出ている」
すると一輝達の前に画面が映し出されると付近の監視カメラに映った映像が見えていた。
「ただ、事件としてわかっているのは犯人は四人組だという事。そしてそこにデッドマンが関わっているという事だけだ」
「それだけですか?」
「それだけだ」
「おいおい、お前ら仮面ライダーだろ?俺達にだけに頼らずに自分達でも少しは調べろ」
いつも通り司令官の立場を利用して偉そうにする天魔は置いておき、話を進める一輝。そんな中、狩崎がモニターに映ったデッドマンの解説をする。
「今回現れているのはカマキリデッドマン。事件の際は突破が難しい扉やセキュリティを鎌で粉砕する事をメインに行ってる」
「対抗するバイスタンプはありますか?」
「そうだねぇ、今の君達の装備でこの鎌に対抗するならメガロドンが有効だろう」
「……え?それだけですか?新しいバイスタンプとかは……」
「どうせ君に見せても君の悪魔のバイスが気に入らないだろうからね!」
「えぇ!?」
どうやら狩崎はまだこの前のジャッカルバイスタンプの事によるバイスのダサい発言を気にしているらしく、バイスタンプを素直に渡す気にはなれないらしい。
「じゃあ何でメガロドンは渡したんですか?」
「アレは君と仲の悪かった光君を仲直りさせるための交渉材として渡したまでの事!」
狩崎は拗ねてしまうと天魔が笑いを堪えており、若林がため息を漏らす。
「狩崎……あまり意地を張るなと言ったはずだ。調整が終わってないと素直に言え」
その答えに一輝はその場でズッコケそうになるが、司令官二人の前なので踏み止まった。
「あ、そう言えばあの蝙蝠の仮面ライダーについて何かご存知だったりは……」
「調査中だ。わかったら今の任務に集中しろ」
若林からの厳命に一輝は部屋を出る事になり、階段を降りる中、バイスが文句を口にする。
「チェッ、何であんなに拗ねる必要があるんだよ!」
「半分はお前のせいだろ……」
「悪魔は嘘が付けないからね!仕方ないんだよ!」
「はぁ……」
一輝がため息を吐く中、廊下で大二とすれ違う。すると大二が話しかけてきた。
「よっ、どうしたの?」
「カマキリのデッドマンをどう止めるかの相談に来てたんだよ」
「ふーん。要らない世話を焼いて目立ちすぎないようにね」
「他人事かよ」
一輝が大二から離れていくと大二は振り向いてニヤリと笑う。そして、一輝を後ろから指鉄砲で撃つような仕草をする。更にそれを遠くからヒロミと光が見ていた。
「……やはり大二の様子がおかしいな」
「指摘しますか?」
「いや、今はそっとしておけ。動くのは証拠を掴んでからだ」
それから一輝が幸せ湯に戻るとさくらとぶーさんが二人並んで座り、タブレットを見ている。
「あ、一輝兄!ちょっと来て」
さくらから言われて一輝が近寄るとそこには先程見せられた窃盗団の画像が映されていた。
「これ、事件の……」
「うん。それでさ、この服学校のジャージっぽくない?」
「あ、ホントだ」
「さくらちゃんがそう言うから付近の高校や大学の運動部を洗ってみたら……ビンゴ!おんなじジャージ」
ぶーさんが写真を見せるとそこには私立大白水学園の体操部の男子生徒が四人映っており、窃盗団の人数も四人。丁度辻褄が合う。
「おぉ!ぶーさん凄え!」
「ナイスぶーさん!」
「大白水学園。お金持ちが通う超名門校だよ」
「先月体操部の学生が四人停学になってる」
「四人の中の誰かがデッドマンなのかな……」
「俺っちが捕まえてとっちめてやるぜ!」
一輝が写真を受け取ってバイスがやる気になる中、一輝は以前から抱いていた疑問をもう一度ぶつけてみる事にした。
「それで、結局ぶーさんはどんな仕事をしてるんですか?」
「それは……」
ぶーさんがそう言うと二人はその次の言葉に注目する。しかし、答えは以前と同じであった。
「言えない」
一輝は今後こそその場でズッコケるとバイスもガッカリとした声を上げる。そんな中、ヒロミが幸せ湯を訪れた。
「五十嵐大二はいるか?」
「ヒロミさん、お疲れ様です!」
「まだ帰ってませんが、どうかしました?」
「実は先日……」
ヒロミが二人へと以前起きた大二がトイレの床で寝ていた件について話すと一輝は呑気そうにしている。
「寝ぼけていただけじゃ……」
「いや、大ちゃんはそんな事あんまり無くない?」
「俺の勘違いだったら良いんだが……」
ヒロミがそう言うとガンデフォンへと連絡が入ってきた。ヒロミがそれを見ると目を見開く。
「例の窃盗団だ!カマキリデッドマンが出るぞ!急げ!」
ヒロミからの指示に一輝は店番をさくらに頼んで急いで出ていく。そして、窃盗団は警察との追いかけっこの後にとある廃墟の中に逃げ込んでいた。警察は窃盗団を追い込み、取り囲む。
「もう逃げられないぞ」
「諦めるんだ!」
あと一歩で犯人を逮捕できるといったその時。突如として爬虫類のような鱗を纏った橙色の素体にピンクの折り紙でカマキリのような姿をしており、両腕の鎌や首元に花の様な襟巻き状の意匠があるのが特徴的なカマキリデッドマンが現れると警察の前に立ちはだかった。
「うわぁああ!」
「今だ、逃げるぞ!」
カマキリデッドマンの登場に驚きの声を警察が上げる中、窃盗団達はここぞとばかりに逃げていく。そして、それを見届けたカマキリデッドマンが撤収しようとするとそこに仮面ライダーに変身したバイスが横から体当たりする。
「はいどーん!」
「がっ!!」
バイスからの突然の強襲にすぐに臨戦態勢となるカマキリデッドマン。そこにリバイも合流してカマキリデッドマンの前に立つ。
「ここは俺達に任せてください!」
それからリバイとバイスは二人でカマキリデッドマンへと向かっていく。
「しゃあっ!」
するとカマキリデッドマンは両腕の鎌を振り抜いて一瞬にして二人にダメージを与える。
「「うわっ!!」」
「このっ!」
バイスが走っていくとカマキリデッドマンへと連続攻撃を繰り出すが、カマキリデッドマンはあっという間にそれを回避しつつ逆に鎌による攻撃でバイスを吹き飛ばした。
「ねぇ、アイツの攻撃速くない?」
「でも、見切れない速度じゃ無い!」
それから二人は連携して次々と攻撃を決めていく。するとカマキリデッドマンは両腕にエネルギーが集約していき、パワーの高まった両腕は更に速い速度で二人へと振り抜かれる。
「「ぐっ!?」」
「この野郎!」
バイスはすぐ立て直すとカマキリデッドマンへとスライディングを仕掛けるが、カマキリデッドマンはそれを見逃す事なく鎌で切り上げる。
「うわぁあ!」
「考え無しに戦ったらダメだ。バイス、これ使うぞ」
そう言ってリバイが出したのは狩崎に有効だと言われたメガロドンのバイスタンプである。
「狩ちゃんのアドバイス、しっかり覚えていたみたいですねぇ」
《メガロドン!》
「はぁ……」
《バディアップ!》
《潜るドンドン!ヨーイドン!ドボン!メガ・ロ・ド・ンー!通りすがりのハ・ハ・ハ・ハンター!》
リバイとバイスはメガロドンゲノムへと変身すると二人でカマキリデッドマンへと突撃。リバイは両腕のブレードでカマキリデッドマンを斬りつけていく。
「はいはい!あんたの両腕を通りすがりながら破壊してやるもんね!」
そう言ってバイスはカマキリデッドマンの両腕の鎌を掴みながらドロップキックをデッドマンへと叩き込み吹き飛ばす。しかしパワー不足だったのか鎌は折れる事なく健在だった。
「ってあれ?折れてないじゃん!」
そんな事を言っているとカマキリデッドマンは両腕の鎌にエネルギーを高めて斬撃波を二人へと放ってくる。それは二人に命中して後ろに下がった。
「痛ってぇ……でも、やっぱりフェーズ1だからか軽いな」
「良い加減俺っち達も成長していたって事だね!」
二人はそのまま走っていくと水を纏わせたブレードとメガロドンの歯の力が込められた足技でカマキリデッドマンへと次々に攻撃を決めていく。もうこの二人の前ではただのフェーズ1のデッドマンでは相手にもならないと言う事なのだろうか。
「そんじゃあ次はリミックスで行くぜ!」
リバイはスタンプを倒してからスイッチを押し、すぐにもう一度スタンプを倒す。
《リミックス!バディアップ!必殺!何トン?メガトン!メガロドン!》
二人はリバイスメガロドンに変身するとカマキリデッドマンへと噛みつこうと突進する。その瞬間、窃盗団のメンバーがいきなり戻ってくると四人共カマキリデッドマンを庇うようにリバイスメガロドンの突進の直線上に立つ。
「「え!?危ぶねっ!?」」
二人は何とかリミックスを強制解除して分離。それから窃盗団へと文句を言った。
「危ないだろ!」
「君達、どうしてデッドマンを庇うんだ」
「……俺達にはコイツが必要なんだ!だから……お前らこそ勝手にコイツを倒そうとするな!」
デッドマンの前から頑なに動こうとしない窃盗団の四人。リバイはそれを見て話をした。
「……どうして窃盗なんかしてるんだよ。親御さん達が悲しむだろ」
「……ッ」
すると窃盗団の中の一人が俯いたような顔つきになる。その瞬間、カマキリデッドマンが跳び上がると空中から斬撃波を二人へと放ち、二人はそれに耐えるが、斬撃波を煙幕代わりにされた影響で逃げられてしまう。
「あぁ!逃げられたぁ……」
「あの子……親の事になったらいきなりどうして……」
そんな中、リバイは一人考え込んでいた。何故親について言及した瞬間あの子は俯いたのか。それがどうしても頭から離れる事は無かった。
また次回もお楽しみに。