ギフとの決着が付き、平和な日常が戻った一輝達。そんな彼らは一家の守り神として風呂に浮かべる玩具のアヒルの中の二体にバイスとベイルの顔を描いた物を作った。
「これを神棚に飾ってっと」
「父ちゃん。そこまでする必要あったか?」
「別に良いだろ。……バイスやベイルのおかげで今の幸せな家族があるんだからさ」
元太にそう言われて大二やさくら、幸実も頷く。一輝はそれを聞いて笑顔になると結局飾る事には賛成することに。
「バイス。見守ってくれてるか?俺達、笑顔いっぱいで自由な平和を取り戻したよ」
一輝がそういう中、彼はバイスの記憶をちゃんと覚えた状態で日常を過ごしている。
一輝はあれからかつてした約束通り、桶谷彩夏と付き合うようになった。一輝はまだまだ経験不足な所はあったが交際は順調らしい。
フェニックスでも大きな動きがあった。若林が総司令官を降りてヒロミへとその座を明け渡したのだ。
「私はもう役目を終えた。これからはお前達がこの組織を作っていく番だ」
「「「「「「はい!」」」」」」
若林元総司令官はこれ以降はサポートに入ることになり、組織を影から見守ることに。新たに総司令官となったヒロミは若林に頼んで許可を得ると組織の名前を新たに変えることにした。フェニックスは赤い炎から青い炎へと進化するという意味を込めて新しくブルーバードという名前に。大二はそんな中で記者からの取材を受けていた。
「新しい組織、ブルーバードにはもう一つ名前の由来があると聞きましたが、それは何でしょうか?」
「人間は誰しも、悪魔の囁きに耳を傾けて道を誤る可能性があります。しかし、例え失敗してもそれを糧にやり直し、自ら幸せになる権利はあります。だからこそ人間はその度に変身できるという意味も込めました」
「なるほど、素晴らしい考えですね。ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
ブルーバードは戦いの影響で荒廃した街を立て直すという事業を起こし、それをメインとして活動している。
「おい大二。なんで名前がブルーバードなんだよ。折角ならブラックバードにしても良かったんじゃねーか。黒い炎もカッコいいだろ」
「不吉だしセンス無し。そう言って前に却下しただろ」
「……おいおい。お前の服のセンスを正してやったのは誰のおかげだ?」
「はいはい。助かってるよ。カゲロウ」
そこに光がガンデフォンを手に走ってきた。そこには情報部からの情報が入っている。
「大二。また新たなバイスタンプによる犯罪者が見つかったんだとよ。僕達でそれを回収する。……僕達なら楽勝だな。大二」
「ああ。行くぞカゲロウ」
「少しはやってやるか」
大二と光は未だに絶えないバイスタンプ所持者による犯罪を取り締まる役割を担っている。バイスがいなくなり、一輝とさくらが日常へと戻ったため今は彼らがブルーバードの最高戦力として取り締まりの先陣として仕切っていた。
その頃、学校帰りのさくらやその友達はカフェで勉強をしていた。さくらは特に勉強に身を入れている。
「ねーえ、さくら」
「何?」
「どうしてそんなに勉強にやる気になってるの?」
「そうそう。少し前までそこまで本気じゃなかったじゃん」
友達の言う通り、元々さくらはそこまで勉強に前のめりでは無かった。そんな彼女が何故ここまで頑張るのか。それは彼女にできた夢にあった。
「あれ?言ってなかったっけ?私、医者を目指すって」
「「「ええっ!?」」」
「ラブ!さくらの夢。お医者さん!」
「今までは戦って誰かを守ってきたけどさ。平和になった以上はそれに拘る必要は無いし。それに、ラブちゃんと同じで私の弱さを克服するって決めたから」
「さくら〜ファイティング!」
ラブコフがそう言う中、さくらの友達も同じように頷く。前に戦いに巻き込まれた時から彼女の友達はラブコフとも話すようになり、ラブコフとも絆を深めるようになったのだ。
「ラブラブ〜」
「私、無敵だから大丈夫!それに私が負けず嫌いって皆知ってるでしょ?」
「「「うん!」」」
それから幸実は元太とは別で新しいバイチューブのチャンネルをやることになった。
「はーい!五十嵐幸実ことユッキーのハッピーチャンネルでーす!」
しかも幸実のチャンネルの方が元太の限界突破チャンネルよりも人気が出ているという事で元太は割と焦ることに。
「これは幸実さんのチャンネルの方が人気出そうだぞ」
「ちょ、ちょっと。それじゃあ限界突破チャンネルは!」
「あ、ほら元ちゃん。影ができてるって!」
「あ、ヤベッ」
そんな風に幸せ湯の方でも新しい事を始めていく中。フェニックス改めブルーバードの科学者として引き続き研究に勤しむ狩崎は久しぶりに父親の眠る墓を訪れていた。その隣には前に赤石が友のアヅマを祀った小さな墓もある。
「ヘーイ。久しぶりに来たよ。ダディ、あとついでに赤石、アヅマ、デッドマンズの諸君のもね」
アヅマの墓の近くには赤石、更にはアギレラ達デッドマンズの幹部だったが、戦いの中で消滅の運命を辿った面々の分の墓も存在している。そこに若林や朱美もやってきた。
「若林さん、朱美君も」
「狩崎君はやっぱりお父さんに」
「そうだね。お二人は?」
「デッドマンズやウィークエンドの面々が少しでも安らかに眠れるようにね」
「今まで多くの者が犠牲になってしまった。敵も、味方もだ。特にデッドマンズやウィークエンドの面々はずっと道を踏み外した敵だと思っていたのにどうしてこんな風に労わる気持ちがあるのかはわからないが」
「それは若林さんが元々赤石達と同じ道を歩んでいたからではないんですか?」
それを聞いて若林は小さく笑みを浮かべる。更にそこにヒロミも来るとデッドマンズの幹部達の墓に花を据えていた。狩崎がそれを見て茶化すように言う。
「ヘイヘーイ。ブルーバードの総司令官がこんな所にいても良いのかな?ヒロミ」
「茶化すな。狩崎。ちゃんと時間は空けてある。それに、今はもう平和な街に戻ったからな」
デッドマンズ、ウィークエンドは完全に壊滅し、戦いは全て終わった。先程述べたようにゲリラ的に犯罪を犯す者もいるが、それはあくまでも個人的な事件が多く。組織としてのデッドマンズ、ウィークエンドは完全に消えたと見ても良いだろう。
「お前こそ、ちゃんと話せたのか?」
「ああ。今はこうしてここに来るだけでもダディとの会話ができる気がするよ」
「そうか」
「これからの時代はお前達が作るんだ。先の時代に置いてかれた私のような者はもう表舞台に出る必要は無いからな」
その頃、大二と光の二人がライブ、オーバーデモンズとして先程知らせられた犯罪者を捕まえている。二人の活躍は目覚ましく、修羅場を潜ってきた二人にとってはこのくらい何でもないという事だろう。
場面は変わり、数日後。一輝は辞めていたサッカーをまたする事になった。ただ、プロを目指すのは難しいため、今はもう趣味でやる程度に留まってはいるが。
「一輝!行くぞ!」
「任せろ!」
それでも一輝は失った時間を取り戻すためにサッカーも幸せ湯も両立させてのめり込んでいる。そこにここ最近上がり調子の声優、ジーコと更生施設から出てきた木崎の二人がやってくる。
「おー!頑張ってるな!一輝」
「ジーコ、木崎さん!」
ジーコは声優として新しくヒーロー物の主役に抜擢される事になった。それは一人で二人の仮面ライダーにした街を救った英雄。リバイスをモデルにした作品である。ジーコは一輝をモデルにした人物の役だ。
「ジーコ、まさか俺達リバイスがモデルの作品をやる事になるなんてな」
「ああ。でも俺に務まるかは心配だけどね。何しろ、相手の相棒役の声優が木崎さんだし」
「え!?そうなんですか!?」
それを聞いて木崎は揶揄うなとばかりに苦笑いしてから一輝へと頷きを返す。
「俺も最初は犯罪者の俺にやらせても良いのかなとは思ったけどさ。上の人が必死に掛け合ってくれたんだとよ。……まぁおかげで責任重大な仕事になりそうだけどな」
「お二人なら絶対にできるよ。一緒に過ごしてきた俺が保証します」
「こいつ、言うようになったじゃねーか」
それからそのアニメはキャスティングに最初不安があったものの、一話目が放送されてからはそれも覆り、順調な滑り出しを切ることになる。
「一輝も頑張れよ」
「仮面ライダーじゃなくなってもさ、一輝のお節介で救える人は沢山いるって信じてるから」
「ああ。湧いてきたぜ!」
それからその日の夜。家族でいつものようにすき焼きを食べることになった。
「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
「美味い!」
「やっぱりうちのすき焼きは最高だな!」
「美味しいラブ〜」
「奮発したしね」
「もう。銭湯再開したばかりなのに無理しなくても良いのに」
幸実がそう言う中、大二が難色を示す。それでも嫌というわけでは無いためになんだかんだで大二も食べてはいるが。
「大丈夫。その分働くからさ。ママさんと一輝が」
「パパ最低〜」
「クズ」
まさかの掌返しにさくらとラブコフはツッコミを決める。そんな中、大二の中のカゲロウが声を上げた。
「おい大二。俺にも食わせろ」
「わかったよカゲロウ。交代しながらな」
「ラブラブ〜。美味しいラブ〜」
「ラブちゃんも沢山食べてね〜」
「ありがとうさくら!」
ラブコフも五十嵐家の一員としてできる限り実体化した状態でいるように。ただ、学校でさくらの友達が誤って口を滑らせてその事が広まってしまったためにラブコフはマスコットとしても人気が出てしまったが。
「良し!じゃあ次の肉、配るぞ!」
「出た。兄ちゃんのお節介」
「一輝兄いつも通りすぎ」
「そんな事言うなって。大二は明日も仕事。さくらだって勉強頑張るんだろ。沢山食べてけって」
「自分のペースで食べるってば」
「もう。人の心配ばかりしすぎ」
二人が呆れる中、元太が一輝から箸を取って肉を盛ると一輝へと渡す。
「ほら。人の世話ばかりせずに一輝も食べなさい」
「はーい。ありがと」
それから一輝が肉を食べるとその美味しさのあまり一輝らしからぬ言葉を発する。
「うっひょー。これ、超美味くね?……あれ?」
「あ。久しぶりに聞いたその台詞」
「言ってる人は違うけどね」
「そうだな……バイス。お前が作ってくれたこの平和。大切にするよ」
一輝はそう言って今はここにいない自分の悪魔に語りかける。そして、彼等は幸せな日常を送るのであった。
それからある日の朝。一輝が掃除のために外に出ると幸せそうに声を上げる。
「今日も良い天気だ!幸せー……って、あれ?」
一輝がふと何かに気がつくとそこには自分の自転車に入れられた見た事も無い赤と黒の箱である。
「何だこれ」
それから一輝が手に取るとそれを振ってみる。そこに手が伸びてくるとそれを奪った。そこには一人の青年がいる。
「触るな。これは俺の戦利品だ」
「いや、そっちが勝手にここに……」
一輝がそう文句を言うが、箱を奪った青年は冷静な顔つきで一輝へと言葉を返す。
「ここに出現したお宝なんだよ」
「……え?」
青年が箱を開けるとそこには小さなバックルがあり、リバイスドライバーの絵が描かれていた。
《REVICE DRIVER!》
「さて。ミッション再開と行くか。またな、どこかで会おうぜ」
青年はそのままバックルを手に取ると一輝の肩に手を置く。そして、彼は腰に黒いベルトを巻くと中央部にキツネのようなライダーズクレストの入ったコアをセット。更にその両側に先程手にしたバックルとバイクのハンドルを模した朱色のバックルを装着した。その特徴から彼は以前、アヅマの事件の時に現れたキツネのライダー……ギーツの変身者であると伺える。
《DESIRE DRIVER!》
《SET!》
《BOOST!REVICE DRIVER!》
「変身」
《DUAL ON!》
二つのバックルを操作した青年。一輝はその青年を目に焼き付ける。この出会いが後に訪れる一輝達の新たな戦いに関わるとは今の彼は思いもよらないのであった。
バイスタンプラリー
五十話目(最終回)……レックスバイスタンプ
今回でリバイスIFの本編……全五十話は完結となります。今までこの作品を読んで応援していただきありがとうございました。始めた当初は構成自体は考えていたものの、ここまで続くとは思っていなかったので感慨深いものがあります。尚、まだこの作品自体は終わらないです。この後はスピンオフを三つ程入れたのちにギーツとの冬映画、ライブ・エビル・デモンズが続くので。ただ、一つの物語の区切りとして今回の最終回を迎えさせてもらいました。足掛け一年と少しの時間が掛かりましたが、改めてこの作品を読んでいただき、本当にありがとうございました。これから続くスピンオフ及び番外編を楽しみにしてもらえるとありがたいです。それではまた次回もお楽しみに。