仮面ライダービーストフリオに強化変身した豪。それを見たエビルはこけおどしだとばかりにその姿を鼻で笑う、
「そんなので俺を倒せるとでも思ったか?甘いな」
エビルは手にしたエビルブレードを振るうために接近して斬撃を繰り出すが、フリオはそれをあっという間に見切ると躱す。それを見てエビルは更に斬撃を放つがことごとくそれも回避されてしまう。
「何?」
「お前の動きはもう見切った!」
その瞬間、今度はフリオが攻撃を繰り出すとエビルはそれを避ける間もなく直撃を受ける。
「ぐうっ!?」
その一撃は今までの仮面ライダーフリオの攻撃を遥かに凌ぎ、エビルに大きなダメージを与えた。
「馬鹿な。今までのコイツと次元が……」
「ああ。お前を倒すために俺だって負けるわけにはいかないからな」
「だったら!」
エビルは次の手として影の中へと潜り込む。こうすればフリオに気づかれる事なく接近できると考えたからだ。しかし、今のフリオにはそれは通用しない。
「はあっ!」
エビルがフリオの背後から出てくると不意打ちしようとするが、フリオは完全にそれを見切ると後ろに向かって腕の爪による攻撃を繰り出す。そして、その一撃はエビルから不意打ちをされるより早く。尚且つ正確な場所とタイミングで命中した。
「ぐはあっ!?ば、馬鹿な……どうして……」
「匂いだ。俺は瞬時にお前の匂いを嗅ぎ分けてお前の位置を特定したんだ」
フェンリルはとにかく鼻が効く。その能力を持ってすれば影の中に逃げたとしても追いかけて場所を特定するのはわけない。
「だったら!」
エビルは不意打ちが効かないとなると今度はスピードを上げるとフリオを撹乱。混乱させる手に出る。しかし、フリオのスピードはそれに追いつけるほどには速かった。そのため、あっという間にエビルを補足すると爪による斬撃を次々とぶつけていく。
「くっ!?」
「凄い……これじゃあ、俺が行くまでも無いな」
リバイはフリオがエビルを圧倒するのを見て自分はこれ以上手を出さなくても彼なら勝てると考える。
「ここはフリオに任せるか」
リバイはひとまず周りにいる敵を倒す事に専念するとその間にフリオが一気に決めるためにスタンプを取り出す。
「これで終わらせる!」
《フェンリル!》
《Charge!》
フリオがスタンプをベルトの液晶部に押印してから両側の筋肉質な部分を押し込むと必殺技を発動。フェンリルの頭部を模したエネルギーを両脚に纏う。
《フリオフィニッシュ!》
そのまま跳び上がると両脚を上下に開くようにしてから一気に接近しつつ両脚で噛み付くように挟んでキックを繰り出す。それを喰らったエビルは爆発と共に吹き飛ぶとかなりダメージを追った様子だ。
「クソッ……この程度でこの俺が……」
エビルはまだやれる意思を示そうと踏ん張る。だが、そんな彼を無情にもギフの放ったエネルギービームが貫いた。
「がはあっ!?」
「「なっ!?」」
リバイとフリオが驚く中、ギフは淡々とした様子で変身解除したカゲロウを見据える。
「ギフ……様?」
「お前には失望したぞ。カゲロウ。あそこまで有利な状況から負けおって。お前は用済みだ」
「嘘だろ?この俺が……この俺が……」
カゲロウはそのまま倒れると消滅していく。そして、そのエネルギーをギフが喰って自らの糧にした。
「ふん。五十嵐家の悪魔と言えどもこの程度か」
ギフはそのまま去っていくとその場に残された二人は変身解除する事に。その時一輝が感じたのは怒りだった。
「アイツ……仲間を、家族同然の悪魔を始末するなんて……」
五十嵐家の悪魔達は元太がギフの細胞を植え付けられたが故に常人にはできない悪魔との共存が可能になるという特殊性を持つことになった。ただ、それは同時に四人はギフと血を分ける家族という事でもある。
その家族に近い存在だったカゲロウを簡単に切り捨てて取り込んだギフ。その行為が一輝には許せなかった。
それから二人が拠点に戻るとカゲロウがやられた事に一同は喜ぶ。でもやはり一輝はあまり良い気持ちはしなかった。
「おやおや。敵が一人減ったのに気持ちが晴れませんか」
「当たり前だ。敵だったとしてもカゲロウは俺の弟の悪魔だからな」
「まぁ、確かにあなたならそういう考えになるでしょうね」
オルテカこと真はそう言うと一輝と向き合う。一輝はやはりオルテカとして自分の世界では憎んでいた存在との対面は複雑な気持ちであった。
「………」
「私と話すのは抵抗感が出ますか?」
「ああ。俺達の世界のお前の事を思い出してな」
「直ぐに打ち解けろとは言いませんよ。私だって敵対していたあなたとこうして同じ陣営として話すのは複雑ですし」
事実、こちらの世界でも真はデッドマンズとして一輝と敵対していた立場だ。なかなかすぐに受け入れる事はできないだろう。ただやはり豪と違って真は相手を挑発するような話し方をしていたのと、豪は死ぬ前にアギレラこと花の身を案じていたのに対して真は最後まで己の欲のために動いていたため、信用ならない気持ちが湧くのも仕方ないだろう。
「ご安心を。もう私は世界を守る仮面ライダー。あなたと敵対するつもりはありませんよ」
そう言って真は持ち場へと戻っていく。そんな彼の姿を一輝は複雑な気持ちで見送った。
その頃、ギフ達のアジトではバイスとラブコフが今後について会話している。
「カゲロウの奴。勝手に出しゃばって死んじゃったわね」
「ああ。まぁでも抜け駆けしようとしたんだし当然だな」
するとそこにギフが現れると残されている二人へと鋭い眼光を向けつつ苛立ちを露わにした。
「お前達もいつまでも無事でいられると思うな。あまり長々と手こずっているようであれば始末する」
それを聞いて二人は背中に寒気が走るが、それでも負けるとは思っていない。
「カゲロウは油断して倒されただけよ。私達まで同じだとは思わないで」
「俺様達なら絶対にアイツらを片付けられるぞ」
「なるほど。ならばまずはラブコフ。お前がやれ」
ギフはそう言ってラブコフに指示を下す。それを聞いたラブコフは笑みを浮かべると跪いてその指示を受けた。
「では、この私が奴等を全滅させてご覧に入れましょう」
「失敗すればどうなるか……わかっているな?ラブコフ」
「その代償が消滅を意味するのはアタイもわかっているわよ」
そう言ってラブコフが去る中、バイスは一人記憶を思い出す。それは一輝に信じられていた頃の楽しかった記憶だ。
「……俺はもう戻れない。一輝と楽しくやっていた頃の俺にはな」
バイスがそう呟く中、ギフはそんなバイスの心を知っているのか僅かに睨んでいた。
それから数時間後。レジスタンスのアジトではラブコフが街で暴れているという知らせが届く。今回は一輝と花が出撃する中、狩崎はこの情報に対して妙だと感じる。
「何故だ?何故奴等は今まで三人同時に来ていた戦力をバラバラに差し向ける?」
狩崎は敵にも何か狙いがあるのかと勘ぐった。そんな様子を見て赤石は狩崎へと告げる。
「ひとまずはラブコフを潰す事だ。それができればあとはバイスとギフのみ」
赤石の言葉に狩崎はひとまず納得すると戦いを見守る事に。そして現場に到着した一輝と花はベルトを取り出す。
「足だけは引っ張んないでよ」
「俺を誰だと思ってるんだ」
二人はそう言い合って笑みを浮かべるとベルトを装着し、スタンプを押印する。
《レックス!》
《クイーンビー!》
「「変身!」」
《バディアップ!》
《Subvert up!》
《仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
《Wow!Just believe in myself!仮面ライダー Ah!アギレラ!》
一輝がリバイ、花がアギレラとなるとそれぞれ手にオーインバスターとクナイを武装。そのままラブコフとの戦闘に入る。
「即席の連携でどうにかなると思ったのかしら?甘いわね」
ラブコフは二人からの攻撃を軽く躱すとすぐに対応。ラブコフの言う通り、即席で組んだコンビでは中々上手く立ち回れない二人。
「このまま戦っても勝てるでしょうけど、ここは」
するとラブコフが指を鳴らし、ギフジュニアやギフテリアンを召喚。使役するとリバイの方へと襲い掛からせる。
「ここで分断か……花!」
「わかってるわ、ラブコフは何とか私が抑えておく!」
「ふふっ。何回やってもあなたじゃ私には勝てないわよ」
それからアギレラとラブコフが激突。その間にリバイはスタンプを出すとゲノムチェンジする。
《イーグル!》
《バディアップ!》
《荒ぶる!高ぶる!空駆け巡る!イーグル!(イーグル!)お前の羽を数えろ!》
リバイがイーグルゲノムとなると竜巻を放出して周囲の敵を薙ぎ払う。更に手にリバイスラッシャーを構えるとスタンプを押印する。
《ハシビロコウ!》
《スタンプバイ!》
すると刀身に紫の炎が宿り、エネルギーが高まっていく。そして、すれ違い様に紫の炎を纏わせた刃で次々に切り裂いた。
《リバイバイスラッシュ!》
その一撃で敵はある程度倒せたが、やはりまだ全部では無い。リバイは更にスタンプを使ってゲノムチェンジする。
「次はこれ!」
《カマキリ!》
《バディアップ!》
《いざ無双斬り!俺が横切り!カマキリ!俺たちオンステージ!》
リバイがカマキリゲノムとなるとカマキリックアローを引き絞り、連射する。この形態の利点である遠距離攻撃のための武器持ちというのを活かして遠距離から制圧するつもりだ。
「はあっ!」
リバイは更に弓矢を放って次々と敵を倒していく。そして、スタンプを二回倒して必殺技を使った。
《カマキリ!スタンピングフィニッシュ!》
リバイが空中に向けて放った一撃が分散するとそれが雨のように敵の軍団に降り注ぎ、粉砕していく。そんな中、ラブコフとアギレラの戦闘はやはりアギレラの方がスペックの問題で押されていた。
「やっぱりダメダメね。あなたじゃアタイには勝てないわよ」
ラブコフが煽る中、それでもアギレラはどうにかしてラブコフを倒すために抵抗を続ける。
「まだよ!」
ラブコフは足技で激しく攻撃を仕掛け、アギレラはそれを躱すので手一杯になる。
「ひとまずここは!」
アギレラは一旦下がると飛び上がり、そのまま遠距離から牽制するためにスタンプを起こしてから倒す。
《必殺承認!》
《クイーンビー!スタンピングデストロイ!》
すると体の周囲に現れたクナイ型のエネルギー弾が次々にラブコフへと向かっていき、降り注ぐ。しかし、それさえもラブコフには大した事のかあまりダメージになっておらず。逆にコブラ型のエネルギーによってアギレラは撃ち落とされてしまう。
「あがあっ!?」
「無駄無駄。そんなのでアタイは倒せないラブよ」
アギレラは何とか立つものの、かなりダメージを受けている様子だ。そんな中、アギレラには一つだけどうにかする手段がある。アギレラが出したのはかつて好敵手とも言えるジャンヌが使っていたコブラバイスタンプだ。
「それはさくらの。でも、あなたに使いこなせるラブ?」
「……さくら、あなたの力。私に貸して頂戴!」
するとコブラバイスタンプが光と共に変化するとコブラから更に強力な蛇であるバジリスクのスタンプへと変化する。
「この力で、さくら。あなたの悪魔を超えてみせる!」
《バジリスク!》
スタンプをベルトに押印すると普段よりも軽快な待機音が鳴る中、アギレラはスタンプを倒す。
《HyperSubvert up!》
その瞬間、ベルトから飛び出したバジリスクが姿を現すとアギレラの体を毒の煙で包み込み、そのまま締め上げていくように姿を変化させる。
《Those who believe will be saved!仮面ライダー Ah!ハイパー!アギレラ!》
そして、アギレラは自らを蝕む毒を受け止めるとそれを力に変えるように手を振るう。その瞬間バジリスクは体の中に取り込まれ、新たな装甲として纏われる。
その姿は赤と白を基調にしつつも、胸部には赤い毒液のようなクリアパーツとその中に蛇の眼光のような紋章が現れている。また、両肩には蛇の尻尾のようなパーツもあり、更には体の装甲には鱗のような模様もある。頭部はこれまでの蜂のような造形から打って変わり、蛇の頭部が噛み付くような造形として現れる。両脚には紫の毒液のようなカラーリングとなって今までとは違う印象を与えた。
その名も仮面ライダーハイパーアギレラ。彼女もまた、さくらとの絆の力で新たな進化を得たのである。
また次回もお楽しみに。