バイスと向き合った一輝。彼は目の前にいる別世界のバイスと正面から話す事にした。
「バイス、こっちの世界の俺は……本当にお前を信じなかったのかな」
「ああ。俺様の事をアイツは信じてくれなかった。あれだけ苦楽を共にしたのによ、無責任な奴だぜ」
バイスの言葉に一輝は黙り込む。そんな中、バイスは更に一輝へと問いかけた。
「お前だって心の底では信じてなかったんじゃないのか?」
「そんな事は無いよ。……確かに、俺とバイスは意見がぶつかる事もあった。それでも、最後は互いを信じることができた。それだけ俺にとってはかけがえの無い存在だったんだ」
「そうかよ」
バイスはそんな事を聞いて僅かに顔を背ける。そんな中、一輝はバイスへと言葉をかけた。
「バイス、お前は本当は食いたくなかったんじゃないのか?相棒として自分を信じてくれていたお前にとって一人だけの俺を、五十嵐一輝を」
「へっ。お生憎様、俺様の相棒……いや、宿主の五十嵐一輝は俺様を信じなかった。大二やさくらが悪魔の手によって死んだんだぞ?俺様を信じろって言う方が無理だろ」
「それはお前の決めつけじゃないのか?」
一輝の言葉にバイスは僅かに詰まる。確かにその通りだ。今のバイスの言い方だとまるでバイスが自分を信じてくれていないと勝手に思い込んでいるような言い回しである。
「そんな事関係無い。俺様を信じてくれなかった一輝を俺は食った。ただそれ以上もそれ以下でも無いんだよ」
「……俺はそうは思わない。世界が違っても、俺はお前を最後まで信じていたと思う」
「……これ以上言葉を交わしても平行線のようだな」
「ああ。だからお前に提案がある」
そう言って一輝はバイスへとリバイスドライバーを投げ渡した。それをバイスは掴む。
「これは俺の世界のお前が使っていたベルトだ。バイスタンプはお前も持ってるだろ?」
「流石は五十嵐一輝。よく知ってるじゃねーか」
それから二人はベルトを装着。そして、一輝は手にギファードレックスバイスタンプを取り出すとそれを分割。サイドSをバイスへと渡した。
「これは?俺様が知らないバイスタンプみたいだが?」
「ああ。それは俺の世界のバイスとの絆の証。究極のリバイスに変身するためのアイテムだ」
「……!だが、良いのか?そもそも俺様が使える保証は無いぞ?それに、俺様がこのままこのスタンプを破壊する危険だって……」
「それは無い」
一輝はバイスへとそう言い切った。それを聞いてバイスは目を見開く。そして、一輝は更に続けた。
「お前がこのタイミングでそのスタンプを破壊しない奴だって俺は知ってるからだ。それに世界が違っても、例え並行世界のお前が対象だったとしても俺はそのスタンプが使えるって信じてる」
「そいつは有難いな。こんな俺を信じてくれるなんてこっちのお前じゃ考えられないぜ」
「勘違いするなよ。俺がお前を信じてるのと同じ。この世界の俺がお前を信じていたと俺は信じるからその力を渡したんだ」
「……ややこしい話し合いは終わりだ。世界は違うが宿主と悪魔。世紀の大喧嘩。始めるか」
「ああ、湧いてきたぜ!」
それから二人はそれぞれ手にしたバイスタンプのスイッチを押すと音声が鳴り響く。それはつまり、二人で起動に成功したという事を意味していた。
《ギファードレックス!》
《ギファードレックス!》
「「はぁ……」」
二人がそれぞれスタンプに息を吹きかけるとそのままベルトに押印。その瞬間、二人の背後にエネルギーの巨大なレックスが現れる。ただし、一輝の方は下顎が、バイスの方は上顎が透けていた。これは本来二人で変身する所を片方だけしか使っていないからだろう。
《ビッグバン!Come on!ギファードレックス!ビッグバン!Come on!ギファードレックス!》
「「変身!」」
二人はポーズをとって叫ぶとベルトにスタンプを装填して倒す。それと同時に後ろのレックスは二人へと頭を振り下ろした。
《アルティメットアップ!》
二人の姿がレックスゲノムとなるとその上に新たな装甲が装着され、二人同時にヘルメットを被る。
《仮面ライダー!(仮面ライダー!)リバイ!バイス!Let's go!Come on!ギファー!ギファー!ギファードレックス!》
これにより、二人はアルティメットリバイ、アルティメットバイスへと変身した。
「「はぁああっ!」」
そのまま二人の拳はぶつかり合い、リバイとバイスによる戦闘が開始される事になった。二人の戦闘は武器を使わずの取っ組み合いで相手の攻撃を防御する事なく敢えてお互いがノーガードで力と力をぶつけ合う。
「バイス、どうした!防御しなくて良いのかよ!」
「へーん。お前こそ、俺様の攻撃をまともに受けて、無事で済むと思うな!」
リバイとバイスはお互いがそれぞれ引き合う磁力の極である事により、引き合う勢いを利用してダメージを相手により多く与えていく。
「バイス!お前の意見を俺は全部受け止めてやる!だから、お前にも俺の意見を受け止めてもらうぜ!」
「へっ、一輝こそ。俺の意見に押し潰されても知らねーぞ!」
二人の拳が相手の胸部にクロスカウンターする中、二人は後ろに下がる。花はその様子を見て呟いた。
「バイス……楽しそう」
それは、彼女がかつて悪の女王として一輝達と敵対していた頃に見たバイスだった。あの頃のバイスは一輝と良好な関係を築けており、それこそ活き活きとした姿を見せていたのだ。それ以降、一輝の信頼が失われていくと同時にバイスも少しずつ悪魔としての本性を露わにしていった。そんなバイスがかつてのように一輝と本音でぶつかり合うその様を花は微笑んで見る事に。
「一輝、そろそろバテてるんじゃねーのか?」
「あ、言ったなバイス!そんなお前にはこうだ!」
リバイはバイスのベルトに掴みかかるとスタンプを無理矢理奪い、そのまま自分のスタンプに直列連結。リミックスを発動した。
《ファイナルリミックス!》
《アルティメットアップ!》
「え!?ちょちょ!?」
バイスはそのままボールの形に強制変形。リバイがそれをリフティングしてから蹴り飛ばした。
《ギファードレックス!ファイナルスタンピング!》
それからバイスは壁にぶつかると跳ね返り、その勢いを利用してリバイへとタックル。リバイは吹き飛ばされて地面を転がり、バイスも同時にリミックスが解けてリバイが落とした自分のスタンプを拾ってベルトに再装填する。
「あーお前、いきなりボールにしてくれてよ。ビックリしたじゃねーか!」
「へへっ。じゃあ続きやるぜ!」
「おうよ!」
再度二人は戦い……と言うよりは戯れ合いを始めた。まるでお互いがそれぞれの相棒を失った事で空いた穴を埋めるかのように楽しい時間を過ごしている。
「バイス、そろそろ俺の言う事聞きやがれ!」
「何おう、一輝こそ!」
二人が同時にスタンプを倒すと跳び上がって必殺のライダーキックを放つ。
《リバイ!ギファードフィニッシュ!》
《バイス!ギファードフィニッシュ!》
二人のキックがぶつかると爆発し、その中からは装甲が弾け飛んでレックスゲノムになったリバイとバイスが落下してくる。
「おー、痛てて。やるじゃんかよ」
「お前こそ、ナイスキックだバイス!」
二人はそう言って笑い合う。そのまま二人は立ち上がるとリバイがコング、バイスがイーグルバイスタンプを取り出す。
「ゲノムチェンジで行くぜ!」
「おうよ!」
《バディアップ!》
《鳴らせ!コング!ドラミングキター!》
《イーグル!(イーグル!)お前の羽を数えろ!》
リバイが両腕のガントレットをロケットパンチとして飛ばす中、バイスは空へと飛んで逃げる。リバイはそれを捉えるためにゲノムチェンジした。
《カマキリ!俺たちオンステージ!》
リバイがカマキリックアローでバイスを狙い撃つとバイスは落下しながら再度姿を変える。
「じゃあこれだぜ!」
《ラーイーオーン!見ててください!俺の雄叫び!》
バイスが着地すると同時に火炎弾をリバイへと放つ。それを喰らってリバイは倒れ込んだ。
「熱っつ!!」
「おー、やったにゃん!」
「やったな!じゃあお前の頭を冷やしてやる!」
《メガ・ロ・ド・ンー!通りすがりのハ・ハ・ハ・ハンター!》
リバイは水のエネルギーを纏わせた斬撃波を飛ばしてバイスをその場に倒れさせる。
「冷てぇっ!?」
「頭、冷えただろ?」
「このやろ!じゃあこの動きに着いて来れるかな?」
《ジャッカル!ノンストップでクリアしてやるぜ!》
するとバイスはいきなりスケボーへと変化すると高速でリバイの周りを動き回る。リバイはバイスを捕まえようとするが、なかなか上手くいかない。
「ちょっ、お前。ちょこまかと!」
「へーん。捕まえてみろってんだ!」
「だったら!」
《ブラキオー!祝え!長き王の誕生を!》
リバイは敢えて重量級のブラキオゲノムとなるとバイスが飛びかかってくるのを受け止める。
「ほーら、捕まえたぞ」
「ありゃ!?嘘!?こりゃ不味い……なーんてな」
「え?」
《カジキ!結末は波が決める!》
今度はバイスが剣に変わるとスケボーよりも細くなった利点を活かしてその場から逃げ出し、リバイをおちょくった。
「ほらほら、さっきよりも難易度アップだぜ?」
「お前な。でもこれには逆らえないぜ?」
《カジキ!》
「……あ」
《リミックス!バディアップ!》
バイスは何とか逃げ出そうとするが、リミックスによる強制合体には逆らえずにそのままリバイスカジキへと変化。
《必殺!正しき!金色!カジキ!》
そのままリバイスカジキは周囲を飛び回るとリミックス解除。二人はまたスタンプを使って変化した。
《カンガルー!勝利のパンチが決まった!》
《ネオバッタ!リバイスじゃ~ないと!》
リバイがカンガルー、バイスがネオバッタを使うと二人はまた遊ぶように戦いを続ける。
「バイス、これでもまだ俺を信じられないか!」
「そういう一輝こそ、考えは変わらないのかよ!」
もう二人の間にギスギスした感情は無く。ただ純粋にこの時間を楽しんで過ごしていた。
「次行くぞバイス」
「じゃあこれだ!」
《マンモス!》
「お、揃ったじゃねーか」
「じゃあ行くぜ!」
《マ~ンモス!はなっからクライマックスだぜ!》
二人がマンモスゲノムとなると二人はそのまま組み合い、リミックスを発動。
《リミックス!必殺!ドスドス!倒す!マンモス!》
「おいバイス。くすぐるの止めろって!」
「一輝こそ!」
リバイスマンモスとなるとそのままレールの上を走りながら楽しく飛び回る。ただ二人はお互いをくすぐり合っていたためにリミックスは途中で解けて落下。
「じゃあ次は!」
「これしか無いよな!」
《プテラ!Flying by!Complete!》
二人がプテラゲノムとなるとそのままリバイが飛び乗って二人は空を飛び回る。
「振り落とされるなよ、一輝!」
「バイスこそ、安全運転だ!」
《必殺!撃ってな!見てな!プテラ!》
二人はリミックスでスピードを更に上げるとその様子を見た花はもう二人は心配無いと安堵した。
そして、二人は飛行を終えるとレックスゲノムとなって着地。それから向かい合う。
「乗り心地最高だったな!」
「だろ?そんじゃあお次は……」
バイスがバリッドレックスのバイスタンプを取り出した瞬間。突如としてバイスは後ろからエネルギーに貫かれた。
「が……あっ!?」
「……!!バイス!!」
バイスが変身解除して倒れ込むとリバイも一輝に戻って駆け寄る。その後ろにいたのはエネルギーを放った本人。ギフがいた。
「ギフ……」
「バイスよ。お前はやはり悪魔になりきれなかったようだな。失望したぞ」
「お前……」
そんな中、一輝の中でバイスは光の粒子となっていく。ギフはバイスをも取り込んで更なる力を手にするつもりらしい。
「一輝……お前との時間、楽しかったぜ」
「でも、俺はまだお前に信じて……」
「わかってるだろ。お前なら。本当は俺の宿主の一輝は俺っちを信じてたって」
「!!」
バイスはそう言うと一輝へと語りかける。それは彼の最後の言葉だった。
「俺っちを信じてくれた一輝を俺っちは食べてしまった。俺っちは最低な悪魔なんだ。一輝は何も悪く無い。悪いのは俺っちの方だって」
「そんな事あるかよ……バイス、まだ今からでも遅くない。この世界の俺の分までお前には生きてもらわないと……」
しかし、バイスの返答は一輝の思っていた物とは違った。彼はもう既に手遅れだったのだ。
「無理だ、もう俺っちは消える」
「そんな……」
「だがな、一輝。……俺っちはタダで死ぬつもりは無いぜ」
「え?」
その瞬間、バイスの体はギフの方ではなく一輝へと吸収され始める。一輝はそれを見て目を見開いた。
「ッ!?バイス、これは……」
「俺っちにはわかるぜ?お前の中の俺っちは消えてなんかいない。ほんの少しだけ存在としては残ってるって」
バイスの言葉に一輝は驚いた。確かにあの時、バイスの存在を繋ぎ止めるために賭けをした。だが、それが成功した確証は無かったのだ。
「だからこの世界の俺っち達からお前への選別だ。最後に楽しい思い出を作ってくれて、ありがとよ」
そう言ってバイスは消滅。そして、一輝の中で何かの鼓動が小さく鳴ると一輝が持っていたサンダーゲイルバイスタンプが一時的だが光り始めた。
「……結局、バイスも役立たずに終わったか」
「……黙れ」
ギフが自らの糧にならなかったバイスを罵倒すると一輝はスタンプを片手に立ち上がった。そして、その力を使う事に。
「俺は、俺達の悪魔を目的のために利用したお前を許さない」
《サンダーゲイル!》
「……変身!」
《仮面ライダーリバイス!》
そして、一輝は一人では絶対に変身できないはずのバイスとの融合形態。リバイスへと変身。ギフと向かい合う。
「貴様……絶望的な差があると知りながら我に楯突くつもりか?」
「ああ。俺はこの世界の相棒に託されたんだ。だから、お前を……ここで倒す!」
リバイスはそう言ってギフへと向かっていく。二人はそのまま激突し、戦闘が開始されるのであった。
また次回もお楽しみに。