ギフとリバイスの戦闘が始まった頃。レジスタンスの拠点ではオルテカとギフデモスが壁を突き破ると同時に外に出てきて交戦を続けていた。
「はあっ!」
オルテカが右肩のダイオウイカの装甲からダイオウイカの脚を模した触手を何本も伸ばすとギフデモスへと波状攻撃を仕掛ける。ギフデモスはそれを脅威的なスピードで回避しながらオルテカを翻弄した。
「疾きこと風の如ごとく」
ギフデモスは少しずつオルテカに接近するとオルテカも徒手空拳で対応。だが、やはり出力に大きな差があるのか。ギフデモスの力の前に押されていく。
「くっ……やはり性能差は埋められませんか」
それでもオルテカは黙ってやられるつもりは無い。後ろに跳ぶようにして下がるとスタンプを取り出す。
《Add……!》
《ハヤブサ!》
《Dominate up!》
《ハヤブサ! ゲノミクス!》
オルテカはハヤブサバイスタンプをベルトに押印するとゲノミクスとして顕現。背中にスカイライダーのような緑をメインカラーとして翼の内側にのみ赤い差し色の入った翼が展開。そのまま飛行するとギフデモスを空中からの急降下による攻撃で攻め立てる。
「ほう。確かに広い場所でそれを使うのは上手い。だが……」
ギフデモスはそう言った直後の攻撃を一度回避するとその次の攻撃に合わせるようにクロスカウンター。オルテカはそのダメージに叩き落とされるとゲノミクスが解除された。
「ぐうっ!?」
「徐かなること林の如く」
オルテカは更にスタンプを取り出すとゲノミクスを発動させて対抗。デモンズに変身していた時もそうだったが、オルテカは自身への負荷を少なくできる影響か。やはりゲノミクスを主体とした戦い方を取っている。
《Add……!》
《トリロバイト!》
《Dominate up!》
《トリロバイト!ゲノミクス!》
今度はトリロバイトこと、三葉虫の力だ。オルテカは胸部や両腕、両脚にスーパー1のカラーリングである銀色に赤いラインの入った甲冑のような鎧とも思える装甲を装着。守りを固めた状態でギフデモスに突撃。ギフデモスはエネルギー弾を放つが、スーパーアーマー状態なのか攻撃を受けても怯まない。
「無駄ですねぇ」
「そうか。だが、そんなに攻撃を受け続けて良いのかな?」
その瞬間、オルテカはギフデモスの次の攻撃を受けると装甲の内部にダメージを受けてしまう。そのまま爆発と共に後ろに吹き飛ばされて倒れ込む。
「馬鹿な……」
「幾らスーパーアーマーになってもダメージ自体は負っている。攻撃を喰らい続ければいつかは倒れるんだよ。正に侵掠すること火の如く」
オルテカは仮面の下で苛立ちを露わにするとゲノミクスは攻略されてしまったと見て次の手に移る。
今度は右肩からイカ墨を模したエネルギー弾を生成するとギフデモスへと放つ。ギフデモスはそれを受けても問題無いとばかりに弾くが、その瞬間に爆発してイカ墨が飛び散ってギフデモスの視界を奪った。
「チッ……」
「終わりです」
《ダイオウイカ!》
《Charge!》
《オルテカフィニッシュ!》
オルテカは跳び上がると背中に十本のダイオウイカの脚を展開。その状態でライダーキックを放つと触手もキックのエネルギーを一点に集約させるように自身を囲った。
「……動かざること山の如し」
しかし、その一撃はギフデモスがまるで山のような固さへと変化すると呆気なく防がれてしまう。
「その程度とは笑止千万。そもそも私には不老不死の力がある。私を倒す事など不可能なんだよ」
オルテカはそのままギフデモスからのエネルギー波を喰らって必殺技も解除。地面に倒れ込む。
「おのれ……」
「聡明な君なら我々の方に付いたほうが望みの世界になるとわかっているはずだ、何故わざわざデッドマンズを抜けるような真似をした。そもそも君は反省してないのだろう?」
「……ええ。フリオやアギレラのように罪を反省するつもりなんて毛頭有りませんよ」
オルテカは立ち上がると嘲笑うようにそう返す。となると、やはりオルテカはわざわざレジスタンス側の味方をする意味がギフデモスには分からなかった。
「ギフ様の支配から逃れようとした所で君にあるのは死のみだ」
「それはどうでしょう?……確かにギフ様は強大。勝ち目はかなり薄いです。普通に考えれば上手くなんてやれませんよ」
「ならば何故ギフ様を裏切る結論になる」
「……見てみたいんですよ」
「何?」
「私があらゆる凡人を凌駕し、人々の上に立つ世界を。そうですねぇ。平和になった世界で私の才能を活かし、支配する立場へとのし上がる。あなたも悠久の時を生きる中で見てきたでしょう。奴隷とも言うべき弱い人々が己の才能一つで全てを押し除けて君臨する様を」
「絵空事だ。そのような事例をそう簡単に起こせるものか。あれは全ての条件が上手く噛み合わなければ上手くいかない。運の力も必要なんだよ」
「ふっ……何を言っている?長官。……私の才能に……運の力が無いとお思いか?」
するとそのタイミングで突如としてギフデモスに異変が起きる。ギフデモスは頭を抑えると膝を付いた。
「ぐあっ!?な、何!?……これは……まさか!?」
ギフデモスが怯んだ所に現場に狩崎が到着。その手には新たなスタンプが握られていた。
「ヘェイヘェイ!オルテカ、五十嵐一輝達がギフの異空間にある棺を破壊した。そしてこれも丁度調整完了だ。受け取りたまえ!」
狩崎が投げたスタンプを掴むとそれはダイオウイカバイスタンプとは生物の意匠が多少変化し、色も黒を素体として意匠はシルバーとなっていた。
「まさか、ギフ様の棺を壊すとは……そもそも、何故奴等はそれがギフ様の弱点とわかってる?」
「おやおや。もうお忘れで?こちらには別世界で一度ギフ様を倒した五十嵐一輝がいるんですよ?弱点は全て把握済み。そして我々の計算通りにあなた方は動いてくれた。……この私に死角など無い!」
「おのれ……しかも奴等のバイスタンプが完成すると同時にこのような……運も奴の味方とでも言うのか?」
「ええ。来る時としては最高のタイミングでしょう?……私には天運も味方しているのだよ」
オルテカは早速狩崎から受け取ったスタンプを起動してベルトの朱肉部分に押印した。
《クラーケン!》
《Deal……》
更にその状態で二回ベルトを横から押し込む。その瞬間、待機音が先程とは変化するとダークヒーローのようなロック調な物になった。
「この世界は俺の物」
そう言ってオルテカはスタンプを液晶部に押印するとそこにクラーケンの絵が出てきた。
《Geniu up!》
するとオルテカが漆黒のオーラを纏うと共に地面から出てきたイカ墨の池からクラーケンとその触手が現れる。そして、クラーケンは十本の触手の中の取り分け長い二本でオルテカを包み込んだ。
「おのれ、させるか!」
ギフデモスは変身を妨害するためにエネルギー弾を放つが、クラーケンが触手でそれを弾いてしまう。そのままオルテカの姿はクラーケンが放ったイカ墨の球体に包まれるとオルテカの体に触手が絡みついてからクラーケンがオルテカを取り込むように一体化した。
《最大の厄災!漆黒の喝采!最凶の天才!仮面ライダーオルテカ!》
オルテカが自身を覆った墨を内側から破壊するとその姿を現す。容姿は肩から両腕にかけて先端にブレードのような尖った銀の長い触手を模した装甲に背中には八枚の銀のマントが展開。これは、両腕に装着された二本を除く八本の触手を模していると思われる。更に胸部や両脚には黒の素体に銀色の装甲を纏っている。ただ、その固さはそこまで固そうには見えない。これは軟体動物がそこまで固くないことに由来するだろう。また、脚部装甲には吸盤のようなパーツも模様程度としてだが見えた。頭部にはクラーケンの腹のような腹部分がマスクとなり、二つの黒い複眼の横にクラーケンの眼が見えた。
こうして、仮面ライダーオルテカは新たに仮面ライダージーニアスオルテカへと変身する。
「ほう。なかなか私に似合う姿ではないか。狩崎」
「君にもこの良さがわかってくれて嬉しいよ。正に完全無欠の吸盤野郎ってね」
「だからってどうした。私に勝てるとでも思ったか?」
その瞬間、ギフデモスの姿が影に薄く溶けるように消え去る。そして、ギフデモスはオルテカへと不意打ちをするべく忍び寄ると拳を繰り出そうとする。
「無駄ですよ」
その瞬間、オルテカはノールックでその方向へと背中のマントを伸ばすとギフデモスを吹き飛ばす。
「馬鹿なっ……」
「今の私は名前通り天才ですよ?その程度のお粗末な攻撃で私に傷は付けられない」
そのままオルテカが両腕から触手を展開。ギフデモスを滅多打ちにするとギフデモスの体から火花が散る。
「ぐ……だ、だが。この程度……」
ギフデモスは再生を実行しようとする。だが、それは叶わない。再生しようとした瞬間体はまたダメージを受けた物に戻ってしまう。
「何故だ!?私の体は不老不死のはずじゃ」
「まだわかりませんか?あなたの不老不死はギフ由来の物。ギフの力が弱くなればギフは契約を維持できなくなる。よってあなたの不老不死も弱くなるんですよ」
「チッ……だったらお前を倒し……」
「無駄ですねぇ」
オルテカはあっという間に接近するとギフデモスの鳩尾に拳を叩き込む。その一撃はかなり重かった。
「なん……だと!?このダメージ……いつもの数倍は重い……貴様、何をした?」
「別に?私は特に何もしてませんよ?強いて言えば私はあなたの一番弱い場所を攻撃しただけですが?」
ジーニアスオルテカの能力。それは瞬時に相手の急所を見抜いてそこに攻撃を誘導するということ。それだけでない。これまでの戦闘データをベースに相手の能力に対する対策もわかるため、対応さえできれば実質的に無敵なのだ。
「このおっ!」
ギフデモスは尻尾を伸ばすが、オルテカは両脚から吸盤を射出。それが爆発するとギフデモスは怯み、すかさずオルテカが両腕の触手を伸ばして両腕を拘束。そのままオルテカはスタンプを取り出す。
「ふふっ。素晴らしい。ですが、あなたの相手もここまでです」
《クラーケン!》
《Charge!》
オルテカがスタンプをベルトの液晶部に押印してから両側の筋肉質な部分を押し込むと必殺技を発動。腰の辺りからクラーケンの十本の触手を模したエネルギーを両脚に纏う。
「ジ・エンドです」
《オルテカフィニッシュ!》
そのまま跳び上がるとギフデモスを自身の方向へと吹き飛ばしつつ錐揉み回転。そのままギフデモスの一番弱い箇所へとライダーキックを命中させた。
「馬鹿な、この私がぁあっ!?」
ギフデモスは爆発すると赤石の姿へと戻る。そのまま石へと体が変わっていき、灰のように崩れ始めた。
「お、おのれ……不老不死で人類を導くべきこの私が……」
「長官……これからの世界はこの私が導いて差し上げます。ですので、安心して安眠ください」
「……そうか。ならば成し遂げて見せろ……次代の英雄よ……」
赤石はギフの力が落ちた影響で不老不死を維持できず。そのまま灰となって崩れ去ると共に風に吹かれて呆気なく散った。
「……やはり、長官。あなたも盛者必衰。滅びゆく猛き者の一人でしたか。そして、消え去る時は風の前に散る塵と同じ。いつかは私もこうなる定め。ですが、それでも私はこの世界を統べて見せる」
オルテカは変身を解除すると真の姿に戻る。それから周りを見渡すと狩崎はいつの間にかおらず。真は笑みを浮かべると思考を始めた。
「さて。今であれば邪魔者はいませんか。丁度良さそうですし、研究所を漁りますか」
それから真が移動を始めようとした瞬間。突如として天から緑の光が降り注ぐと真はそれに拘束された。
「なっ!?馬鹿な、これは一体……」
その瞬間、真の姿は強制的に仮面ライダーオルテカへと変わると有無を言わさずに変形。機械仕掛けの緑のダイオウイカのような物になるとどこかへと飛んでいく。
「何!?」
そして、飛んでいく先にいたのは黒いリングに包まれた仮面ライダーアギレラと機械仕掛けの青いウルフの姿となった仮面ライダーフリオ。その近くにはギフやリバイスもいた。
《スクランブル!》
《クイーンビー!ウルフ!ダイオウイカ!仮面ライダーデッドマンズ!デッドマンズ!デッドマンズ!》
音声と共にアギレラの頭部からクイーンビーのエネルギー体が飛び出すと白の素体が露わになり、右肩にオルテカ、左肩にフリオ、更に後ろから再度クイーンビーが合体。新たなる仮面ライダーが誕生するのだった。
お久しぶりです。前話の投稿より三ヶ月近く経ってしまった事。深くお詫び申し上げます。中途半端で止めたくないとは思っていたものの、本編完結で燃え尽きたのか。やる気を取り戻すまでに時間がかかってしまいました。ここからノンストップ……で行けるかは分かりませんが、それでも完全放棄するつもりは無いとだけ伝えておきます。もしこの不定期状態にも付き合えるという方はこれからもよろしくお願いします。それではまた次回もお楽しみに。