さくらの前に現れた漆黒のリバイとバイス。彼らは仮面ライダーダークリバイ、ダークバイスと名乗った。
「仮面ライダーダークリバイ……アンタは一輝兄なの?」
「……ふふっ」
ダークリバイは不気味な笑みを浮かべる。その声はボイスチェンジャーを通しているのか、機械的だった。
「五十嵐さくら。お前もそこに倒れている五十嵐大二のように始末してやる」
「舐めないでよ……。私、無敵だから!」
《コブラ!》
《What's Coming up!? What's Coming up!?》
「変身!」
《リベラルアップ!》
《Ah Going my way!仮面ライダー!蛇!蛇!蛇!ジャンヌ!》
さくらはまずは様子見と言わんばかりにコブラのバイスタンプでの基本形態。コブラゲノムへと変身。それを見てダークリバイは笑みを浮かべた。
「本気を使わないのか?二人相手に随分と余裕だな」
「アンタ達なんかにラブちゃんとの合体はしなくて十分って事よ!」
「せや!さくら。ファイティン!」
ジャンヌへの変身で強制的に出てきたラブコフは一旦その場から退避する。このままでは巻き添えを喰らうからだろう。
「ふへへ。おいリバイ、コイツを二人がかりでさっさと始末しようぜ」
「ああ。俺はか弱い女だからって手加減するつもりは無い」
その舐め切った態度を見たジャンヌは怒りに震える。そして彼女は掛け声を放つと走り出した。
「やっ!はぁあっ!」
ジャンヌはまずはダークリバイへと拳を放つ。しかし、ダークリバイはその拳を簡単に受け止めた。
「ッ!?」
「そんな物か。無敵の奴の拳は……。軽すぎて欠伸が出るぞ」
「いやっ!」
ジャンヌはそのますかさず後ろ回し蹴りに切り替えるが、ダークリバイはそれを読んですかさずそれを片腕で受け止める。
「この程度の攻撃。お遊びにしかならないな」
そのままダークリバイは受け止めた腕に力を入れて行く。ジャンヌは掴まれた脚に激痛が走るのを感じて顔を歪めた。
「うぁああっ!?」
そこにダークバイスがジャンヌへと跳び蹴りを叩きつけ、彼女は吹き飛ばされた。
「があっ!?」
「バイス。お前割り込みやがって」
「そんな事言ってよ。ずるいじゃねーか。お前だけ楽しむなんてよ。俺っちにだって楽しむ権利ぐらいあるだろーよ」
ダークバイスはダークリバイ一人で楽しんだ様子を見て文句を言う。ジャンヌは仮面の下で二人との戦力差を感じ取る。
「一瞬戦っただけでわかった……この二人。強い」
ジャンヌはそれでも退く訳にはいかない。ここで二人を逃したら次にいつ会えるかわからないために焦った。
すると今度はダークリバイ、ダークバイスが二人がかりでジャンヌを攻め立てる。ジャンヌはその息の合った連携に次々と攻撃を喰らって押し込まれて行く。
「うぐっ!?がっ!!ああっ!」
最早それは一方的なリンチであり、ジャンヌとダークリバイ、ダークバイスの格の差を示すようだった。
「おいおい。一方的にやられたんじゃあ面白くねぇなぁ!」
ダークバイスはそう言って嘲笑う。ダークリバイは更に笑みを浮かべると手にオーインバスターを手にした。
「それは!」
「残念だが、この姿も立派なリバイスシステムを使っていてな。オーインバスターやオストデルハンマーにちゃんと対応しているんだよ」
「だったら、ラブちゃん!」
ジャンヌは武器を持ったダークリバイに対抗するためにラブコフを武器化させようとする。
《クジャク!》
「ラブ!やったるでぇ!」
そして、スタンプをベルトにセットしようとした瞬間。ダークリバイが指を鳴らすと突如として手にパラボラ型の光線銃を手にした機械仕掛けの兵士が十人程出現。それをジャンヌへと照射する。
「ッ!?」
ジャンヌはそれに身構えるが、全くダメージは無し。そのため、ジャンヌは改めてスタンプを使った。
《リスタイル!》
《リバディアップ!》
するとラブコフの姿が武器へと変わろうとする。しかし、いきなりそんなラブコフに電流が走ると空中で元の悪魔の姿に戻ってしまった。
「ラブ!?変化できないコブ!」
「嘘!?もう一回よ!」
《リスタイル!リバディ……》
「うあああっ!?」
再度武器化を発動させようとしたジャンヌの体にも電流が走り、体が一気に重くなってしまう。
「そんな……どういう事よ……」
「悪いなぁ、今俺の手下の機械兵。メタルロイド達が使ったのは悪魔の力を引き出すのを阻害する光線でな。お前はもう悪魔の能力を戦闘で使えなくなった」
その言葉を聞いてジャンヌは拳を握り締める。それはつまりこれ以降、ジャンヌは悪魔の能力を使うラブコフの武器化やラブコフとの合体形態。インビンシブルジャンヌを封じられてしまう。
「まさか、大ちゃんがやられたのは……」
「ああ。今の光線で悪魔の力を封じたからだ」
大二もカゲロウの能力を封じられた影響で仮面ライダーエビル及び、カゲロウとの合体であるエビリティライブを使えなくされた上で負けたのだろう。
「だからってこれ以上一方的にはならないわ!」
ジャンヌはダークリバイに向かって行く。だが一発目の拳は躱された挙げ句、ガラ空きの腹にオーインバスターの斬撃を喰らうと怯んでしまう。そのまま、蹴りを繰り出そうとしたらダークバイスによって蹴りを叩き落とされてすかさずダークリバイの肘打ちが命中。
「「はぁっ!」」
そのまま二人同時のライダーパンチをジャンヌは顔面に受けて倒れ込んだ。
「うあっ!?はあ……はあ……」
ジャンヌもここまでの戦闘でかなり消耗してしまっていた。すると更に体に電流が走ってジャンヌは痛みに悶える。
「あうっ!?どういう事?体が……重い」
「お前達のライダーシステムの大半は悪魔の能力を引き出す事を前提としている。悪魔の能力を阻害した事でライダーとしての能力も半減したという事だろう」
狩崎の作り出したライダーシステムの中の殆どは悪魔の能力を引き出して制御するというのをコンセプトにしている事が多く。そのために悪魔の能力を出すのを阻害する先程の光線はその能力に刺さりまくっていると言えるだろう。
「さて。遊びは終わりだ。これで一気に決めてやる」
するとダークリバイはバイスタンプを取り出した。それはヒグマのレリーフとライダーマンの絵が描かれたバイスタンプである。
「あのスタンプは……」
司令室でも先程までの状況を見て新たなバイスタンプを見ると狩崎はそのスタンプが前に盗まれたスタンプの中の一つである事を確認した。
「やはり奴等が一輝のカードで潜入したのか。だが、真犯人は誰だ?当時は怪しい侵入者なんていなかったはずだが……」
「……ヒロミさん。やっぱり僕を行かせてください!このままじゃさくらさんが……」
光はそう言うと狩崎の側にいた高田も光の意見に同調するようにヒロミへと進言する事になる。
「総司令官。俺からもお願いします。光君は決して能力の無い人では無い。さくらちゃんを助けるためにもここは彼の意見を汲むべきです」
それを聞いたヒロミは狩崎へと問いかけた。デモンズドライバーのシステムが光線に対抗できるかわからないと話にならないからである。
「狩崎。デモンズドライバーはあの光線を喰らっても平気そうか?」
「……恐らく厳しいだろうね。デモンズドライバーの中のシステムも悪魔の能力を引き出す事でリバイ達のパワーアップに追いつく程の戦闘力を発揮できる。悪魔の能力を阻害するあの光線を喰らえば空手ガールと同様の事になるだろう」
「それでも……それでも僕は!」
光はとうとう耐え切れずに飛び出してしまう。ヒロミは慌てて止めようとするが、ジャンヌの前ではダークリバイがスタンプを使ったために新たな変化が起きていた。
場面は戦闘が起きた場所へと戻る。ダークリバイはスタンプを起動してベルトに押印した。
《ヒグマ!》
《Come on!ヒ・ヒ・ヒ・ヒグマ!》
するとダークバイスが一旦霊体へと変化。それはまるでバイスに酷似しているが、複眼が赤く。どちらかといえばベイルに似た姿と言った方が正しいかもしれない。ただ、口元はバイスのようにマスクで隠されているが。
《バディアップ!》
ダークリバイがスタンプを倒すとバイスがスタンプを振り下ろす。その瞬間、茶色の液体が満たされるとダークリバイはその姿を変化。ダークバイスも装甲を纏って新たな姿へと変わる。
《野山!親玉!地獄車!ヒグマ!ストロングアーム!》
ダークリバイはリバイと同様にカラーリングは変わらずで上半身が主に変化。胸部はハートマークを維持しつつも、筋肉質のような形をした装甲に変わる。両腕には腕より一回り大きめなガントレットを武装して先端には短いが爪が展開していた。頭部はクマの顔によく似たヘルメットを武装するが、クラッシャー部分はレックスゲノムから変化が無い。これはモチーフとなったライダーマンのマスクが鼻や口周りを覆っていない事に起因するのだろう。
ダークバイスはバイスと同様に胴体のカラーリングはそのままで主に腕部や脚部が変化。右腕にダークリバイよりも大きめな緑のガントレットを武装。それにも爪が展開しており、爪もリバイより大きめである。ただ、こちらは右腕だけの変化なのか、左腕は先程と大して変わらない。肩の装甲は消えており、防御力は多少落ちていると言える。両脚には白の装甲を纏い、先端には熊のような爪も出ている。頭部のヘルメットはクマの顔をモチーフしているが、ライダーマンのような青色でVマーク。二本の触覚もしっかりとある。熊の目は赤だ。
こうしてダークリバイ、ダークバイスのヒグマゲノムが誕生する事になる。
「ふへへ。この腕、かなり強そうだなぁ!」
「ッ……こっちの武器を封じておいて、そっちはゲノムチェンジするのね」
「当たり前だろ?戦いに卑怯もクソもあるか」
そのままダークリバイ、ダークバイスは二人がかりで襲いかかる。ジャンヌはパワーで対抗しようとするが、悪魔の力を阻害されて力が出ない上にヒグマゲノムによって腕の力が飛躍的に上がったダークリバイ、ダークバイスのコンビは止められない。
「はあっ!」
「おらよ!」
熊はとにかく腕力が強い。普通の人が殴られればひとたまりも無いほどである。腕に取り付けるアームの能力で戦うライダーマンとは相性が良いと言えるだろう。
ダークリバイはジャンヌをベアハッグすると思い切り締め付ける。ジャンヌは度重なるダメージにもうフラフラで意識も飛びかけていた。
「あうぅ……」
「もう終わりか。ならば失せろ」
ダークリバイはベアハッグを解くと蹴りでジャンヌを倒し、すかさずスタンプを二回倒した。
《ヒグマ!スタンピングフィニッシュ!》
二人は腕にエネルギーを高めるとダブルライダーパンチを放つ。その一撃はやっとの思いで立ち上がったジャンヌを吹き飛ばして彼女を変身解除。さくらは遠のく意識の中で立とうとするが、耐え切れずに崩れ落ちてしまう。
「呆気ないなぁ。なぁリバイ。コイツどうする?どうする?」
「計画のためだ。息の根は止めてない。さっさとアジトに連れ帰るぞ」
ダークリバイがメタルロイドに指示を出すとメタルロイドは気絶したさくらを抱えて撤収しようとする。
「お前ら……さくらさんに何をしてるんだ!」
そこに来たのはさくらを助けにスカイベースを飛び出した光である。それを見たダークリバイは笑みを浮かべると彼に向き合った。
「ほう」
「これ以上、お前達の好きにはさせない!」
「威勢が良いな……流石は俺の家族だ」
「……何だと!?」
ダークリバイから飛び出した家族発言に光は耳を疑う。それもそうだろう。光の家族はバスでデッドマンズの襲撃を受けて皆亡くなったのだから。
「いいや。お前は俺の家族だ。何せ……俺はお前の本当の父親なのだからな」
そう言ってダークリバイは変身解除。そこに姿を現したのは軍人のようなミリタリー風味な服を着て髪を逆立てたような形にした中年ぐらいの男性がいた。髪には所々白髪のような物も見えているために四十代後半から五十代と言った所だろう。
「俺の名前は牛島勝。我が息子、牛島光よ。久しぶりだな」
光はその言葉に警戒心を高める。そして、そんな息子に対してフレンドリーに接しようとする勝は邪悪な笑みを浮かべながら光と相対する事になった。
また次回もお楽しみに。