仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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生き別れの親子 悲劇の過去

ダークリバイの正体。それは牛島光の本当の父と名乗った。だが、光本人の反応はそれを歓迎するものでは無い。

 

「嘘だ……そんなはずは無い!俺にとって父さんは牛島勝……あんたじゃない!大体、俺の父さんの名前は牛島太助のはずだ!」

 

その言葉を聞いた勝は少しずつ笑い始めるとそんな光の言葉を掻き消すように言葉を返した。

 

「ククク……違うな。太助は……俺の弟の名前。つまりお前にとっては叔父に当たる人物。本当の父では無い。もし俺の言葉が信じられないならブルーバードの上官にでも頼んで調べてもらえ。そうすれば一目瞭然だ」

 

光はその事実を知って愕然とする。そして、彼は自分を嘲笑う勝へと怒りをぶつけた。

 

「そんな、だったら何で……何で今更僕の前に出てきたんだ!」

 

光は勝を殴るために拳を突き出す。しかし、その拳は勝に簡単に止められてしまう。

 

「温いな。ブルーバードや仮面ライダーとして鍛えられたとしても強化手術を受けなければそんな物か」

 

「何!?」

 

「俺は元々フェニックスの前身。ノアの一員でね。傭兵のような立ち位置だった。そして、プロトタイプの仮面ライダー……仮面ライダーベイルの変身者の候補でもあったんだ」

 

それを聞いて光は目を見開く。光が驚きを隠せない中、勝は更に話を進めた。

 

「俺はギフの細胞を埋め込まれるための被検体となる予定だった。だが、ノアの方針としては俺のような優秀な精兵をわざわざ危険な手術に巻き込みたく無かったらしい。ギフの遺伝子に対する適合性も低かった事を考慮して候補から外れた。だが、そこから俺にとって地獄だった」

 

仮面ライダーとしての力を手に入れて実験の際に生まれたはぐれ悪魔を倒していた白波純平とは対照的に勝はひたすら人体実験を受ける側に回ったのだ。ノアとしては仮面ライダーという実験失敗の産物に対する対処法を得たためにより強い悪魔を生み出すために勝を踏み台として使い始めたのだ。

 

「俺は何度も悪魔を生むための肉体の強化手術を受けた。その際に体への害は計り知れなかった。何度も死の淵を彷徨ったんだよ。だが、俺は不屈の体と根性だけで耐え切った。……おかげで普通の人間には決して超えられないような力を手に入れた。それこそ、悪魔無しでもはぐれ悪魔と同等の力を得られる程にな」

 

だが、勝がその力を得たのとほぼ同時期に白波純平はノアを脱走。狩崎真澄も大火傷を負った上で行方不明。そのため、ノアは悪魔と恐れられる程の天才と圧倒的戦力である仮面ライダーを失った。それ以降、はぐれ悪魔の処理は勝に一任されるようになる。だが、それでも生身を強化しただけの勝ではすぐに体力という限界が来てしまった。

 

「動けなくなった俺は不要な人間と捨てられた。俺はその時、今度こそ死を覚悟したよ」

 

そんな勝を救った女性がいた。それは死にかけでノアに存在する被検体の最終処分場に捨てられた勝を秘密裏に連れ出すと必死に介抱した。彼女は生きる希望を失った勝に“あなたは死んではならない人物だ”と言って側に寄り添ったのだ。

 

「俺はその女に救われた。それから俺は女の部屋に匿われて生き長らえた。そして俺はその女との間に一人の息子を授かった。それがお前だ。牛島光」

 

「ッ……」

 

「だが、子供を身籠ったせいで彼女は疑いをかけられた。俺が処分場にいなかった事も踏まえられてとうとう彼女は俺を匿った事がバレてしまった」

 

その女は光を産むまではノアによってわざと見逃された。というのも、強化実験を受けて遺伝子そのものが強化人間として置き換えられている勝の子供であれば素晴らしい実験のための被検体になるとノアに目をつけられたのだ。だからこそ女は光を産むその時までは利用価値を鑑みて組織に生かされた。しかし、光を産んでしまえばもう容赦は無い。

 

「女は光を産んだ瞬間に光を組織に奪われた上で拘束。そのまま俺を生かした罪を問われて実験で生まれたはぐれ悪魔に無惨にも殺された。それと同時に光はすぐに実験のための被検体として扱われる事が決定したんだ」

 

しかし、勝は自分を助けてくれた女を愛していた。ノアの用心棒として感情を消されたはずの勝はその女に染まってしまったのだろう。勝はノアに反逆すると実験室に単身突入して光を救出。そのままノアから逃げ延びた。勝をその際に殺そうとする者もそれなりにいたが、はぐれ悪魔と同等……いや、感情による力の高まりでそれ以上に進化していた勝にとっては全く相手にすらならなかった。

 

「……それでも俺は満身創痍。何とか頼れる先を探していた。……そして俺はノアに就職する前まで一緒に暮らしていた生き別れの俺の弟である太助の元に転がり込んで光を預けた」

 

勿論、光の素性は明かさずにだ。勝は太助に光を託すとそれからノアから逃げ延びるために逃亡生活を送った。最終的に海外にまで逃げた勝はそこである人物と出会う。

 

「俺を拾ってくれたその人はとある復讐のために今ここにいると言っていた。そして、その人は俺を利用する代わりに俺も復讐のために自分を利用して良いと伝えたのだ」

 

「復讐……僕の本当の母さんを抹殺したノアへの復讐なのか?」

 

「ああ。だが、復讐の準備には長い年月がかかってしまった。その間にノアはフェニックスとウィークエンドとして分裂。互いを潰し合った結果ウィークエンドは消えた。だが、フェニックス……いや。今はブルーバードか。そっちはまだ健在。だからこうして俺は復讐のために一旗挙げたってわけよ。まぁ、俺を拾ったその人もブルーバードの中に恨みを持ってる奴がいたらしいからな。利害も一致したわけだ」

 

勝は長い身の上話を終えると光はそれでもやっぱり納得ができなかった。もし勝に復讐する気があるのなら何故自分を引き取ってくれた太助、そして太助の妻で自分の育て母である牛島公子を救わなかったのかと。

 

「お前が僕の本当の父さんで、フェニックスやウィークエンドを恨んでいたのなら……何故、何故僕の育て親を守ってくれなかったんだよ……デッドマンズはウィークエンドと通じていた。お前は弟の家族を自分の仇に殺されてるのにそれを見殺しにしたんだぞ!」

 

光は怒りのままに勝の胸ぐらを捕まえる。しかし、そんな勝は冷たく光へと言い返した。

 

「弟の太助の事か……正直俺にとってはどうでも良い」

 

「……はぁ?」

 

「俺が愛していたのはお前と俺を救ってくれたあの女だけだ……彼女は自分の本当の名前を知らなかった。あの女はノアによって子供の頃に拉致されて被検体にされて……出会った頃に見せられた体はボロボロで。それでも彼女自身の優秀な能力のおかげで生かされていただけの……まるでゴミクズとして扱われていたあの女は。俺を、俺を救ってくれたんだ」

 

勝の目には薄らと涙が浮かんでいた。それだけ彼女に入れ込んでいた証拠になるだろう。

 

「俺はあの女のおかげで……生きる意思と希望を取り戻せた。今まで一人だと思っていた俺に手を差し伸べてくれたんだ!」

 

勝にとってその女は今の五十嵐元太にとっての幸実に当たる人物とも言えるものだった。だが、残酷な運命は勝から女を奪ってしまった。勝は連れ去られた女を助けるために必死に抵抗したが、彼女と再会した頃には女は全身を悪魔に引き裂かれた上で瀕死の重傷を負っていた。

 

「女は最期にこう言っていた。“どうか、生きて欲しいと”」

 

勝は組織に自分にとって最愛の人を奪われた。勝の怒りは凄まじく。その時彼は決意したのだ。

 

「そして俺の前で息を引き取った彼女を見て俺は誓った。俺から彼女を奪った組織は俺の残りの人生を懸けてでも絶対に潰すと。……そのためには強化人間として俺の遺伝子を継ぐお前の協力が必要だ。だから、俺と手を組め!俺ならお前を最強の戦士に育てられる。その自信はある。それこそ、五十嵐元太、五十嵐幸実の息子としてギフとリリスの遺伝子を併せ持つ持つ最強の人間。五十嵐一輝よりもな」

 

勝の決意は本物だった。その目に嘘偽りなど何も無い。光は勝の言葉が全て本当だと薄々わかっていたのだ。

 

「……ふざけんな。僕の力が必要なら何でずっと放置した!ノアが空中分解して今まで会いに来ようと思えば幾らでも素性を隠して会えたはずだ!それを今更来て協力しろだと!?それに、僕はアンタと違ってそこまでの力は……」

 

それを聞いて勝は少しずつ笑い始めた。更に彼はある決定的な言葉を口にする。

 

「ふふっ……確かにお前には直接強化手術を施されていない分、俺程にまでは到達できていない。だが、疑問に思わなかったのか?何故自分が先代デモンズの装着者である門田ヒロミにできなかったクワッドゲノミクスを軽々とできるようになったのを」

 

「それはベイルの力によってヒロミさんは無理矢理……」

 

「違うな。確かに初期型のデモンズドライバーには装着者の命を奪う機能があってそれで門田ヒロミは体が高齢化していったというのは理由の一つにはなる。だが根本的な話だ。復帰した門田ヒロミはお前と同じオーバーデモンズになった上で一度でもクワッドゲノミクスを使えたか?」

 

それを聞いて光は目を見開く。そもそもオーバーデモンズに変身するためにはまず変身者に重くのしかかる過剰な負荷への耐性が必要となる。光はトレーニングでそれを取得できたが、ヒロミは一度ギフに体を再生されてからもオーバーデモンズに変身可能なラインにまで到達できていない。

 

加えて、クワッドゲノミクスはオルテカのようにギフテクスクラスの能力を持った上でベイルの補助ありきでようやく辿り着けた境地。それを光はトレーニング込みとはいえ、初めての実践でいきなり使いこなしている。

 

普通の人間ではまずオーバーデモンズにすら到達不能。その上でクワッドゲノミクスを簡単に使いこなしたのだ。これを普通と言うには出来すぎている。

 

「それじゃあ……僕は……僕は一輝さん達五十嵐家のように最初から……」

 

「ああ。……普通の人間では無いということだ」

 

それを聞いて光は震え始めるとその拳を握り締めた。そして、怒りと共にベルトを装着する。

 

「違う……僕は、僕は……お前のような改造人間紛いなわけがない!僕の誇りに懸けて……お前を潰す!」

 

《クワガタ!》

 

《Deal……》

 

「変身!」

 

《Delete up!》

 

《Unknown.(未知なる)Unlest.(混乱が)Unlimited…(越える)仮面ライダーオーバーデモンズ!》

 

光はオーバーデモンズへと変身。それと同時に勝は溜め息を吐くとリバイスドライバーを黒く変えたようなベルト、ダークリバイスドライバーを装着。それと同時にダークレックスバイスタンプを手にする。

 

「従う気は無いか。なら、お前に格の差を教えてやる」

 

《ダークレックス!》

 

勝がスタンプをスタンプ台に押印するとベルトに装填。すると霊体となったバイスのような悪魔がスタンプを手に飛び回る。

 

《Come on!ダ・ダ・ダ・ダーク!》

 

「変身」

 

《バディアップ!》

 

勝がスタンプを倒すと同時にバイスのような悪魔が中に黒い液体の入ったスタンプを振り下ろすと勝はその姿をダークリバイへと変えていき、同時に悪魔もダークバイスとしての装甲を纏う。

 

《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!ダーク!》

 

「一気に……滅ぼそうか」

 

それからオーバーデモンズとダークリバイ、ダークバイスのコンビが激突。ここに生き別れた親子対決が始まるのであった。




また次回もお楽しみに。
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