仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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さくらの説得 復讐に囚われた男

光が出撃した頃、五十嵐大二は狩崎からの指令でとある事を調べていた。それは、少し前にブルーバードに侵入してクローンライダーの理論やバイスタンプについて盗み出した人物についてである。

 

「……やっぱり、狩崎さんの睨んだ通りなのか」

 

「流石俺の相棒。調べるのが早いな」

 

「カゲロウ……出てきて大丈夫なのか?」

 

「まぁな。だが、戦闘はまだ無理だ……あの野郎。俺の力を抑制しやがったせいで力が上手く入らねぇ」

 

カゲロウは平然そうには言うが、彼も彼で苦しそうな感じだ。まだ彼も本調子には程遠いという事だろう。

 

「ひとまず無理せずにお前は休め」

 

「ああ。そうさせてもらう」

 

カゲロウはそう言って引っ込むと大二はこの事を狩崎へと伝えに行こうとする。

 

彼が調べるための部屋から廊下に出たそのタイミングで彼の目の前に黒ずくめの男が現れた。

 

「ッ!?お前は……」

 

「どうやら俺の事を嗅ぎ回る厄介な奴がいるってな。正体にも気付いたか?」

 

「いや……相変わらずお前の正体は掴めてない」

 

大二はそう言うと黒ずくめの男は一度溜め息を吐くと次の瞬間には大二の背後に回り込んでおり、その首筋にスタンガンが当てられる。

 

「ぐああっ!?」

 

その電流に大二は倒れると黒ずくめの男は調べた資料を全て奪い取って逃げてしまった。

 

すると異常を検知したブルーバードの隊員達が慌ただしく動き、黒ずくめの男はカメラに隠れた状態で元の姿に戻るのであった。

 

「あっちだ!追え!」

 

「ひ、ひいっ!」

 

同時刻。ブルーバードの隊員達は黒幕がいるというアナウンスを受けて逃げてきた高田とすれ違う。

 

「高田さん!大丈夫ですか!?」

 

「ああ……。侵入者に鉢合わせてな……。あっちに逃げた。追ってくれ」

 

高田の言葉に隊員達は頷くと追跡を再開。ブルーバードの廊下を走っていく。

 

そして、そんな中。一輝とさくらが囚われている敵のアジトでは勝が笑みを浮かべていた。

 

「とうとうダウンロードが完了したか」

 

ここでは前日話していた人々から悪魔を強制分離する装置にさくらの持っていたリベラドライバーのデータがダウンロードされた所だった。

 

「これで我々の計画は次のフェーズへと移行する。……五十嵐さくら。お前の悪魔、ラブコフもちゃんと利用してやるよ」

 

「ッ……ラブちゃんも使うつもりなの?」

 

「ラブ!?嫌だ!アタイ、さくらと離れるつもりは無いコブ!」

 

「テメェらの意見なんざ聞いてねぇんだよ。それに、光はお前にただならない感情を持ってるようだったな。なら尚更丁度良いって奴だ」

 

「くっ……。だからって、私達を舐めないで!」

 

さくらは何とか無理矢理にでも装置の拘束から逃れようとする。だが、無情にも勝はさくらへといつも以上の電流を流した。

 

「あああああっ!?」

 

「言っておくがまだ装置は起動しない。光の目の前でお前の悪魔が暴れ、お前が絶望する所を見せてやる。そうすれば光の力は最大限に引き出されるはずだ」

 

勝にとって最早さくらはただ利用するだけの存在でしか無かった。さくらは電流が止まると息も絶え絶えになりながら勝へと言い返した。

 

「アンタは……それで良いとか思ってんの?」

 

「はぁ?」

 

「アンタのやってる事は……どう見ても……アンタが嫌ってたノアの連中と何一つ変わらないと思うわよ……」

 

「ふっ……そんな事は百も承知だ」

 

さくらの言葉を勝は一蹴してしまう。本人が言う通り、勝もちゃんとわかっていた。自分がやっている事の意味を……。

 

「今俺がしているのは罪の無い人々を人体実験の道具にして弄ぶ。それは俺のいたノアと何も変わらない。だからこそ、ブルーバードの連中に対しての大きなアピールとなる。お前らのやっていた事はそういう事だって事をなぁ!」

 

勝はブルーバードの前でノアのやった事を繰り返す事で彼等へと自らのやってきた事の愚かさを見せつけるつもりだ。そうすれば自らがした過ちの歴史に後悔の念を抱かせられる。その上で勝はブルーバードの面々を殺すつもりだ。

 

「……それの何が楽しいの?」

 

その瞬間、さくらが激痛に耐えながら勝へと問いかける。それを聞いた勝は苛立つと拘束されたさくらの胸ぐらを掴んだ。

 

「あ!?俺のやってきた事を愚弄するか?」

 

「そうよ……。アンタ、そのノアに復讐したいらしいけど……当時アンタを苦しめた人がブルーバードに何人残ってるのよ!」

 

さくらは自分が圧倒的に不利な立場であるにも関わらず、勝へと必死に言い返す。

 

「ブルーバードの前身、フェニックスは元々……ノアの人々が立ち上げたウィークエンドの思想に反対する人達によって構成されているの。何もしなければアンタにした事を謝罪して保護する意思だってあったんじゃないの?」

 

さくらはかつて狩崎から聞いたフェニックスの成り立ちの話を思い出してそれを言う。だが、勝は苛立ちと共にまた電流のスイッチを押す。当然のようにさくらの叫びが響き渡った。

 

「あまり調子に乗るな……。今の俺にはもう復讐しか道は無い。それが、俺を救ってくれたあの女へのせめてもの償いだ」

 

「その女の人が誰かはわかんないけど……それが、その人を見殺しにしてしまった償いとでも思ってるの?」

 

さくらは電流を流されたままにも関わらず、勝を説得しようと必死に声をあげる。

 

「何?」

 

「アンタを助けたその人はノアの中にいた人の中でもまともな精神の持ち主だったはずよ。そんな人が……そんな人が愛したアンタにそんな事をやって欲しいって言ったの?」

 

そんな中、勝はまた脳にその光景がフラッシュバックする。その女は瀕死の重傷を負って苦しそうにしていたものの、勝へと向けた優しい目線に恨みの感情は無かった。

 

「黙れ……苛立つんだよ……そんな顔で……そんな顔で……俺を叱責するんじゃねぇ!」

 

その瞬間、さくらの電流は止まると勝に顔面を殴られた。さくらの頬には鈍い痛みが走り、口は切れて血が流れる。だが、彼女は感じ取った。今の一撃は手加減されていたと。

 

「……ッ」

 

そして、勝はさくらへと手を上げたことに混乱した顔つきになる。するとそこに異常を知らせるアラートが鳴り響く。

 

勝がその場を離れると制御盤を見る。その監視カメラには一人の青年が映っていた。

 

「やっと来たか……遅い!」

 

そこにはこの施設を守る手下のメタルロイド達を相手に圧倒的な力で捩じ伏せる光の姿があった。

 

「うぉおおっ!」

 

光はまるで人外と言わんばかりの威力の拳や蹴りでメタルロイドを殴り、蹴り……叩き伏せていく。

 

最初の数発こそメタルロイドの耐久性で耐えられるが、何度もやられるうちに装甲さえも破壊されてしまう。これでバイスタンプの能力無しなのだから弱いわけが無い。

 

「出て来い……父さん!僕がここで決着を付けてやる!」

 

するとメタルロイドは光の戦闘力を前に悪魔の力を使っていると判断。妨害光線を放つが、光には全く通用しない。そうこうするうちにまた一体と破壊されていく。

 

『俺の息子よ。よく来たな。まずはこれを見ろ』

 

すると室内のアナウンス機能で勝が光へと話しかけ、その後光の前に映像が映されると囚われた一輝やさくら、奴隷の人々が現れる。

 

「ッ!?これは……」

 

『お前の大切な人とここに囚われた人々だ。これからお前の目の前でコイツらの悪魔を分離する』

 

「なっ!?それは……」

 

『お前の目の前で大切な人が苦しむ様を見せつけてやるよ』

 

「止めろ……止めろぉおおっ!」

 

光の言葉も無情に勝は容赦なくスイッチを押した。すると映像の中の人々は苦しみ始めると次々と体内から悪魔が分離していく。そして、その悪魔達はまるで制御されたかのようにどこかへと消えていった。

 

『ふはははっ!これで良い。これで俺の計画は更なる段階へと進むのだ!』

 

光はその場に膝を付くとさくらを救えなかったと絶望しかける。だが、彼女は、五十嵐さくらは悲痛の声を上げても悪魔との分離に耐えていた。

 

「く……うぅ……光さん、私はまだ大丈夫……よ。だから、諦めないで!」

 

「ラブゥ……アタイ、踏ん張る!」

 

この悪魔分離装置相手への抵抗はさくら一人では成立しない、彼女の内に宿る悪魔。ラブコフもこの支配に抵抗しないとできない事なのだ。

 

「さくらさん……でも、まだ他の人々が……」

 

するとその瞬間、光の周りにデモンズトルーパー達が現れる。そして、その中からヒロミも歩いてきた。

 

「ヒロミさん!?」

 

「ここは俺達に任せろ光」

 

「でも、悪魔の阻害光線は……」

 

「このデモンズトルーパー部隊のドライバーは全てコーティングされている。俺自身は戦えないが、それでも前線で分隊長が頑張っているのを見捨てる程俺は冷たく無いからな」

 

ヒロミの言葉に光は頷くと彼は単身奥の部屋へと突撃。それと同時にヒロミは救助活動を開始した。

 

「我が全身全霊を懸けて……人々を救う!」

 

それから救助活動が開始される中、光はとうとう最奥の部屋に……つまり、一輝とさくらが捕まった部屋に到達。そこでは未だにさくらとラブコフが苦しみつつも装置からの支配に耐えていた。

 

「さくらさん……お待たせしました!」

 

それからすぐに光はさくらの装置を外すとさくらはようやく解放されて光へと倒れ込む。それを光は支えた。

 

「ありがとう……ございます、光さん」

 

さくらは耐えたとは言ってももう完全に虫の息。歩くどころか立つ体力も無い。

 

「よく辿り着いたな。息子よ」

 

するとそこに勝が現れて光の前に立ちはだかる。そんな彼は僅かに嬉しそうな顔つきではあった。

 

「父さん……」

 

「五十嵐さくらから悪魔は分離し損ねたが、俺の目的は変わらない。お前を俺の支配下に置いてブルーバードへの復讐を果たす」

 

すると彼は一輝の閉じ込められた装置を背後にしながら立つ。ちなみに一輝は先程の装置の影響を受けていない。そもそも彼の悪魔、バイスはまだ不安定な存在なので仮に装置に繋いでも上手く分離できなかっただろう。それ以前に一輝とバイスなら分離に抗えそうではあるが。

 

「……愚かだよ。父さん」

 

「ほう?面白い事を言うな。光」

 

「いつまでも過去の復讐に縋って……お前には未来が見えてない」

 

「そうか?だが、お前もその一人だっただろう。弟の家族と偽りの家族として共に時間を過ごし、それを失って復讐に囚われた哀れな男。お前だって俺と同じだ」

 

「ああ、そうだ。だが復讐なんて虚しいだけだ。それをして大切な人が帰ってくるわけじゃない」

 

「ならどうする?」

 

「……お前を倒して愚かな復讐を終わらせる」

 

《デモンズドライバー!》

 

「そうか。ならやってみろ。光」

 

《ダークレックス!》

 

「僕の誇りを懸けて……父さん。お前を止める」

 

《クワガタ!》

 

《Deal……》

 

《Come on!ダ・ダ・ダ・ダーク!》

 

《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!ダーク!》

 

「「変身!」」

 

《Delete up!》

 

《バディアップ!》

 

《仮面ライダーオーバーデモンズ!》

 

《仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!ダーク!》

 

こうしてオーバーデモンズとダークリバイ、ダークバイスは向かい合う。生き別れた親子の二度目の対決が幕を開けるのであった。




また次回もお楽しみに。
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