仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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親子の時間 未来への歩み

変身解除して倒れ込んだダークリバイこと勝を支えた光。それを受けて勝は目を見開いた。

 

「ッ……光、何をする?」

 

「……もう止めよう。父さん」

 

「何故だ。俺は復讐をしないといけない。俺を救ってしまったがために死んでしまったあの女のためにも敵討ちをしないといけないんだ」

 

そう言う勝に光は彼を抱きしめると震えたような声色を上げた。そして涙を流しつつ訴える。

 

「もう良いだろ……僕だって最後に残った肉親を葬りたくなんて無い」

 

「……甘いな」

 

「アンタだってそうだろ。じゃなかったら僕を味方にしようとなんてしない。優しい僕を味方になんかしたってどこかで足を引っ張っていた。アンタだって薄々感じていたはずだ」

 

そんな光の訴えに対して勝は一度溜め息を吐くと立ち上がろうとし、それに合わせて立ち上がる勝。

 

「……悪かった。光、俺が間違っていた。……俺がやりたかったのは復讐では無かったかもしれない。だから、これからは一緒に……」

 

その瞬間、勝は後ろから何かに貫かれたかのように前のめりに倒れ込む。それを光は困惑気味に支える。

 

「……え?」

 

「なっ!」

 

そして、その様子を遠くから見ていたはずのヒロミ達はその方向を見て目を見開く。そこにいたのは勝の協力者だった黒ずくめの男だった。

 

「ガッカリだ、勝。君は俺の理解者だと思っていたんだけどな」

 

「父さん……父さん!」

 

光が弱々しくなった勝を揺する中、ヒロミ達は一斉に男へとガンデフォンや自身が持っていた銃を向ける。

 

「貴様……何故勝を始末した」

 

「当たり前だろ。そいつは実験によって生まれた改造人間。恐らく適切な治療をしたら復活する。そうなれば俺の計画を話すだろうな」

 

つまりは口封じのための攻撃だそうだ。それを聞いてヒロミは怒りを露わにした。

 

「お前、やっと生き別れた親子が和解できたんだぞ」

 

「ふん。関係無いな。計画の邪魔になる者は誰であろうと容赦しない。俺の復讐の邪魔をする愚か者は特にな」

 

そう言う黒ずくめの男。だが、ヒロミはこの場から逃すつもりは無い。デモンズトルーパーに指示を出すと取り囲ませた。

 

「そいつを確保しろ!」

 

「……ふふっ。ならば俺の力の一部を見ろ」

 

その瞬間、男が手を翳すといきなり周囲へと衝撃波が駆け巡る。その禍々しいオーラに一同は見覚えがあった。

 

「その力は……」

 

「ああ。ギフの瞳の力だ」

 

「ッ……やはりそうか」

 

「ひとまず挨拶はここまでだ。俺は復讐を果たす。帰ってそっちの悪魔の科学者の息子に伝えろ。俺はお前を必ず殺すとな」

 

そう言って男は赤黒い霧と共に消え去る。そんな中、勝は今度こそ完全に力が尽きかけていた。

 

「父さん!しっかりしてくれ!」

 

「……これも俺の犯した罪だ」

 

「何言ってるんだよ!」

 

光は必死に呼びかけるが、勝は半ば悟っていた。もう自分には助かる術がないと。この場では勝の体を回復させる手段が無い。そうなれば死は確実だ。

 

「これも因果応報だ。俺は罪の無い人間を巻き込み過ぎた。この施設から助けた人々に申し訳ない。俺の身勝手のせいで巻き込んだ。俺のくだらない復讐に付き合わせた。そして、光。俺はお前の親として失格だ。俺はお前に親として何もしてやれなかったんだ」

 

勝の目には涙が浮かんでいた。そんな彼は光の頬に手を当てるとそう言って懺悔の気持ちでいっぱいになる。

 

「父さん。そう思うのなら生きてくれ。僕はまだ父さんとこれまでの人生の話をしてないんだ。それだけじゃ無い。話したいことは沢山ある!」

 

「すまない」

 

するとそこにデモンズトルーパーに支えられたさくらがやってくる。そんなさくらを見た勝は彼女にも声をかけた。

 

「君にも迷惑をかけた」

 

「……本当よ。いくら光さんの父親だからって……やって良いことと悪い事ぐらいあるわ」

 

「そうだな。……光を任せるぞ」

 

その言葉を聞いてさくらは頷く。その面影を見た勝はかつて自分を助けてくれた女とそっくりだった。だからだろう。先程さくらに対して彼が複雑な感情抱いていたのは。

 

「光、最期に……。せめてこれから先はお前が自由に生きられる未来だ。俺の事なんて忘れて健やかに生きてくれ」

 

そう言って勝は目を閉じて光の頬に置いていた手をダランと落とす。彼が完全に息絶えた証拠だろう。そんな彼は死ぬ間際になってようやく理解した。自分を救ってくれた女は死ぬ間際に自分に何を願っていたのか。その気持ちが伝わるのは遅すぎたものの、彼は満足そうにしていた。そんな勝を見て光は誓う。絶対に幸せに生きてみせると。

 

それから一同は施設を後にする。暫くして囚われていた一輝は目を覚ました。一輝が帰ってくるのを望んでいた五十嵐家は歓喜に湧いた。

 

「ごめん、大二、さくら、父ちゃん、母ちゃん。心配かけて」

 

「本当よ」

 

「でも帰ってきてくれて本当に良かった」

 

父、母と抱き合った一輝。そしてそれを見守る大二、さくら。そんな家族団欒の様子を見届けた光はその部屋を後にする。そんな彼を追いかけたさくら。

 

「光さん!」

 

「……ごめんなさい、さくらさん。今は……」

 

その瞬間、さくらは一人で去って行こうとする光の手を握った。彼の目尻には赤い跡がある。そんな中、さくらは光へと声をかけた。

 

「お節介ってわかってます。……それでもせめて一緒にいさせてください」

 

「………!」

 

光はさくらからの言葉に目を見開く。そして彼女の言葉に頷くと光はブルーバードの上層部に断りを入れてその日は休みを取って自身の家に帰った。彼を慰めるために着いて行ったさくらと共に。

 

更に数日の時が経過。幸せ湯ではいつものように一輝達の日常が送られていた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「聞いたよ、一輝ちゃん。誘拐されてたって?」

 

「ぶーさん……。すみません、ご心配をおかけして」

 

「俺も凄く心配していたんだからな」

 

ぶーさんは久しぶりに銭湯に戻ってきた一輝を見て安心した様子を浮かべると共に一つの疑問を抱く。

 

「……あれ?そういえば、元太はどうしてそんな負のオーラと共に突っ伏しているんだ?」

 

ぶーさんの視線の先には銭湯のソファーの上で半ば生気が抜けたように突っ伏している元太がいた。

 

「あはは……それはですね……」

 

「あとそれとさくらちゃんは?ここにいないみたいだけど」

 

ぶーさんが周りを見渡すと時間的にいるはずのさくらがいない事に気がつく。

 

「父ちゃんがこうなっているのはさくらに関連していて……」

 

「えっ?」

 

すると幸実が受け付けののれんの奥から出てくるとぶーさんへと事情を説明する事に。

 

「さくら、彼氏が出来たのよ」

 

「ふーん。彼氏かぁ。年頃の女の子だし……って彼氏!?」

 

「実は数日前に俺が帰ってきた時に家族を失って傷心だった光と二人で家に帰ってから朝まで語り明かしちゃったみたいで……」

 

要するに二人はその日を境に恋人の関係になったようだ。そんなわけで元太は突然の娘の宣言に完全に心を破壊されたようで数日間こうなのだ。

 

「さくらが……さくらが、大人の階段を……」

 

「もう良いじゃない。あの子もちゃんと同意の上でやったんだから。もうあの子も大人という事よ」

 

傷つく元太とは対照的に幸実は意外とこの事態を受け入れていた。彼女としても複雑な気持ちでいっぱいなのだろうが、それでも光が相手ならとちゃんと受け入れる方向になったらしい。

 

「それにしてもこの世界でも輝樹のいる未来に向かいそうで良かったよ……」

 

一輝や大二もさくらが望むのならと何とか受け入れていた。光の事は二人もよく知っていたのでさくらを悲しませる事は無いと二人で判断したからだ。

 

その頃、司令室ではヒロミと狩崎が話しているとその話の流れで狩崎は修理したデモンズドライバーをヒロミへと渡した。ちなみに光のドライバーはコーティングをした上で狩崎の手によって彼に返却されている。

 

「ヒロミ、君のベルトだ。今度は制御装置は入れていない」

 

「ふっ、お前の事だ。コッソリ入れてないよな?」

 

「安心したまえ。今回の事態を鑑みて入れるべきでは無いとわかったんだよ。多分だけど、光自身のベルトならそこまで強力な制御をしていない関係でギリギリ砕けずに済んだはずなのに負荷に耐えきれずにバラバラになったからね」

 

狩崎の言葉を聞いたヒロミはデモンズドライバーを受け取る。それと同時に司令室にやってきた隊員がとある報告を行った。それは狩崎の予想通りと言った答えである。

 

「やはり彼だったか……」

 

「狩崎、この状況はどの時点で想定できた?」

 

「……私が彼を近くに置いた時からだよ。何しろ、これでハッキリした。奴等の使っていた全てのシステムは元々別の目的で私が実用化しようとしていた物だからね」

 

つまり、今回敵に利用されたシステムは彼等が一から作った物ではなく狩崎の作った物を多少弄っただけの流用品に過ぎなかった。だからこそ対応が早く終わったのだが。

 

「ただ、意外だったのは一輝が並行世界に飛ばされた事件の時から奴の仕込みが始まっていた事かな。そこだけは読めなかったよ」

 

そんな二人のモニターに映っていたのは狩崎の助手的な立ち位置でいたはずの高田唱が今回の事件の黒幕として動いていたという数々の証拠だった。

 

同時刻、ブルーバードのスカイベースを逃げ出した高田は移したアジトでとある物を作っていた。それはカプセルの中に閉じ込められた悪魔達と狩崎が組み上げたクローンライダーシステムを具現化させるためのプログラムだった。

 

「俺の憎い仇、狩崎真澄の息子。ジョージ・狩崎。お前を始末して俺は俺の復讐を完成させる」

 

彼の前には沢山の仮面ライダーの再現データが存在し、それを次々とデータとして打ち込んでいく。

 

プログラムに没頭する高田の瞳の奥にはギフの面影を感じさせるような物が存在。そして、彼はブルーバードへの叛逆のための準備を進める事になる。

 

場面は戻りブルーバード。狩崎はヒロミと別れると研究室に入って視線の先にあるアイテムを手にする。

 

「さて、どうやって彼を料理してやろうか」

 

それは十種類の生物のレリーフが入った金色のスタンプと線で繋がれたキメラドライバー……を少し改良した未完成のベルト。

 

「ダディ。あなたが残した砂礫は私がちゃんと舗装するよ」

 

狩崎はその決意と共にキメラドライバーを進化させた新型ベルトの調整を急ぐ事になった。

 

そして、光とさくらは二人揃って牛島家の墓にやってきていた。どうやらこの日が勝の弟夫妻の命日らしい。

 

「義父さん、義母さん……僕は元気にやってるよ。どうかゆっくりと眠ってて」

 

更にその隣に小さくあるのは光の実の父親である勝の墓だった。元々公にできない存在なので壮大に葬儀を執り行うわけにはいかず。そのためこのような細やかな形で墓を建ててある。

 

「勝さん……光さんの事は私が絶対に幸せにします。……どうか見守っててください」

 

二人は墓参りを終えると花束を置いてその場を去っていく。二人は手を繋いでおり、幸せそうな日々を過ごす事になる。光は今回の一件を通して真の意味で過去を乗り越えた。そして、これからは彼はもう一人じゃない。その隣にはお節介な兄と同じ血を引き、勝が愛した女性にそっくりの面影を浮かべる女性がいるのだから。




今回でスピンオフゲットオーバーズ編は終了となります。次回は文章でも多少触れましたが、いよいよ狩崎メインのストーリーになります。また次回も楽しみにしてください。
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