ローブの男が素顔を明かすとそこにいたのは紛れも無いオルテカであった。そんな彼がライブ、デモンズと対峙する。
「ふふっ。この世界ではあなた方は二人共無事ですか。それは何よりです。もう一度……あなた方の屈辱的な顔を拝めますから」
「お前……この世界のオルテカでは無いと言ったな……」
「それにその言い回し。お前が元いた世界は……」
「ええ。こちらの世界の五十嵐一輝が救った世界の私ですよ。それと、私の名前はもうオルテカでは無い。初芝真だ」
どうやら目の前にいるのはかつて五十嵐一輝が並行世界へと渡った際に救ったオルテカらしい。そんな中、二人はオルテカへと問いかけた。
「何故ここにいる!別世界との繋がりはもう無いはずだ!」
「その答えは簡単。あなた方の世界のジョージ・狩崎に恨みを持つ者……高田唱に呼び出されました」
「ッ……あの男、一輝を一度その世界へと送り込んだのはこれが狙いか!」
オルテカ……真は笑みを浮かべたまま二人を見据えると彼らを見下したような顔つきとなる。
「次にあなた方はこう考えるでしょう。何故一度救われた立場のお前がこうして敵対するのか……と」
「「……!!」」
「やはり図星ですねぇ。答えは簡単。……私は救われた事に関して感謝したつもりは無い」
つまり、真はこちらの一輝に助けられた件について感謝するつもりが無いのだ。
「そもそも私は元いた世界に存在した五十嵐一輝の勝手なお節介で命を落とさずに済みました。その後、私が世界を支配する上で邪魔なギフを殲滅するために手こそ組んだものの……あなた方に助けて欲しいなんて私は言った覚えは無い」
つまり、真からすれば勝手に並行世界から現れた五十嵐一輝が勝手にその世界の現状を知って勝手に自分達を助けた。要するに真に感謝する言われはないという事だ。
「くっ……こっちだって好きでお前らの世界には……」
「ええ。だからほんの少しは感謝してますし、借りさえも感じています。だから、五十嵐一輝を送ってくれたこの世界の高田という男に協力してやっているんです」
真の言う事は確かに筋は通っている。そもそも一輝が真のいた世界に送られた原因を作ったのは高田。だからその借りをここで返す。そんな理由で敵対する事になったのだ。
「さて、あまり長々とお喋りをするのも嫌ですし……あなた方が苦痛に歪む様を見せて差し上げましょう」
《デモンズドライバー!》
真がデモンズドライバーを装着すると早速本気でやるつもりなのかクラーケンバイスタンプを手にする。
「この世界は……俺達の物」
《クラーケン!》
《Deal……》
《Geniu up!》
「変身」
《最大の厄災!漆黒の喝采!最凶の天才!仮面ライダー!オルテカ!》
真がスタンプとベルトを使って変身するとその姿が仮面ライダージーニアスオルテカへと変わる。
「その姿は……デモンズじゃない!?」
「あれ?聞いてませんか?これがこちらの私の最強の力でしてね。その名も仮面ライダージーニアスオルテカ」
その言葉と彼から放たれる禍々しい雰囲気を感じ取った二人は警戒を強める。
「では、あなたからです」
するとオルテカが右脚で軽く地面を叩くとイカ墨が下へと広がると同時に地面へと展開。そのまま周囲へと広がると二人纏めてその中へと沈めてしまう。
「ッ!?」
ライブ、デモンズはいきなりフィールドが変わったために対応ができず。そのままオルテカの接近を許すと彼がデモンズの体へと拳を叩き込む。
「ぐあああっ!?」
その火力は凄まじい。再度繰り返すが、ジーニアスオルテカの能力は相手の急所を見抜く事。そのため、装甲の一番弱い箇所を判別されてしまうのだ。加えて、そこを的確に突く攻撃。今のオルテカに死角は無い。
「おやおや。あまりにもつまらないと困りますねぇ」
「だったら、これで!」
《ホーリーウィング!》
《ウィングアップ!ホーリーアップ!》
《ホーリーライブ!》
ライブがバットゲノムの能力でデモンズの位置を把握するとすぐにホーリーライブへとチェンジ。そのままデモンズを掴むとあっという間にイカ墨で作られた水中から飛び出した。
「ほう……やりますねぇ」
オルテカは地上へと戻ると地面のイカ墨は消えた。どうやらこの能力も無制限では使えないらしい。
「ヒロミさん。行きますよ!」
「おう!」
そのままライブがデモンズを空中で振り回すとそのままハンマー投げの要領でオルテカへと突っ込ませる。更にデモンズは突進しながらゲノミクスを使う。
《Add……!》
デモンズはベルトの両サイドの筋肉の部分を押し込むとバッタバイスタンプを取り出す。
《バッタ!》
《Dominate up!》
《バッタ! ゲノミクス!》
デモンズがゲノミクスを使って両脚にバッタの脚を武装するとそのままベルトを三回押し込むとドロップキックを放つ。
《More!》
《バッタ!デモンズレクイエム!》
「ふふっ。そんな単純な攻撃が効くとでも?」
オルテカが手を翳すと背中にあるマントを伸ばす。それが触手として突撃してくるデモンズを雁字搦めにして捕まえると締め上げた。
「あがああっ!?」
そのままライブへと投げ返すとライブとデモンズはぶつかって纏めて撃墜されてしまう。
「くうっ……」
オルテカが余裕そうな顔でスタンプを取り出すとベルトへとそれを押印。技を使う。
「終わりにして差し上げましょう」
《クラーケン!》
《Charge!》
《オルテカフィニッシュ!》
オルテカが跳び上がると錐揉み回転をしながら触手を纏わせた両足でのドロップキック型のライダーキックを放つ。
「はああっ!」
その攻撃を受けたライブ、デモンズはひとたまりも無く変身解除。大二とヒロミの姿へと戻ってしまう。
それからオルテカは勝ち誇るようにゆっくりと近づくとヒロミの胸ぐらを掴む。
「ふふっ。こうして私に良いようにやられて、そんな顔をするあなた方を見るのは良い気持ちですねぇ。そろそろ目的を果たしますか」
「くっ……」
「ジョージ・狩崎を出してください」
オルテカの言葉にヒロミは答えない。あくまでも狩崎を庇う姿勢にオルテカは溜め息を吐く。
「あなたもあの男の被害者でしょう?何故わざわざ彼を庇い立てする」
「アイツはもうかつての狩崎じゃない。俺はそんなアイツを信じるつもりだ。だから居場所を言うわけにはいかない」
ヒロミの言葉を聞いてオルテカはやはり彼の気持ちを理解できない。オルテカは元々自分の目的が第一の人間だ。そのためなら誰であろうと遠慮なく利用する者。だからこそヒロミのように他人のために動く人間の気持ちが理解できないのだ。
「やれやれ。五十嵐大二。君も狩崎の居場所を言うつもりは無いんだろう?」
「ああ。……オルテカ、お前にこの事を伝えるつもりは毛頭無い」
大二もヒロミも役に立たないと踏んだオルテカはさっさと彼等を始末しようと考えた。高田からの指示の中には邪魔立てする仮面ライダーは全て始末しろとあるからだ。
「では仕方ありませんねぇ。……終わりにしましょう」
そう言ってオルテカがヒロミから手を離すと二人を纏めて始末するために背中のマントを伸ばすとそれを触手として先端を尖らせる。
「久しぶりにあなた方を見られて嬉しかったですよ」
オルテカが触手で二人を貫こうとしたその瞬間。どこからか足音が鳴り響くとそこに一人の男が現れる。
「……ほう。どうやらあなたから来てくれるとは。探す手間が省けて嬉しいですよ」
「ああ。でも君の方からこっちの世界に来るとは思わなかったよ。オルテカ」
そう言うのはオルテカが探していた張本人。ジョージ・狩崎その人だ。ただ、彼の手には一つのスーツケースが握られている。
「どうやら土産があるようですねぇ。狩崎博士」
それから狩崎がスーツケースの蓋を開けるとそこにはキメラドライバーによく似たベルトが存在していた。形状としてはキメラドライバーの三つの発光部の上から金色の三角形のカバーが合体しているような型だ。三角形の左側にはスタンプのスキャン箇所が存在しており、雰囲気から見てもまるで別のドライバーのようである。
「ほう。そのベルト……キメラドライバーに似ていますが、そんなパーツは無い。初めて見るベルトですねぇ」
「君達を葬るためのベルトだ。情報の流出を防ぐべくここまで温存してきたが、どうやら出し惜しみはしていられそうに無い」
《ジュウガドライバー!》
狩崎がベルトを腰に当てて装着するとその手に金色のスタンプを持つ。そこにはレックス、メガロドン、イーグル、マンモス、プテラ、ライオン、ジャッカル、コング、カマキリ、ブラキオの計十種の生物のレリーフが入っていた。
「これは悪魔の力に頼らないベルトでね。人類の人類による人類のための最強のライダーシステムだ」
「それは面白い。なら早速その性能を見せてもらおう」
「ああ」
狩崎がスタンプのスイッチを押すと曇った起動音が鳴る。それからベルトに装填した瞬間。突如として電撃が狩崎へと流れ込むと狩崎は苦しそうな顔つきを浮かべた。
「うぐううっ!?」
それから狩崎は何とかスタンプを倒して変身を試みるも、ベルトにある安全装置が作動してスタンプが強制的に外れてしまう。
「ッ……はぁっ……はぁっ……」
「どうやら失敗のようですねぇ」
オルテカが笑みを浮かべると狩崎へと歩み寄る。狩崎はスタンプを奪われるわけにはいかないとすぐに拾って手にするが、オルテカはその間に狩崎の目の前に来ていた。
「あなたの大好きな父親はさぞかし失望しているでしょうねぇ。結局あなたは天才の頭は活かせても父親の想いまでは継ぐ事ができない愚かな息子ですよ」
そう言って嘲笑うオルテカ。そんなオルテカは変身解除すると真の姿に戻る。そして、狩崎の耳元に顔を持っていくと彼へと話しかけた。
「真澄博士はこんな息子に全てを託して亡くなられるとは……。それでもこのままではあのお方は無駄死にです。私は一切構いませんが……。自分の限界ぐらいは知っておくべきですよ。狩崎博士……」
そう言って真は狩崎を煽る。狩崎は歯軋りする中、真は僅かに不気味な笑みを浮かべた。
それからオルテカは狩崎へと至近距離で腹パンを命中させると狩崎は気絶して倒れ伏した。
「ジョージ・狩崎確保。では、私はこれで……」
真は強化された身体能力でさっさと狩崎を抱えるとダメージで動けない大二、ヒロミを横目に狩崎と共にその場から消え去ってしまうのであった。
「そんな……狩崎……さん」
「クソッ……ちくしょおおっ!」
その場には二人の悔しい声が響き渡る。同時刻、この様子を監視カメラで見ていた高田は笑みを浮かべる。自身の選択が間違っていないと考えたからだ。
「ふふっ。やはりオルテカは良い仕事をしてくれる。……狩崎、お前に会うのが楽しみだ」
高田が不気味に笑う中、映像を切ってしまった。だが、高田の思いとは裏腹に映像の向こう側では彼の想像もしない事が起きてしまう事になる。
また次回もお楽しみに。