仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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八話目
幸せ旅行 不穏な足音


カマキリデッドマンを倒し、事件を解決してからまた時が経つ。今現在、五十嵐家一行は温泉旅館へと旅行に出かけていた。大怪我を負っていた幸実が退院し、その記念に行くことになったのだ。

 

ちなみにバイスは一輝が家族水入らずの時間を邪魔するなと言われて大人しくしている。そうしているうちに一行は旅館に到着してロビーで受け付けをすることになった。

 

「ようこそ、水上温泉へ」

 

「お世話になります」

 

「よろしくお願いします!」

 

「素敵な旅館ね!」

 

家族での温泉旅行という事で興奮する幸実に元太、大二、さくらが声をかける。

 

「久々の家族旅行なので、奮発してしまいました!」

 

「病み上がりの体をゆっくり休めてね、ママ」

 

「たっぷり幸せに浸ってよ」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて!楽しんじゃうわね!」

 

それから一輝達がはしゃぐ中、バイスが何かを見つけると旅館の女将を怪しそうに見つめる。

 

「あれ?あの女、どこかで……」

 

「バイス、今日は出てくるなって言っただろ」

 

「俺っちよかれと思って言ったのに!」

 

一輝に言われて仕方なく引っ込むバイス。そんな中、一人の男性が台車を引きながら近づいてきた。

 

「荷物をお持ちしますね」

 

「玉置君!?どうして……」

 

その男は変装していたフリオであり、彼は玉置という名で以前さくらの空手道場に体験入門していたのである。よって二人は知り合いとなっていたのだ。

 

「短期のバイトでね。こっちに来たんだよ」

 

「あ、ありがとう」

 

これを見た元太は思い切り勘違いするとさくらを問い詰める。

 

「何?まさか、彼氏?」

 

「違う。空手道場の後輩!」

 

さくらは元太の発言に苛立つと元太の頭を叩く。それから一輝達も荷物を預けてチェックインしに行く。するとそこで立ってるスタッフの中の一人はオルテカが扮装していた。そして、大二は既にカゲロウに乗っ取られている。今のこの状況は一輝達にとってかなり悪い物に変わっているのだが、それに一輝達が気付くことは無い。

 

それから一輝達はチェックインを済ませて部屋に案内されてから早速温泉に入ることになった。

 

「ここの温泉は熟成温泉と言って肌に優しいらしいよ」

 

「マジか。早速俺が……どんな感じかな……」

 

元太が温泉に浸かるとその奥の方に見覚えのある三人が浸かっていた。

 

「とてもデリシャスなお湯ですよ」

 

そこにいたのは狩崎、ヒロミ、光の三人だ。三人も丁度タイミング良くフェニックスから休暇を貰ったのか、ここに来ていた。

 

「三人共、どうしてここに……」

 

「戦士の休息って奴だよ」

 

それから三人もお湯に浸かることになり、合計六人で向かい合って風呂に入る事になる。

 

「家族旅行ですか?」

 

「そうなんですよ。偶には家族水入らずって事で」

 

「そうですか……」

 

「大二、少しは楽しんでるか?」

 

「当たり前だろ。光」

 

すると狩崎がゆっくりと元太へと近づいていくと話しかけた。

 

「お父上、今夜一献いかがでしょうか?」

 

「え?俺ですか?」

 

「一度、ゆっくりお話ししてみたいと思ったんです。こんな立派なご子息二人を育て上げるなんてグレイトですよ」

 

狩崎がそこまで話した所で一輝が何かを思いつくと狩崎の元へと行って話しかける。

 

「狩崎さん、そういえばあの黒いライダーの正体。わかりましたか?」

 

「……誰なんだろうねぇ」

 

「必ず俺が暴いてやる」

 

「俺も、絶対にそいつを見つけますよ」

 

ヒロミと光はそう言いつつチラリと大二ことカゲロウの方を見た。しかし、あまりに一瞬だったので一輝は気づいていない。

 

「まぁまぁ、今は仕事の話は抜きにしてゆっくりしましょう」

 

その頃、旅館のスタッフの部屋ではアギレラ、フリオ、オルテカが揃っていた。

 

「フェニックスの連中も来るなんて聞いてない」

 

「アイツら、エビルの正体を探っているんですかね」

 

「カゲロウの奴はここで決着を付けるってねぇ」

 

「アギレラ様。顔がニヤけてますよ」

 

「ふふっ、だってそうじゃない。これで五十嵐家は終わるんだから」

 

アギレラ達が話しで盛り上がる中、五十嵐家の泊まる部屋では風呂上がりの家族一同が集結。話をしていた。

 

「ねぇねぇ、利根川が見えるよ」

 

「良いお部屋」

 

「スィートルームだからね」

 

「パパさんだーい好き!」

 

「ママさんの浴衣眩しい〜!」

 

このように五十嵐家の両親は三兄弟の前でも関わらず思いっきり二人で楽しんでいる。そのためさくらは若干引いていた。

 

「子供の前でイチャついてるし……」

 

「まぁ、偶には良いんじゃない?」

 

「あ!あー、そうだ。ママさん、ロビーにお土産でも見に行こうか」

 

「今から?」

 

「うん」

 

そうやって無理矢理退出する元太と幸実。そして、残された一輝、大二(カゲロウ)、さくらの三人は翌日のサプライズに向けての会議を始める。

 

「サプライズとか苦手なんだよね」

 

「家族の幸せのためだよ」

 

同時刻、狩崎、ヒロミ、光のフェニックス組の三人は部屋の中で話をしていた。ただし、浴衣姿の狩崎とは対象的にヒロミと光はいつものフェニックスの軍服を着ている。

 

「絶対に大二がエビルです」

 

「連行しますか?」

 

「いや、まだその必要はない。……というか、その服は何?ここは旅館だ。浴衣を着るんだ」

 

狩崎がそう言う中、光はすぐに着替えようとするがヒロミはまだ着替えない。

 

「悠長な事は言わないでください。そんな事をしていたらエビルが何をするか……」

 

「それよりも五十嵐元太だ。何故彼は無意味な動画配信を続けているのか……」

 

狩崎がそう言う中、何事もなく夜になると家族で夕飯を食べる事になる。その際に出てきた料理の豪華さに一同は舌鼓を打った。

 

「こんなに豪華なの手が出せないよぉ!」

 

「じゃあ食べないでおく?代わりに食べちゃうけど」

 

「いや、食べまーす!」

 

家族でそんな事を話しているとアギレラが扮した女将がマスカットソーダの入ったグラスを持ってくる。それを一輝達の前に置いていく中、バイスとカゲロウは一輝の前に置いたマスカットソーダに違和感を感じた。

 

「おい一輝!なんか怪しいだろ!この飲み物だって!毒とか入ってたらどうするんだよ!」

 

しかし、一輝はまるでバイスの言葉に耳を貸そうとしない。それどころかガン無視である。

 

「もう!」

 

「それでは、ママさんの退院祝いを祝して……乾杯!」

 

「「「「乾杯!」」」」

 

五人で乾杯をする中、一輝がジュースを飲もうと口にグラスを持っていく。その瞬間、横にいたカゲロウが一輝のグラスを自分のグラスで弾き飛ばし、一輝の持っていたグラスは落下して砕けた。勿論こんな事をすれば他の四人は驚くわけで。

 

「大丈夫!?」

 

「怪我は無い?」

 

「ちょっと大二!」

 

「ごめん。ちょっと目眩して……顔洗ってくる」

 

そう言って席を立つ大二ことカゲロウ。それを見たバイスはホッとしたような声を上げる。

 

「ナイス大二。お前が止めてくれて良かったよ……」

 

勿論女将に化けたアギレラは邪魔をされた事に舌打ちするとその場から去っていく。旅館の従業員しか入れない場所ではフリオとオルテカが揃っており、アギレラがそこに合流して愚痴を言い放った。

 

「アギレラ様……飲み物に毒を入れちゃったんですか?」

 

「……そうよ」

 

それを聞いたフリオは高笑いする。そんな中、オルテカは冷静に言葉を返した。

 

「カゲロウとの約束をお忘れに?」

 

実はカゲロウからは五十嵐一輝を最も残酷な方法で殺すために余計な手を出すなと言われていたのだ。

 

「……知ってるでしょ?私は命令されるのが嫌いだって」

 

アギレラがそう言っていると突然アギレラはカゲロウが変身した仮面ライダーエビルに首を掴まれる。

 

「うぐっ!?」

 

「手出しすんなって言ったはずだが……聞いてなかったのか?」

 

流石のエビルも今回の事で完全に怒ってしまったようで、苛立ちを募らせていた。

 

「幸せの絶頂から叩き落とさないと……意味が無いんだよ」

 

エビルはアギレラを離すとアギレラはむせてからすぐにその場から走り去る。それを見たフリオとオルテカは困惑しつつも後を追い、その場にはエビルのみが残った。

 

「明日、五十嵐家を崩壊させてやる!」

 

その直後、後ろから不意打ち気味にデモンズが拳を繰り出す。実はあの後密かにヒロミがカゲロウの後を追っていたのだ。

 

「五十嵐大二だな。お前、何が目的だ」

 

そこから狭い通路での格闘戦が始まり、両者共に激しく殴り合う。しかし、本来ブレードをメインで使うエビルと元々が徒手空拳の使い手のデモンズでは元々のスペック差もあってデモンズ優勢となるとデモンズがエビルを拘束した。

 

「大人しくしろ」

 

だがエビルもタダではやられない。バットのスタンプをベルトから外すとそれを自身へと押印した。

 

《バット!》

 

すると超音波がデモンズへと飛んでいき、デモンズは頭を抑えるとその場に膝をつく。少ししてそれが収まると前を見るがもうそこにはエビルはいなかった。そして、アギレラ達は先程いた一室で愚痴の続きをこぼす。

 

「何よアイツ、あそこまで怒る必要は無いでしょ!」

 

「いえ、アギレラ様も恨んでいた相手を横取りされて殺されれば怒るかと」

 

「私が悪いって言うの?」

 

「アギレラ様、スマイルです……痛てぇっ!」

 

フリオがアギレラの機嫌を取ろうとしたのだが、結局ビンタされる羽目に遭っていた。

 

「はぁ、どうしてこうなるのかしら」

 

「……ひとまずはカゲロウのお手並みを拝見しましょう。我々としては五十嵐一輝を排除できれば上々かと」

 

「……そうね。ただ、失敗したらアイツをたっぷり責めてやるわ」

 

アギレラもアギレラで恨みを募らせており、そのイライラはなかなかのものである。

 

夜も遅くなり、ヒロミ達の部屋ではヒロミが悔しさを露わにしていた。

 

「くそっ、エビルの姿を確認。五十嵐大二で間違い無かった……だが」

 

「取り逃がしてしまったんですか」

 

「ああ」

 

するとヒロミは一瞬だけ、本当に僅かだが目の前が霞んで見える感覚に陥るとその直後、ヒロミの足元が一瞬おぼつかなくなる。

 

「ヒロミさん?」

 

「いや、何でもない……気のせいだ」

 

ヒロミはこの時の異変を先程の超音波が原因だと予想するとそれも仕方のない事だと考えた。だがこの盛大な思い違いが今後、ヒロミの運命を大きく左右する事になるとは今の彼には知る由も無いことである。

 

「二人共、ひとまず今日は体を休めたまえ。私の予想通りならあしたが本当の勝負どきになるからね」

 

そう狩崎に言われて二人は就寝準備を進める事になるのであった。




また次回もお楽しみに。
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