仮面ライダーとなったオルテカがホモギフテクスからの命令を受けてリバイ達へと歩み寄る。リバイ達はいつでも戦闘ができるように構えを取った。次の瞬間、オルテカが右肩の触手を伸ばすとホモギフテクスへと攻撃をする。
「なっ!?」
その行為を見たリバイ達は勿論、攻撃をされたホモギフテクスも驚きの声を上げていた。
「おやおや。手が滑ってしまいました」
「オルテカ貴様、どういうつもりだ!」
「なぁに、誰がいつあなたの部下になったと言いましたかね?」
それは先程のホモギフテクスがオルテカへの命令口調に関して咎める物であった。
「お前は私へと協力しているんだろう!命令して何が悪い」
「はぁ……これだから凡人は。この私があなたのような小物を相手にすると思っていたのでしょうか?だとしたら滑稽極まりない」
オルテカからそう言われてホモギフテクスは苛立ちを覚える。そして、彼はオルテカへと怒りをぶつけた。
「お前、私はギフの瞳を取り込んだ!つまり、私はお前の主人のような物だぞ!」
「はぁ……何を勘違いしてるのやら。そもそも私は成り行きでギフに忠誠を誓っていただけ。それにあなたは私に遠く及ばない凡人。従う義理なんて物は無い」
オルテカの嘲笑うような言葉にホモギフテクスは絶句する。するとオルテカが通ってきた道の奥からまた一人歩いてきた。
「ヘェイヘェイ。高田、君はギフの瞳を取り込んで思い上がり過ぎたようだねぇ」
「狩崎ィ……」
「狩さん!?」
「オルテカの言う通りだよ。君は私やオルテカ、ダディに比べたら凡人のレベルだ。人から奪った力を自分の力として錯覚。その力を過信した。だからこそオルテカの芝居にも気が付かなかったんだよ」
「芝居だとぉ!?」
オルテカがホモギフテクスこと高田の味方をしていたのは最初から彼を騙すための芝居だったのだ。
「そもそも、不自然に思いませんでしたか?何故ブルーバードの連中がここをピンポイントで攻撃しに来たのか」
「ッ!?まさか、お前!」
「ええ。昨日あなたと捕まった狩崎の姿をした悪魔を見に行った際に既に全ての仕込みを終えていました」
前日、オルテカこと真は狩崎の姿をした悪魔が捕まっている様子を見た後。高田と共に拘束場所から出る際にダイオウイカバイスタンプの力を密かに発動。それによって出した液体を壁伝いに移動させると門番役のメタルロイド二体を支配下に置いた。そのままメタルロイドを操るとブルーバード本部へとこのアジトの場所を通達。
加えてメタルロイド内で増殖させた液体を他のメタルロイドへと伝播させて全てのメタルロイドの能力を阻害。更にブルーバードの面々が突入する際に内側からロックを開けさせた。
「この場にブルーバードの連中がいるのは全て……私の思い通りというわけです」
「クソが……何故だ、何故狩崎に恨みを持つお前がこんな……」
「恨み?何を言っているんでしょうか。私はそんな気持ちなどハナから持ち合わせていない。それと、あなたにはもう欠片の感謝すらしていない」
「何だと!?」
「あなたがやった事は何ですか?五十嵐一輝をこちらに送るように細工しただけ。その分の恩は既に昨日の戦闘で返している。私はまだ五十嵐一輝に受けた大きな借りを返していない。……まぁ、そもそも恩を返すなんて私の性に合わないですし。実際の所は私の目的のためにこうして味方をしているだけですが」
オルテカはそうやって悪びれもせずに言う。彼にとっての目的がわからないが、それを狩崎が捕捉する。
「ま、オルテカの目的としてはこっちの世界にいる私を含めた仮面ライダーの調査らしいけどね。だからデータを取るために高田と組んだが、我々が負けて壊滅するのは困るから手を貸しているみたいだね」
それを聞いてホモギフテクスはやはり自分は目的のために利用されていたのだと思い知る。
「貴様ァ、だからってよりにもよって狩崎の息子というクズの一族に手を貸すのか!?それだけじゃない。五十嵐一家はギフやリリスの遺伝子を継ぐ化け物家族。何故その肩を持つ!」
「はぁ……さっきから理由を説明してるのにこの男は理解できないとは。私はとんだ愚か者に手を貸していたようです」
「何だと!?お前は狩崎真澄がやってきた事をわかってないのか!?あのクズ男は人間を化け物に変える人体実験を行ってきた悪魔の科学者……」
「シャラップ!」
その瞬間、狩崎が大声を上げるとホモギフテクスの言葉を完全に遮った。ホモギフテクスはいきなり声を上げた狩崎に対して驚くとその方へと視線が向く。
「高田。お前は何もわかっていない。あの男がやった事は間違い無く悪い事だ。囚われていた五十嵐元太にギフの遺伝子を入れて軍事兵器にしようとした。悪魔の科学者と言われるのも無理はない……だが、あの男は……私のダディはその行いの醜さを悔い改めた。そして最後は自分のやってきた事に自分できちんと決着を付けたんだ!」
狩崎はわかっていた。己の父親である真澄の助力が無ければギフを倒すことはできなかったと。彼は自分でやってしまった過ちの後始末を自分でしたのだ。そして、狩崎はそんな真澄と再会して、悪魔の科学者であった彼も一人の父親であったという事を感じ取れたのだ。
「お前はそんな私のダディを侮辱した。それだけでは無い。私にとってかけがえの無い成長を与えてくれた五十嵐一家を化け物家族呼ばわりするとは」
「何も間違った事じゃないだろう?五十嵐家は化け物の集まりだ。ギフの遺伝子をその身に宿している時点でお前達は人間じゃないんだよ!」
ホモギフテクスの言葉にリバイが言い返そうとするが、それを狩崎が制すると彼が代わりに答えを返す。
「高田。……五十嵐一家は決して化け物家族なんかじゃない。私が完成させたライダーシステムを身に纏い、平和を脅かす敵と戦う。それは紛れもない仮面ライダーそのものだ。だがお前は違う。人を外面だけ見て化け物と呼び、人の中を見ようとしないお前こそが悪魔だ!」
「ほう。人の皮を被った悪魔の息子がほざくなよ」
「……高田、お前はさっきからダディを貶すばかりだな。昨日オルテカへと話していた過去を彼から聞いたが、お前にはダディの優しさがわかってないようだな」
「何?悪魔と言われたあの男の優しさだと?はっ……そんな物がどこにある?言ってみろよ」
ホモギフテクスが狩崎を小馬鹿にしたように聞く。狩崎はそんなホモギフテクスを見据えながら答えた。
「あなたはダディに助手から解任された時、恨みを募らせるのみだった」
「この私という天才を捨てたんだ!当たり前だろう!」
「いいや!違う……。ダディはアンタを巻き込まないようにしたんだ。失敗のリスクがある程度あったとわかったダディは不器用だったが、お前に責任が行かないように遠ざけようとしたんだ」
だが、その言葉を聞いた瞬間、ホモギフテクスは気に入らないように苛立つ。そんな言葉信じられないと。仮に狩崎の言葉が正しいとしても
もっと言い方があっただろう。現にプライドの高い高田はその言葉を屈辱として受け取ってしまった。
「もう良い。どのみちお前らに私を倒す事はできない。どんなに攻撃した所でこの体は不滅。必ず再生できるのだ!」
ホモギフテクスはそう言って胸を叩く。やはり彼は自身の再生力に絶対の自信があるようだ。
「それに、狩崎。お前は昨日変身に失敗した。そんな奴に負けるわけが無いんだよ」
そう言って狩崎を侮るホモギフテクス。実際、変身できない生身の人間相手なら絶対に勝てるという気持ちが全面に出ているのだろう。
「だったら私は……私の大切な家族を侮辱し、私の大切な友を侮辱したアンタを許さない。目の前にあるそれらを守るために……この力を使う!だから見ていてくれ。私の……変身を!」
《ジュウガドライバー!》
狩崎はジュウガドライバーを腰に装着するとその手に昨日は起動失敗したバイスタンプ。ジュウガバイスタンプを持つとそれのスイッチを押してからベルトに装着。
《ジュウガ!》
「ふん。お前なんぞに二度目のチャンスは無い!」
ホモギフテクスが狩崎を変身前に殺すために手を翳すとエネルギー弾を放つ。しかし、その攻撃はバイスタンプから十種類の光が出てくると生物の姿として具現化。リバイスの初期十種のバイスタンプのモチーフとなった生物の形をしたエネルギーとして放出。それが狩崎を攻撃しようとしたエネルギー弾を一瞬で粉砕する。
《レックス!メガロドン!イーグル!マンモス!プテラ!ライオン!ジャッカル!コング!カマキリ!ブラキオ!》
そうやって十種類の生物の名前が読み上げられる中、狩崎は両腕を十の形で交差させるように構える。
「仮面ライダージュウガ……変身!」
《スクランブル!》
そのまま狩崎がスタンプを倒してから仮面ライダー一号の変身ポーズを取ると仮面ライダークウガの変身音に酷似した音声が流れると自身の姿が黒く変化。漆黒の竜巻を纏う。それと同時に周囲にいた生物が光の粒子として変わると狩崎へと取り込まれていった。
《十種の遺伝子、強き志!爆ぜろ、吠えろ、超越せよ!仮面ライダージュウガ!Go Over……!》
そして、光の粒子によって狩崎の体に金のラインが刻まれると変身を完了。複眼が発光した。
その姿は漆黒の素体に金と銀のラインが走る装甲を纏う。右肩には獣の爪又は牙の、左肩には羽を模したシンボルが施されていた。そのデザインにはこれまでのリバイス達仮面ライダーよりも全体的に機械的な要素が強く出ている。右目はジュウガバイスタンプのような形をした鋭利な金色の複眼。左目は三角形の形をした複眼と左右非対称の目を持つ。ちなみに左目の方には十個の金の点がある。
「あれは……狩崎さんが変身したライダー」
「狩崎、こんな物をいつの間に……」
「貴様、何なんだそれは!」
「言ったはずだ……仮面ライダージュウガ。それがこの私の名だ!」
そう言う狩崎改め、仮面ライダージュウガ。その姿からは変身音にもあったが、凄まじき戦士こと仮面ライダークウガ・アルティメットフォームを彷彿とさせる。また、黒及び金色というヒーローにあるまじきカラーリングがより周囲にダークヒーローのような印象を与えた。
「狩崎さん……良し、俺達も」
「いや、必要無い。彼とは……私一人で決着を付ける!」
ジュウガは加勢しようとしたリバイ達にそれは不要だと言うと目の前にいるホモギフテクスを倒すために歩みを進める事になる。
また次回もお楽しみに。