家族旅行と未確認生命体
とある日の夜の街。そこには数日前に突如として現れた謎の空間の裂け目が存在していた。ここ数日経過を観察している間は何も無かったものの、周囲は警戒態勢が敷かれてブルーバードの本部ことスカイベースがそれを近くで捉えていた。
そんな中、空に二つの流れ星が流れた。その流れ星は……二つの小さな球体の乗り物だった。それは人が誰も存在しない荒野の上に着陸するとそこから二つの影が出てくる。
「……ようやく着いたな。凄まじいエネルギーがある星。地球」
「ああ。だが、その発生源は近くには無いようだ。……エネルギー源を壊さないように人のいない場所を狙ったが……少し遠過ぎたようだ」
それは異形の姿であり、片方は黒や金色、オレンジの体色で右眼が金色の装飾で隠れていた。左肩や左胸は刺々しい装甲を纏い、両腕を後ろで組んでいる。腰には短めのローブや前垂れを付けており、左右非対称なカラーリングであった。もう片方は銀色や黒、青の体でその装甲はまるで機械のようなメタリックな印象を与える。頭部はまるで惑星の周りにあるリングのような物が付いており、それが左眼を隠している。背中には棒が装置され、彼の武器として使われるのだろう。
二人の名前だが、金色の方はイザンギ。銀色の方はバリデロと言った。そして、イザンギは右掌を見るとそこから何かのレーダーのような物が映像として出現する。
「さてと。バリデロ。わかっているな?」
「我々の星の復活のため……。この強大なエネルギーを何としてでも確保する」
二人は自分達の乗ってきた船をデータ化し、収納。早速この星にやってきた目的を果たすために進み始める。それから数日の時が過ぎた。
「あー!また家族で温泉に来れる日が来るなんて……幸せだ!」
「そうだね。父ちゃん!」
「いつも旅行じゃトラブル続きだからリベンジだね」
ここは富士見亭と呼ばれるホテル。この日、五十嵐一家はこの地に旅行へとやってきていた。今現在、一輝、大二、元太の男三人集が屋上にある露天風呂に浸かった所だ。
「少し前まで色々あったけど、ここ最近ようやく落ち着いたな……。やっぱり平和が一番だ!」
高田の事件を解決して約半年。この間特に大問題となるような事件は無く、あっても大二達が定常的に発生するバイスタンプ犯罪を取り締まる程度。なので久しぶりの平和な時間を満喫していた。
三人が風呂から上がると自分達の滞在する部屋へと戻る。そこには既にお風呂から上がっていたのか、幸実とさくらが揃っていた。
「さくら、母ちゃん。上がったよ!」
「おーそーい、一輝兄達が風呂に入っている間に準備終わっちゃったし。もう始まるばっかだからね?」
「ごめんごめん」
「じゃ、全員揃ったし。早速始めましょっか」
今回の旅行の目的は元太と幸実の結婚記念日のお祝いだ。約一年前に幸実の退院祝いの際での温泉旅行ではデッドマンズの介入があったせいでメチャクチャになったが、今回こそは平和な世界で心置きなく祝える事になる。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
一輝達五人はバイチューブで幸せな家族の旅行をライブ動画としてアップしたり、美味しい旅館の料理を食べて幸せな旅行を満喫。今度は一輝、大二とさくら、ラブコフでチームを組んで卓球をしていた。
「それっ!」
「ほい!」
「ラブ!?」
ただ、やっぱりラブコフは身長や体格の関係でハンデを背負っているような物であり上手く打ち返せていなかったが。
「じゃあ今度は私から行くね」
「さくら、来い!」
今度はさくらから打ち始めるとその弾は高く跳ねて一輝が対応できない場所に行ってしまう。
「あっ!?」
だが、次の瞬間。大二はいきなり豹変。彼の中の悪魔であるカゲロウと交代するとカゲロウが悪魔としての高い身体能力で追いついて打ち返す。
「うらっ!」
「痛てっ!?」
その弾はよりにもよってラブコフの額に直撃。ラブコフは悲鳴を上げる事に。
「ううっ……」
「おいおい。ここでも俺様が一番か?」
大二とカゲロウは比較的自由に入れ替われるのでいきなり大二がカゲロウになったり、カゲロウが大二になったりとややこしい。
「バイス……お前と一緒に作った平和の中で俺は楽しくやれてるよ」
一輝はそんな風に今はいない自分の相棒を思いながら呟く。一輝は自分の悪魔であるバイスがいなくなってから彼を忘れた事は片時も無い。それだけ彼が大事な存在だという事だろう。その後、卓球を終えた三人はホテルのカフェスペースで向かい合って座っていた。
「ラブラブ〜。美味しいコブ〜」
「ラブちゃんの口に合って良かった!」
「んな事言っても元々はさくらの弱い部分が具現化した悪魔なんだからよ、二人の味覚はそんなに変わらないんじゃねーのか?」
「いつまで出てるんだよカゲロウ」
カゲロウが先程からずっと主導権を取っていたために大二が彼と交代。また前へと出てくるとさくらが小難しそうな顔つきをした。
「あーあ、折角なら光さんも来れば良かったのに」
少しだけ膨れ顔をするさくら。彼女とお付き合いをしている光はこの日、どうしてもブルーバードの方で仕事があって休みが取れず。なのでここにはいない。
「……兄ちゃん、いつかバイスと来れると良いね」
「ああ。……アイツと約束したからな。またいつか……絶対に会うって」
同時刻。ブルーバード本部ではヒロミが狩崎や光と共に先日から存在する裂け目の方の対策を進めている。
「ヘェイ。あの裂け目。ここ暫く様子を見ていたけど、何だか嫌な予感がするねぇ」
「はい……それに、この前の夜空に流れた流れ星。アレも特殊なエネルギー反応があったとして調査隊員を向かわせています」
するとそこに隊員から二つの報告が入った。片方は空にある裂け目が少しずつ拡張し始めているという事。もう一つは流れ星の落ちたと思われる場所から何かの未確認生命体が出てきた反応があったという事だ。
「オーマイガー。裂け目が広がっている。これは不味いねぇ」
「出てきた未確認生命体はどこに向かっている」
ヒロミからの問いに隊員が答えるとその方向にその場にいた三人が目を見開く。
「まさか、コイツらの狙いは……」
「すぐに僕がオーバーデモンズで……」
「いや、お前はここにいろ。お前にはここで万が一があった場合、裂け目の対処をして欲しい。狩崎」
「ああ」
それからすぐにヒロミは準備を終えると五十嵐一家のいる温泉の方面へと出発する事になるのであった。
翌日。一輝達五人は海岸の方で五人揃っての家族の記念写真を撮る事になった。
「素敵な景色〜!」
「ラブラブ!素敵!」
「良いロケーションだな!」
その日は天気も快晴で景色が良く見えた。するとラブコフは興奮したのか一人先へと走り出す。
「あ!ちょっとラブちゃん!」
「ひとまず撮影するぞ!」
元太の言葉に早速五人は絶景をバックにして写真を撮るためにカメラをセットする。
「ラブちゃん真ん中ね」
「アタイ真ん中〜」
「ママさんは俺の隣な!」
「そうね!」
「じゃ、セットするよ」
それから四人とラブコフはセットされたカメラの方に向かって笑顔を浮かべる。最後にカメラのタイマーを始動させた大二が走ってきて位置に着く。
「行くぞ、せーのっ!」
「「「「「「湧いて来た……」」」」」」
一輝の掛け声と共に一同がポーズを決めようとする。その瞬間、突如として背後に何かが着弾すると爆発が起きた。
「「「「「「なっ!?」」」」」」
一同が驚いて背後を向くと砂煙の中からイザンギ、バリデロの二人が姿を現した。
「何だ!?」
「デッドマン……じゃないよね?」
「……ようやく見つけたぞ。強大なるエネルギーを持つ者!」
「まさかどんな自立歩行機械がエネルギーを持っているかと思ったらその正体が人間だったとはな」
バリデロはエネルギーを持つ者が一輝達のような人間だった事に驚きが隠せない様子だった。
「お前ら、誰だ!?」
「私の名はイザンギ。そして隣にいるのは私の右腕、バリデロだ」
「大人しくそのエネルギーを持つ者を渡せ。そうすれば命までは取らない」
バリデロからの勧告に一輝達は困惑するが、それでもいきなり現れたどんな奴かもわからないような者に渡すつもりなど無い。
「簡単には見逃してくれそうに無いな……」
「でも、俺の家族に手を出す奴は許さない!」
「家族?……ふん。俺達で言う所の生みの親というわけか……。そんな物に特別な感情は抱かないな」
「何だと!?」
イザンギはそう言って一輝の言葉を切り捨てる。するとバリデロは目を光らせると五人の中に眠る潜在エネルギーを探り始めた。その瞬間、幸実から他の四人と比べて異常な数値が検出される。
「ッ……やはりあの時感じたエネルギーはお前から出た物か。イザンギ、あの女だ」
次の瞬間、イザンギは五人の目にも止まらないような超高速で動くと幸実の首へと手刀をぶつける。
「がっ!?」
「さてと。これを使うか」
そして、イザンギが手にした何かの小さなスタンプを幸実に押し当てるとその瞬間、彼女の中からエネルギーがイザンギの手にしたスタンプの中に入って行った。
「ママさん!?このっ!」
元太は幸実が気絶させられたのを見て殴りかかろうとするが、イザンギが軽めの衝撃波を放つ。そのまま元太は吹き飛ばされると地面を転がってしまう。
「父ちゃん!!」
そこに三人とラブコフが駆け寄る中、バリデロは背中に保持していた棒を手にするとその先端に炎を纏わせる。
「さて、目的の物は確保した。バリデロ。こんな奴らはさっさと始末しろ」
バリデロはイザンギからの指示を受けて攻撃を放とうとする。するとどこからともなくエネルギーの弾丸が飛ぶとそれがバリデロへと命中。
「うぐっ!?」
そのタイミングでバイクでブルーバード本部から夜通しバイクで飛ばしてきたヒロミが到着。
「一輝、大二、さくら。ドライバーだ!」
「「「ヒロミさん!」」」
「ヒロミ!」
スーツケースを開けるとそこには三人のドライバーとバイスタンプが入っている。ただ、ヒロミのデモンズドライバーは無かった。
「あれ?ヒロミさんの分は……」
「済まないな。俺の分は光のバイスタンプを再度調整するために今本部にある」
「わかりました。ヒロミさんは父ちゃんを」
「ああ」
それから三人はイザンギ、バリデロの二人の前に立つと自らの腰にベルトを装着。
「アンタ達……絶対に許さないから」
《キングコブラ!》
「母ちゃんの悪魔。リリスを返してもらうぞ」
《パーフェクトウィング!》
「湧いてきたぜ!」
《バリッドレックス!》
「「「変身!」」」
《バリバリィアップ!》
《仮面ライダーエビリティライブ!》
《仮面ライダー!インビンシブル!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!蛇!ジャンヌ!》
《My name is!仮面ライダー!リバ!バ!バ!バイ!リバイ!》
三人はバリッドレックス、エビリティライブ、インビンシブルジャンヌへと変身。ちなみにコロナレックスバイスタンプは前回使用した際に再調整が必要と見なされたものの、後回しにされていたので未だに完成していなかった。そんなわけでリバイはバリッドレックスである。
三人はそのまま二人へと向かっていく。イザンギは自分から手を下すまでも無いとバリデロに対処を任せて一人高みの見物をしていた。
「バリデロ、こんな奴らさっさと片付けろ」
バリデロは手にした炎を纏わせた棒術で三人と互角に渡り合う。ライブもジャンヌも、そしてリバイも今までギフと戦ってきた経験がある。だが、それにも関わらずバリデロは互角にやり合った。
「はあっ!」
「だあっ!」
ライブとジャンヌから繰り出される同時のパンチにバリデロはそれを受け止めるとその間にリバイがスタンプを倒して技を使う。
《バリッドレックス!フィニフィニフィニッシュ!》
その瞬間、ライブとジャンヌはタイミングを合わせてバリデロの腕を片腕ずつ捕まえる。
「ッ!?」
「はあっ!」
そのまま氷の力が込められたライダーキックが叩き込まれる。しかし、その力を持ってしても押しきれなかった。
「……この程度か?」
その瞬間、バリデロが自身に炎のエネルギーを纏わせるとそのまま衝撃波として周囲を駆け抜けさせる。
「「「がっ!?」」」
三人はその威力に倒れるが未だに戦う意志を残しているのか、立ち上がった。
「ほう。少しはやるな。だが……」
その瞬間、バリデロは先程のイザンギ同様に超加速するとリバイのガラ空きの腹に棒の先端を当てる。
「……え?」
「終わりだ」
バリデロが漆黒のエネルギーを棒の先端からリバイへと流し込むとリバイの体に電撃が流れ込む。
「ぐあああっ!?」
「失せろ」
そのままリバイの胸へと上段蹴りを叩き込む。リバイはその一撃を喰らうとそのエネルギーに吹き飛ばされて変身解除。その際に岩壁にぶつかったせいか、重傷を負ってしまった。
「母……ちゃん」
そのまま一輝の視界は暗転。それと同時にライブ、ジャンヌは一輝の元に駆け寄り、それを見たイザンギはバリデロと共にその場を去っていくのであった。
今回からリバイス×ギーツの冬映画編に入りましたが、実はギーツパートに入ってからですがある方とコラボした話を書く事になりました。それはロンギヌスさんの作品である〜仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム〜です。その作品とどんなコラボとなるのか。楽しみにしてもらえたらと思います。作品のURLを貼りますので興味を持ちましたら是非見てください。それではまた次回もお楽しみに。
仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲームのURLです。
https://syosetu.org/novel/320438/