少しだけ時間を遡り、大二へと襲いかかったドンドラゴクウ。いきなり攻撃してきた彼に対して大二は後ろへと下がった。
「いきなり何するんだよ!」
「だから言ってるでしょう?あなたの体には他の人と違って悪い何かがいるんです。獣人みたいにね!」
「獣人?俺にとっては何のことかわからないんだよ!」
《バット!》
《Confirmed!》
「こうなったら抵抗するしか無い!」
《Eeny, meeny, miny, moe!Eeny, meeny, miny, moe!》
「変身!」
《バーサスアップ!》
大二の周囲に出現した白い蝙蝠が大二の真上に集まっていくとそれが巨大なスタンプ化。大二へと振り下ろされる。
《Precious!Trust us!Justis!バット!仮面ライダーライブ!》
大二が仮面ライダーライブ・バットゲノムとなると至近距離からライブガンを連射。その攻撃を何とかドンドラゴクウは左手に武装した虎的盾鑼と呼ばれる盾で防ぐ。
「はあっ!」
更に跳び上がってのキックが決まり、ドンドラゴクウは押されていく。彼はライブの想像以上の抵抗に驚いていた。
「強い……やっぱりあなた、脳人か獣人ですか?」
「だから知らないって!」
「信じられませんよ。だったら何で僕達の知らない力を持ってるんですか!」
龍虎之戟を振り抜くドンドラゴクウに対してライブがまた後ろに飛び退きつつ射撃を連続。流石に押されまくっている現状を見てドンドラゴクウは不利に感じたのかギアを取り出すとそれを虎的盾鑼へと装填した。
「このままでは不利ですね。だったらアバターチェンジです!」
《ドーラ!ドラドラドラドラドラドラドラ……ドラァッ!パトレンエックス!熱烈歓迎!警察戦隊!謝々!》
その瞬間、ドンドラゴクウがギアを通過するとその姿が変化。金色で顔にXの文字が目立つパトレンエックスへと変身。ただし、オリジナルとは違って虎的盾鑼はそのままである。
「コイツ、姿が変わった……」
するとその手に専用武器であるXロッドソードを十手モードにして構えていた。
「国際警察の権限で実力を行使します!」
「そんな警察タチ悪っ!」
ライブがまた銃撃を仕掛けるが、パトレンエックスの機動力の高さで回避されてしまう。
「くっ!」
「おい大二。アッサリと対応されてんぞ?」
「お前は引っ込んでろ!」
「……?」
ライブとカゲロウのやり取りを見たパトレンエックスは疑問を浮かべる。しかし、敵に情けをかける必要は無いと接近してXロッドソードを振るう。
「こうなったらこっちも!」
《オクトパス!》
《バーサスアップ!》
《Overdrive!Power dive!仮面ライダーライブ!オクトパス!》
するとライブが使用するスタンプを変えるとオクトパスゲノムへとチェンジした。
「はあっ!」
ライブが体へと力を入れるとエネルギーの触手が展開。機動力で後ろを取ろうとしたパトレンエックスを攻め立てる。
「うわっ!?そんな手数の攻め、卑怯ですよ!」
「そんな事ここで言ってる時点で余裕だろお前!」
そんな風に言い合いながら攻撃を回避するパトレンエックス。そんな彼は走りながらも手にしたXロッドソードのレバーを四回操作する。
《一手!二手!三手!十手!一騎当千!》
それに合わせるようにライブもライブガンのスイッチを押すと必殺のエネルギーを高めていく。
《必殺承認!》
パトレンエックスの前方周囲に九つの金の十の文字のようなエネルギーが出てくるとライブの方も赤いエネルギーが銃身に高まる。
「エクセレントエックス!」
《オクトパス!ジャスティスフィニッシュ!》
ライブがトリガーを引くと同時にパトレンエックスの前に巨大な十の文字が出ると九つの十の文字と一緒に飛んでいく。ライブからも放たれたエネルギー弾はビームのように射出され、そこには後から後から吸盤型のエネルギー増幅剤が追加されていくと二つのエネルギーが中央で爆発。二人揃って後ろに飛ばされて元の姿へと戻ってしまう。
「くっ……」
「強いですね」
「大二、お前。流石にやられ過ぎだろ。代われ」
カゲロウはそう言うと主導権を奪い取り、ライブガンをエビルブレードへと変化。すかさずトリガーを引いた。
《Eeny, meeny, miny, moe…Eeny, meeny, miny, moe…》
「変身」
《バーサスアップ!》
《Madness!Hopeless!Darkness!バット!仮面ライダーエビル!》
するとライブの影から出てきた黒い蝙蝠がライブの頭上でスタンプを生成。それが降りてくると仮面ライダーエビルへと変わる。
「……!!なるほど、先は僕が感じた嫌な気配。それはあなただったんですね」
「らしいな。というか、お前が嫌な気配を感じるって言った時点で俺が目的だとは思ったがな」
するとエビルを見ていたドンドラゴクウの纏う雰囲気が変わる。それにエビルは違和感を感じて問いかけた。
「おい。そう言うお前こそ、中身が入れ替わったな?」
「……わかるのか?それなら話が早い」
ドンドラゴクウは龍虎之戟の先端の刃の部分を畳むと虎的盾鑼から一つのギアを取り出す。そして今度は虎的盾鑼では無く龍虎之戟へとギアをセットした。
《タイ!タイ!タイガー!タイ!タイ!タイガー!》
「アバターチェンジ……フンッ!」
《エクス虎!ホアチョーッ!》
するとドンドラゴクウ同様にギアが彼を包むとその姿がまた変化。ただ、今度は上半身の赤い部分が銀を基調とした物へと変わると胸のマークが虎へ。頭部も虎のような形状となっていた。彼の名はドントラボルト。ドンドラゴクウが龍の戦士なら彼は虎の戦士という事だろう。
「ほう。まさに龍虎の力を持つ戦士……というわけか」
「ふん。お前の事、戦いの中で知らせてもらうぞ」
そのままドントラボルトが野生のような荒々しい攻め方をしてきた。エビルはそれを上手く捌きながら笑みを浮かべる。
「へぇ。お前、アイツの心の闇って所か。だが、お前のそれは俺よりも荒れ狂った感じだが」
「……どうやらお前もアイツの影のような立ち位置みたいだな」
お互いが僅かにぶつかったのみで相手の本質を理解したのか距離を取るとエビルはエビルブレードで構えを取る。
「うらあっ!」
「があっ!」
二人が飛び掛かると剣と斧をぶつける。しかし、パワーの差は大きい。何しろエビルはライブよりも機動力重視の変身に対してドントラボルトはドンドラゴクウよりも荒々しさを強調する変身なので必然的にパワーの差ができてしまうのだ。
「お前、確かに強い。だが、俺の方が上だ」
そう言ってドントラボルトがギアを手にする。それを見たエビルも笑みを浮かべてスタンプを取り出す。
「それはどうかな?」
《ライオン!バーサスアップ!》
《ドーラ!ドラドラドラドラドラドラドラ……ドラァッ!黒獅子・リオ!熱烈歓迎!獣拳戦隊!謝々!》
《Feel a thrill!Spiral!仮面ライダーエビル!ライオン!》
二人はそれぞれその姿を変化させるとドントラボルトは漆黒の獅子を模した鎧を身に纏う。その姿は頭部には獅子の鬣。胸には獅子の頭部。所々に金の装飾もある事からその強さが肌で伝わるだろう。
一方のエビルも頭部が漆黒の獅子のようなマスクを装着。胸には赤いライオンのマークが浮かんでいた。ただし、こちらの変化はその程度に収まっている。
「お前に合わせて俺も拳で語ってやるよ」
エビルは珍しくエビルブレードをバックルに合体。しまうとバイスタンプのモチーフであるクウガのように構えを取った。
「「はあっ!」」
それから二人が接近すると格闘戦を繰り広げていく。それは二匹の獅子がぶつかり合っているようだった。
「やるじゃないか。お前に一つ聞きたい事がある。お前は本当に人間か?」
「はっ……俺は大二の悪魔。カゲロウ。だからお前の言う脳人や獣人みたいな奴では無い」
「……悪魔……と聞くと良い印象が無いが、お前の宿主は随分とお前を信じてるみたいだな」
「確かにそうかもな。だが、俺と大二は俺が生まれた頃とは違って長い間同じ時を過ごした仲でね。それなりに信じられるようになったんだよ……それはお前も同じだろう?」
エビルからの返しに黒獅子リオは頷く。そして、二人は特に何かを言う事もなく必殺技の構えを取る。
《必殺承認!》
「臨獣・ライオン拳。臨技・剛勇吼波!」
《ライオン!ダークネスフィニッシュ!》
エビルが構えを取ると走り出し、それに合わせた黒獅子リオも自身の臨気で練り上げた獣。リンライオンのエネルギーを放出。エビルはそのタイミングで跳び上がると黒い炎を纏ったライオンの頭部が右脚に出現。二つの獅子がぶつかると拮抗するが、エビルがリンライオンを打ち破ると同時にライオンの頭部が消失。ただの威力の高いライダーキックが黒獅子リオへとぶつけられて爆発。二人は爆炎から出てくるとお互いにオーバーダメージなのか変身解除した。
「互角か。お前の技を破壊した時点で勝ったと思ったんだけどな」
「カゲロウ、もう戻れ。ダメージがデカいだろ」
「ああ」
大二はカゲロウと交代すると同時に目の前にいるジロウも闇のジロウから光のジロウへと戻る。
「しぶといですね。こうなったら……」
「待て。もう戦う必要は無い。俺の気は済んだ。少なくとも奴は敵では無い」
そう闇ジロウに言われて光ジロウは戦う必要が無いと思うと大二へと寄っていくと頭を下げた。
「この度はいきなり襲いかかってしまい申し訳ありませんでした!」
「え……?」
それからジロウは大二へと事情を説明。そもそもの事の発端はこの日の朝に闇ジロウが感じた違和感であった。何しろ今まで自分の世界に無かったものが幾つも増えたのだ。なので彼はこの変化に何かしら原因があると予想。そして、大二から感じられたカゲロウの気配が闇ジロウにとって敵として映ってしまったために闇ジロウが光ジロウへと説明。光ジロウが大二へと攻撃する事に繋がったのだ。
「わかれば良いんですよ……」
するとガンデフォンに狩崎からの連絡が入ると狩崎は笑いを堪えたような声で話しかけていた。
『大二……済まないが……今一緒にいるその男と一緒に……スカイベースに来て……くれ』
「狩崎さん。何で笑ってるんですか」
『……ニュースを見たまえ』
すると大二がニュースを見てみるとそこにはブルーバードという謎の組織を語る牛島光。指名手配犯を逃したとされて捕まったという事が載っていた。
「……はぁ!?」
同時刻。学校にいるさくらはタイミング悪くシャープペンを落とすと先端が折れてしまう。しかもそれは折れてしまった影響で芯が足りなくなって中身を変える必要が出てきた。
「……最悪」
さくらが小声で言うとそれを差し替えてまた授業へと戻った。そして、時間が経って放課後。彼女が下校するために学校から出てくると一人帰り道を歩く。ちなみに彼女の友達も一緒である。
「ねーえ、さくら。なんか知らない間にこんなニュース増えてたんだけど」
「何よ……そ……れ?」
そこには光が捕まってしまったとデカデカとあり、彼女は動揺を隠せていなかった。
「なんか牛島光?ってわけのわからない人がブルーバードって勝手に語って色々と不審な事言ってるんだって」
「え?でも知らないの?ブルーバードって言ったらつい最近ギフの魔の手から世界を救った組織だよ?」
「何それ〜」
さくらはこの光景に異様さを覚える。つい昨日まで友達は全員がブルーバードの話をしても違和感なく話が通っていた。なのに今日は何故かブルーバードを知っている人と知らない人に別れている。何なら先程の初恋ヒーロー/失恋ナイト問題にも言える事だが、同じ世界を生きているはずなのに知ってる常識が幾らか違うのだ。
「どういう事だろ……まさか記憶操作のデッドマン?でもそんな事できる生物なんているのかな……」
さくらが首を傾げる中、さくらの友達の一人があることを言い出す事になる。
「そうだ。この後“どんぶら”っていう喫茶店に行かない?」
「……“どんぶら”……ああ。なんかいきなりできたっていうお店?」
「いきなりってわけじゃないけど……とにかく行きたい?」
「まぁ、見てみない事にはわからないし。様子見だけど良いよ」
「決まりだね!」
それから彼女達は話題の喫茶店であるどんぶらへと向かう事になる。そこでは一人の少女がマスターこと介人の前に現れていた。
「じゃあ今日もバイトをよろしくね。はるかちゃん」
「はーい……」
そう言ってはるかと呼ばれた高校生の少女。鬼頭はるかは盗作疑惑がかけられているという世間の目を気にして明らかに奇妙でダサいヒゲメガネを付けてバイトを開始する事になる。
また次回もお楽しみに。