その日の夜の事、ブルーバードのスカイベースの作戦室……だと人数の関係で手狭になるため、それなりに部屋が大きいブルーバードの会議室に戦士達が集まっていた。その面々は一輝、大二、さくら、光、元太、狩崎のリバイスチーム。タロウ、真一、はるか、つよし、ジロウ、介人のドンブラチーム。そして脳人三人衆ことソノイ、ソノニ、ソノザである。
「こうして見ると豪華なメンバーですね」
「……あれ?そう言えばヒロミさんは?」
「ヒロミなら我々連合軍の最後の一人を呼びに行ってる所さ」
総司令官であるヒロミが不在であるためにその場を仕切るのは今回の作戦の立案者である狩崎であった。
「では早速だけど、今回の事件の黒幕が判明したよ」
それから狩崎がタッチスクリーンを出すとボタンをタップ。するととある写真が映された。
「この人って!?」
「誰だ?コイツは」
そこに映されていた人物。その顔に一輝は見覚えがあった。それはかつてカメレオンデッドマンによって消されたと思われていたブルーバード……いや、フェニックス時代の元司令官候補。天魔レオであった。
「どういう事ですか?天魔さんって確か……」
「うん。カメレオンデッドマンの変身者が彼に化けた際に始末した……みたいな事を言ってたけど、あの後デッドマンズベースを破壊してその後にカメレオンデッドマンと共に爆発し、行方不明になったヒロミを捜索するついでに調べたんだ。そうしたら体の機能が半分死んだ植物状態という形だったけど現地にある病院で細々と生きていた」
「それから彼は暫く植物状態であったんだけど、ある事件がキッカケで目が覚めてしまったんだよね」
「……ある事件?」
「それはこの前のギーツ達との事件だよ」
その言葉を聞いて事情を知らないドンブラのメンバーは勿論一輝達も混乱する。何故ギーツの事件の際に彼が生きているという扱いになるのか。それがわからなかった。
「あの時願いによって世界が創り変わっただろう?デザグラが存在しなかった世界の時は何も無かったんだけど、その後に浮世英寿が叶えた世界に移行した際。小林姉妹の運命を捻じ曲げた影響が彼自身にも起こってしまってね」
元の世界は小林雅が事故で死んで小林紬がデザグラで退場した世界という事だった。しかし二度の世界の創り変えの後に最終的に小林姉妹は生きている扱いとなり、紬はデザグラにエントリーしなかった世界へと変更。
世界の変化、それが世界の因果を捻じ曲げた。その結果、天魔はカメレオンデッドマンによって重傷を負ったものの奇跡的に一命を取り留めた世界として変わったのだ。
「つまり、簡単に言えば世界が変わったせいでバタフライエフェクトが発生したわけだね。だから天魔は英寿が世界を今の世界に変えたその日。治療が完了して病院から解き放たれた扱いになったんだ」
世界の幸せの総量は決まっている。ギーツの世界のどこかの蛙が言った言葉だが、世界線が変われば大多数はそのままだとしても幸せを手にする人間は確実に変わる。今回の場合、その中にオリジナルの天魔が含まれて奇跡的な生存が確定してしまったのだ。
「うーわっ。しぶとすぎない?あの口悪司令官」
「一応僕達の前に現れた司令官とは別人なんですけどね」
さくらが悪態を吐く中、光が彼女を落ち着かせる。光も一応天魔に苦渋を飲まされた身だが、こちらはあまりに馬鹿にされ過ぎて耐性ができたらしい。
「それで、その事件が俺達の世界がコイツらの世界と繋がる事にどう繋がるんだ」
そう。ここまではあくまでリバイスの世界の話。ドンブラの世界はまだ関係無いのだ。そのために狩崎は話を続ける事になる。
「では説明しよう。奇跡的に復活した天魔だが、彼はやはりフェニックス……今のブルーバードを恨んでしまったみたいだね」
重傷を負ってフェニックスに復帰しようとしたまでは良かった。しかし自分が動けない間に世界が大きく変わった挙句、組織も一新されてしまった。つまり、彼の元いた席であるフェニックスの司令官候補という場所はとっくに無くなってしまっていたのだ。それだけでは無い。デッドマンズ、ウィークエンドが壊滅したのに加えて自分のライバル的存在であるヒロミがフェニックス改めブルーバードの総司令官として就任していた。
「プライドの高い彼は即刻ブルーバードを脱退するとどうにか抜け駆けしたヒロミやそれを後押しした組織へと復讐する術を考えていた。しかし、バイスタンプを使おうにもデッドマンズは壊滅。入手するルートは限られている上に彼はそれと繋がるパイプが無い。ここからは先は私の推測だが……」
ブルーバードへの復讐の手段が存在せず、困り果てた天魔。しかし、突如として彼の前に一人の男が現れた。それはドンブラの世界で生きていた天魔レオである。ドンブラの天魔もどこかしらのタイミングでドンブラザーズの活動に接触。ドンブラザーズに恨みを抱いた。
二人の天魔が相当な憎悪を募らせた結果、二人の気持ちが共鳴。バタフライエフェクトの効果によって生き延びた扱いとなったイレギュラーな存在。リバイスの天魔の影響で二人は引き合った。
「それによって二つの世界は融合。リバイス世界の天魔は悪魔鬼に。ドンブラ世界の天魔はオーガデッドマンとしてそれぞれ君臨した。空想生物のバイスタンプである鬼をモチーフとしたバイスタンプが生まれたのは二つの世界が融合した結果だろう」
これによって二つの世界が複雑に混ざったような奇妙な世界が完成し、その影響で脳人の世界は消滅間際という瀬戸際に立たされた事になる。ついでにドンブラ世界での当たり前であるドンブラザーズの中の一人が変身したら即座に全員が転送される機能も阻害されてしまったのだ。
「なるほど……わからん!」
「まぁ、基本的にこういうのは何でもありだからね……」
はるかは説明を受けても意味不明という顔をし、真一も苦笑いする。ひとまず世界の状況がわかったという事で本題だ。
「それで、前置きが終わったから本題に入るよ。それで、どうやって彼等を倒すかの説明だ」
今現在、この世界はかなり不安定な状況に立たされている。何しろドンブラザーズの世界の存続のために必要な脳人の世界が消滅寸前なのだ。今現在はある者達の力によってその崩壊が押し留められている状態である。
「その人物は?」
狩崎が指を鳴らすと突如としてどこからともなく紫のオーラと共に一本の刀が飛んでくる。それはドンモモタロウの武器であるザングラソードに酷似しており、赤い刀身。またクリアスカイブルーの刃を持つ忍者刀で、外側には鮫の歯を思わせるような鋭い小さな刃が無数に生えている。また、鍔には歯車パーツが取り付けられていた。
《What's up!?DON MURASAME!斬リ捨テ Sorry!》
その刀から禍々しいエネルギーが放出されるとそこにドンモモタロウを紫色に変えたような戦士が現れる。だが、ドンモモタロウと比べるとサメの要素を加えた忍者のような紫のカラーリングが特徴的である。そのため丁髷は無く、桃の装飾がサメの紋章へと変わっている。加えてゴーグルはサメの歯茎の様に赤く染まり、ドンモモタロウには無い胸当て状の装甲を持つ。
「剣が人に……」
「ユーリみたいな人だな」
「僕の名前はドンムラサメ。マザーの意思によりここにやってきた」
『ここからは私が説明します。ムラサメ』
「はい。マザー」
そう言うとムラサメは黙り、代わりにムラサメがマザーと呼んだ存在が説明をする。
『私が脳人の世界、脳人レイヤーにいる脳人の中でも力を持つ方々に働きかけたのです。ムラサメの刀を移動手段としてね』
「という事は脳人監視隊も動いたのか」
「脳人……監視隊?」
「こっちの話だ。深く踏み込むな」
ソノイの呟きに元太が反応するも、ソノザが即座に横槍を入れて首を突っ込ませないようにする。
「要するに私達が変な行動をしないように監視するための奴等よ」
『何とかその上に存在する二人も動かせましたし、恐らく少しは制御できるようになったはず。そこであなた方には脳人レイヤー内で二人との決着を付けてもらいます』
「脳人レイヤーで?こっちの世界じゃダメなのかい?」
その問いかけにマザーは否定する。理由としてはこちらの世界で戦って万が一誰か一人でも人的被害が出ればそれだけでバタフライエフェクトが発生して脳人レイヤーへと影響が及び、そこが消えるリスクがあるからだ。それだけ今の世界は不安定という事だろう。
『決戦場の近くに存在するアノーニは私達の方で退避させます。また、脳人三人衆の方々にはそれに伴って脳人レイヤーの維持に力を使ってもらうので戦闘には不参加となります』
だが、リバイス陣営、ドンブラ陣営の戦力を合わせると最大18人の戦士が揃う。ここまでいれば流石に勝てるだろうという事だ。むしろ相手にする敵の方が可哀想になるかもしれない。
「というわけで決戦はヒロミがこの場にいない最後の一人を確保し、尚且つ二人の天魔が見つかった際になる。また、移動は脳人の重役達の力で無理矢理巨大な移動用の扉を開いてもらってからそこを通って入る」
これにより、話は終わりとなるとその場はお開きとなる。ただし、世界の維持も長くは続かない。そのためいつでも戦闘可能にするべくこの日は世界の維持と準備のために移動する脳人三人衆、そして先に脳人レイヤー内で待ち構えるムラサメを除く全員がスカイベースで泊まる事になった。
同時刻。夜の街の中、ヒロミは目的の男、犬塚翼と接触。彼へと事情を話そうとする。
「やっと見つけたぞ。犬塚翼」
「……何だよ。その服装、お前もブルーバードの奴か?」
「ああ」
「なら用は……」
「……安心しろ」
するとヒロミはその場にデモンズドライバー、そしてバイスタンプを置くと両手を上に上げて攻撃の意思が無いことを示した。
「俺はお前を捕まえには来てない。話をしに来た」
それを見て翼は仕方ないと話を聞く事に。そして、スカイベースで話した事を大方話すと翼は考え込んだ。
「……要するにこの世界をおかしくした元凶と戦うから力を貸せと」
「簡単に言えばそうなるな」
それを聞いて翼は悩む。ヒロミのいう事は嘘では無いと何となく彼にはわかった。しかし、ヒロミの事を完全には信用できないのも事実。何しろ秘密を守って一年間逃げれば婚約者を返すと言われたのに未だに彼女は帰ってこない。そのため、約束に多少懐疑的な所があったのだ。
「……わかった。それで、いつ脳人の世界に行けば良い?」
「時間はまだ未定だ。だから俺がこのまま一緒にいる。見つかって脳人レイヤー内に移動させたらそのまま俺達も変身して突撃だ」
「……わかった」
翼は僅かに不服そうだが、今は仕方ないと我慢。結局その日の夜はヒロミは極力翼の行動に口出ししない。翼はヒロミの前から勝手に逃げ出さない事を条件に二人でいる事になった。
そして、翌日の朝。事の発端となった二人の天魔は夜明けの太陽を見ながら顔を揃えていた。
「昨日は邪魔をされてしまったが、今度こそ必ず」
「ああ。二人の俺の手でこの世界をメチャクチャに……」
だが、その瞬間。二人が揃った上に開けた場所に姿を曝け出したのでブルーバードの監視の目に見つかってしまう。
『狩崎さん、見つけました!』
ブルーバードの隊員からの報告に狩崎は笑みを浮かべると彼伝いで脳人レイヤーの方に情報が伝達。二人の足元に脳人レイヤーへの入り口が開いた。
「「……え?うわぁああああっ!」」
いきなり脳人レイヤー内に放り出された二人の天魔。彼はその痛みに顔を顰める。
「ここは……電子基盤の上……なのか?」
「いや、恐らくこの場所は!!」
リバイス世界の天魔が困惑する中、ドンブラ世界の天魔はこの場所を知っていた。そして、そんな彼等が逃げようとすると周囲にあった元の世界への扉が消えていく。それと同時にソノイ達の力でその地点が戦闘のための仮想フィールドとして荒野へと変わった。
「しまった……閉じ込められたぞ!!」
「くっ……」
そして、元の世界では夜の眠りから目覚めた戦士達が変身のためのアイテムを構えていた。
「皆さん、行きますよ!」
「お供達、行くぞ」
リバイス陣営のメンバーは大二がカゲロウと二人になって全員がベルトを装着。そしてドンブラ陣営のメンバーの四人がドンブラスター、ジロウは光と闇に分裂して龍虎之戟。そして介人は赤い鳥を模したカラーリングで珍しい手回し式の拳銃アイテム。銃口はガトリングになったギアトリンガーを手にする。
またヒロミと翼も狩崎からの連絡を受けてベルトとドンブラスターを使用。全員が変身のためのシークエンスを踏む。
《よぉ~っ!ドン!ドン!ドン!ドンブラコ!》
《レックス!》
《暴太郎~!》
《バット!》
《ドンブラコ!ドンブラコ!》
《バット!》
《ウッキウキ!ウキウッキー!》
《Confirmed!》
《フクはうち!オニもうち!》
《コブラ!》
《ワンだふる!ワンだふる!》
《スパイダー!》
《トリッキー!トリッキー!》
《クワガタ!》
《ドラ!ドラ!ドラゴン!》
《Deal……》
《タイ!タイ!タイガー!》
《ヘラクレス!》
《45バーン!》
《Contract!》
《バンバン!バンバン!》
《ジュウガ!》
「「「「「「「アバターチェンジ!」」」」」」」
「「「「「「変身!」」」」」」
「チェンジ全開!」
「「「「変身!」」」」
《バディアップ!》
《ドンモモタロウ!》
《バーサスアップ!》
《サルブラザー!》
《バーサスアップ!》
《オニシスター!》
《リベラルアップ!》
《イヌブラザー!》
《Decide up!》
《キジブラザー!》
《Delete up!》
《アチョォ——!》
《Spirit up!》
《ホアチョーッ!》
《スクランブル!》
《ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン!》
はるかは黄色い鬼の戦士、オニシスターへ。つよしは脚が長く伸びると背中に翼のようなパーツが付属、ピンクのキジの戦士であるキジブラザーへ。そして介人は白をメインにしたスーツに装飾と思わしき白以外の部分は全て黒か灰色のモノクロカラーである。彼の名はゼンカイザーブラックだ。
17人の戦士が変身を完了すると扉が開き、世界を移動。脳人レイヤーに存在する仮想フィールドにて全員が集合。それを見た二人の天魔は目を見開く。
「これはお前らの仕業か!」
「よくも俺様達をコケに……許さんぞ!!」
《オーガ!》
二人はその姿を異形な姿へと変化させると悪魔鬼、オーガデッドマンへと変身した。そして、二人が行こうとしたその時。いきなりニンジャークソードが二人を何度か切り裂いてからドンブラのメンバーの隣にドンムラサメとして降り立つ。
《What's up!?斬リ捨テ Sorry!》
「おのれ……お前達は何なんだ!!」
「こんなにも数を揃えやがって!」
それを聞いたドンモモタロウはマスクの下で笑みを浮かべると先に行こうとしたリバイを遮って声を上げた。
「そうかそうか。なら俺達の名乗りを見せてやる!」
「え?」
リバイ達が困惑する中、ドンモモタロウ達は滅多に見せない大人数での名乗りを始めた。まずはドンモモタロウへと焦点が当てられる。
「桃から生まれた!ドンモモタロウ!」
《よっ、日本一!》
「浮世におさらば……サルブラザー!」
《よっ、ムッキムキ!》
「漫画のマスター!オニシスター!」
《よっ、オニに金棒!》
「逃げ足ナンバーワン!イヌブラザー!」
《よっ、ワンだふる!》
「鳥は堅実、キジブラザー!」
《よっ、トリッキー!》
「筋骨隆々……ドンドラゴクウ!」
《超一龍!》
「俺が最強……!ドントラボルト!」
《エクス虎!》
「ジョーズに目覚めた、ドンムラサメ!」
《DON MURASAME!》
「秘密のパワーブラック……ゼンカイザーブラック!」
《ゼーンカイザー!》
「暴太郎戦隊!」
「「「「「「「「「ドンブラザーズ!」」」」」」」」」
《よっ!暴太郎戦隊!ドンブラザーズ!》
それが終わると今度はリバイ達の方に焦点が移行する。要するにリバイ達もやれという事だ。それに困惑しつつもリバイ達はやる事に。
「日本一のお節介!仮面ライダーリバイ!」
「ふへへっ。イケてる悪魔!仮面ライダーバイス!」
《仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
「白き光の片翼!仮面ライダーライブ!」
《仮面ライダーライブ!》
「黒き影の片翼!仮面ライダーエビル!」
《仮面ライダーエビル!》
「無敵の空手ガール!仮面ライダージャンヌ!」
《仮面ライダー!蛇!蛇!蛇!ジャンヌ!》
「我が全身全霊を懸けて!仮面ライダーデモンズ!」
《(仮面)rider Demons!》
「気高き誇りの戦士!仮面ライダーオーバーデモンズ!」
《仮面ライダーオーバーデモンズ!》
「一家の大黒柱!仮面ライダーデストリーム!」
《仮面ライダーデストリーム!》
「凄まじき十の牙!仮面ライダージュウガ!」
《仮面ライダージュウガ!》
「九人揃って!」
「「「「「「「「「我ら、リバイスライダーズ!」」」」」」」」」
《仮面ライダーリバイス!》
それと同時に名乗りによる迫力が二人の怪人に衝撃波として襲いかかると吹き飛ばす。
「お、おのれ……」
「ふざけんな!だったらお前達、出て来い!」
そういうと二人は共通してそれなりの数のギフジュニアを呼び出す。ちなみにアノーニは先程説明した通り付近から退避させたので出てこない。
また、それとは別でオーガデッドマンは赤い体をしたベニツ鬼、更に紫の体をしたシソツ鬼を召喚。更に悪魔鬼は自身の体の一部と化しているデッドマンのフェーズ3を次々と召喚していく。
《カメレオン!》
《ハヤブサ!》
《サーベルタイガー!》
《プラナリア!》
《カブト!》
《ウルフ!》
《ダイオウイカ!》
《クイーンビー!》
《アノマロカリス!》
ちなみにギフの力由来のヘルギフテリアンやギフデモス達は出せなかったようなのでフェーズ3の面々の召喚である。
「よーし、一緒に……」
「祭りだ祭りだ!!」
それから敵が遠隔で一斉攻撃を仕掛ける中、総勢18人の戦士は一斉に目の前にいる敵へと向かっていくのであった。
また次回もお楽しみに。