エビルを止めるために変身したリバイとバイスは近くを川が流れる渓流へと出てきた。
「うらっ!」
終始容赦なく攻撃するエビルに対してカゲロウの事を大二だと思っているリバイはオーインバスターによる攻撃を躊躇してしまう。
「くっ、やっぱり大二相手だとやりづらい……」
「何やってるんだよ一輝、家族だからって悪い奴をそのままにするのかよ!」
バイスの言っている事は正しい。自分の身内だからと言って悪に走ったた者をそのままにするのはヒーローとして本末転倒だからだ。
「くそっ!」
リバイは攻撃しようと走るがいつものキレが全く出ずにエビルから何度も斬りつけられてしまう。
「ぐああっ!」
「おいおい、この程度か?そんなんじゃ簡単に倒せちゃうぞ!」
エビルは更にリバイを掴むと何度も腹を膝蹴りする。リバイがオーインバスターによる銃撃で何とか拘束から抜け出すと距離を置いた。
「もう、だから言ったのに。怪しいって!」
「……目を逸らしていた。薄々俺はわかっていたのに……家族の時間を邪魔したく無かったから……」
リバイが自責の念に晒されるそんな中、狩崎と光が茂みから出てくるとバイスへと声をかけた。
「ヘイ、これを使ってみて!」
そう言って狩崎から投げられたのは黄色とライトブルーのカラーリングをして持ち手の部分に5と描かれたハンマーである。実はこのハンマー、昨日バイスが狩崎の部屋に行った際に彼が持っていた物だ。
「ワォ!これの名前は……」
「そうだね、オストデルハンマー……かな」
「オストデル……?って事は……」
《レッツイタダキ!》
バイスがハンマーの柄を叩くと音声が鳴り響く。それから岩を叩いてエネルギーを高めていく。
《ネイチャー!イタダキ!》
「何これ……なんかよくわかんないけど……それっ!」
《エレメント印!オストデルクラッシュ!》
すると空中に岩が大量に召喚されてそれがエビルへと降り注いでいく。エビルはその質量に怯む事になり、押し戻されていく。
「チッ、小細工を使うとはなぁ」
「ふへへ、なかなか面白い武器じゃねーか!ほらよ!」
バイスはそれからエビルと距離を詰めると手にしたオストデルハンマーで殴りつける。
「次はハンマーをリバイに渡して合体だ!」
「はい、一輝しっかりするんだよ。ふへへ、これをこうして合わせまして……」
バイスはハンマーを変形。リバイの持つオーインバスターに合体させるとオストデルハンマーが刃の部分を形成する新たな武器、その名も……
《リバイスラッシャー!》
「おお!これは強そうですなぁ」
《必殺承認!》
バイスがそんな事を言っているとエビルが必殺技を発動。斬撃波を放ってくる。
《バット!ダークネスフィニッシュ!》
「ッ!危ねぇ!」
リバイは無理矢理バイスをどかすとその攻撃をリバイスラッシャーで受け止めた。そして飛ばされたバイスは川に落下するとそのまま溺れ始める。バイスはカナヅチなので単体では泳ぐことができないのだ。
「おわっぷ、一輝助けて!俺っち泳げないの!」
「ちょっ、今そんな事言ってる場合じゃ……」
そうこうしている間にエビルが走ってくるとエビルブレードを振り翳す。
「ぐっ!」
それを何とか受け止めてすかさず押し返すと振り向きざまに一発を決めた。
「やるじゃねーか」
「……大二、どうしてなんだ!俺達に何の恨みがあって……」
「あ?何を言ってるんだよお兄様。俺は大二じゃない」
そう言うエビルにリバイは疑問を浮かべる。大二では無いのであれば一体彼は何者なのかという事だ。
「だったらお前は誰なんだ!」
「俺は大二の中に潜んでいた悪魔……カゲロウだ」
「何……だと!?」
リバイはエビルからの答えに衝撃を受けるとその事実を飲み込めずにいた。そして、エビルはそんなリバイへと突撃するとエビルブレードを振り下ろす。
「ぐあっ!」
「あはは、お兄様。流石に衝撃を受け過ぎだぜ?」
更にエビルが追撃をかけようとした。その瞬間、光がガンデフォンを撃つとエビルへと何度も射撃を仕掛けていき、走っていく。
「しっかりしてください!一輝さん!大二を、大二を救えるのはあなただけなんですよ!」
そう言って叫ぶ光を鬱陶しいと考えたエビルは光の方向を向くとエビルブレードを持って歩いていく。
「大二!目を覚ませ!お前はそんな奴に負けるような奴じゃ無い!」
光が必死に大二へと呼びかけるが、エビルは無言で近づいていく。まるでそんな声掛けなど無意味だと言わんばかりに。そうして、ブレードを光へと振り下ろそうとしたその瞬間……突如としてエビルの手が止まった。
「何……」
「大二!聞こえてるのか!?」
「チッ……大二の野郎、まだ抵抗できたのか。これは後でしっかり封じ込めないとな」
しかし、その言葉も虚しくエビルは気を取り直すと光の胸ぐらを掴んでから投げ飛ばす。
「うわっ!」
河原を転がる光を見たリバイはエビルへと走っていき、リバイスラッシャーを振るった。
「大二を……弟を返せ!」
《ジャッカル!》
《スタンプバイ!》
《コング!》
それからリバイはジャッカルのスタンプをリバイスラッシャーに押印。それと同時にエビルもコングのスタンプをベルトのバックルに押印した。
《Here We Go!Let's Go!Here We Go!Let's Go!》
《リバイバイスラッシュ!》
するとジャッカルの力が込められたリバイからの黄色い斬撃とコングの力が込められたエビルからのオレンジの斬撃がそれぞれ相手に命中。その衝撃でコングのバイスタンプはリバイの元に、ジャッカルのバイスタンプがエビルの元に落ちた。
「ハプニング発生だ」
「……あまり俺を怒らせるなよ?」
《ジャッカル!》
《コング!》
エビルはすかさずジャッカルバイスタンプを拾うとスイッチを押してエビルブレードに装填しゲノムチェンジ。同時にリバイもコングバイスタンプをベルトに押印して装填。こちらもゲノムチェンジを発動する。
《Come on! コン・コン・コング!》
《バディアップ!》
《バーサスアップ!》
《Feel a thrill!Spiral!仮面ライダーエビル!ジャッカル!》
エビルは黒く禍々しいオーラに包まれるとエビルブレードのトリガーを引き、その姿を変化。頭部がリバイのジャッカルゲノムの頭部を紫に色変えしたような物になる。ただし、目の部分はリバイとは違って絵の具が飛び散ったような物になってはいるが。他に変わった部分と言えば胸のバットの紋章がジャッカルの紋章に変わっているぐらいである。
《アーム!ストロング!戦いのゴング!鳴らせ!コング!ドラミングキター!》
それと同時にリバイも霊体のバイスからオレンジの液体で満たされたスタンプが振り下ろされてその姿を変化。コングゲノムへと変わる。
「予想外の展開……キター!」
狩崎が両手を伸ばして伸びをしながら思いっきり叫ぶ中、二人は並び立つ。
リバイの方はゴリラの顔の上からオレンジの複眼を被せた頭、背中にはゴリラの顔が付いていた。また、両腕には腕を覆うようにグローブが付いておりいかにもパワータイプの形態だと言える。
バイスの方はスラリとしたリバイと比べて全体的にゴツく、まるでイエティのような姿をし、両手足が変化前と比べて巨大化しているのが特徴的だ。また、顔も頭部全体を覆うような大きさとなっている。
「ウッホウ!」
バイスが早速ドラミングをしてからエビルへと向かっていく。しかし、エビルはジャッカルのパワーを使っている影響か、高速で移動。バイスへと斬撃を浴びせて怯ませてからリバイへと連続攻撃を仕掛けた。
「何度も……喰らうかよ!」
リバイはエビルの攻撃を二回喰らうものの、三度目は見事に対応して右腕で防ぎ、弾いてから左腕による強烈なストレートを決めてエビルを下がらせる。
「行くぜ!」
「はあっ!」
そして二人同時に地面を殴ると衝撃波が発生。それが地面を爆破させながらエビルへと向かっていく。
「喰らうか!」
エビルは飛び上がって回避するものの、それこそがリバイとバイスの狙い通りだった。空中でならジャッカルの超スピードは使えない。そこを狙って必殺技を発動。
「「逃すか!」」
《コング!スタンピングフィニッシュ!》
その瞬間二人の両腕のガントレットが分離するとそれがエビルへと飛んでいく所謂ロケットパンチが決まり、エビルは叩き落とされるとバットゲノムに戻された。
「やるねぇ……」
だが、まだエビルはやる気で立ち上がると再度リバイ、バイスとの戦闘を再開する。そんな中、デモンズとコングデッドマンの戦闘は終始デモンズが圧倒していた。
「はあっ!」
コングデッドマンはデモンズへと一撃でも当てようと躍起になっていたが、デモンズことヒロミはこれまで幾度とないデッドマンズとの戦闘で積んだ経験と培った戦術でコングデッドマンに一撃も入れさせない。
「コイツを倒して……五十嵐一輝に加勢する!」
《Add……!》
デモンズはベルトの両サイドの筋肉の部分を押し込むとバッタバイスタンプを取り出す。
《バッタ!》
《Dominate up!》
《バッタ! ゲノミクス!》
それを朱肉部分に押してから液晶へと再度押印。その瞬間、デモンズの両足がバッタの脚を模した形状に変化。その色は黒をベースに白いラインが二本走っている。
デモンズの特徴として、リバイスやエビルのような全身を変化させるゲノムチェンジでは無く、バイスタンプの力を体の一部のみに武器として反映するゲノミクスチェンジが搭載。今回はバッタの力を発動しているのだ。
「たあっ!」
それからデモンズは跳び上がるとコングデッドマンのパンチを最も容易く躱し、バッタのような軽快なジャンプで撹乱。こうなると機動力や飛び道具が無いだけにコングデッドマンではもうどうする事もできない。デモンズがコングデッドマンをバッタの足で連続で蹴り付けてから大ジャンプするとそのままベルトを二度、両側から押し込む。
《More!》
それからもう一度ベルトを両側押し込み、両足にエネルギーを高めると必殺技を発動した。
《バッタ!デモンズレクイエム!》
デモンズは両足によるドロップキックをコングデッドマンに叩き込むとコングデッドマンは爆散して撃破。それと同時にゲノミクスも解いて着地する。それからデモンズは加勢に行こうとするが、体力の消耗が激しいのか素早く動けずその場で休息を取る事にした。
そして、リバイとバイス対エビルも佳境に入り、リバイはリミックスを使う事になる。
「俺の家族に……手を出すな!」
《リミックス!バディアップ!》
「ウホホーイ!行ってみよう!」
《必殺!キング!パンチング!コング!》
するとバイスが四つん這いになりリバイがバイスの尻尾にしがみつくと背中のゴリラの顔がそのまま顔に変化。バイスは逆立ちして両腕が足に、両足が腕となるリバイスコングとなった。
「何だ……」
エビルが困惑する中、リバイスコングはドスンドスンと歩いていき、エビルへと拳を繰り出す。エビルはパワー戦にならないように攻撃は極力回避しつつエビルブレードで応戦。
「これで終わりにする!」
《コング!スタンピングフィニッシュ!》
リバイスコングがエネルギーを高めた拳で決めようとする。だがエビルもこれに対抗してカウンターの一撃を決めたためにお互い吹き飛ばされるとリミックス解除。そのまま川に叩き込まれた。それからエビルは立ち上がるとリバイへと言い放つ。
「また!喧嘩しようぜ……お兄ちゃん」
そう言って去っていくエビル。それをリバイは追おうとするがダメージでどうする事もできなかった。
「待て!大二!!大二……」
リバイは悔しさにその場で拳を打ちつける。それからリバイは変身解除してから家族の元に戻ると日は暮れて夜になっていた。幸せな思い出を作るはずだった旅行はメチャクチャにされ、五十嵐家には重苦しい雰囲気が流れる。
「一輝……大二は……」
「ごめん……」
「一輝、大二を……助けてあげて」
幸実からの言葉に一輝は頷く。しかし悲しさはそう簡単に消え失せず五十嵐一家は悲しさでいっぱいとなり、家族旅行は終わりを迎えるのであった。
バイスタンプラリー
八話目……コングバイスタンプ
また次回もお楽しみに。