デッドマンを撃破して変身を解いた一輝はヒロミと合流すると幸せ湯で話す事になった。
「一輝、もし今後エビルが現れたら協力して倒すぞ」
「……いえ、俺一人で戦います」
「お前、今はそんな事を言ってる場合じゃ……」
「俺の家族がこんな事になってるんです。だから、大二は俺が責任を持って助けます」
そう言ってあくまで助けたいという姿勢を示す一輝。しかしそこに狩崎が来ると悪い知らせを持ってきた。
「……残念だけどエビルを討伐するように命令が出た。これよりフェニックスは正式にエビルを敵と見なす」
「どうしてですか!?大二を救う方法を教えたのはあなたでしょう!」
「……私は組織の人間だからね。上からの命令を無視するわけにはいかない」
そう言う狩崎の元にさくらが出てくると彼に対する不満を口にする事になる。
「あんた、私達家族の気持ちは考えないの?そもそもあの優しい大ちゃんに悪魔がいるなんて……あんた達が唆したんじゃないよね?」
「さくら、止めろ」
「……もし大ちゃんに何かしたら、私が許さないから」
そう言って去っていくさくら。そこに光も入ると一輝へと近づいて耳打ちする。
「……大二は、俺の大切な同僚です。……俺達は立場上大二を倒す事しかできませんが、一輝さんなら救う選択肢があります。なので、大二を助けてください」
光の言葉に一輝が目を見開くとそれから光を見た。そして、光はコクリと頷く。
「……わかった」
その頃、とある廃工場の一室では詐欺グループの三人がカゲロウによって無理矢理連れてこられており、勘弁して欲しいと言った顔でカゲロウを見つめていた。
「俺達にこんな事をして何が目的だよ」
「もう良いでしょ……」
「頼むから離してくれ……な」
「……は?お前らの意見なんて知るかよ。もっと俺と悪い事しようぜ」
カゲロウがニヤリと笑いながらブラキオのプロトバイスタンプをちらつかせる。すると近くの水溜りに大二が映るとカゲロウへと声をかけた。
「カゲロウ……お前は一体何なんだ」
「だから、お前の悪魔だと言ってるだろ?そんな事よりもお前は邪魔だ」
「……もうこんな事はやめてくれ。俺はこんな事望んで無い」
「はぁ?何言ってるんだよ。お前、嘘はよくないなぁ。そもそも俺がここまで成長したのはお前が原因なんだぜ?」
カゲロウは黒いオーラで染まった心の中の空間で大二と向き合うと二人だけで話し始める。
「何……どういう事だ」
「お前が兄を憎む度に俺の力は強くなった。嫉妬や憎しみといった負の感情は俺達悪魔の格好の餌だからな」
「……俺は兄ちゃんを憎んだ事なんて……」
「ある。だから俺が今ここにいるんだよ。さて、話も終わりだ。……消えろ」
そう言ってカゲロウは水溜りを踏みつけて大二を完全に消し飛ばす。それからブラキオのプロトバイスタンプを取り出すと詐欺グループの三人を見据えた。
「さて、次はお前らの悪魔にも働いてもらう」
《ブラキオ!》
その日の夜、風呂に入ったさくらは一人溜息を付いていた。それは、自分では誰かの力になる事ができない弱い自分への苛立ちである。
「……私、何してるんだろ……。一輝兄は仮面ライダーで、世界を守るために戦ってる。そんな一輝兄がカゲロウに乗っ取られた大ちゃんを助けるために頑張ってるのに……私は何にも力になれなくて……」
そう言うさくらの呟きに答えてくれる人はいない。するとどこからともなく何かの声がさくらに届いた気がした。
「ラブ〜」
「……誰?」
しかしさくらが振り向いてもそこには誰もいない。それどころか何もない場所から声が聞こえたような気がしたのだ。
「気のせい……かぁ……」
さくらは再び溜息を吐くとお湯に深く浸かるのであった。
その頃、一輝の方は風呂から上がっており元太や幸実と話をしている。
「一輝、大丈夫?」
「……大二と二度と会えない気がして……怖いんだ」
一輝は心に秘めていた不安を二人の前で吐き出す。そんな一輝へと幸実は前向きに答えを返した。
「大丈夫。あの時も、最後には会えたじゃない」
「……あの時?」
「ああ!かくれんぼで大二がいなくなった時か!」
「一輝、あんたが大二を見つけたのよ」
元太と幸実が懐かしそうに話す中、一輝もそれを思い出したのか頷く。そんな中、元太がある事を口にした。
「あの時は一輝も迷子になったかと思ってパパはパニックになったよ。ほんと、大二がビビリのお陰で助かったけどな」
「……え?そうだったっけ?」
一輝は元太の言葉に首を傾げる。本当にそうだったのか疑問に感じたからだ。
「……一輝、あなたが大二を助けてあげて。あんたが一番大二をよくわかってるんだから」
そういう幸実の顔は前向きで一輝はそんな幸実に元気を貰う。それからその日の夜も更けて、翌日。幸せ湯で店番をしていた一輝の元に光が慌てた様子で入ってきた。
「一輝さん!大変です。まずはこれを!」
光がタブレットを使って映像を見せるとそこには街中で暴れる三体のブラキオデッドマンがいた。しかも、どうやら場所が異なるらしくそれぞれ一定の距離を空けているようなのだ。
「昨日のデッドマン……」
「はい。それに加えてあと二体。個体が違うブラキオデッドマンが暴れています。ヒロミさんが一箇所に向かいましたが一箇所ずつ撃退していてはその間に他の場所の被害が拡大します」
「……多分これは……」
「はい、恐らくはカゲロウが三人の仮面ライダーを分散させるために取った手だと思います」
リバイとバイスが一緒に行動すればあと一箇所は救える。しかし、それでは仮面ライダーが行かなかった場所が仮面ライダー無しで対応しなければならずに市民が危険だ。
「ふへへ、俺っち達があとのニ箇所をそれぞれ担当すれば良いって訳か」
この会話にバイスもガンデフォンを介して参加する。バイスはやる気満々のようでいつものテンションだった。
「でも、それだと単独行動になった一輝さんをカゲロウが狙い撃ちしてきますよ」
「だとしても、俺達がやれるのは三箇所に分散する事だけだ」
「……わかりました。でしたら、バイスの行く方には僕もついて行きます。バイスの戦闘が終了次第、一輝さんの方に加勢しに行くので!」
「だったらこれを渡しておくよ」
そう言って一輝は光へとプテラとライオン、マンモスのバイスタンプを渡す。一輝が全てのスタンプを持っているとバイスが必殺技やバイスタンプの能力を使う事ができないのでこれは妥当な判断だろう。
「よっしゃ!それじゃあ早速出撃だぜ!」
それから一輝は幸せ湯を出るとカマキリのバイスタンプを出した。恐らく一輝のいる場所にエビルからの攻撃が予測される。後からゲノムチェンジをしてしまうとバイスが一輝の場所に移動する都合上、バイスのいる場所の戦線が崩壊してしまう。そのため、最初から対エビル戦用のスタンプでの変身を余儀なくされるのだ。
《カマキリ!》
「はぁ……」
《Come on! カ!カマキリ!》
「変身!」
《バディアップ!》
《いざ無双斬り!俺が横切り!カマキリ!俺たちオンステージ!》
リバイとバイスは初めからエビルに対抗できるカマキリゲノムに変身するとリバイはカマキリックアローを、バイスはリバイスラッシャーを手に現場へと急行する。そんな中、ヒロミが向かっていた現場に到着するとそこにはカゲロウがいた。
「カゲロウ!お前の相手は俺だ!」
「……狙ってるのはお前じゃ無いんだよね。バイバイ」
そう言ってカゲロウはヒロミに背を向けると去っていく。それをヒロミは追いかけようとするが、その間にブラキオデッドマンが立ち塞がる。その個体は前日に戦った首にチェーンソーを備えた個体だ。
「我が命を懸けて……お前を倒す!」
《スパイダー!》
《Deal……》
「変身!」
《Decide up!》
《Deep.(深く) Drop.(落ちる) Danger……(危機)(仮面)rider Demons!》
ヒロミは早速デモンズに変身するとブラキオデッドマンとの交戦を開始。ブラキオデッドマンは首のチェーンソーを振り翳してデモンズを潰そうと突撃する。
「そんなのに当たるか!」
デモンズはチェーンソーからの一撃を全て見切ると見事に回避しつつ戦闘を進めていく。すると突然ブラキオデッドマンの体が点滅すると突如としてエネルギーを高め始める。
「……何をする気だ?」
デモンズが疑問に思う中、ブラキオデッドマンは足を地面に踏みつけると真上に巨大なエネルギーで出来た足が生成された。
「何だと!?」
そしてそれがデモンズへと振り下ろされる事になり、デモンズは大爆発に包まれる。
同時刻、一輝が現場に到着するとそこでは爬虫類のような鱗でオレンジの下半身に上半身の特徴として首の部分がキャノン砲になっているという差異があった。
「一気に……行くぜ!」
リバイが走っていくと手にしたカマキリックアローを放つ。ブラキオデッドマンはそれを受けるが、持ち前の耐久力の高さで受け切ると逆に強力なエネルギー砲を撃った。
「くっ!?」
リバイは弓を発射した直後だけあってその一撃をまともに喰らってしまう。そして、ブラキオデッドマンは追撃を仕掛けるために走っていくが今度は立て直したリバイからの射撃をゼロ距離で撃ち込まれて怯んだ。
「はあっ!」
更にリバイはカマキリックアローに付いているブレードでブラキオデッドマンを斬りつけてダメージを稼ぎ、続けて蹴りで吹き飛ばす。勿論ブラキオデッドマンもただではやられない。吹き飛ばされて距離が空いた瞬間を狙いキャノン砲を撃ってくる。
「何度も喰らうか!」
そう言ってリバイは回転しながら後ろに跳び上がるとスタンプを二回倒した。
《カマキリ!スタンピングフィニッシュ!》
リバイがカマキリックアローを引き絞るとその矢にオレンジのピンクのエネルギーがチャージ。それが発射されると矢が分裂して数十本に増えた矢が全弾ブラキオデッドマンに命中するとあっという間にブラキオデッドマンの体に電流が走り、かなりのダメージを負った事が示された。
「やっぱりバイスがいないとトドメまで持っていくには決定力が足りない……」
だが、バイス抜きでは火力が僅かに届かず倒す事はできなかった。更にリバイの前にカゲロウまでもが現れてしまう。
「ここに来ていたか。お兄様」
「大二を返せ!」
「大二、大二って……いつまでそんな事言ってるんだよお兄様。……ごめんねー。大二はもういないんだよ!あはは」
大二を返して欲しいリバイとそれを嘲笑うカゲロウ。カゲロウが手を振ると先程倒し損ねたブラキオデッドマンがどこかへと逃げていく。カゲロウとしてはあくまで一対一でリバイと戦うつもりだ。
「大二は粉々に消滅しましたよ。お兄様」
《バット!》
「嘘だ!俺は……俺は大二を信じてる!」
カゲロウはそんなリバイを潰すつもりでスタンプを出すとそれを押してベルトに押印する。
《Confirmed!》
それからカゲロウはスタンプをベルトに装填。それからポーズを取る。
《Eeny, meeny, miny, moe…Eeny, meeny, miny, moe…》
「変身」
それからカゲロウがベルトからエビルブレードを引き抜いて変身。エビルへと姿を変えた。
《バーサスアップ!》
《Madness!Hopeless!Darkness!バット!仮面ライダーエビル!》
「はあっ!」
リバイがエビルへとカマキリックアローで斬りつけるとエビルはすんなりと吹き飛んだ。それを見てリバイはエビルを立たせると何度も殴っていった。
「弟を返せ!このっ!」
しかし、突然エビルは突き出された拳を掴むとそのままカウンターの一撃を入れてしまう。
「ぐあっ!」
「良いぞ……痛みを感じる。この体は俺の物だ!」
エビルは自分の体の感触を確かめるためにわざと攻撃を受けていたのだ。それからリバイ対エビルの戦いが幕を開けるのであった。
また次回もお楽しみに。