〜前話より継続 挿入歌 Mirage Mirror〜
大二、ヒロミ、光の三人は目の前に立ちはだかるアリコーンの構成員と対峙。構成員は容赦なく生身相手に銃を連射。しかし、三人もそれに応戦。大二は敵に狙いを定められないように動き回りながらの正確な射撃で数で勝る構成員を次々と撃ち倒していく。
「だあっ!」
「「「があっ!?」」」
この動きは大二がここまでライブガンによる敵との銃撃戦を長く経験したからこそ出来る動きであった。
「こっちだ!」
ヒロミは数人が銃を撃ち終わった直後のリロードの隙を突いて一気に接近すると一人を盾にして銃撃の手を止めさせると至近距離で拳や蹴りをぶつけて構成員を叩きのめす。
「チッ!」
光は舌打ちした構成員からの銃撃が来ると判断して前に飛び込むと回避し、至近距離からの銃撃を命中させる。
「うおりゃああっ!」
更に倒れた構成員の脚を捕まえるとそのまま振り回して近くにいた構成員三人を吹き飛ばし、追撃の銃撃で四人纏めて倒した。そして、アリコーンの構成員は全滅させられると三人の前に二つの影が現れる。それはブルーバードから寝返ったカゲロウと彼のお目付け役としているムラマサであった。
「……どうして僕達がここにいるとわかったの?」
「悪魔の住む匂いがしたんだよ」
ヒロミからの答えにムラマサは苛立つ。自分があそこまで馬鹿にして見下した相手に煽られれば苛立つのも仕方ないだろう。
「……ウザいね、お前」
「めんどくせぇな。さっさとこんな奴らやっちまおうぜ?」
そう言ってカゲロウはムラマサよりも前に出る。ムラマサは二本の刀を抜き放って構えた。ただ、今回は形状の変化は使っていない。恐らく、形状変化を使ってしまうと剣の重量の問題で二本同時に扱えないからだらう。
「カゲロウ、お前……本気で戦うつもりなのか?」
「当たり前だろ?ま、本気で戦うつってもお前らを相手にだけどな!」
その瞬間、カゲロウは振り向くと全力の拳をムラマサの顔面に叩きつける。
「がっ!?」
その痛みを受けたムラマサはカゲロウの突如とした反抗に混乱するが、彼へと苛立ちの声を上げた。
「貴様、これはどういうつもりだ?」
「……中々の名演技だっただろ?」
「お前、まさか最初からそのつもりで……」
カゲロウがアリコーンに寝返ったのは初めから彼らの中枢奥深くに潜入し、その場所へと大二達を手引きするためだったのだ。
「護送車を襲われた時にこっちはかなりの被害を受けたからな?長期戦よりも短期決戦が楽だと思ったんだよ。ま、偽物の悪魔のお前らが本物の悪魔を信じたのが悪い」
カゲロウは大二の元に歩いていくと大二はカゲロウへとガッツポーズをし、カゲロウはそれを一瞥するとムラマサと向き合う。
「……まぁ良いや。どの道結末は一緒だからさ!」
そう言って刀を手に走ってくるムラマサ。ヒロミは銃を撃ちながら接近するも、ムラマサの方も優れた動体視力で銃弾を刀で弾きながら前進してくる。
至近距離となって銃が不利になったために敢えて銃を捨てるとヒロミはムラマサからの鋭い太刀筋を腕を抑える事で防ぎ、相手に思考する暇も与える事なく左手の刀を掴むとそのままムラマサからの二本目の太刀を彼の左腕を進路上に移動させて止める。
「うらあっ!」
ヒロミはムラマサからの猛攻が止まった一瞬の隙に至近距離から蹴りをぶつけてムラマサを下がらせ、そのタイミングで左手の刀を奪い取った。
「ふぅ……」
だが、流石にムラマサのスピードに対応しようとするとヒロミも全力を出さないといけない。僅かに荒くなった息を整えるとムラマサも本気で攻撃を仕掛けた。
「僕を舐めるなよ!」
ムラマサが紫のオーラで刀を剣に変化させるとそれをヒロミへと振り翳す。だが、ヒロミはその瞬間を狙っていた。
「がああっ!」
ムラマサは気が動転して太刀筋が甘くなった。ヒロミはそんなムラマサに対して受け流しを多用した攻撃を仕掛ける。ムラマサは紫のオーラを発動中であるために両腕の筋力は相当なまでに上がっている。
だからまともな受け太刀では力の差で押し切られるためにヒロミは受け流しを主力としたカウンター重視の型でムラマサへと峰打ちながらガラ空きの体へと次々とダメージを蓄積させた。
「はあっ!」
ムラマサはヒロミに良いようにやられて更に太刀が甘くなった所を柄による殴打を鳩尾に受けて痛みを感じる。
「が……ああっ……何故だ……何故だぁあっ!」
ムラマサが太刀を振り上げた瞬間、そこに大二、光からの射撃を受けて体に電流が流れて押し戻される。
「……思い返せば簡単な事だった。最初からヒロミさんの事を信じれば良かったんだ。カゲロウ、お前のこともな」
そう言って大二がヒロミの隣に並び、光もそれに従うと大二はカゲロウへと呼びかけた。
「せめて俺に説明してから行動しろよ」
「……はっ、言わなくても察しろよ?」
カゲロウが余裕そうに大二を煽る中、大二はそんなカゲロウへの苛立ちはもう沸かない。彼がカゲロウを信じているからだ。
「ま、お前の無茶な行動のおかげで真実には辿り着けた」
「……真実?」
「はい。前日まではまだ確証はありませんでしたが、ようやくハッキリしましたよ」
「ムラマサ、お前はヒロミさんの悪魔じゃない。……ヒロミさんの遺伝子から作られたクローンだ」
「……何だと!?」
ヒロミがその答えを聞いて困惑する中、大二の予想が正しいと言わんばかりにムラマサは笑みを浮かべる。そして、大二は研究所から出てきた男達を見据えた。
「そうですよね?市村博士」
大二達の前に現れたのはアリコーンのリーダーの染井、幹部のユキオやマリコを背後に従え、この遺伝子工学研究所を取り仕切る男……市村景考であった。
「市村博士、やはりあなただったんですね?」
「……僕や狩崎さんもアリコーンの幹部の能力が前にあなたがユウスケさんの体に施した電撃を与える改造の際に入手したアークル由来の力だって気づくまで時間がかかりましたよ」
そう、ユキオはドラゴンフォーム、マリコはペガサスフォーム、そしてムラマサはタイタンフォーム。これらは全て前に市村の目の前で人体改造をしたユウスケが持っていた能力であったのだ。
「お前がアリコーンを指揮する黒幕だ。ヒューマンミュータントに関しても彼等は突然変異で生まれた人間でも何でもない。お前が遺伝子操作で生み出したクローンだ」
「お前はかつて高田の起こした事件の際にどさくさに紛れてクローンライダーシステムのデータを盗み、それを悪用したんですよ」
高田が起こした事件が終結し、朱美に許可を取って彼等のアジトに潜入した市村は残されていた機材からクローンライダーシステムのデータをコピーして回収。それを流用し、アリコーンの幹部の四人を完成させたのだ。
「ついでに完成時、既にクローン元の本人が死んでいたユキオとマリコの二人は兎も角、そっちにいる染井は生きていられると厄介と踏んで用済みとばかりに抹殺した」
つまり、この場にいるヒューマンミュータント四人の内、ヒロミを除くクローン元の人間は全員この世を去っている事になる。
「……読みは素晴らしいが、クローンなどという凡庸な言葉で言わないでもらおうか。彼等こそが私の技術の最終到達点……トランザムザだ」
それは市村が生み出した遺伝子修復プログラムの名前だった……いや、むしろ彼等としてはそれがトランザムザの本来の使い方だろうが。
「お前達は邪魔なブルーバードを壊滅に追い込むためにギフの遺伝子修復の技術を研究するついでにヒロミさんから遺伝子を抽出してクローンを作った。……アリコーンの元アジトに囚われていた子供達が実験台とされていたのもそのトランザムザ完成のための物だろ?」
市村はブルーバードがフェニックスであった頃からずっとこの時のための研究をしていた事になる。
「……千春さんの改造に関してもお前の野望のためにやったのか?」
「ああ。それこそ私は十年近くこの研究を続けていてね。……彼女は私の実験の被験者の中で初めてとなる生き残りだったんだよ」
当時、まだまだ市村の研究は不十分でその実験を受けさせられた被験者の死亡率は殆ど100%と言える程の凄惨な失敗率だった。だからこそ、初めて実験を生き延びた少女として彼女に期待の感情を彼は抱く。
「私は彼女なら私の実験のモルモットとして最高の存在になってくれるとそう信じて大切に扱った。彼女をあそこまで改造するのに無数の死者が出たが、関係無い。彼女が成功すればそれは報われる。……だが、彼女は私の期待を裏切って失敗作と成り果てた」
千春の体は結果的に半分近くを改造した所で壊れてしまった。他の怪人態よりも血管が強く浮き彫りになった姿の歪な怪人となっているのがその力の不安定さを示す何よりの証拠だろう。
「私は度重なる失敗で多くのモルモットをダメにした。そこでアプローチを変える事にしたんだよ。……私は実験の最中で一度死んだ者の遺伝子を再度活性化させる実験を繰り返し、他人の肉体を回復させる機能を搭載した再生復活人間を用意する事にした。それがあの少女、留美というわけだ」
「なん……だと!?」
つまり、留美は市村の玩具にされて一度死んでしまった少女であるのだ。ただ、市村の研究のお陰で奇跡的に彼女は新たな生を受けて復活した。人格や精神は死ぬ前と変わらずに戻した上で一度生きていた全ての記憶を抹消させて第二の人生を歩ませる事にしたのだ。
「まさか、千春さんと留美ちゃんが姉妹だと言っていたのは」
「その通り、彼女達二人は私が作った試作品のモルモットの中での数少ない成功例だからだ」
そして、留美という無限再生装置を用意した市村は心置きなくモルモットを瀕死寸前にまで実験に使い潰してから留美による強制回復で何度も使いまわした。
「……お陰で実験の効率はかなり上昇したさ。我ながら再生の力を持つ少女を生み出した私の才能が怖いね」
そして、十分な安全性が担保されるといよいよムラマサ、ユキオ、マリコを生成。最後に染井のクローンを生み出してクローンの染井にオリジナルの染井を抹殺させた。
「それと、あの小野寺ユウスケ君には感謝だね。彼のお陰で私の研究は更に捗った。ついでにここにいる四人に更なる力を上乗せできたからね」
市村はユウスケに電気ショックを与えた際についでとばかりにアークルの詳細なデータをコピーして盗んだ。そして、生体装甲を変化させる技術とモーフィングパワーによる武器の生成をトランザムザの機能の一部として入れたのである。
「……だが、ここまで順調だった一つ誤算があった。我々の実験の初の成功品で回復装置である留美がお前達に助け出されてしまったんだよ」
「成る程、だから急遽俺を誘拐犯に仕立て上げて陥れようとしたのか」
市村達からすればヒロミを放置したのも、じきに警察に捕まるか、仮に戻っても世間からのバッシングでまともな活動をできなくさせるつもりだったのだ。
「……ふざけないでください!あなた達は人の命を何だと思ってるんですか!」
「お前達に我々の理念を理解してもらおうとは思わない。むしろ理解しなくて結構。彼女こそが我々の目的を達成するための核となり得る。人間を回復させる彼女がいれば私は無限に実験のやり直しができるのだからな。そして、私こそが人類を新たな次元に到達させられる唯一無二の存在だ」
すると市村はゆっくりと歩くとムラマサへとチョーカーを差し出す。それを受け取った彼は笑みを浮かべると刀を地面に一度刺して固定。その後チョーカーを首に装着するとスイッチを押す。その瞬間、紫のオーラと混ざり合ったその力がムラマサを変化させる。
「君の力を見せてあげなさい」
「ふっ……良いよ。僕が本物の門田ヒロミになってやるからさ」
その姿はまずユキオ、マリコのような白黒の怪物となってから腰の丸い装置が紫に発光。両肩、胸部、両腕、両脚に紫の鎧のような装甲が追加。それと同時に目が紫へと変化した。それと同時にユキオ、マリコの二人も青、緑の色と共に姿が変化。三人の姿を表すならトランザムザ・レベル2である。
「さて、君達もいつまで寝そべってるつもりかな?」
市村が指を鳴らすとアリコーンの構成員達の体が白いオーラに包まれると次々と立ち上がり、ユキオ、マリコが最初に変身した白黒の怪物、レベル1へと変わる。
「馬鹿な……まさか、コイツら全員……」
「いや、コイツらはヒューマンミュータントでは無い。ただヒューマンミュータントになりかけてるだけの出来損ないな失敗作さ」
どうやら市村としてはレベル2が完成品としての最低ラインらしい。周りにいる兵士たちがレベル1という名の量産兵なので、千春のような中途半端な姿をレベル0と仮称するのが良いだろう。
「……ふざけんな。お前達は人間を何だと思ってるんだ!」
「人間……人間ねぇ。不完全なゴミクズ……そういえば満足か?」
「とうとうイカレた本性を見せたなぁ」
「何とでも言え。お前達に待ち受けるのは死あるのみだ」
市村が手を振るとレベル1の兵士が取り囲んだ中、大二、カゲロウ、ヒロミ、光の四人へとレベル2の三人が襲いかかる。それを見届けて市村、染井は去っていく。
三人は何とか耐え忍ぶが、このままでは勝ち目など無い。大二は戦闘をするために声をかけた。
「行くぞ!カゲロウ!」
「行くぞって……ドライバーは二つとも壊れただろ?」
「いや、俺達にはこれがある」
大二がカゲロウへとノールックで何かを投げるとカゲロウはそれをキャッチ。そこにあったのはリバイスドライバーとメガバットバイスタンプTYPE–EVILである。
《リバイスドライバー!》
そして、それと同時に大二もリバイスドライバーを装着し、メガバットバイスタンプTYPE–LIVEを出す。
〜回想〜
前日の夜、大二は風呂から上がると一輝から二つのリバイスドライバーを手渡されていた。
「大二……これ、使えよ」
「え?……これって……」
「あの時お前はこれを使えなかった。でも、今のカゲロウを信じてるお前なら、きっと使えるはずだ」
一輝から二つのリバイスドライバーを受け取った大二は頷くとガンデフォン越しにバイスも大二へとエールを送る。
「ふへへ。俺っちの分も貸すんだからちゃんと勝てよ、大二!」
「……ああ!」
〜現在〜
「……成る程なぁ。二人揃ってお節介な奴等だぜ」
「大二、光、準備は良いか?」
「いつでも行けますよ!」
《デモンズドライバー!》
ヒロミと光の方も自身のベルトであるデモンズドライバーを装着。ヒロミはジャイアントスパイダーバイスタンプ、光はギラファバイスタンプを手にする。
「カゲロウ、足引っ張んなよ!」
「……はっ、どの口が言ってんだ」
するとそんな四人の前に三体のレベル2が集結。レベル1の兵士達も三人の後ろへと移動して控える形で睨みを効かせる。
そして、それに対して大二、カゲロウは二人同時にバイスタンプを押して起動させると二人の背後に黄色と緑のチャット欄が現れると二つの欄に二人共同じやりとりが流れる。
《メガバット!》
それと同時に大二の足元からは白い蝙蝠、カゲロウの足元から黒い蝙蝠が飛び出す。
《ジャイアントスパイダー!》
《ギラファ!》
ヒロミと光もスタンプを起動するとヒロミの足元にはデモンズドライバーの液晶のような画面が出現。光の方は液晶部からギラファノコギリクワガタが飛び出すと二重のリングが鼓動のように響く。
《Deal……》
その瞬間、光の方はいつも通りの待機音だが、ヒロミの方はいつもとは違い、バイオリン調の待機音が流れる。雰囲気的としてはベイルドライバーやクリムゾンベイルバイスタンプの変身待機音を彷彿させるが、リズムはデストリームドライバーの方が近い。
そして、大二とカゲロウはスタンプに二人同時に息を吹きかけるとベルトへと押印する。
《Come On!メ・メ・メガバット!》
それから大二はいつものように両腕をクロスさせてから一輝の変身ポーズを彷彿とさせるようにいつもと鏡写しのポーズを取る。
カゲロウも両腕をクロスさせてから右手を反転させる所を左手を反転させつつバイスがよくやるような手の人差し指と小指だけを立ててVの字を彷彿とさせるような手の形にした。
それに合わせるように白と黒の蝙蝠は二人の背後に集まっていくと巨大な白黒の蝙蝠を生成する。
「変身!」
《Delete up!》
そのタイミングでまずは光がスタンプをベルトに押印。エネルギーの球体に包まれながらその姿を変化させ、右側からギラファが突っ込むと変身完了する。
《Unknown.(未知なる)Unlest.(混乱が)Unlimited…(越える)仮面ライダーゲットオーバーデモンズ!》
「変身!」
《Dead end up!》
続けてヒロミがスタンプをベルトに押印すると後ろに出てきた赤い巨大なタランチュラが巣を張るように糸を大量に放出。それに雁字搦めになるように包み込まれるとヒロミはその姿を変えた。
《Dystopia.(破滅)Dominion.(支配)Destiny.(運命)(仮面)ライダー!(インペリアル)デモンズ!》
ヒロミの姿が仮面ライダーへと変化すると変身後の青い複眼が一度赤く染まってから元に戻った。
「「変身!」」
《マーベラスアップ!》
二人が同時にスタンプを倒すと巨大なメガバットが二人を包み込むようにして融合させるとすかさず巨大なスタンプへと変化して振り下ろされ、中がピンクの液体で満たされる。
《輝くほどシャイニング!激しくなるダークネス!Crossing Crossing!仮面ライダーライブ・エビルマーベラス!》
そしてその直後二人に再度分裂するとスタンプが砕け、中から変身した二人が現れる。尚、変身音は普通に聞けば上記のようになるが、実際の所は
ライブ側が《輝くほどシャイニング!Crossing Crossing!仮面ライダーライブマーベラス!》
エビル側が《激しくなるダークネス!Crossing Crossing!仮面ライダーエビルマーベラス!》
この部分しか鳴っていないため、二人のスタンプを合わせて変身する事で完全になる事が強調されている。尚、二人で被っている所は別音程のユニゾン音声となっていた。
いずれにせよ、これで大二は仮面ライダーライブマーベラス。カゲロウは仮面ライダーエビルマーベラス。ヒロミは仮面ライダーインペリアルデモンズ。光は仮面ライダーゲットオーバーデモンズへと変身する事になる。
感想、評価、お気に入りをしてもらえると執筆の励みになります。また次回もお楽しみに。