仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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さくらの悩み 普通の日常

一輝達が風スカイベースにいる中、さくらは今日も専門学校におり、いつものように授業を受けていた。

 

「………」

 

ただ、彼女の脳内には今日の朝話があった結婚の話がどうしても抜けない形である。

 

「(結婚……。光さんはきっと私の都合が付くまで待ってくれると思うけど、理想の結婚式って何だろ……)」

 

さくらが頭を悩ませる中、授業をしていた講師がさくらを当てると質問をかけていた。しかし、彼女は結婚式が気になって気が付かない。

 

「五十嵐〜!五十嵐〜!」

 

「(うーん。逆に光君は結婚式に何を求めてくるのかな。私の意見だけじゃ決められないし)」

 

「五十嵐さくら!」

 

「ッ!?は、はい!」

 

ここまで言われた所でさくらはやっと呼ばれている事に気がつくと慌てて立ち上がる。

 

「五十嵐、講義に集中できてないんじゃないのか?」

 

「すみません……」

 

講師に言われて謝るさくら。そんな様子に他の生徒達は半ば半分呆れたような目線を向ける。さくら達が受けているのは医学である。そのため話を聞けないような集中できていない人がいるとそれだけで目立つのだ。その後、講義が終わるとさくらの隣に座っていた同年代の女の学生が話しかける。

 

「ねえ、さくら。何か気になる事があったの?」

 

「……まぁね。ちょっとここに来る前に色々と……ね」

 

さくらはまさか授業中に結婚の事なんて考えていたなんて事は言う事ができなかった。そんな事を考えていたとバレてしまえば更に呆れられる事は確定だからである。

 

「まぁ、何を考えていたかは知らないけどさっきのはあんまり気にしたらダメだからね」

 

「うん……ありがとう」

 

「次から気を取り直して集中しよ」

 

それからその女の学生もいなくなるとさくらはその場に突っ伏して溜め息を吐く。ひとまず気持ちを切り替えない事にはダメだと。彼女はそう考えるとその後の授業に臨んでいく。

 

少し時間が経った上で場面は変わる。ブルーバードのスカイベースでは狩崎が一輝を再度個人的な用事で呼んでいたのであった。

 

「狩崎さん、また何か用事ですか?」

 

「ああ。前々から進めていた件だが、君の持っているバリッドレックスバイスタンプ、ボルケーノバイスタンプ、あとコロナレックスバイスタンプだね。この三つを借りたくてね」

 

「……え?」

 

一輝はその三つを使って狩崎が何をするのかが気になった。そのため、彼へと問いかける。

 

「そのスタンプで何をされるんですか?」

 

「今までバリッドレックスゲノム、ボルケーノレックスゲノムの二つに変身する際にリバイとバイスでバラバラのゲノムになっていただろう?それぞれの属性を片方に纏めてその出力を向上させようと思っている」

 

わかりやすく説明すると今までリバイがバリッドレックスバイスタンプでバリッドレックスゲノムとなるとバイスはレックスゲノム。ボルケーノレックスバイスタンプとバリッドレックスバイスタンプを合体して変身した際はリバイがボルケーノレックスゲノム、バイスはバリッドレックスゲノムと言った形になっていた。

 

つまり、二人でバラバラのゲノムチェンジになるのである。それを統一して更に高出力化しようと言うのだ。

 

「それに伴ってバイス。君のボルケーノレックスゲノムの考案も済んでいる。後はデータを入れるだけだ」

 

『ワォ!狩さんサンキュー!今までずっと俺っちバリッドレックス止まりだったから待ち望んでいたんだ!』

 

ちなみにコロナレックスバイスタンプは前にスピノバイスタンプと合体してゴールドスピノバイスタンプと化していたのだが、あれはゴールドンモモタロウの力で融合・合体していた所謂イレギュラー形態。そのために世界が戻った際にスタンプも融合解除していたのだ。

 

「一応残っているのはデータ入力のみだから一日あれば済む。……次の襲撃予想日の明日には間に合うよ」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

一輝はそう言って三つのバイスタンプを手渡す。それを狩崎は受け取るとそのまま研究室の奥へと去っていく。するとそこに大二と千春がやってきた。

 

「兄ちゃん、今日の夜家に戻っても良い?千春が偶には幸せ湯に行きたいって言ってて」

 

「ああ。むしろ大歓迎だよ」

 

「すみません、よろしくお願いします」

 

千春が丁寧に頭を下げるとそれから一輝達は三人で幸せ湯に戻っていく。そんな中で光について問いかけた。

 

「あ、そういえば光は?」

 

「アイツは今日の夜はスカイベースでの夜勤。だから来れないよ」

 

「そっか……。そういえば大二、大二は千春さんとは結婚式はいつやるとか決めてるのか?」

 

それを聞いた大二は疑問符を抱く。確かに結婚式場を襲うデッドマンがいるが、何故そこから結婚式という話になるのか……と。

 

「兄ちゃん、どういう事?」

 

「大二は朝の話に加わってないからわからないだろうけど、今日の朝にその話題をうちでしていてな。ほら、さくらと光の方はお互いの都合が付いたらやるみたいな話になってたから」

 

「ああ……なるほどね」

 

それから大二は考える中、千春は大二の腕にしがみつくように密着する。そして彼女は純粋な目を向けた。

 

「大二、私。大二と結婚するの……嫌じゃないよ?むしろ、したい……」

 

顔が赤くなった千春は大二へとそう話しかける。彼女としては大二との結婚に前向き……どころか可能なら早めにしたいという顔つきさえ見せていた。

 

「その話はまた後でしましょう。俺も千春さんと結婚したい気持ちはありますが、タイミングもありますし」

 

「むーっ……。わかりました」

 

「……なぁカゲロウ、やっぱり千春さん……初めて会った時から変わり過ぎじゃね?」

 

「そんな事俺に言われてもなぁ。これが彼女の素だろ?」

 

そんな風な悪魔二人のやり取りが一輝達が話す裏であるとその間に三人は幸せ湯に到着。それから夕方を迎えると専門学校を終えたさくらが帰ってくる。

 

「ただいま……」

 

「あれ?さくら、元気無いな」

 

「……誰かさんのせいで授業に集中できなかったの!」

 

そうやってさくらは一輝を僅かに睨む。ただ、今回の場合は一輝だけに過失があるわけでは無いが。

 

「あ、そういえば彩夏さんや母さんは?」

 

「夕飯の支度中だな」

 

「すみません、私もそっちに行って良いですか?……その、もう少し料理を作れるようになりたくて」

 

そう言って千春は台所の方に向かう。彼女がいなくなってから一輝が大二の元にコッソリ寄る。

 

「あれ?千春さんって意外と料理下手なのか?」

 

「いや、そんな事は無いよ。それこそ最初は慣れてないって感じだったけどもう今は並の料理ぐらいなら作れるし」

 

「って事は大二のために?」

 

何度も言うが千春は幼い頃からそれなりの長い時間をアリコーンの檻の中で過ごしてきた。そしてそのせいで幼い少女が大人になる中で経験するような事……オシャレや他の女友達を作る、更に料理の勉強も全くできていない。

 

そのため千春は最初、出かける時のファッションセンスは小学生前後止まりでメイクもまともにせず。身だしなみもそこまで注意がいかなかった。そのため五十嵐家の女性メンバー(主に歳が比較的近いさくらや彩夏)、更にブルーバードに勤める朱美やアギレラこと夏木花の妹の夏木涼に手伝ってもらう形で色々と教えられたのだ。

 

「それ以降、俺と出かける時とか凄い気を使うようになったんだよな」

 

「そのせいで、今度は俺が大二のダサいセンスを直すようにしたんだけどなぁ」

 

すると一瞬だけカゲロウが大二と入れ替わるとすぐに元に戻る。そんな中、さくらは二人だけでコソコソと話すのを見て訝しんだ。

 

「ちょっと二人共、私抜きで何の話?」

 

「いや、ちょっと千春さんの事をな」

 

「ふうーん。ま、いっか」

 

それからさくらは片付けをするために部屋の中に戻る中、ラブコフは霊体のままその場に残るとバイスやカゲロウの隣に並んだ。

 

「そういや、カゲロウがフワフワ浮かぶこの姿って……なんかシュールだな」

 

「煩せぇ。そんな事言っても悪魔なんだからしょうがねぇだろ」

 

「カゲロウ、フワフワ〜コブ」

 

バイスとラブコフが普通に着ぐるみを着たような悪魔なのに対して、カゲロウは三人の中でただ一人人間の姿をした悪魔なのでやっぱり絵面的にはシュールになってしまう。

 

「あ、そうだカゲロウ。俺っち達でお風呂の我慢対決しねぇか?」

 

「あ?何でだよ」

 

「久しぶりに俺っち達悪魔三兄妹が揃ったんだしよ。偶には腹を割って話し合おうぜ。ラブコフもホラ」

 

「コブ……ラブラブ〜……アホ!」

 

「アホ〜!?最早ラブやコブに紛れ込ませるわけでも無く直接言われたたぁ〜!?」

 

「ふん!」

 

そのままラブコフがさっさとさくらの元に行ってしまう中、カゲロウは割と呆れた顔つきになっていた。

 

「お前、アホか?」

 

「何でだよ!?」

 

「ラブコフは悪魔は悪魔でも女だろ。俺達野郎兄弟と一緒にすんなって事だ」

 

「………あ」

 

バイスは人間に例えるなら単純に年頃になった女の子が自分達のような年上の男と一緒にお風呂に入れという事に近い話をしてしまったのでラブコフは怒ったのだと察すると唖然とした。

 

「やっぱお前馬鹿だな」

 

「煩せぇ!馬鹿なのかアホなのか白黒ハッキリしろよ!」

 

「俺達の台詞パクるな、ハッシュタグ、アホなバイス」

 

「ブーメランだっつーの!」

 

そんな風に戯れ合う悪魔達。このような事ができるのは前のように世界単位がかかる戦いの最中では無いからだろう。

 

すると部屋に戻ったさくらの所に行ったラブコフはさくらが電話をするのを見ていた。

 

「光さん……」

 

『どうしました?』

 

どうやらさくらは光へと電話をかけていたらしい。それからさくらは何かを言い出そうとする。しかし、躊躇いがあるのか言葉にならない。

 

『……さくらさん?』

 

ただ、このまま自分からかけておいて何も言わないのはダメだと思ったさくらは思い切って聞くことにした。

 

「その、光さんにとっての理想の結婚式って何ですか?」

 

『それは一輝さん達と話したからって事?』

 

「はい……」

 

さくらは申し訳なさそうだった。光は今勤務中。それを邪魔するのはやっぱり罪悪感がある。

 

『僕の理想ですか……。僕は落ち着いた雰囲気が良いですね』

 

「え?」

 

『……僕としては今はもう亡くなった本当の父や母、それに僕を育ててくれた養父や養母に自分はちゃんと生きてるって。幸せになってるって事を伝えたいなって思ってますから』

 

「そうですか」

 

『さくらさんは落ち着いた系の結婚式はあまり好きじゃないかもしれません。もしさくらさんが派手な式を望むのでしたら……僕はさくらさんに合わせます』

 

それからさくらは少し光と話をして通話を切るとラブコフが戻ってきたのを見る。

 

「ラブラブ〜。さくら、落ち着いた式は嫌?」

 

「嫌じゃ無いけど……。でも、多分私は落ち着いた空気に当てられるのは得意じゃ無いかなって」

 

「焦ったらダメラブ〜。光、さくらに合わせるって言った。さくらの理想をゆっくり考えるコブ」

 

さくらが一人悩む中、ラブコフはそんな悩める少女と化したさくらをフォローすることになるのであった。

 

ちなみに。結果的にバイスとカゲロウはお風呂に浸かっての我慢比べをやったらしい。その後、カゲロウが完敗してのぼせると幸せ湯のロビーにあるベンチで横になったのは完全に余談である。

 

「ふへへ。流石は俺っち、勝利の一杯だぜ!」

 

「煩せぇ……。俺が負けるはずねぇし、まだまだやれんぞ……」

 

「まぁまぁ、二人共その辺にな」

 

尚、夕飯を作るための人員として女子勢が全員おらず、更に一輝や大二も準備の手伝いのため唯一手が空いていた元太がカゲロウの介抱役をやる事になった。




また次回もお楽しみに。
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