仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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今回から予告通り、リバイスレガシーの話に入っていきます。それではどうぞ。


リバイスレガシー 仮面ライダーベイル編
改造された男 白波純平


幸せ湯にて五十嵐一輝、そして彼の悪魔ことバイス。彼らは一人で二人の仮面ライダーリバイスとして活躍をしている。……今回はそんなリバイスが誕生する二十五年前の話。

 

これは、仮面ライダーリバイスが生まれてその歴史が刻まれる前。五十嵐家の大黒柱である五十嵐元太、そしてその妻である五十嵐幸実。この二人が出会う全ての始まりとなる物語だ。

 

〜二十五年前〜

 

幸せ湯が建つことになる場所から遠く離れたとある施設。そこに一台の車が入って行く。そんな車の中から運び出されたのは……一人の青年だった。その男の名は、白波純平。五十嵐元太が改名する前の元の名前である。

 

「……白波純平、不運にもバイク事故で瀕死の重傷を負った」

 

純平は実験台の上に気を失ったまま寝転がっており、体の至る所から血が出るなど、言及された通り瀕死の重傷という状態に相応しいと言える状況だった。

 

「不運……ですか?」

 

「……あ?」

 

そんな中、彼の近くにはスーツ姿の男と科学者のような白衣の男がいる。スーツ姿の男の方はここ、科学研究組織であるノアの研究所の中で絶対的頂点として君臨する金髪の男……東山(あがりやま)であった。

 

更にその隣にいる眼鏡の科学者はこの研究所に所属する科学者としてのトップである狩崎真澄……この時はまだ幼い子供であるジョージ狩崎の父親だ。

 

「崖の下に転落……死体は見つからないし、被験体に最適な男だ」

 

「……相変わらず強引な……」

 

「バイスタンプシステムの完成を祈っているぞ?我々ノアの大いなる目的のためにな。……狩崎博士」

 

東山の言い回しに対して真澄はあまり良い気持ちでは無かった。どうやら、真澄の反応からしてあまり褒められた連れ去り方をしなかったらしい。この辺りも組織内部での抗争が起き始めている形なのだろう。それはさておき、東山が冷たい目のままさっさと去って行くとその場に真澄のみが残される。

 

「………」

 

真澄の視線の先にあったのはノアに保管されている封印状態のギフの棺及び、ギフスタンプであった。これらは中南米の遺跡の中で発見された後にノアに運び込まれた物だろう。

 

「始めるぞ」

 

真澄が指示を出すとそれから数時間かけて彼等は気を失った被験体……白波純平への肉体改造を施す事になる。

 

そして、翌日の昼辺り……。純平の脳裏にとある光景が浮かんでいた。それは夫婦と思われる男女が何者かによって蹂躙される姿である。

 

「あ……ああっ……」

 

「この……悪魔め……」

 

夫婦が傷だらけで倒れる様子を純平は悪夢として見ており、うなされていた。その最後に男に悪魔と呼ばれた何かは禍々しい黒いオーラを放つとあっという間に夫婦をけしさってしまうのだった。

 

「はあっ……止めろぉおおおおっ!」

 

純平は夫婦が殺されたのを最後に意識が覚醒。叫び声を上げながら体を起こすとその体は上半身が裸であり、自身はベッドの上にいた。

 

「はぁ……はぁ……ここは、どこだ?」

 

純平は何故自分がこんな所にいるのかわからないと言った顔つきで、そんな彼の視界にある物が映る。

 

「手錠……俺は一体……」

 

純平の手には手錠をかけられており、牢屋のような部屋の片隅に繋がれていた。また、胸には不自然な傷があり、彼自身もそれをいつ体に負ったのかわからないと言った所だ。すると部屋の扉が開錠される音がすると未だに混乱した様子の純平の前に三人の男が姿を現す。

 

一人は軍服を着込むとその手に銃を持って最初に入ってきた男、伊良部正造。二人目は正造の後に入ってきた傭兵のように軍人服に身を包み、髪を逆立てたような形にした男である。体はゴツめで着ている服はミリタリー系統の迷彩柄だった。

 

彼の名は牛島勝。後の牛島光の父親だ。この頃は最強の傭兵としてノアに雇われている。そして、最後に来たのが真澄であった。

 

「目を覚ましたか。被験体071号」

 

被験体071号と言うのは純平のこの施設で仮に付けられた名前と言える物だ。ただ、そうは言っても純平はこの事実を受け入れられない。

 

「被験体って何だ……これはどういうこ……」

 

純平が立ち上がると真澄へと詰め寄ろうとするがその瞬間。いきなり彼の視界が反転すると壁に激突して地面に倒されてしまう。

 

「が……ああっ」

 

「ダメじゃないか。牛島君。そんなに乱暴にしたら」

 

「悪かったな、狩崎博士。つい手が出てしまった」

 

純平は勝の持つ人間離れした圧倒的な力を前に冷や汗が流れる。そんな中、真澄は純平へと話しかけた。

 

「被験体071号、君は一度死んだ。そして、我々ノアの手によって新しく生まれ変わったんだ」

 

純平が目の前にいる真澄の言葉をやはり受け止めきれていないのか、彼へと向けられる視線は混乱したような物である。純平は表情が変わらない真澄から視線を離して再度自身の胸を見るとその傷の意味を理解する。

 

「ッ、ノアだと?俺の体に何を……がっ!?」

 

更に純平が口答えをしようとした瞬間に彼の顔が壁に押し付けられた。今度は手加減されたのか、ある程度痛みは薄かったがそれでもダメージはゼロでは無いので痛みが体を襲う。

 

「クソッ……何で俺はここに……ダメだ、何も思い出せない」

 

純平は何かを思い出そうとしたものの、完全に過去の記憶を失ってしまったのか何も頭の中に浮かんでこない。思い出せるのは先程見ていた夢の中身だけである。しかもそれもあくまで夢なのか、また少しずつ薄れていく。

 

「……真澄博士」

 

正造が小さく話しかけるとその瞬間に危険を示す警報音が施設内部に鳴り響く。そんな音にまた困惑の感情が純平を支配すると真澄が冷静な顔のまま話す。

 

「早速だけど、被験体071号。君の出番だ」

 

真澄が手に持っていた黒いケースを取り出すとそれを開ける。そこにあったのは赤を基調としつつ、中央部に液晶が存在。更にその両側に筋肉質のパーツと両側から押し込めるようなパーツがあった。これは後にジョージ狩崎によって生み出されるライダーシステムのアーキタイプと言うべきドライバー……ベイルドライバーである。

 

その隣には黒をベースにカブトムシのレリーフがあるスタンプであるカブトバイスタンプもあった。

 

「何だ……これは?」

 

純平が勝から解放されると真澄の出したケースの中を見て問いかける。真澄はそんな彼へと平然とした顔つきで話を続けた。

 

「これは君を最強の悪魔ハンターにするための神器だ」

 

「悪魔ハンター……」

 

純平が悪魔ハンターという名前を聞く中、そのベルトを見ていると何故かそれに吸い寄せられるような感覚がした。まるで、そのベルトが純平と惹き合うように……。

 

「………」

 

純平はいつの間にかスタンプを手にするとそれと同時に部屋の外にいた施設を守るための警備隊の兵士達によってベルトを無理矢理装着させられてそのまま車の中に移送させられた。

 

「ッ……」

 

「あまり煩くするなよ?またお前の事を殴らないといけなくなる」

 

移動中の純平はベルトを装着したまま乗せられるとその車の中は勝は勿論、他の警備隊達にも周りを囲まれる形で監視されていた。

 

「言われなくてもあんな事されるってわかってたら騒がないだろ」

 

「それは良い心がけだな」

 

勝はそんな風に純平へと割とデカめな態度を取る。とは言っても、彼自身は純平を見下しているというわけでは無い。……未来においての幸せな大きさを鑑みると二人の立場が完全に逆転するというのだから本当に皮肉な話である。そんな未来の話はさておき、現場に到着するとそこには異形となった悪魔がいた。

 

その姿をは煤けた銅のような体色をしており、体全体に顔のパーツや臓器がグチャクチャに散りばめられたかの様なグロテスクかつ醜悪な容姿をしている。

 

そんな悪魔は市街地で暴れており、人々はそれから逃げ惑っていた。すると化け物の前に止まった車の中から既にドライバーを装着していた純平は手錠を正造に外されると悪魔の前に突き出された。

 

「あの化け物は何だ?」

 

「あれは君が倒すべき敵……悪魔だ」

 

すると純平の脳裏に再び悪魔に襲われる夫婦の姿がノイズのように浮かび上がる。そんな彼の様子など知った事かと言わんばかりに悪魔は唸り声を上げると走ってきた。

 

「さぁ、戦え」

 

そのまま純平は身柄を拘束していた二人によって前に押し出されると悪魔は純平をターゲットに攻撃を仕掛けてきた。

 

「ッ!?」

 

純平は咄嗟に攻撃を二度回避してから蹴りをぶつけるが、まるで通用せずに顔と腹をそれぞれ殴られてあまりの痛みに怯む。

 

「が……ああっ、このおっ!」

 

純平がヤケとばかりに悪魔を殴ってから荒々しい蹴りで悪魔を数歩下がらせるが、まるでダメージになっていない。悪魔はやられた分のお返しとばかりに突っ込んでくるとアッパーからのビンタ、更には拳を再度腹にぶつけられて純平は吹き飛ばされるとドラム缶を押し倒しながら叩きつけられる。

 

「ベルト無しだと所詮は戦えない一般人ってレベルか」

 

『ああ。幾ら彼に施した強化があっても中身はただの人間だからね』

 

勝と真澄が通信で連絡をする中、純平は何とか立ち上がるものの、もう既に彼自身はかなりのダメージを受けた様子だった。

 

「何なんだよ……知らない所に連れられた挙句、こんな化け物との戦いだなんて……」

 

『被験体071、拾った命を失いたくなければバイスタンプをドライバーに押印して……変身しろ』

 

純平がその言葉がやはりまだ信じられないと言った所だったが、このままではまず間違いなく殺されてしまう。すると悪魔は咆哮を上げるとまた襲ってきた。

 

純平は何とか回避して距離を取るとベルトの右側に存在するカブトバイスタンプを震えながらも手に取る。

 

「ッ……」

 

正直、彼は怖かった。このような形で命の危険に晒されて……しかも訳の分からないような男達の出した物だ。碌なものでは無いとわかっていた。……それでも、彼は自分の命を守る事を優先するとスタンプをホルダーから抜くと右手に構える。

 

「はぁ……はぁ……」

 

『……失った自分を取り戻せるかもしれない』

 

通信機越しの真澄からの言葉に……純平は意を決するとスタンプを押して起動する。

 

「あああっ!」

 

《カブト!》

 

純平がスタンプを起動するとスタンプを朱肉部分に押し、両手を上に上げてスタンプを両手で掴むように構えた。

 

《Deal……》

 

「うぉおおっ!」

 

まるで兵器のような恐ろしい待機音が鳴るとそのまま純平が切腹するように液晶部に押印。それと同時に無くなっていた心臓が胸に現れる。

 

《Bane Up!》

 

「うぁああっ!」

 

その瞬間、ベルトから金色のカブトが飛び出すと純平の周りを旋回。更に自身の周囲には鼓動のような赤い光が瞬く。彼の上には赤い目がついた赤黒い闇が出現すると純平が禍々しいオーラと赤い稲妻のような物を纏う。

 

《破壊!(Break)世界!(Broke)奇々怪々!(Broken)仮面ライダーベイル!》

 

そして彼の上に現れた黒い闇が覆い被さり、闇の中で装甲が生成されると最後に純平の右側からカブトが取り付き、角の部分が顔の左側に合体すると変身を完了。

 

これにより、リバイスライダーの元祖にしてアーキタイプとなる初期型の仮面ライダー……仮面ライダーベイルが誕生する事になるのであった。




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