仮面ライダーリバイスIF   作:BURNING

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今回、話の中でちょっと重めなグロ描写があると思います。一応言い回しはできる限りR18に抵触しないようにしていますが、読む際はその辺りをご注意ください。それではどうぞ!


幸実の説得 純平の決意

悪魔ベイルに乗っ取られたせいで怪物のような声を上げた純平こと仮面ライダーベイル。すると彼はいきなり踵を返すと先程まで自分が逃げてきた道を逆走。ノアへと単身で侵攻する事になる。

 

「元太……嘘でしょ」

 

幸実が暴走したベイルを見送ると彼がいきなり悪魔に乗っ取られてしまった事に困惑していた。

 

「……元太を助けなきゃ」

 

幸実が悪魔ベイルに乗っ取られたベイル……純平を助けようと行こうとすると腕に痛みが走る。先程純平を庇った際に受けてしまった銃弾による傷がぶり返すのだ。

 

「……まずは君の治療が先だ」

 

「でも……」

 

「彼を助けたくても、君の治療をして元気な状況になってなければきっと傷つけられた恨みは深くなるだけだ」

 

それから正造はリュックに予め持ってきていた治療用具を出すとまずは幸実の腕の応急処置を始めた。

 

「……ぶーさん。元太がああなってしまった理由、詳しく教えてもらえませんか?」

 

「君にとっては辛い話になるかもしれないぞ」

 

「それでもです」

「わかった」

 

それから幸実は正造からの治療を受けながら純平がああなってしまった詳しい経緯を……ノアの視点からでしか見る事のできない分の話も合わせてした。

 

「そんな……じゃあ、元太がああなってしまったのは」

 

「ああ。ノアが行った非人道的な人体実験のせいだ」

 

正造からの言葉に幸実は言葉を失った。純平が苦しんでいるというのはここまで接してきた中でずっとわかっていた事だったが、それは幸実の想像以上の物であった。

 

「……どうして、優しい元太がこんな目に……」

 

「済まなかった。俺達がもっと早く動けていれば……彼は巻き込まれずに済んだかもしれないのに」

 

「ぶーさんのせいでは無いですよ」

 

幸実がそう返すと彼女は純平の受けてきた苦しみと再度向き合って、少し考えたのちに正造へとある事を言い出した。

 

「……ぶーさん、やっぱり私をノアに送り届けてください」

 

「だが……」

 

その瞬間、正造の持っているトランシーバーに連絡が入るとそこにノアで起きている惨状が報告された。

 

「そうか……」

 

「ぶーさん?」

 

「やはり彼はノアに戻ったみたいだ」

 

「無事……なんですよね?」

 

「彼だけは……な」

 

正造は小さくそう言う。それは純平が変身した仮面ライダーベイルがノアの施設で殺戮を行なっているという惨状を示す事に他ならない。

 

「やはりあの時、若林を遠くの部署に再配置して正解だった。……実験の道具にされた牛島達もな」

 

正造はこういう日が遠からず起きることを予想していた。そのため、自分の元部下であった若林を別のノアの施設へと左遷という名の避難をさせると牛島勝や幸実の前にリリス降臨の実験台にされた女性……後の牛島光の母親となる人物も実験後の経過観察を口実に先程までいた施設とは全く別の施設に移動させた。

 

「ただ、きっと彼の暴走は誰にも止められない」

 

「……だったら尚更行かせてください!」

 

「ダメだ。君はただでさえノアの被験体として……」

 

「だとしても……私以外に元太を止めるなんてできません」

 

正造はその言葉を聞き、幸実の持っている覚悟の重さや純平を止めるという断固たる意思を確認。彼は幸実を信じる事にした。

 

「わかった。……ただ、無茶だけはするな」

 

幸実は正造の言葉に頷くと二人はノアへの道のりを戻っていく事になる。同時刻。ノアの施設のとある場所では真澄が一人、とある用意をしていた。真澄が黒いスーツケースを机の上に置いた直後。轟音が鳴り響く。

 

「……来たか」

 

すると逃げてきたと思われる研究員達が真澄の横を次々と通り過ぎていくと彼らの元いた方向から悪魔のような唸り声を上げながら暴走する仮面ライダーベイルが出てくる。

 

「う、撃て!撃て!」

 

そのタイミングでやってきた増援のノアの構成員達が銃を連射。だが、その程度で止まるはずが無い。ベイルが手を翳すと発生した赤黒い衝撃波が銃弾を全て受け止めると赤い霧として消し去ってしまう。

 

「く、クソッ!もっとだ!もっと撃て!」

 

構成員達は半ばヤケクソ気味に撃ちまくるとその火力を前に煙が発生。ベイルの姿が一時的に隠れた。

 

「やったか!?」

 

という倒してないお決まりの台詞が構成員の一人から言われると煙の中を悠々とあるベイルがいた。

 

「あ………ああ……」

 

「うわぁああっ!」

 

構成員達の中に広がる絶望感。それと同時にベイルは高速で移動すると構成員の中で前の方にいた五人をすり抜けるように姿を現す。それと同時に五人の構成員は体から血が噴き出すと瞬殺。そこからは阿鼻叫喚の地獄絵図の完成だった。

 

「グオオオッ!」

 

怪物のような声を発しながら構成員を瞬殺し、敵の体を破壊しながら殺していくベイル。その場には構成員の死骸が次々積み重なる中、真澄はこの光景を見ても逃げも隠れもしなかった。

 

「……これがギフの細胞を埋め込んだ事による悪魔の力。どうやら今の我々の戦力では太刀打ちできないか。……しかも、細胞を少し入れただけでこのザマ。本体が目覚めるなんてあれば……この世界は終わる」

 

真澄はこの時……ギフの力の恐ろしさを再確認した上で、今の人類にはそれに太刀打ちすらできない事を思い知った。そして、その事を思い知った事で後に彼の行動を大きく変える一石となる。ただ、今はそれは一度置いておこう。

 

「が……ああっ」

 

そのタイミングでベイルが最後の一人を柱に映る影のみの状態でかつて仮面ライダーシンが敵の怪人を倒す際にやったような脊髄ぶっこ抜きをしてから手にした残骸を投げ捨てる。それからゆっくりと手を翳し、殺した構成員を一瞬で塵として消し去ってしまう。

 

「正に悪魔……か。だが、これは全て私の愚かな研究が招いた事。私は逃げも隠れもしない。さぁ、悪魔の裁きを下したまえ」

 

真澄は眼鏡を外すと己の最期を悟り、両腕を広げて攻撃を甘んじて受けようとした。

 

「……最後にこれは言っておくか。……私にはジョージという息子がいる。私に似て研究が好きでね。あの子が私と同じ誤った道を歩まない事を祈るよ」

 

真澄が話す間も徐々に迫るベイル。彼にしては珍しく、瞬殺では無くジワジワと恐怖を与える方向を選んだ。上の命令とはいえ、それだけ自分を改造した主犯である真澄には特別な感情を抱いているという事だろうか。

 

それと同時に真澄の脳裏には走馬灯としてある二つの光景が映る。一つはこのギフ関連の研究をする前に助手を解任した高田という男。真澄は敢えて彼を冷たく突き放す事で彼を遠ざけ、自分の罪に巻き込まないようにした。

 

もう一つはこの前夜。愛する我が子。ジョージ狩崎へと己の悪魔をバイスタンプを介して預けたという事だ。

 

「ジョージ、愛してるよ。せめて……健やかに育ってくれ」

 

皮肉にも彼のしたこの二つの行為は別々の事件として後に出てくる事になるのだが、今の真澄は自分にできるのはこの程度だと信じて疑わなかった。

 

「うぁあああっ!」

 

その瞬間、ベイルは右腕に赤黒いエネルギーを纏うと真澄へとトドメを刺そうとする。だが、それは彼に向かってかけられた声によって止められた。

 

「止めて!元太……。私を見て!」

 

そこには正造に守られてここにまで辿り着いた幸実であった。二人は真澄の更に奥に立っており、ベイルへとかけられた幸実の言葉に彼の攻撃の手は止まると幸実の方をゆっくりと見据える。

 

「……うぅ……」

 

その直後、幸実を個別で認識したのか彼の手はダランと下げられた。それを見た正造はすかさず手にした銃で真澄を避けてベイルだけを撃ち抜く。

 

「……があっ!」

 

しかし、ベイルは全く怯む事無く正造へと迫ると彼は正造の腹を蹴り飛ばす事で彼を怯ませる。ただ、先程と比べて彼へのダメージは致命傷になってない事から個別認識と手加減はできるらしい。

 

「ぐっ……これ以上は……やらせない!」

 

正造はそれでも尚、スタンガンを取り出すとベイルへと振るって彼を押し留めようとする。

 

「ぐああっ!」

 

だが、スタンガンでは生身の人間は気絶させられても仮面ライダーを気絶なんてさせられない。あっという間に正造は胸ぐらを掴まれて投げ飛ばされる。

 

「うぅ……」

 

それからベイルは地面を転がった正造を無視すると近くにいた幸実を見据えた。そして。無造作に彼女の首を掴むと締め上げ、そのまま足を地面から離れさせると宙吊りにする。

 

「ううっ……」

 

「殺す……殺すぅう……邪魔する奴は全て……」

 

ベイルがそう唸る中、幸実は首を掴まれた影響で苦しみながらもベイルの事をちゃんと見ようとした。

 

「私……寂しかった。うっ……お父さん達が死んでから……ひとりぼっちなって……いつも泣いてた……うっ……でも、そんな私をあなたは救ってくれた。私の心の隙間を埋めてくれた」

 

幸実が呼吸困難になりつつも、必死にベイルを説得しようとする。そんな彼は幸実の言葉が煩く感じるのか、締め付けを更に強くする。

 

「あうっ……あなたも、そうでしょ?心の隙間を埋めてくれる人を……探してた。うっ……」

 

「ううっ……はぁ……はぁ……」

 

すると唸り声や恨み言しか言わなかったベイルに、純平に僅かに意識が戻ったのか彼は幸実の首を締めていた手を離す。すかさず幸実はベイルへと抱きつくと彼へと必死に呼びかける。

 

「元太!悪魔なんかに負けないで!」

 

『……そんな女に惑わされるな!俺とお前はバディだ!』

 

幸実が純平に呼びかけると同時に悪魔ベイルの方も彼の心から呼びかける。それに挟まれて葛藤するように動きが止まるベイル。そこにすかさず幸実が声をかけた。

 

「元太、私もあなたと家族になりたい!」

 

その瞬間、ベイルは頭を抑えると苦しみ始める。それはベイルを振り払おうとする純平の心と逆に支配しようとする悪魔ベイルの干渉を受けているからだ。

 

「はぁ……はぁ……うわぁああっ!」

 

「あなたを救う……それが私の運命!」

 

〜挿入歌 My dream sakurako okubo Solo ver.〜

 

その瞬間、いきなり幸実の体から白い波動が発せられると彼女の背後に巨大な影が出現。それが、それこそが幸実の中に降臨して現世に誕生した悪魔……リリスであった。

 

『なっ!?馬鹿な……この光が俺の力を……うわぁああっ!』

 

リリスが純平を飲み込んでいた悪魔ベイルの干渉を全て一瞬にして粉砕。あっという間に純平を正気に戻すと変身解除させた。それと同時に幸実が負っていた怪我が自動的に修復。純平も仮面ライダーベイルへの連続変身によって積み重なっていた疲労が消え去った。

 

「はぁ……はぁ……幸実」

 

「……また、私の名前を呼んでくれたね。元太」

 

そんな風に二人がまた面と向き合って再会できた事を喜ぶと微笑み合う。するとそこにコツコツと一人の男が歩いてきた。それはノアの絶対的な所長である東山だ。彼はノアを滅茶苦茶にした純平を許すつもりなんて無かった。

 

「よくも我がノアを……。被験体071、並びに被験体072。纏めて廃棄処分にしてくれる!」

 

東山は怒り狂っていた。沢山の屍の上に自分が確固たる地位を築き、思うがままに動かしてきたノアをあっという間にほぼ壊滅させられてしまったという事実に。

 

これは全て自分がやってきた事が跳ね返っただけの自業自得なのだが、東山はそれを全て棚上げして純平、幸実のせいにした。

 

彼は用済みの被験体を廃棄するために護身用で所持していたピストルを構える。そのタイミングで純平が幸実を守るために前に出た。

 

『ぬん!』

 

ただ、そのタイミングで純平から飛び出すような形で赤黒い影が飛び出すとそれが東山の手にした銃を弾いてから腹を嫌な音と共に貫いた。

 

「うっ……」

 

「お前など所詮人間の屑だ。……さっさと死に絶えろ」

 

悪魔ベイルが吐き捨てるようにそういうと東山から腕を引き抜く。そのまま東山は断末魔さえ上げることなく崩れ落ちると目を開けたまま意識が刈り取られた。

 

「さてと、お前らは二人揃ってお熱いねぇ。……俺よりもその女の方が良いってわけか。……冗談じゃねぇぞ?」

 

悪魔ベイルは相棒である純平を幸実に横から掠め取られたのが気に入らなかったのか、完全に声色に怒気が含まれていた。

 

「お前は俺から逃げられない。一生なぁ」

 

「……幸実、下がってろ」

 

純平に促されて幸実は下がると彼は目の前にいる自分の悪魔であるベイルと対峙する。

 

「何だ?俺とやり合うって言うのか?……要するにお前は俺よりもあの女を選んだってわけか」

 

「ああ。お前を生み出したのが俺なら、その決着を付けるのも俺だ」

 

「良いのか?俺を殺したら一心同体であるお前も死ぬんだぞ?」

 

悪魔ベイルは宿主の人間と悪魔が一心同体であるという特性を利用して純平をまた操ろうと考えて脅す。

 

「それでも構わない。俺はお前を……悪魔を許さない」

 

だが、純平の決意は固かった。ただ、彼の中にあった感情は先程までの悪魔に対する憎しみでは無かった。それは愛する幸実を守るために固めた覚悟の言葉である。

 

「ふはははっ!俺が悪魔なら……俺を生んだ貴様も悪魔だ。それに、あの女の持ってる力。アレは明らかに人外の能力だ。お前は……人外の女を愛すると言うのかな?」

 

「ああ、そうだ。俺自身が悪魔だと言うのなら俺は俺も許さない。それに、どれだけ人外の力を持っていたとしても……俺が幸実を愛する事に変わりなんてない!」

 

純平が悪魔ベイルでは無く幸実を選んだ理由。それは二人が彼に向けている温かさの差だ。悪魔ベイルは純平の親を殺し、憎悪につけ込んで支配しようとした。加えて、非道な行いも平気ですると共に自分をあくまで気に入らない物を壊すための道具にしようとしている。

 

対して幸実はどうだ?彼女は化け物として居場所が無かった純平を助けたばかりか、一人で孤独になっていた彼の光となった。それだけで無い。悪魔ベイルにつけ込まれて暴走した自分を身を挺して守り、憎悪の鎖に囚われた自分を温かい世界に引っ張り上げたのだ。

 

この点において、純平が悪魔ベイルよりも幸実を選ぶのは至極当然にして当たり前と言えるだろう。

 

「俺は……俺の悪を断つ!」

 

純平はそう叫ぶとホルダーに入っていたカブトバイスタンプを外してその手に構える。

 

《カブト!》

 

それからそのスタンプを朱肉に押印。そのまま悪に囚われた自分を殺すように切腹のようなポーズを取る。

 

《Deal……》

 

「……変身!」

 

その言葉はあの時仮面ライダーに初めて変身してから何度も言った言葉。だが今までは復讐に囚われ、ノアという組織に操られた上で言わされていた言葉だった。しかし、今回は違う。純平は……元太は、初めて自らの意思でその言葉を口にする。

 

《Bane Up!》

 

するとベルトからエネルギーのカブトムシが飛び出すのは一緒だったが、先程まで纏っていた黒い霧は消えると同時に二重線だった赤い鼓動は一重に留まると胸には青く光る心臓が薄く見えた。

 

これは前まで純平と悪魔ベイルの二人で変身していたために起きていた現象。ここから、悪魔ベイルが消えた事により悪魔に飲み込まれる黒い霧のプロセスが消え、純平一人分の心臓の鼓動として赤い線が一重となったのだと思われる。

 

「はぁあああっ!」

 

《破壊!(Break)世界!(Broke)奇々怪々!(Broken)仮面ライダーベイル!》

 

純平は赤い鼓動の周りに現れた赤いオーラとベルトから発生する赤い電撃を纏うと周囲から纏われるように機械兵のような装甲が形成。そこにカブトムシが横側から突撃する形で仮面ライダーベイルへと変身する。

 

ただ、変身完了した直後にベイルの体に赤い電流が走ると力が抜けるのを感じた。

 

「ッ!?」

 

「ふはははっ!それは悪魔の力を使うためのベルトだ。俺が抜けた以上、貴様が纏っているのはただの重たい鎧だ」

 

悪魔ベイルからの指摘にベイルは変身の負担に耐えつつどうにか立ち上がると気合いで立ち上がり、己の決意を叫ぶ。

 

「それでも俺は……幸実のために負けるわけにはいかない!」

 

それはベイル……純平の強い意思の表れだった。誰かに操られたり、誰かに決められたわけでは無い。己自身の意地のため。ベイルは、純平は己の悪である悪魔ベイルとの戦いに身を投じるのであった。




挿入歌で入れてるMy dreamはリバイスIFにおけるオリジナルです。原作の方はリバイスレガシーの映美くららさんと大久保桜子さんがデュエットで歌うバージョンとテレビ本編及び夏映画の映美くららさんがソロで歌うバージョンの二つがありますが、今回のはどちらにも当てはまらない物になります。

簡単に言えば、リバイスレガシーの際の五十嵐幸実である大久保桜子さんが曲の全ての歌詞を歌うバージョンだと思ってください。

それに伴ってリバイスIFの方でも42話、夏映画における挿入歌の表記変更を行いました。

一応次回でリバイスレガシー編は終了予定です。それでは長ったらしい補足も終わりにしましょう。また次回もお楽しみに。
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