幸実を守るために変身した純平。彼は悪魔ベイルとの決着を付けるために戦いを挑む。
「はあっ!だあっ!」
悪魔ベイルは両腕を広げてベイルからの拳を受けるが、そのダメージはそこまで響かないのかあまり悪魔ベイルは後退りしない。
「だから言っただろう?俺無しじゃただの重たい鎧だと!」
逆に悪魔ベイルからの攻撃はベイルへとダメージを与えると火花を散らす。
「ぬん!はあっ!」
「くっ……うああっ!」
それでもベイルは何としてでも負けられない戦いに勝つために奮闘。悪魔ベイルを相手に食い下がる。
「鬱陶しい!」
悪魔ベイルは自身に組みついてきたベイルを掴むと逆に近くに置かれていた机へと押し付け、そのまま上から二度拳を叩き込む。
「結局、お前のようなただの人間は俺無しじゃ生きていけないんだよ!」
悪魔ベイルはベイルの胸ぐらを掴んで投げ飛ばすとベイルは体の至る所から火花を散らす。この次点で二人の戦力差は明らかであった。
「だとしても……俺は、俺はぁああっ!」
だが、ベイルはどれだけやられても悪魔ベイルに屈するつもりは無かった。それを示すかのようにどれだけ悪魔ベイルにやられても何度も立ち上がる。
「渋といぞ……さっさと諦めて俺の操り人形となれ!」
ベイルと悪魔ベイル。二人の戦いは激化する中で、その様子を幸実達はそっと見守っていた。
「あの、……悪魔が言った事って本当なんですか?」
「ああ。悪魔が死ねば被験体071も死ぬ」
「……そんな」
「だが、彼を救う方法ならある」
真澄は近くに置かれていたスーツケースを開けるとそこにはベイルドライバーを黒く染めたようなベルト……デモンズドライバーを出す。
「えっ……」
そんな中でベイルは悪魔ベイルからの猛攻に胸や腹を殴られ、蹴り飛ばされ、少しずつ一方的な戦いになりつつあった。
「うああっ!」
そんな中でもベイルは悪魔ベイルに体当たりして彼に一瞬の時間を作るとカブトバイスタンプをベルトに押印する。
《カブト!》
《Charge!》
ベイルは右腕に赤いエネルギーを纏うと悪魔ベイルはそれを見て笑みを浮かべる。それと同時に彼も右腕にエネルギーを高めた。
《ベイリングインパクト!》
「「はぁあああっ!」」
二人の拳がぶつかるとその衝撃波が駆け抜ける。その直後、ベイルが吹き飛ばされて地面を転がると先程以上にダメージが深刻なのか火花が大きくなり始める。
「あ……がぁ……」
「勝負は着いたようだなぁ。所詮お前一人じゃこれが限界なんだよ!」
「……ぐ……うぅ……まだだ……俺は、こんな所で、負けるわけにはいかないんだぁああっ!」
ベイルはどうにかして立ち上がるもののリリスの力によって復活した体は再びボロボロであり、もう限界が近かった。
「……お願い。私は、私は元太が負けるのを見てられないの。だから、元太を助けて……」
幸実はそんなベイルを見て己の中に眠る力、リリスへと呼びかける。するとその時。リリスがまた幸実の背後に幻影として姿を現すとそれが悪魔の言葉で何かを言うと凄まじい波動を放つ。
「ッ……またお前か……だが、さっきとは状況が違う!」
悪魔ベイルが先程リリスにやられたのは己の力を一部を純平の制御に使っていたからである。そのため、今度はリリスからの力によるダメージを防いでしまった。ただ、リリスの狙いはそちらでは無い。
リリスは目を光らせるとベイルのバイスタンプホルダーに入っているカブトバイスタンプに輝きを纏わせるとそれが変化。素地の色は水色、そしてカブトムシのレリーフは光り輝くと同時に銀色のコーカサスオオカブトとなる。
「なっ!?」
「……幸実。……ありがとう」
ベイルはコーカサスバイスタンプを取り出すとそれを起動。それをベルトに押印する。
《コーカサス!》
《Contract!》
その瞬間、体から白銀のオーラが発せられると赤い心臓の鼓動のリングが出てくる。その待機音はこれまでの恐ろしさを感じる兵器のような物から一変。神聖さを感じるような透き通った物になる。
「はあっ!」
《Spirit up!》
ベイルが液晶部にスタンプを押印すると同時に自身に取り付いていたカブトムシが一度分離する形で離れると自身の周囲を旋回。それは白銀のコーカサスオオカブトへと変化した。
《Select!Sparkle!Shining!Symphony!仮面ライダーベイル・ルミナス!》
そのままコーカサスは右側からで無く後ろ側からベイルへと突撃すると両腕、両脚、胸部、背中へと次々に装甲が上から装着。最後にコーカサスの三本角が素体となる仮面ライダーベイルの機械仕掛けの頭部を抱き込むように三方向から合体する。
その姿は仮面ライダーベイルの素体である軍服のような物が水色を基調とした物に変わり、両腕、両脚には白銀に水色のラインが入った物となるが、それぞれに棘のようなパーツが伸びている。両肩には丸い銀のベイルの時の装甲の上から水色の尖った肩アーマーが装着。正面にはベイルの素体に水色のクリアパーツが合体したような物に変化。更にその上からクリアパーツを抱きしめるような形で六本のコーカサスの脚が装着する。
背中にはコーカサスオオカブトが翼を閉じたような造形で存在すると腰からはコーカサスオオカブトの羽を模した二枚のローブが垂れ下がっていた。
頭部は両側に銀色の角が一本ずつ合体。正面からはベイルの顔の真ん中に被さるように一本の銀の角が伸びる。目はその影響を受けて水色となり、破壊兵器のような姿から誰かのために戦うヒーローを模したような印象を与えた。この姿は仮面ライダーベイル・ルミナスである。
「貴様……何だ、その力は……」
「幸実が俺に手を差し伸べてくれた。だからこそ俺は、それに応えてみせる!」
ベイルが再度悪魔ベイルと戦闘を開始すると今度は先程までとは真逆の展開。つまり、ベイルが悪魔ベイルを圧倒し始めたのだ。
ベイルルミナスは先程までとは違い、力を十二分に発揮すると悪魔ベイルからの攻撃を全て受け止めるとその腕を掴み、逆に殴り返すとベイルが内部にいた時とは違い、青白の聖なるエネルギーによってダメージが入っていく。
「俺の力が抑え込まれていく。どういう事だ……」
それは、この形態になる前にリリスから与えられた光が影響している。リリスの力はギフの力の浄化。それによって悪魔ベイルは力をどんどん落としているのだ。
「たかが人間のくせに……俺とお前が組めば……世界は思うがままなんだぞ!」
「興味無いね!……俺と共に消えろ……ベイル!」
《コーカサス!》
《Charge!》
ベイルがコーカサスバイスタンプをベルトに押印。両側を押し込むと必殺のエネルギーが右脚に集約。そのまま向かってくる悪魔ベイルに向けて後ろ回し蹴りを放つ要領でライダーキックを放つ。
「はぁあああっ……だぁあああっ!」
《ベイリングノヴァ!》
その一撃にはコーカサスオオカブトのエネルギーも付与され、悪魔ベイルはその威力に耐えきれずに赤黒い火花を散らす。
「あ……があっ……俺を捨てた事を……後悔するぞ」
そのまま悪魔ベイルは倒れ込むとその体が赤黒い粒子として分解され始め消滅していく。
次の瞬間、ベイルドライバーに青白い火花が走ると画面にヒビが入る形で故障。本来想定しないリリスの力を無理矢理使った影響だ。また、バイスタンプも元のカブトバイスタンプへと戻った。
それだけで無く、ベイルこと純平も変身解除。悪魔ベイルが瀕死に陥った事で宿主の純平も死にかけているのだ。
「元太!そんな……ねぇ、起きてよ!ねぇ!」
幸実が声をかける中、純平も消滅を開始してしまう。そこに真澄が声を上げるとその手にデモンズドライバーを持つ。
「まだ諦める必要は無い!」
真澄がデモンズドライバーを悪魔ベイルへと向けるとその中に消滅を始めた悪魔ベイルの体が少しずつ吸収され始める。
「ぐっ!?何だ……これは……ぐああああっ!?」
そのまま悪魔ベイルは完全に赤黒い粒子へと転換。デモンズドライバーの中に凄まじい勢いで入って行く。するとそれと同時に真澄の体はその衝撃で発生した炎に包まれた。
「うっ!?ぐううっ……ああっ!」
「狩崎博士!?」
「ううっ……ベイルを消滅させずにこのドライバーに封印した。これで被験体……いや。純平君も死なずに済む!」
その言葉通り、純平の体は消滅を免れると元に戻る。ただし、真澄の方は未だに炎に包まれたままだった。まるでその炎は地獄の業火のように彼の体を蝕んでいく。
「君達は逃げるんだ!私はここで罪を償う!」
「でも……」
「うわぁああっ!」
その瞬間、ベイルを封印する事で発生したエネルギーの衝撃波が建物を崩落させ始める。
「戦いはまだ終わってない。後は……頼んだぞ」
その言葉を最後に真澄の姿は完全に炎に包まれて崩れ落ちて行く。それと同時に建物の崩壊は更に酷くなっていった。このままでは全員揃って生き埋めのため、正造はやむを得ないと声をかける。
「……行こう」
「はい……」
それからその場に響き渡る真澄の叫び声を尻目に幸実と正造は気絶した純平を連れてその場を離れていく。そのまま建物は崩壊。その場に残ったのは燃え盛る真澄とベイルを封印したデモンズドライバー。故障したベイルドライバーにカブトバイスタンプ。そして東山の死体だった。
ノアでの戦いの数日後。純平が目を覚ますとそこは病院のベッドの上だった。隣には幸実が彼を不安そうに見ている。この少し前、正造は幸実にある事を伝えた。
〜回想〜
「君の情報はノアのデータベースから消去した。ただ、彼は今後もギフの力を悪用する者に狙われるだろう。だから、顔を変えることにした。これからは別の人生を歩むことになる」
それを告げた正造に幸実がある事を考えると彼へとまた問いかける。それは自分の中に眠るあの力だ。
「……私の使ったあの力は……大丈夫なんですか?」
「ああ。……詳しくは言えないが。少なくともアレはギフの力ほど危険な物では無い。加えて、東山所長が自分の出世のために君の力を敢えて報告してなかったから彼と比べたら襲われるリスクは大きく下がる」
「そうですか……。あの、ぶーさん。お願いがあるの」
〜現在〜
純平は目を覚まして起き上がると幸実へと話しかける。そんな彼を見た幸実は嬉しそうに抱きついた。
「幸実……無事なのか?」
「元太……!良かった」
それから彼は現状を受け止める。自分は囚われていたノア解放されたという事。でもそれは一時的な物であり、自分は今後命を狙われる存在であると。
「そっか。……幸実、すまない」
「ううん。言ったでしょ。これが私の運命だって。……それと、ぶーさんに頼んで、私も顔を変える事にした」
「……えっ!?」
幸実の決断。それは自分がいる事によって純平がノアに見つかるリスクを少しでも下げるための措置であった。
「本当に良いのか?」
「……良いに決まってるでしょ。……私は元太と普通に暮らせられるのならそれで十分だから」
こうして、白波純平は五十嵐幸実と結婚。それと同時に自らの名前を五十嵐元太とした。二人は後に五十嵐三兄妹を生み、ギフとの戦いの中で運命の因縁に決着を付けることになる。
その頃、ノアの跡地では。一人の男がスーツ姿で歩いてきていた。それは、後のウィークエンドの長官となる赤石英雄である。
「……正に春の夜の夢の如し。滅びる時は一瞬だったな」
そんな中、彼は倒れた二人の人間の肉体と二つのドライバーを見つけた。それは重傷を負った狩崎真澄とノアの所長である東山。更に壊れたベイルドライバーと悪魔ベイルが宿ったデモンズドライバーである。
「……ほう。折角あるのだ。……使うのも一興か」
赤石が手を振るとそこに彼の支配下の構成員達が辛うじて生きている真澄の肉体と完全に生き絶えた東山の死体を回収。それと同時に二つのベルトを手にすると構成員へと指示を出した。
「このベルトをある場所に届けろ。相手は……」
赤石の命令に従い、デモンズドライバーは若林らが中心となっているノアの内部に存在する反対派の元に届けられた。また、ベイルドライバーは自らが回収して保持する事になる。
赤石のこの判断が後にリバイスIFの世界線における戦いの準備と言えるべきものになったのは言うまでも無い。
今回でリバイスレガシー編は終了となります。そして、いよいよこの時が訪れました。次回からはこの小説の最終章へと突入します。リバイスIFにおける最後の章となるのでよろしくお願いします。それでは、また次回も楽しみにしてください。