ブルーバードの施設の前にて。一人の男が現れると怪しい人物の出現に警備のブルーバードの隊員は男の存在に声を上げた。
「ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「部外者は入れないぞ?」
「………」
男はそんな警備員へと薄らと笑みを浮かべると手を翳す。その瞬間、隊員達の体から力が抜けるとその場に倒れていく。
「が……ああっ」
「貴様……何を」
男はそんな風に力が抜けて崩れ落ちた警備の隊員達を横目に施設内へと侵入。勿論そうなれば侵入者として認知されるわけで、警報が鳴ると共に武装した隊員達が駆けつけていく。
「煩いハエ共だなぁ。兄貴」
そう呟くと男の隣に後から入ってきたのか、それなりに体格のある小太りの男が姿を現すと声を上げる。
「……ベルゼか。お前が来たってことは派手にやっても良いって事かな?」
「ああ。オイラの力……存分に見せてやる!」
「撃て!」
その直後。ブルーバードの隊員は侵入者を捕縛するために電撃のエネルギー弾の銃を連射。一気に二人を電撃で気絶させて取り押さえようとする。しかし、次の瞬間。
《暴食・ベルゼブブ!》
男が赤く禍々しい見た目のスタンプを自らに押印すると自身の足元に出てきた炎の中から巨大な大口が出現。それに噛みつかれるようなエフェクトと共にその姿を変化させた。
その姿は下半身はイメージカラーの赤を基調としつつ、無数の口のようなパーツが存在する禍々しい見た目であり、太ったような腹にも牙付き大口が存在。また、背中にはハエの羽が畳まれており、頭部はハエの複眼のようなパーツの下に悪魔のような顔が存在。また、胸部には六本のハエの脚が抱き込むような造形で両腕の先端にはここにも口のようなパーツがある。
「いただきまーす!」
その瞬間、ベルゼの腹の大口が迫り出すと巨大化。迫り来る電撃のエネルギー弾を食ってしまうとそれは全くのノーダメージだった。
「ッ!?」
隊員達が動揺する中、ベルゼビュートは笑みを浮かべる。そのまま体に力を込めると体の至る所に存在する口が開くと周囲にある物を次々と吸い込み始めた。
「おいおい、あまり食べ過ぎるなよ?」
「ふん。これでもオイラは食べ足りないんだよ」
「暴食の悪魔は常に腹ペコって事か。ふふっ」
するとそのタイミングで二人の足元に爆発が起きるとそこに大二と光が姿を現す。
「そこまでだ!」
「これ以上はやらせない!」
「ほう。ブルーバードの仮面ライダー達ですか」
「なぁ、ベルド。コイツらも纏めて食って良いか?」
ただ、ブルーバードの二大戦力が来ても相手は割と余裕そうな顔つきであった。そして、今にも大二達を食べたそうなベルゼをベルドが手で制する。
「流石にこの二人の相手をベルゼ一人で不味いでしょう。悪魔を含めて三人になるなら尚更……ね。ここは私も行きますか」
《怠惰・ベルフェゴール!》
ベルドはベルゼのと比べると色は白だが、同じ造形のスタンプを出して自らへと押印。すると体へと禍々しい風が纏わりつくようにその姿が変化していく。
その姿は下半身が白であるものの、何故か椅子の脚のような部分と一体化したような奇妙な脚で先端は悪魔の脚のような禍々しい形となっている。体つきは生活から堕落し切ったようなヒョロヒョロとした物であるが、悪魔のような禍々しさは残っていた。尻からは椅子の板から突き抜けたような形で牛の尻尾が伸びている。
頭部には曲がった角もあり、顎には伸び放題となった髭もあった。頭部は悪魔らしい禍々しい顔で、背中から尻にかけては椅子の背もたれや座る場所の造形のような物もある。尚、椅子の後ろ脚は板から飛び出る二本の突起として存在した。
こんな椅子に座りっぱなしのようなふざけた姿だが、感じ取れる雰囲気は隣にいるベルゼとなんら遜色無かった。むしろ、座っていたはずの椅子そのものも体の一部と言わんばかりに一体化している。
「お前ら……何だその姿は!」
「おいおい。オイラのこれを知らないのかよ」
「我々はギフの意思を引き継ぎし後継者。そのためにはあなた方が十年前に回収したギフの最後の遺品……ギフスタンプが必要なんですよ」
十年前。五十嵐一輝によってギフが完全に倒されてから、ギフスタンプは完全に中身の無い抜け殻状態だった。ただ、それ以降は抜け殻状態でも中身を入れればまた新たなギフとして蘇りかねない危険を鑑みて厳重に保管してあるのだ。
「なるほど……あなた達の狙いはギフスタンプという事ですか」
「へっ。御託は良い。さっさとお前達を叩きのめしてやるよ!」
ベルゼはかなりやる気なのか、お腹を空かせた捕食者のような目つきであった。
「大二……」
「ああ。相手が誰であろうと関係無い」
《バット!》
大二はスタンプを取り出すと自らに押印。その瞬間、大二からカゲロウが分離すると二人はツーサイドライバーを装着する。
「おい大二。マーベラスにしなくて大丈夫か?」
「まだ相手の戦力が見えてない。その状況でマーベラスを封じられたりでもしたら困る」
以前、大二達は牛島勝の件で一度ベルトその物を無力化された事があった。そういう相手の持つ搦手を警戒しているのだろう。
「僕も行きますよ」
光もデモンズドライバーを取り出すと装着。三人はそれぞれがバイスタンプを構えた。
《バット!》
《クワガタ!》
《Confirmed!》
《Deal……》
その瞬間、大二とカゲロウの影が伸びてそれぞれ白と黒の蝙蝠が飛び回る。光の方も飛び出したクワガタが三人の周囲を旋回した。
《Eeny, meeny, miny, moe…Eeny, meeny, miny, moe…》
《Eeny, meeny, miny, moe!Eeny, meeny, miny, moe!》
「「「変身!」」」
《バーサスアップ!》
《バーサスアップ!》
《Delete up!》
三人がそれぞれベルトを操作すると大二、カゲロウには蝙蝠が集まったスタンプが被さる。加えて光の方はエネルギーフィールドに包まれてからクワガタが突撃した。
《Madness!Hopeless!Darkness!》
《Precious!Trust us!Justis!》
《Unknown.(未知なる)Unlest.(混乱が)Unlimited…(越える)》
《バット!》
《仮面ライダーエビル!》
《仮面ライダーライブ!》
《仮面ライダーオーバーデモンズ!》
三人の複眼が同時に発光するとベルドとベルゼ……この二人のコンビに挑むことになるのだった。
その頃、場面は変わってとある街中。一人の大学生が友達と共に歩いていた。それは門田ヒロミの養子ではあるが、娘である門田留美である。
「留美ちゃんのお父さんってブルーバードの門田総司令官だよね!」
「え?そうだけど……」
「良いなぁ……私の親も総司令官さんみたいにカッコいい人だったらなぁ」
「うーん……。でも、家では意外と面倒だよ?凄い真面目だけど、私の事過剰に心配するし。色々とポンコツな所あるしさ」
昔はヒロミにベッタリ状態だった留美であったが、彼女も大学生になって思春期を経験。養父であるヒロミを偶に鬱陶しいという気持ちで見る時も出てきた。ただ、これも彼女が成長している証であるのだが。
そんな中、留美や友達達の前にいきなり一人の叔母さんと言えるくらいにはそこそこの年齢に見える女性が姿を現す。
「……見ぃつけたわ。……門田ヒロミの娘ね?」
彼女が自分自身を見る目が犯罪者の目、その物だと感じたのか留美や他の女子達は恐怖を感じる。
「誰……ですか?お父さんの知り合い?」
「知り合いでは無いわ……。ただ、あなた達のような幸せな子を見ていると羨ましくて苛々するのよ」
「……何ですかそれ……」
留美はこの女性に寒気さえもしてきた。向こうは自分が幸せにしているだけで勝手に嫉妬して苛立っているのだ。そんなの意味不明という他無い。
「まぁ良いわ。……あなたを捕まえろって私の旦那からの指示。旦那から愛情を向けられるためにも……大人しくしてもらおうかしら?」
「……皆、逃げて……」
「留美……でもそれじゃあ……」
「私の事は心配しないで。必要なら全身全霊で逃げるから。でもその前に、皆は多分あの人の狙いに入ってない。だから見逃してくれるはずだよ」
留美の友達が不安そうな顔をする。どうやら留美は本気で一人、立ち向かうつもりらしい。
「ねえ、おばさん!私の友達は狙いじゃ無いんでしょ?だから彼女達は見逃してくれない?」
「チッ……おばさん……ねぇ。生意気だけど良いわ。あなたが捕まるのならこの場で捕まえなくとも関係無いし」
留美はその言葉が一瞬引っかかるものの、彼女は自分を狙える状況なら手出ししないと言ってきた。そうなると留美はその場に残る中で友達達に逃げるように目配せする。
「……ごめん、留美!」
友達達は留美を残してその場から避難。目の前にいる女性と一対一となる。すると彼女はその手にトライデントのような三叉の槍を手にしてジリジリと近づいてきた。
「……私の全身全霊で……相手するよ!」
それから留美がいざという時に身を守れるようにするために養父から習った構えを取る。
「そこまでだ!」
その瞬間、鋭い声が響き渡ると女性が槍を防御に使う。すると一つの影が飛び出すと飛び蹴りを放って女性の槍を蹴り込んだ。
「ッ……貴様っ!」
「お父さん!?本部での指揮は!?」
そこにいたのは留美の養父である門田ヒロミであった。そんな彼は娘の窮地を聞いて飛んできたのである。
「指揮は狩崎に引き継いだ。……愛する娘一人守れなくて、ヒーローは務まらないからな」
「もう!こんな時までそんなので、恥ずかしいでしょ!」
「えっ!?」
ヒロミが折角娘の前で良い所を見せようとして彼女からディスられてしまった事に困惑した。
「私の前でふざけるんじゃ無いわよ。ブルーバードの総司令官。アンタが自ら出てくるなんてね。この私……レヴィアが仕留めてあげるわ」
レヴィアと名乗る女性は緑のスタンプを出すとそれを起動。自らへと押印する。
《嫉妬・レヴィアタン!》
その瞬間、彼女の周囲に東洋の龍が出てくると自身の足元に激流が発生。龍が彼女を締め上げると同時に水を取り込んでいき、その姿を現した。
姿は下半身は緑を基調とし、龍の鱗のような装甲をその身に纏っている。加えて、尻からはヒレが付いた龍の尾が飛び出している。上半身は人魚のように女性の体つきの造形はそのままだが、龍の鱗のような装甲が上から張り付いている。加えて、胸には龍が持っているような大きめな宝石が埋め込まれており、両腕も龍の腕のような鋭い爪があった。
頭部は龍の顔のような女性とは思えない厳つめな顔であり、クラッシャー部は悪魔のような禍々しい物となっていた。勿論、武器のトライデントはそのまま所持である。
「デッドマンとは違う悪魔の力なのか」
「これも我々が主人と仰ぐギフに並ぶあのお方のためよ」
「ならば……我が全身全霊を賭けて……お前を止める!」
《スパイダー!》
《Deal……》
ヒロミがベルトを装着してスタンプを押印すると地面に液晶画面が出つつ、上からは小さな蜘蛛が降りてくる。
「変身!」
《Decide up!》
《Deep.(深く) Drop.(落ちる) Danger……(危機)(仮面)rider Demons!》
そのままヒロミは蜘蛛によって雁字搦めにされるようにその姿をデモンズへと変化させた。
「はあっ!」
デモンズとレヴィアが激突する中。再び場面は変わって幸せ湯が程近い街中。そこではギフジュニア達が市民を襲撃していた。どうやら、同時多発的に多方面を襲う事でブルーバードの戦力の分散が目的らしい。
「あははっ!欲しい物は力で手に入れる。この世界はアタシ達の物よ!」
そこにいたのは地雷系女子と言わんばかりのメイドのコスプレをし、ゴリゴリにメイクをした若い女性だった。するとブルーバードの戦闘員であるデモンズトルーパーがギフジュニアを迎撃しようと走ってくる。
「ふふっ。あなた達は邪魔なのよ!」
その瞬間、女性から伸ばされた触手のようなエネルギーがデモンズトルーパーのベルトを次々と貫くと何かのエネルギー体を奪っていく。そのままデモンズトルーパー達は一撃で変身解除していった。
「そんな程度でアタシを止められるとでも思ったぁ?べーっ。ざぁんねんでしたー!あははっ!」
狂気に狂ったように笑う女性。そのままいきなり触手を伸ばすと逃げ惑う人々から次々と何かの魂のような物体を奪い取っていく。
「足りない、足りない!もっともっとアタシに寄越しなさい!」
そんな時だった。いきなりエネルギー弾が彼女の足元に命中するとそこに自転車が走る音がする。そして、そこから降りたのは五十嵐一輝だった。
この少し前、一輝もブルーバードからの出動要請を受けてこの場に到着したのである。
「アンタ誰?」
「俺は五十嵐一輝。日本一のお節介だ」
「そして一輝の悪魔のバイスちゃんもいまーす!」
バイスもガンデフォン越しに会話へと加わる。そんな中、女性はまた狂気じみた笑みを浮かべた。
「あははっ、面白そうな人ね。……じゃあ、このアタシ。マモちゃんの部下達がまずは相手してあげるね?」
「そこはお前が来るんじゃないんかーい!」
「平和を脅かすお前達を……俺達は止めてみせる!」
《リバイスドライバー!》
一輝がリバイスドライバーを装着するとレックスバイスタンプを取り出してスイッチを起動。息を吹きかける。
「いよっしゃ!久々に行っちゃうよー!」
《レックス!》
「はぁ……」
《Come on!レ・レ・レ・レックス!》
「ふへへっ!」
スタンプがベルトに押印されて待機音が鳴る中でバイスは霊体となってスタンプを手に飛び回る。
「変身!」
《バディアップ!》
「よいしょ!」
スタンプが下ろされるとその姿が液体によって変化していく。それと同時にバイスも実体化して装甲を身に纏った。
《オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!》
二人は久しぶりに仮面ライダーへと変身するとお約束のハイタッチを交わしてスタンプの絵をバックに浮かばせる。
「「一緒に行くぜ!」」
そのまま二人は目の前にいる敵へと向かっていく。再び荒らされたこの世界の平和を守るために。
また次回もお楽しみに。